皇子と私
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「先に国へ行って、現状を調査してきてくれ」
白雄様から命を受け、先に留学先の国へと潜入する。怪しまれない様に、旅人の装いをして市場調査や、足を伸ばして統治されている村々を訪れたりなどをして情報を集めた。
約束の日に来国した白雄様と紅炎様を物陰からジッと見つめれば、視線にすぐさま気が付かれたお二人が二、三言葉を交わすと白雄様は船へと戻り、紅炎様の手引きで私も船へと入り込めた。
紅炎様に案内された部屋に入ると、白雄様が直ぐに「なんだ、その服は」と尋ねてきた。
「なにって、旅人の服ですよ。礼服では目立ちます」
「それもそうだな。礼服と肌着以外の服を初めて見たから、つい。内情報告は、後で聞く。今は着替えて、挨拶に行くぞ」
そう言って白雄様はさっさと部屋を出て行かれたが、紅炎様はジッと私の顔を見つめていて動かない。
「あの、紅炎様。なにか?」
尋ねれば、ハッとした表情で「なんでもない」と言って出て行ってしまった。なんだったのだろうか。
***
遅れて俺の後から出てきた紅炎が、なにか言いたそうな顔で俺の顔を見つめてきた。
「なにか聞きたい事があるのか、紅炎」
中々切り出さない紅炎にこちらから聞くと、言い難そうに「その、先程、李鈴の肌着を見たといっていましたが……」と歯切れ悪く言うので、「あぁ、寝所も共にした」と言えば、衝撃を受けた顔をした。
「そ、それでは、お二人は情を……!」
……どうやら、要らぬ誤解を招いて仕舞った様だ。
いや、確かに普通の人間が聞いたらそういう勘違いをするよな。李鈴相手に、そう言った発想が浮かばないものだから。
すぐに「俺と李鈴はそう言った仲ではない」と訂正する。
「確かに肌着は見たし、同じ布団で寝た。だが、情は通じていない」
「で、ではどういった……」
どういった、か……。改めて聞かれると、言い難いな。
「……恐らく、これを言ったら李鈴は身分違いだからと言って否定すると思うが、俺はあいつの事を親友だと思っている」
俺の言葉に「しん、ゆう……?」と紅炎が復唱して、物凄く恥ずかしくなってきた。これで李鈴が否定したら赤っ恥もいいところだな。
ごほんっと照れ隠しに咳をして「先に降りている。李鈴が出てきたら一緒に降りて来い」と言い残し、その場を離れた。
***
着替えて外に出ると、神妙な顔つきの紅炎様が待っていた。
「なにかありましたか?」と声をかけると、弾かれる様に顔をあげて「貴殿は白雄様の親友なのか?!」と仰った。
は?なに?親友?
「白雄様が、貴殿の事を親友だと言っていた。親友とは、情を通じていなくても寝所を共にするのか?」
「んん?話が全く見えないのですが?」
とりあえず話の経緯を聞けば、白雄様がとんでもない誤解を招く発言をされていた。
しかも親友って……。
「まぁ、白雄様が親友と言うなら否定しませんが」
「違うのか?」
ううん……、違うかどうか聞かれるとよくわからない。
私の世界は、血縁者と白雄様といった狭い世界なのだ。
元より、私の一族は日陰者故に他の宮廷勤めの人間と交流がない。街にも用がない限り出ない。基本一人が好きという、人との交流が中々生まれない環境の為に、親友どころか友達もいない。
「とまあ、こんな根暗一族なので親友と言えるかどうか分かりませんが、白雄様がそう思っているのなら肯定します。否定したら白雄様赤っ恥でしょうし。あ、でも、この事は他言無用でお願いします」
「なぜ?」
「一応、白雄様の体面を気にしてるんですよ、私」
お願いします、と念を押すと「わかった」と頷いてくれた。
やはり、紅炎様はいい子だ。
白雄様から命を受け、先に留学先の国へと潜入する。怪しまれない様に、旅人の装いをして市場調査や、足を伸ばして統治されている村々を訪れたりなどをして情報を集めた。
約束の日に来国した白雄様と紅炎様を物陰からジッと見つめれば、視線にすぐさま気が付かれたお二人が二、三言葉を交わすと白雄様は船へと戻り、紅炎様の手引きで私も船へと入り込めた。
紅炎様に案内された部屋に入ると、白雄様が直ぐに「なんだ、その服は」と尋ねてきた。
「なにって、旅人の服ですよ。礼服では目立ちます」
「それもそうだな。礼服と肌着以外の服を初めて見たから、つい。内情報告は、後で聞く。今は着替えて、挨拶に行くぞ」
そう言って白雄様はさっさと部屋を出て行かれたが、紅炎様はジッと私の顔を見つめていて動かない。
「あの、紅炎様。なにか?」
尋ねれば、ハッとした表情で「なんでもない」と言って出て行ってしまった。なんだったのだろうか。
***
遅れて俺の後から出てきた紅炎が、なにか言いたそうな顔で俺の顔を見つめてきた。
「なにか聞きたい事があるのか、紅炎」
中々切り出さない紅炎にこちらから聞くと、言い難そうに「その、先程、李鈴の肌着を見たといっていましたが……」と歯切れ悪く言うので、「あぁ、寝所も共にした」と言えば、衝撃を受けた顔をした。
「そ、それでは、お二人は情を……!」
……どうやら、要らぬ誤解を招いて仕舞った様だ。
いや、確かに普通の人間が聞いたらそういう勘違いをするよな。李鈴相手に、そう言った発想が浮かばないものだから。
すぐに「俺と李鈴はそう言った仲ではない」と訂正する。
「確かに肌着は見たし、同じ布団で寝た。だが、情は通じていない」
「で、ではどういった……」
どういった、か……。改めて聞かれると、言い難いな。
「……恐らく、これを言ったら李鈴は身分違いだからと言って否定すると思うが、俺はあいつの事を親友だと思っている」
俺の言葉に「しん、ゆう……?」と紅炎が復唱して、物凄く恥ずかしくなってきた。これで李鈴が否定したら赤っ恥もいいところだな。
ごほんっと照れ隠しに咳をして「先に降りている。李鈴が出てきたら一緒に降りて来い」と言い残し、その場を離れた。
***
着替えて外に出ると、神妙な顔つきの紅炎様が待っていた。
「なにかありましたか?」と声をかけると、弾かれる様に顔をあげて「貴殿は白雄様の親友なのか?!」と仰った。
は?なに?親友?
「白雄様が、貴殿の事を親友だと言っていた。親友とは、情を通じていなくても寝所を共にするのか?」
「んん?話が全く見えないのですが?」
とりあえず話の経緯を聞けば、白雄様がとんでもない誤解を招く発言をされていた。
しかも親友って……。
「まぁ、白雄様が親友と言うなら否定しませんが」
「違うのか?」
ううん……、違うかどうか聞かれるとよくわからない。
私の世界は、血縁者と白雄様といった狭い世界なのだ。
元より、私の一族は日陰者故に他の宮廷勤めの人間と交流がない。街にも用がない限り出ない。基本一人が好きという、人との交流が中々生まれない環境の為に、親友どころか友達もいない。
「とまあ、こんな根暗一族なので親友と言えるかどうか分かりませんが、白雄様がそう思っているのなら肯定します。否定したら白雄様赤っ恥でしょうし。あ、でも、この事は他言無用でお願いします」
「なぜ?」
「一応、白雄様の体面を気にしてるんですよ、私」
お願いします、と念を押すと「わかった」と頷いてくれた。
やはり、紅炎様はいい子だ。