怪怪
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結局、あいつの口調はオヤジの「やめろ。似合わねェよ」の一言であのチャラけた口調へと戻った。
けれども、俺の「関わるな」という言い付けは守っているのか食事が必要かどうかの確認以外、接触してこない。
今日は玄野から、あいつについての報告をオヤジと一緒に受ける予定となっている。
「音本同席のもと、個性や経歴について色々と聞き出しやしたが中々長くなるので書面にまとめやした」
まとめられた資料に目を通して真っ先に出たのは「厄ネタじゃねェか」だった。
あいつを殺したらこっちまで死ぬ上、あいつは蘇生復活するので死に損。
この家を離れれば厄災が襲うのに、幸福はそこそこって……。
「変身能力に姿を消す……。随分と色んな個性が混じってんな……」
「はい。ハイブリッド、突然変異、個性因子が強いなど理由は様々考えられやすが、バラして研究してみないと分かりやせん。けど、万が一死んだらこっちに被害がきやす」
「オヤジ、今のうちに叩き出した方がいいんじゃないか?」
俺の言葉にオヤジは唸りながら「だが、鹿乃子自身がこっちに見切りをつけなきゃ家から離れられねェみてェだしな……」と言うので、只でさえ痛む頭が更に痛くなる。
こっちが手出ししなきゃ、確かに何の問題もないかも知れないが何かあってからは遅いんだ。
頭を悩ませながら「いっそ、座敷童子らしく部屋の奥にでも監禁しとくか……」と一人言の様に呟くと、即座に玄野が「あ、それダメですね」と却下した。
「何かあンのか?」
「どうも彼女、奥座敷とか日の当たらない寒い部屋にいい思い出がないみたいで『もしそれをやろうものなら、問答無用でこの組を潰します!』と笑顔で言ってやした」
「疫病神か……」
げんなりしながら頭を垂れれば、黙々と資料を読んでいたオヤジが「まぁ、どの道追い出すつもりは毛頭ねェよ」と言うので、正気か?という視線を思わず向けてしまった。
俺の視線を気にする事なく、オヤジは「鹿乃子と飲んだ時な……」とあいつが来た日の夜の話をしだす。
「本人は酔ってる時の記憶はとぶタイプみたいでな。覚えてないみたいだが、酔ってる間ずっと『寂しい』『ずっと居てもいい場所がほしい』てべそべそ泣いてたんだよ」
「……」
「治崎、お前にも覚えがあンだろ。そういう感情に……」
無いと言えば、確かに嘘になる。
オヤジに拾われてから、そういった感情は殆ど無くなった。
理解できない訳ではない。
それでも、それとこれとは話が別だと自分に言い聞かせるも資料に並ぶ殺された回数を見……。
「多すぎるだろ」
何回殺されてるんだ、あの女。
他殺方法網羅しすぎだろ。
しかも、大概痴情のもつれじゃねェか。
「本人曰く『よく分からない内に何か巻き込まれて死んでる』そうです。彼女自体、巻き込まれ体質な不運系女子らしいですね」
「五百年も生きてたら上手く立ち回れるだろうが……!」
だがしかし、内容があまりにも理不尽過ぎて流石にこれは同情を禁じ得ない……。
「治崎、警戒するのは悪い事じゃねェ。おめェが組を心配してンのは分かる。だが、こんな女をまた一人にして世間に放り出すのは夢見が悪いだろ」
悩みに悩んだ末、結局は俺が折れるはめになる。
「分かった。だが、何かあった時の対処は俺に任せてもらう」
「私も協力しやす」
「あぁ、任せる。ンじゃぁ、暫く鹿乃子の世話はおめェらに任せら」
「……は?」
「……はい?」
豪快に笑いながら「仲良くしろよ」と言うオヤジに、はめられたと確信した。
「せめて、何か弱点はないのか?」
俺の問いに玄野が「弱点かどうかは分かりやせんが、彼女……」まで言った所で、話に上がっている女の悲鳴と人が倒れる音がした。
急いで音のした場所まで行くと、例の女が顔を青くして気絶しており、その周りを組の連中が困惑した表情で取り巻いている。
「何があった」
オヤジの言葉に真っ先に反応したのは人形に入った入中であった。
「わ、分かりやせん!最近入った女が挨拶に来ないんで注意しに来たら、突然悲鳴をあげて倒れたんです!」
おろおろとした様子で、早口で説明する入中に合点がいった玄野が「なるほど」と手を打った。
「彼女、幽霊とかお化けとか妖怪の類いがダメらしいんですよ。本部長をそれと間違えたんでしょうね」
