怪怪
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珍しく出来上がっているオヤジから「ちょっと車まわしてくれ」と、これまた珍しい内容の要請があった。
いつものなら、タクシーでも捕まえて帰って来るっていうのに。
「廻じゃなくていいんですか?」
『あぁ、治崎だとなにするかわからねぇからな』
「どういう……」
全てを聞く前に「とにかく、治崎は連れて来るな」と念押しされ、廻には「外で揉め事があったみたいなんで、出てきます」と言って抜け出してきた。
車を指定の場所まで走らせると、べろんべろんに酔って眠っている見た目年齢は十代後半くらいの女を背負ったオヤジが待っていた。
「玄野、悪いな」
「いや、いいんですけど……。そちらのお嬢さんは?」
私の質問にオヤジは当たり前の様に「明日から住み込みで働く家政婦のお嬢ちゃんだ」と説明するが、頭が痛くなる。
確かに、こんな話を廻が聞いたらにこやかに「あとは俺がやっておくから、オヤジは先に帰っててくれ」と言って始末しかねない。
無意味に人命を奪う事にならなくてよかった。
「じゃあ、このお嬢さんはお預かりします。オヤジは、タクシーで先に帰って下さい」
「俺も行く。お前が送り狼にならないとは限らねェからな」
「そこは安心してもらっていいですよ。好みからだいぶ外れたお嬢さんなので」
酔ったお嬢さんとオヤジを後部座席に乗せ、失敬した財布から身分証を取り出し住所を確認する。
静かに車を走らせ、暗い路地を進めば街頭の殆どない所にひっそりと建っていた小奇麗ではあるがどこか陰鬱としたアパート。
あのアパートって確か、大江山組のぼったくりアパートだった気がする。
酔っているオヤジも気が付いたのか、暫しの沈黙のあと「ヤサに帰るぞ」と指示をだしたので帰ったあとに廻が怒り狂わないかと心配になるけれども、その言葉に逆らう事無く「わかりやした」とだけ返事をした。
帰宅後、お嬢さんを抱っこした俺を睨みつけながら「オヤジ。身元のわからない人間を入れるべきじゃない」と苦言を漏らすも、オヤジは「それを決めるのは俺だ」と言い切り「玄野。客室に寝かせてやれ」と私に言ったので「はい」と短く返答して鋭い視線を向けてくる廻の横を抜ける。
「まったく、面倒を運んできてくれやしたね」
寝息をたてるお嬢さんにそう声をかけるも、返答があるわけがない。
畳に横たわらせ、来客用の布団を敷いていたら廻が現れたので「お、分解されるか」と思ったが、お嬢さんに視線を一度やってから「服も着替えさせろ。布団を汚させるな。それが終わったら、それの素性を調べろ」とまあ、沢山用事だけ告げてから襖を閉めて行ってしまった。
「……はぁ。本当に、面倒ですね」
渋々、客用の寝間着にお嬢さんを着替えさせ敷き布団に転がしそっと掛け布団をかけ、二度、三度お腹を叩いてから部屋を後にした。
いつものなら、タクシーでも捕まえて帰って来るっていうのに。
「廻じゃなくていいんですか?」
『あぁ、治崎だとなにするかわからねぇからな』
「どういう……」
全てを聞く前に「とにかく、治崎は連れて来るな」と念押しされ、廻には「外で揉め事があったみたいなんで、出てきます」と言って抜け出してきた。
車を指定の場所まで走らせると、べろんべろんに酔って眠っている見た目年齢は十代後半くらいの女を背負ったオヤジが待っていた。
「玄野、悪いな」
「いや、いいんですけど……。そちらのお嬢さんは?」
私の質問にオヤジは当たり前の様に「明日から住み込みで働く家政婦のお嬢ちゃんだ」と説明するが、頭が痛くなる。
確かに、こんな話を廻が聞いたらにこやかに「あとは俺がやっておくから、オヤジは先に帰っててくれ」と言って始末しかねない。
無意味に人命を奪う事にならなくてよかった。
「じゃあ、このお嬢さんはお預かりします。オヤジは、タクシーで先に帰って下さい」
「俺も行く。お前が送り狼にならないとは限らねェからな」
「そこは安心してもらっていいですよ。好みからだいぶ外れたお嬢さんなので」
酔ったお嬢さんとオヤジを後部座席に乗せ、失敬した財布から身分証を取り出し住所を確認する。
静かに車を走らせ、暗い路地を進めば街頭の殆どない所にひっそりと建っていた小奇麗ではあるがどこか陰鬱としたアパート。
あのアパートって確か、大江山組のぼったくりアパートだった気がする。
酔っているオヤジも気が付いたのか、暫しの沈黙のあと「ヤサに帰るぞ」と指示をだしたので帰ったあとに廻が怒り狂わないかと心配になるけれども、その言葉に逆らう事無く「わかりやした」とだけ返事をした。
帰宅後、お嬢さんを抱っこした俺を睨みつけながら「オヤジ。身元のわからない人間を入れるべきじゃない」と苦言を漏らすも、オヤジは「それを決めるのは俺だ」と言い切り「玄野。客室に寝かせてやれ」と私に言ったので「はい」と短く返答して鋭い視線を向けてくる廻の横を抜ける。
「まったく、面倒を運んできてくれやしたね」
寝息をたてるお嬢さんにそう声をかけるも、返答があるわけがない。
畳に横たわらせ、来客用の布団を敷いていたら廻が現れたので「お、分解されるか」と思ったが、お嬢さんに視線を一度やってから「服も着替えさせろ。布団を汚させるな。それが終わったら、それの素性を調べろ」とまあ、沢山用事だけ告げてから襖を閉めて行ってしまった。
「……はぁ。本当に、面倒ですね」
渋々、客用の寝間着にお嬢さんを着替えさせ敷き布団に転がしそっと掛け布団をかけ、二度、三度お腹を叩いてから部屋を後にした。