恋を教えてくれたあなたへ
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昨日の事を悪いと思っていないわけではない。
さすがの私でも、人をへこまして罪悪感を感じない程人間性は欠落していないので。
あそこで突き放さなければ面倒事になるとは長年の経験で理解はしているものの、やはり良心の呵責を感じる。
相手がいい人であれば尚更。
けれども、まあ、あそこまで言えば私に関わろうとはしないだろう。と思っていたのに、だ。あのメンタル強男を少しなめていたな。
昼休み、教室に押しかけて来たなにがしさんから速歩で逃げているのだが、ヒーロー科なだけあり余裕で横につかれている。
「何なんですか。関わらないでくださいって言ったじゃないですか」
「そうなんだけどさ。自分でも笑っちゃうくらい、俺ってばお節介なんだよ」
「でしょうね」
「でさ、あのあと香山先輩に俺なんかしちゃったかな?て相談しに行ったら、キミの個性の話聞いたんだよ」
睡ちゃん……!と、幼馴染に何故教えたしと念を飛ばしながら勢いのまま食堂に入り、食券の列に並べばまあ、当然だが隣に立たれめっちゃ話しかけてくる。
眉間に寄った皺を指で揉み解しながら「それで?聞いたからなんだって言うんですか」とぶっきらぼうに尋ねれば、満面の笑みで「恋、しよ!」と少女漫画の帯コメントの様なセリフを言った。
「……は?」
「だってさ!その個性の所為でちゃんとした恋、した事ないんだろ?」
「まあ、そうですね……」
「じゃあ、しようよ!恋!」
あー、んー?全く、話の流れが掴み切れないのは私に責任があるのかな?それとも、彼にあるのかな?
ぎゅっと眉間にまたも皺が寄ると、なにがしさんは軽く私の眉間を押し「そんな難しい顔すんなって」と言うがしたくもなるだろ。
「はぁ……。聞きますが、私が恋するのとあなたがそれに協力する事にどういう因果関係があるんですか?」
「んー?なんでだろうな?お節介だからじゃない?」
楽天的に紡がれる彼の言葉に、更に眉間の皺が増える。
それを伸ばそうと、ぐりぐりと私の眉間を押す彼の指を掴み「それも私の個性の所為なんですよ」と言えば、きょとんとした表情をされる。
「女友達の恋を応援していたら好きになっていた。よくあるパターンです。過去に数度、そのパターンにはお目にかかって痛い目見てるんですよ。それが嫌だから“関わるな”て言ってるんです。余計なお世話っていうの知ってますか」
自分でも引くくらいの低い声で言い捨てたあとに、こんな私情を会って間もない人間にぶつけてどうする、冷静になれ、と言い聞かせて彼の指から手をはなそうとしたら逆に手をとられた。
「そうやって、人を疑って敵視して怯えながら生きて行くの?」
さっきまでのヒマワリの様な笑顔が一変、冷え冷えとした表情で見つめてくる彼に思わず怯んでしまう。
「俺はずっと見て来たわけじゃないけどさ、恋って結局は傷つくもんだろ。それなら、怖がらないで努力しようぜ」
「けど……個性で好きになってもらっても私の事を好きってわけじゃないですか……。そんなので好きになってもらっても……」
「個性上等じゃないか。フラグってのは、結局は切っ掛けだろ。個性でできた切っ掛けでもいいって思える相手がいなかった。それだけだって」
「……」
「それにさ、ちゃんと人が好きになれれば個性発動しても“好きな人がいるんで”て言えるじゃん?」
だからさ、人の事好きになろうよ?
