怪怪
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そろそろ寒くなるであろう時期。
私は極力関わるなと言われているので、治崎さんと玄野さんが出かける時に見送る事ができない。
だから、今日二人が寒そうにしていたかどうかもわからない。
そして、随分前からどこを探しても二人の手袋とマフラーが見当たらないのだ。
もしや奴ら、防寒着の類いを所有していないのでは……?という疑惑がうまれたので、私が任された区分であるトイレ、風呂場、台所。それから洗濯を終わらせ、オヤジさんに聞き込みをすると苦笑された。
「治崎たちの部屋でも漁ったのか?」
「いやーまー……はい」
正直に答えれば「他人の部屋を勝手に漁るンじゃねェよ」と、ちょっと本気で怒られてしまった。
そうだよね、プライバシーってものは尊重しないといけませんね。
すみませんでした。
「あの、でも、最近寒くなり始めましたし、しっかり温かくしないと風邪ひいちゃわないか心配で……」
「おめェはお人好しだな。あんだけ警戒されて冷たくあたられてるってのに、風邪の心配してやってんのか」
呆れながらも嬉しそうなオヤジさんに、「いやぁ、そうは言っても根はいい子たちですよ」と言えば、オヤジさんは「そう見えるか?」と自慢の息子たちが褒められた事が嬉しかったのか、表情が緩んだ。
「そりゃ、この見た目ですけど色んな人を見てきましたからね~。わかりますよ。あの子たちはいい子です。危険かも知れないとわかっていながら、少しの同情心が殺しきれていない。今までなら、話すら信じてもらえずに今頃、私は死んでいましたから。話を聞いて追い出さないだけでも十分、私から見れば優しい、いい子です」
社会の基準がどうかは知りませんが、と付け加えてからオヤジさんを見れば、喉で笑い嬉しそうに「ありがとうな、鹿乃子」とお礼を言われた。
お礼を言われるような事は言っていないが「どーいたしまして」とだけ返す。
「それで、話は戻って手袋とマフラーなんですけど……」
「あぁ、そうだったな。そういやぁ、あいつらが手袋だマフラーだなんてもんしてるの、小学校くらいから見てねェな」
「やはり~。どうしよう……ニュースで今年の冬は去年より寒いらしいし……でも私からだなんて言ったら絶対につけないだろうし……そもそも男の人がつけるデザインもよくわからないし……」
ぶつぶつと思索に入った私に、オヤジさんが「今から出られるか?」と唐突に話題を振ってきたので、一瞬言葉につまるも「はい、特に用事はありませんので」と返答すれば、椅子から立ち上がり「買いもンに行くぞ、鹿乃子。付き合え」とだけ言って一人さっさと部屋を出てしまう。
亭主関白だぁ、懐かしい……。
序でに夕飯の買い出しにも済ませられるように財布やエコバッグなんかも、治崎さんが買ってくれたお高い大きめのお洒落な鞄につめ玄関で待つオヤジさんへと駆け寄る。
たぶん、治崎さんに知られたら「オヤジと出かけた……?なにが目的だ……」て、滅茶苦茶キレられる気がする。
「そういやぁ、鹿乃子。おめェ、家から離れられないンじゃなかったのか?」
玄関を出る前に、オヤジさんから尋ねられた。
「あれ?玄野さんの資料に書いてませんでした?半径2キロ以内に家人がいれば、行動可能なんですよ。ほら、座敷童子(半分)ですから」
「情報量が多すぎて、見過ごしたかもな……。最近、どうも目が霞んでいけねェ……」
「そいつはいけませんね……まだ若いのに……。目の疲れに効く目薬でも買っていきますか?」
「バカ言え、もう若かねェよ」
からからと笑うオヤジさんに「気持ちが年老いたと思わなければ、人間はいつだって若者ですよ」と私が否定をすれば、くつくつと笑いながら「俺より長く生きてる人間の言葉だと、説得力がちげェな」と言われた。
“人間”と言われた事に違和感を覚えてしまったが、そうだった。
「私は……人間でしたね……」
「あぁ?なに、当たり前なこと言ってンだ?」
「いえ……。それで、今からなにを買いに行くんですか?」
一瞬フラッシュバックした過去に受けた仕打ちを振り払うように、オヤジさんに問いかけると「治崎と玄野の防寒具買いに行くんだよ」と言われた。
「いいんですか?!私のお節介な発案ですし、オヤジさんが付き合ってくれなくても……」
あわあわする私の頭を撫で、「いいんだよ。俺も心配になった、それだけだ」とだけ言い、車に乗り込んだ。
