怪怪
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翌日、玄野と一緒にオヤジの部屋へと呼び出され、件の女についてかと思い向かえば、満面の笑みで手渡されたのは紙袋。
中身を改めると、革の手袋とマフラーが入っていた。
玄野に渡された紙袋にも、デザインの違う手袋とマフラーが入っていた様で、首を捻りながら「これは?」とオヤジに尋ねた。
「鹿乃子が、今年は寒くなるって言うんでな。昨日、一緒に買いに行ったんだよ」
やはり、あれの入れ知恵か。
眉間に皺を寄せ、受けとるかどうか考える。
オヤジからの贈り物なんざ、何年ぶりか。
誕生日だって、祝われる様な歳でもなく、俺としては喜べる日ではなかったからいつの頃か断っていた。
素直になれば、嬉しい。だから受けとりたい。
けれども、あれの入れ知恵かと思うと受け取りたくない。
そんなジレンマを抱えている俺の隣で「へぇ、ありがとうございやす」と、玄野はなんの迷いもなく受け取った。
「お前……」
じとっ、とした目で見つめれば、あいつはしれっと「私は気にしないんで」と返す。
なにが、と言わずとも玄野が俺がなにに引っかかっているのか気が付いた様に、俺も言われずとも察していた。
「なんでェ、治崎。俺が選んだ物に不満があるってのか?」
「オヤジが、選んでくれたのか?」
「おうよ。最初はなァ、おめェらと鹿乃子をもっと仲良くとも思ッて鹿乃子に選ばせようとしたンだけど、これだからな……」
そう、机の上に置かれていたもう一つの紙袋から取り出された手袋とマフラーは、あまりにも酷いデザインだった。
「うわっ、だっさ」
「今まで、人に物を贈った事なんてなかったらしいからな。まぁ、折角だから鹿乃子が選んだやつも買ったけどな」
「オ、オヤジ……。まさか、それをつけるつもりじゃないだろうな……?」
あれが選んだからとかの理由より、オヤジがそんな中学生がつけるような手袋と、クリスマスに出回るダサいトレーナー柄のマフラーをつけるなんて俺が絶対に許さない。
「俺が見繕ってくるから、それだけは……!」
「落ち着け、治崎。さすがに、これつけたら俺の威厳も形無しな事くれェわからァ。記念だ、記念」
「ならいいが……」
「だが、おめェが見繕ッてくれるッてンなら頼むか。新調したかったとこだしな」
嬉しそうに笑うオヤジに「あぁ、任せてくれ」と返事をし、「用件ってのは、これだけか?」と確認すると、「あぁ、俺の用はそれだけだ」と下がるようジェスチャーするので玄野と共に部屋を出、すぐさま小さくガッツポーズをした。
そんな俺を横目に、繁々と紙袋の中身を眺める玄野に「どうした」と聞けば、「不自然ですよね」と俺も引っかかりを覚えていた事を口にする。
「これだけ警戒する私たちの心配をする理由が思いつかないんですよね」
「そうだな。取り入るにしては、あの小賢しい女のやり口とは少し違う気もする。あれが、そんな露骨な取り入り方をするとは思えない」
「そうなんですよね。そもそも、彼女は別に私たちに取り入らなくても正直、やっていけるんですよね。彼女の言う通り、別にやましい事をしているわけでもなく、私たちに関わらなくとも生活していける。個性の性質上、優位な位置にいるから取り入る必要性がない」
つくづく意味の分からない女ではあるが、この行動もまた意味がわからない。
取り入る訳ではないなら、本当にただ単に心配しての行動だとでも言うのか?
玄野が「どうする」と、指示を待つ顔で見つめてくる。
「探りを入れろ。なにもなければそれでいいが、裏があれば対処しろ」
「はい、承知しやした」
中身を改めると、革の手袋とマフラーが入っていた。
玄野に渡された紙袋にも、デザインの違う手袋とマフラーが入っていた様で、首を捻りながら「これは?」とオヤジに尋ねた。
「鹿乃子が、今年は寒くなるって言うんでな。昨日、一緒に買いに行ったんだよ」
やはり、あれの入れ知恵か。
眉間に皺を寄せ、受けとるかどうか考える。
オヤジからの贈り物なんざ、何年ぶりか。
誕生日だって、祝われる様な歳でもなく、俺としては喜べる日ではなかったからいつの頃か断っていた。
素直になれば、嬉しい。だから受けとりたい。
けれども、あれの入れ知恵かと思うと受け取りたくない。
そんなジレンマを抱えている俺の隣で「へぇ、ありがとうございやす」と、玄野はなんの迷いもなく受け取った。
「お前……」
じとっ、とした目で見つめれば、あいつはしれっと「私は気にしないんで」と返す。
なにが、と言わずとも玄野が俺がなにに引っかかっているのか気が付いた様に、俺も言われずとも察していた。
「なんでェ、治崎。俺が選んだ物に不満があるってのか?」
「オヤジが、選んでくれたのか?」
「おうよ。最初はなァ、おめェらと鹿乃子をもっと仲良くとも思ッて鹿乃子に選ばせようとしたンだけど、これだからな……」
そう、机の上に置かれていたもう一つの紙袋から取り出された手袋とマフラーは、あまりにも酷いデザインだった。
「うわっ、だっさ」
「今まで、人に物を贈った事なんてなかったらしいからな。まぁ、折角だから鹿乃子が選んだやつも買ったけどな」
「オ、オヤジ……。まさか、それをつけるつもりじゃないだろうな……?」
あれが選んだからとかの理由より、オヤジがそんな中学生がつけるような手袋と、クリスマスに出回るダサいトレーナー柄のマフラーをつけるなんて俺が絶対に許さない。
「俺が見繕ってくるから、それだけは……!」
「落ち着け、治崎。さすがに、これつけたら俺の威厳も形無しな事くれェわからァ。記念だ、記念」
「ならいいが……」
「だが、おめェが見繕ッてくれるッてンなら頼むか。新調したかったとこだしな」
嬉しそうに笑うオヤジに「あぁ、任せてくれ」と返事をし、「用件ってのは、これだけか?」と確認すると、「あぁ、俺の用はそれだけだ」と下がるようジェスチャーするので玄野と共に部屋を出、すぐさま小さくガッツポーズをした。
そんな俺を横目に、繁々と紙袋の中身を眺める玄野に「どうした」と聞けば、「不自然ですよね」と俺も引っかかりを覚えていた事を口にする。
「これだけ警戒する私たちの心配をする理由が思いつかないんですよね」
「そうだな。取り入るにしては、あの小賢しい女のやり口とは少し違う気もする。あれが、そんな露骨な取り入り方をするとは思えない」
「そうなんですよね。そもそも、彼女は別に私たちに取り入らなくても正直、やっていけるんですよね。彼女の言う通り、別にやましい事をしているわけでもなく、私たちに関わらなくとも生活していける。個性の性質上、優位な位置にいるから取り入る必要性がない」
つくづく意味の分からない女ではあるが、この行動もまた意味がわからない。
取り入る訳ではないなら、本当にただ単に心配しての行動だとでも言うのか?
玄野が「どうする」と、指示を待つ顔で見つめてくる。
「探りを入れろ。なにもなければそれでいいが、裏があれば対処しろ」
「はい、承知しやした」