春の陽だまりの様な優しい笑みを向けてくる彼の言葉に、少し、がんばってみようかと思ってしまう。
「でも、あなたがさっき言った様な事にならないとは限らないじゃないですか……。あなたが協力してくれる間はいいですが、面倒事は嫌ですよ」
私の言葉に、彼は「やる気になった?」と聞いて来るので、指と指を少しあけて「少しだけです」と言えばにかっと笑い「よかった」と言う。
「そうだな……。もし、俺がキミの事を好きになったら、今度こそ関わらない!そういう約束でどう?」
「絶対ですからね」
「うん、うん。約束。じゃ、初恋計画始動って事で自己紹介しようか。どうせ、また名前忘れてるだろ?」
「はい、あたりです」
「山田ひざしだ。今度こそ、覚えてくれよな」
「旗館歌恋です」
「これからよろしく、旗館さん」
「よろしくお願い致します。でも、たぶん暫く覚えられないので名札下げてもらってもいいですか?」
「シヴィー!覚えてってば!」
さすがの私でも、人をへこまして罪悪感を感じない程人間性は欠落していないので。
あそこで突き放さなければ面倒事になるとは長年の経験で理解はしているものの、やはり良心の呵責を感じる。
相手がいい人であれば尚更。
けれども、まあ、あそこまで言えば私に関わろうとはしないだろう。と思っていたのに、だ。あのメンタル強男を少しなめていたな。
昼休み、教室に押しかけて来たなにがしさんから速歩で逃げているのだが、ヒーロー科なだけあり余裕で横につかれている。
「何なんですか。関わらないでくださいって言ったじゃないですか」
「そうなんだけどさ。自分でも笑っちゃうくらい、俺ってばお節介なんだよ」
「でしょうね」
「でさ、あのあと香山先輩に俺なんかしちゃったかな?て相談しに行ったら、キミの個性の話聞いたんだよ」
睡ちゃん……!と、幼馴染に何故教えたしと念を飛ばしながら勢いのまま食堂に入り、食券の列に並べばまあ、当然だが隣に立たれめっちゃ話しかけてくる。
眉間に寄った皺を指で揉み解しながら「それで?聞いたからなんだって言うんですか」とぶっきらぼうに尋ねれば、満面の笑みで「恋、しよ!」と少女漫画の帯コメントの様なセリフを言った。
「……は?」
「だってさ!その個性の所為でちゃんとした恋、した事ないんだろ?」
「まあ、そうですね……」
「じゃあ、しようよ!恋!」
あー、んー?全く、話の流れが掴み切れないのは私に責任があるのかな?それとも、彼にあるのかな?
ぎゅっと眉間にまたも皺が寄ると、なにがしさんは軽く私の眉間を押し「そんな難しい顔すんなって」と言うがしたくもなるだろ。
「はぁ……。聞きますが、私が恋するのとあなたがそれに協力する事にどういう因果関係があるんですか?」
「んー?なんでだろうな?お節介だからじゃない?」
楽天的に紡がれる彼の言葉に、更に眉間の皺が増える。
それを伸ばそうと、ぐりぐりと私の眉間を押す彼の指を掴み「それも私の個性の所為なんですよ」と言えば、きょとんとした表情をされる。
「女友達の恋を応援していたら好きになっていた。よくあるパターンです。過去に数度、そのパターンにはお目にかかって痛い目見てるんですよ。それが嫌だから“関わるな”て言ってるんです。余計なお世話っていうの知ってますか」
自分でも引くくらいの低い声で言い捨てたあとに、こんな私情を会って間もない人間にぶつけてどうする、冷静になれ、と言い聞かせて彼の指から手をはなそうとしたら逆に手をとられた。
「そうやって、人を疑って敵視して怯えながら生きて行くの?」
さっきまでのヒマワリの様な笑顔が一変、冷え冷えとした表情で見つめてくる彼に思わず怯んでしまう。
「俺はずっと見て来たわけじゃないけどさ、恋って結局は傷つくもんだろ。それなら、怖がらないで努力しようぜ」
「けど……個性で好きになってもらっても私の事を好きってわけじゃないですか……。そんなので好きになってもらっても……」
「個性上等じゃないか。フラグってのは、結局は切っ掛けだろ。個性でできた切っ掛けでもいいって思える相手がいなかった。それだけだって」
「……」
「それにさ、ちゃんと人が好きになれれば個性発動しても“好きな人がいるんで”て言えるじゃん?」
だからさ、人の事好きになろうよ?
春の陽だまりの様な優しい笑みを向けてくる彼の言葉に、少し、がんばってみようかと思ってしまう。
「でも、あなたがさっき言った様な事にならないとは限らないじゃないですか……。あなたが協力してくれる間はいいですが、面倒事は嫌ですよ」
私の言葉に、彼は「やる気になった?」と聞いて来るので、指と指を少しあけて「少しだけです」と言えばにかっと笑い「よかった」と言う。
「そうだな……。もし、俺がキミの事を好きになったら、今度こそ関わらない!そういう約束でどう?」
「絶対ですからね」
「うん、うん。約束。じゃ、初恋計画始動って事で自己紹介しようか。どうせ、また名前忘れてるだろ?」
「はい、あたりです」
「山田ひざしだ。今度こそ、覚えてくれよな」
「旗館歌恋です」
「これからよろしく、旗館さん」
「よろしくお願い致します。でも、たぶん暫く覚えられないので名札下げてもらってもいいですか?」
「シヴィー!覚えてってば!」