はぁ、どうしよう。
この場所は居心地がよすぎて、調子が狂ってしまう。
私は極力関わるなと言われているので、治崎さんと玄野さんが出かける時に見送る事ができない。
だから、今日二人が寒そうにしていたかどうかもわからない。
そして、随分前からどこを探しても二人の手袋とマフラーが見当たらないのだ。
もしや奴ら、防寒着の類いを所有していないのでは……?という疑惑がうまれたので、私が任された区分であるトイレ、風呂場、台所。それから洗濯を終わらせ、オヤジさんに聞き込みをすると苦笑された。
「治崎たちの部屋でも漁ったのか?」
「いやーまー……はい」
正直に答えれば「他人の部屋を勝手に漁るンじゃねェよ」と、ちょっと本気で怒られてしまった。
そうだよね、プライバシーってものは尊重しないといけませんね。
すみませんでした。
「あの、でも、最近寒くなり始めましたし、しっかり温かくしないと風邪ひいちゃわないか心配で……」
「おめェはお人好しだな。あんだけ警戒されて冷たくあたられてるってのに、風邪の心配してやってんのか」
呆れながらも嬉しそうなオヤジさんに、「いやぁ、そうは言っても根はいい子たちですよ」と言えば、オヤジさんは「そう見えるか?」と自慢の息子たちが褒められた事が嬉しかったのか、表情が緩んだ。
「そりゃ、この見た目ですけど色んな人を見てきましたからね~。わかりますよ。あの子たちはいい子です。危険かも知れないとわかっていながら、少しの同情心が殺しきれていない。今までなら、話すら信じてもらえずに今頃、私は死んでいましたから。話を聞いて追い出さないだけでも十分、私から見れば優しい、いい子です」
社会の基準がどうかは知りませんが、と付け加えてからオヤジさんを見れば、喉で笑い嬉しそうに「ありがとうな、鹿乃子」とお礼を言われた。
お礼を言われるような事は言っていないが「どーいたしまして」とだけ返す。
「それで、話は戻って手袋とマフラーなんですけど……」
「あぁ、そうだったな。そういやぁ、あいつらが手袋だマフラーだなんてもんしてるの、小学校くらいから見てねェな」
「やはり~。どうしよう……ニュースで今年の冬は去年より寒いらしいし……でも私からだなんて言ったら絶対につけないだろうし……そもそも男の人がつけるデザインもよくわからないし……」
ぶつぶつと思索に入った私に、オヤジさんが「今から出られるか?」と唐突に話題を振ってきたので、一瞬言葉につまるも「はい、特に用事はありませんので」と返答すれば、椅子から立ち上がり「買いもンに行くぞ、鹿乃子。付き合え」とだけ言って一人さっさと部屋を出てしまう。
亭主関白だぁ、懐かしい……。
序でに夕飯の買い出しにも済ませられるように財布やエコバッグなんかも、治崎さんが買ってくれたお高い大きめのお洒落な鞄につめ玄関で待つオヤジさんへと駆け寄る。
たぶん、治崎さんに知られたら「オヤジと出かけた……?なにが目的だ……」て、滅茶苦茶キレられる気がする。
「そういやぁ、鹿乃子。おめェ、家から離れられないンじゃなかったのか?」
玄関を出る前に、オヤジさんから尋ねられた。
「あれ?玄野さんの資料に書いてませんでした?半径2キロ以内に家人がいれば、行動可能なんですよ。ほら、座敷童子(半分)ですから」
「情報量が多すぎて、見過ごしたかもな……。最近、どうも目が霞んでいけねェ……」
「そいつはいけませんね……まだ若いのに……。目の疲れに効く目薬でも買っていきますか?」
「バカ言え、もう若かねェよ」
からからと笑うオヤジさんに「気持ちが年老いたと思わなければ、人間はいつだって若者ですよ」と私が否定をすれば、くつくつと笑いながら「俺より長く生きてる人間の言葉だと、説得力がちげェな」と言われた。
“人間”と言われた事に違和感を覚えてしまったが、そうだった。
「私は……人間でしたね……」
「あぁ?なに、当たり前なこと言ってンだ?」
「いえ……。それで、今からなにを買いに行くんですか?」
一瞬フラッシュバックした過去に受けた仕打ちを振り払うように、オヤジさんに問いかけると「治崎と玄野の防寒具買いに行くんだよ」と言われた。
「いいんですか?!私のお節介な発案ですし、オヤジさんが付き合ってくれなくても……」
あわあわする私の頭を撫で、「いいんだよ。俺も心配になった、それだけだ」とだけ言い、車に乗り込んだ。
はぁ、どうしよう。
この場所は居心地がよすぎて、調子が狂ってしまう。