怪怪
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廻と一緒に仕事を粗方片づけ、帰宅する頃には夜中の三時を回っていた。
食事をする気力もなく、手頃で廻が入れる様な食事処は軒並み閉まっている所為で空腹のままヤサへと帰宅した。
廻は燃費がいいから夕飯を食べなくても平気かも知れないが、私はダメだ。
お腹減って眠れないかも知れない。
コンビニを寄る時間すら与えられないまま帰宅すると、美味しそうな匂いが居間から漂ってきた。
廻も気が付いたのか、電気の点いている居間へと入れば机の上に鍋が一つ置いてあった。
蓋を開ければ、しっかりと温められた鳥団子鍋。
その脇にはお櫃とお皿、恐らく手作りであろうポン酢。
「誰とは言いやせんが、まさかこの時間まで起きててくれたんですかねぇ」
温かいという事はつまり、そういう事なのだろう。
一応、廻に「食べやすか?」と尋ねれば難しい顔で鍋を見つめている。
あれ?「いるか」と返ってくるかと思ったが、意外と今朝の朝食で胃袋掴まれたのだろうか。
「私は食べやすけど、お腹空きやしたし」
そそくさと、食事の用意を始める私をジト目で見つめる廻に「食べたくないなら、別にいいんじゃないですかい?彼女も、食べてもらえなかったらそれはそれでいいと思ってるでしょうし」と言ってから、ご飯をよそい、鳥団子を中心に小皿へ移してから「頂きます!」とすきっ腹に最高の食事を流し込む。
「ん……美味しい……」
モグモグと白米を頬張る私に、廻が「……お前、まさかとは思うが絆されてないだろうな」とくらーい声で聞いてくるが、別に絆されていようがなかろうが、廻の指示があればその通りに動くさ。
「否定はしないんだな」
「そうですね。若は資料だけなんで、そこまで感化されたりしないかも知れやせんけど、私は彼女から直接話を聞いてるんで少しは感情移入してしまう部分はありやす」
最初は音本も同席させ色々と聞きだしてはいたけれども、どうも彼女は嘘偽りなく私たちの質問に答え続けていたので途中、席を外させた。
私よりも、音本の方が絆されやすく感情に流されやすい。
音本がチョロいという訳ではなく、彼女が人に嘘を吐かずに誑し込めるのがとても上手いのだ。
誠実に答え、相手の弱い部分に寄り添い自分の味方にしようとする。
恐らく、何百年も生き続けている彼女なりの処世術なのだと思う。
それが仇となって、痴情の縺れへと発展しては死んでいるのだからわけないが。
「そういう訳なんで、私は別にそこまで彼女を嫌ってはいやせん。危険である可能性はありやすが、困るのは彼女自身です。事実、彼女がここを追い出されれば路頭に迷うのは目に見えてやす。行く先々の雇用先を潰した所為で職を斡旋してもらう事も出来ず、かと言って裏社会で生きていける程の能力はない。ここ最近、法律の規制がきつくなってるので証明書の偽造もできない。私たちを敵に回して困るのは彼女です。なので、私はそこまで危険視はしていやせん」
報告の様な形で私見を述べれば、黙って聞いていた廻は深く息を吐き「だとしても、あいつの調査は続けろ」と言った。
「承知しやした。ところで、食べないんですかい?美味しいですよ。私と同じ卓で食事したくないのでしたら、台所の方へ行きやすけど」
「……いい、そこで食べてろ」
という事は、廻は食べないのか。勿体ない。と勝手に解釈したのだが、廻は私の眼の前の席へと腰をおろした。
いいのか?と聞きそうになったが、廻がここで食べていいと言ったのだから……いいのだろう。
廻と一緒に食事をするのは何年ぶりかと、柄にもなく嬉しくなってしまった。
これも、彼女の狙いだったりするのだろうかと勘ぐってしまう。
もし、狙ってやっていたのだとしたらとんだ食わせ物だ。
食事をする気力もなく、手頃で廻が入れる様な食事処は軒並み閉まっている所為で空腹のままヤサへと帰宅した。
廻は燃費がいいから夕飯を食べなくても平気かも知れないが、私はダメだ。
お腹減って眠れないかも知れない。
コンビニを寄る時間すら与えられないまま帰宅すると、美味しそうな匂いが居間から漂ってきた。
廻も気が付いたのか、電気の点いている居間へと入れば机の上に鍋が一つ置いてあった。
蓋を開ければ、しっかりと温められた鳥団子鍋。
その脇にはお櫃とお皿、恐らく手作りであろうポン酢。
「誰とは言いやせんが、まさかこの時間まで起きててくれたんですかねぇ」
温かいという事はつまり、そういう事なのだろう。
一応、廻に「食べやすか?」と尋ねれば難しい顔で鍋を見つめている。
あれ?「いるか」と返ってくるかと思ったが、意外と今朝の朝食で胃袋掴まれたのだろうか。
「私は食べやすけど、お腹空きやしたし」
そそくさと、食事の用意を始める私をジト目で見つめる廻に「食べたくないなら、別にいいんじゃないですかい?彼女も、食べてもらえなかったらそれはそれでいいと思ってるでしょうし」と言ってから、ご飯をよそい、鳥団子を中心に小皿へ移してから「頂きます!」とすきっ腹に最高の食事を流し込む。
「ん……美味しい……」
モグモグと白米を頬張る私に、廻が「……お前、まさかとは思うが絆されてないだろうな」とくらーい声で聞いてくるが、別に絆されていようがなかろうが、廻の指示があればその通りに動くさ。
「否定はしないんだな」
「そうですね。若は資料だけなんで、そこまで感化されたりしないかも知れやせんけど、私は彼女から直接話を聞いてるんで少しは感情移入してしまう部分はありやす」
最初は音本も同席させ色々と聞きだしてはいたけれども、どうも彼女は嘘偽りなく私たちの質問に答え続けていたので途中、席を外させた。
私よりも、音本の方が絆されやすく感情に流されやすい。
音本がチョロいという訳ではなく、彼女が人に嘘を吐かずに誑し込めるのがとても上手いのだ。
誠実に答え、相手の弱い部分に寄り添い自分の味方にしようとする。
恐らく、何百年も生き続けている彼女なりの処世術なのだと思う。
それが仇となって、痴情の縺れへと発展しては死んでいるのだからわけないが。
「そういう訳なんで、私は別にそこまで彼女を嫌ってはいやせん。危険である可能性はありやすが、困るのは彼女自身です。事実、彼女がここを追い出されれば路頭に迷うのは目に見えてやす。行く先々の雇用先を潰した所為で職を斡旋してもらう事も出来ず、かと言って裏社会で生きていける程の能力はない。ここ最近、法律の規制がきつくなってるので証明書の偽造もできない。私たちを敵に回して困るのは彼女です。なので、私はそこまで危険視はしていやせん」
報告の様な形で私見を述べれば、黙って聞いていた廻は深く息を吐き「だとしても、あいつの調査は続けろ」と言った。
「承知しやした。ところで、食べないんですかい?美味しいですよ。私と同じ卓で食事したくないのでしたら、台所の方へ行きやすけど」
「……いい、そこで食べてろ」
という事は、廻は食べないのか。勿体ない。と勝手に解釈したのだが、廻は私の眼の前の席へと腰をおろした。
いいのか?と聞きそうになったが、廻がここで食べていいと言ったのだから……いいのだろう。
廻と一緒に食事をするのは何年ぶりかと、柄にもなく嬉しくなってしまった。
これも、彼女の狙いだったりするのだろうかと勘ぐってしまう。
もし、狙ってやっていたのだとしたらとんだ食わせ物だ。