玄野の説明に「お前も妖怪みたいなもんだろ……」とほとほと呆れてしまった。
けれども、俺の「関わるな」という言い付けは守っているのか食事が必要かどうかの確認以外、接触してこない。
今日は玄野から、あいつについての報告をオヤジと一緒に受ける予定となっている。
「音本同席のもと、個性や経歴について色々と聞き出しやしたが中々長くなるので書面にまとめやした」
まとめられた資料に目を通して真っ先に出たのは「厄ネタじゃねェか」だった。
あいつを殺したらこっちまで死ぬ上、あいつは蘇生復活するので死に損。
この家を離れれば厄災が襲うのに、幸福はそこそこって……。
「変身能力に姿を消す……。随分と色んな個性が混じってんな……」
「はい。ハイブリッド、突然変異、個性因子が強いなど理由は様々考えられやすが、バラして研究してみないと分かりやせん。けど、万が一死んだらこっちに被害がきやす」
「オヤジ、今のうちに叩き出した方がいいんじゃないか?」
俺の言葉にオヤジは唸りながら「だが、鹿乃子自身がこっちに見切りをつけなきゃ家から離れられねェみてェだしな……」と言うので、只でさえ痛む頭が更に痛くなる。
こっちが手出ししなきゃ、確かに何の問題もないかも知れないが何かあってからは遅いんだ。
頭を悩ませながら「いっそ、座敷童子らしく部屋の奥にでも監禁しとくか……」と一人言の様に呟くと、即座に玄野が「あ、それダメですね」と却下した。
「何かあンのか?」
「どうも彼女、奥座敷とか日の当たらない寒い部屋にいい思い出がないみたいで『もしそれをやろうものなら、問答無用でこの組を潰します!』と笑顔で言ってやした」
「疫病神か……」
げんなりしながら頭を垂れれば、黙々と資料を読んでいたオヤジが「まぁ、どの道追い出すつもりは毛頭ねェよ」と言うので、正気か?という視線を思わず向けてしまった。
俺の視線を気にする事なく、オヤジは「鹿乃子と飲んだ時な……」とあいつが来た日の夜の話をしだす。
「本人は酔ってる時の記憶はとぶタイプみたいでな。覚えてないみたいだが、酔ってる間ずっと『寂しい』『ずっと居てもいい場所がほしい』てべそべそ泣いてたんだよ」
「……」
「治崎、お前にも覚えがあンだろ。そういう感情に……」
無いと言えば、確かに嘘になる。
オヤジに拾われてから、そういった感情は殆ど無くなった。
理解できない訳ではない。
それでも、それとこれとは話が別だと自分に言い聞かせるも資料に並ぶ殺された回数を見……。
「多すぎるだろ」
何回殺されてるんだ、あの女。
他殺方法網羅しすぎだろ。
しかも、大概痴情のもつれじゃねェか。
「本人曰く『よく分からない内に何か巻き込まれて死んでる』そうです。彼女自体、巻き込まれ体質な不運系女子らしいですね」
「五百年も生きてたら上手く立ち回れるだろうが……!」
だがしかし、内容があまりにも理不尽過ぎて流石にこれは同情を禁じ得ない……。
「治崎、警戒するのは悪い事じゃねェ。おめェが組を心配してンのは分かる。だが、こんな女をまた一人にして世間に放り出すのは夢見が悪いだろ」
悩みに悩んだ末、結局は俺が折れるはめになる。
「分かった。だが、何かあった時の対処は俺に任せてもらう」
「私も協力しやす」
「あぁ、任せる。ンじゃぁ、暫く鹿乃子の世話はおめェらに任せら」
「……は?」
「……はい?」
豪快に笑いながら「仲良くしろよ」と言うオヤジに、はめられたと確信した。
「せめて、何か弱点はないのか?」
俺の問いに玄野が「弱点かどうかは分かりやせんが、彼女……」まで言った所で、話に上がっている女の悲鳴と人が倒れる音がした。
急いで音のした場所まで行くと、例の女が顔を青くして気絶しており、その周りを組の連中が困惑した表情で取り巻いている。
「何があった」
オヤジの言葉に真っ先に反応したのは人形に入った入中であった。
「わ、分かりやせん!最近入った女が挨拶に来ないんで注意しに来たら、突然悲鳴をあげて倒れたんです!」
おろおろとした様子で、早口で説明する入中に合点がいった玄野が「なるほど」と手を打った。
「彼女、幽霊とかお化けとか妖怪の類いがダメらしいんですよ。本部長をそれと間違えたんでしょうね」
玄野の説明に「お前も妖怪みたいなもんだろ……」とほとほと呆れてしまった。