魔法少女はかく語りき
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答えを考えすぎて寝不足気味な目を擦りリビングに行くと、母さんが「今日は学校に行ってね~」と言うから一気に覚醒した。
「な、なんで?!まだ職場体験中だよ?!」
「なんで、て言われても~。イレイザーさんに昨日のこと相談したら、学校に来るように伝えてくださいって言うから~」
ほんわか言っているが、昨日の指示を無視したことや失態が相澤先生の耳に入った事実に悲鳴をあげそうだよ!
いや、そんな、まずい!確実に除籍コースだ!
ガクガクと震えながら「た、体調悪いからお休みしたいな」と伝えるも、「母さんは構わないけど~、イレイザーさんはなんて言うかしら~」と酷い脅し文句を出された。
除籍されてぇのか、ですね。
憂鬱な気持ちで登校すると、開口一番「除籍されてぇのか」で泣きそうになった。
「すみません~。調子乗りました~」
「たくっ……。怪我がなかったからいいが、お前はまだ現場指揮に従わないとならないひよっ子以下なんだからな」
「はい、ごめんなさい~」
「今日は反省文書いたあとに面談だ」
ばさっ、と渡された原稿用紙の束に笑顔が引きつったが、それだけ危険なことをしたのだと実感した。
教室の戸を開ければ、当たり前だが誰一人いない、普段では想像できないほどの静けさが広がっている。
窓を開け、自分の席に着き原稿用紙と向き合うも、頭の中にあるのは、昨日投げ掛けられた悲痛な叫びへの返答ばかり。
犯罪に手を染める理由にはならない?貴方でも世界は受け入れてくれる?
違う、そんなんじゃない。
そんな綺麗事で彼は救えない。
私が持ち合わせている言葉では、彼は同じ結末を迎えてしまう。
いけない、と気分を変えようと顔をあげたら前の席に相澤先生が座っていて、椅子から転がり落ちるかと思った。
「一文字も進んでいないようだが?」
「あ~。えっと~」
しどろもどろな私に、相澤先生はため息を吐き「先に面談するか」と言って私からペンと原稿用紙を取り上げる。
「リリルさんから話は聞いてる。敵と交戦したんだろ」
「交戦、というほどのことはしていません。ただ、言葉を……交わしました」
「どんな」
「なりたくて敵になったんじゃない。助けてくれ、ヒーロー。……そう言われました」
その時、私はなにも言えませんでした。
なにを言っても、私の言葉は救いにならないと感じたから。
彼は自殺未遂をするくらい追い詰められていたのに、私は……。
「ヒーローである私は、彼のことを助けられませんでした。相澤先生は、こういう時になんて声をかけますか」
私の質問に、相澤先生は「まず耳を貸さない」とはね付けた。
目を丸くする私に、相澤先生は「俺たちヒーローは敵を捕まえ、一般市民を守るのが仕事だ」と言うが、そんなのは納得できない。
「そんな!だって、あの人は自分の個性に苦しめられて、周りからも後ろ指さされて!そんな人は救わなくていいんですか!」
「だからって、犯罪に手を染めていい理由にはならない」
「そんな……」
「いいか、川利。俺たちヒーローにも、救える範囲って物がある。俺たちはどんなに頑張っても、一般市民を守るので精一杯なんだ。その一般市民だって、全て救えるわけじゃない。それは、わかるな?」
「はい……」
「だから、まずはただのヒーローになれ。そこから、敵も救えるヒーローを目指すんだ」
相澤先生の意外な言葉に俯いていた顔をあげれば、穏やかな顔で「お前の悩みは間違っていないよ」と肯定された。
「敵は悪いから捕まえる、で終わらないで敵も救いたいと思える優しさは美点だ」
「ありがとうございます」
「ただ、敵が誰も彼も救いようのあるやつらばかりじゃない。どうしようもない悪党や、根っからの敵だっている。そいつらまで救う必要はないからな」
「わかっています」
「敵の更生支援なんて、世間からはバッシングされるかも知れない。それでも、お前は救える敵は救いたいのか?」
敢えて困難な道であると指し示しているのは、私を諦めさせる為ではなく、私がなんと答えるかわかっている上での最終確認のため。
私はいつもの笑顔で「私は敵だって救います!プルスウルトラです!」と答えた。
それを見て、相澤先生は「がんばれよ、ひよっ子」と静かに微笑む。
「そんじゃ、悩みもなくなったなら反省文さっさと書いて、明日からまた職場体験がんばりなさい」
「は~い!」
「伸ばすな」
ぺしっ、と軽く私の頭を叩いてから教室から出ていこうとしたから、慌てて立ち上がり「相澤先生!」と呼び止める。
扉の前で振り返った先生に、「私、担任の先生が相澤先生でよかったです!また、相談してもいいですか!」と聞けば、小さく笑い「ありがとう。いつでも来い」と言い、手をヒラヒラ振って今度こそ教室から出ていった。
よーし!絶対に、敵と後ろ指さされて苦しんでいる人も助けられるヒーローになるぞ!
まずは反省文を片付けて、職場体験復帰だ!と、意気込んで反省文を提出したら、「反省文と将来設計と目標、課題になってんぞ」と呆れられた。
「目標が明確になったら、燃えてきちゃいまして~」
「まぁ、悪くない。今回は熱意に免じて許すよ」
「わ~い、相澤先生大好き~!」
「明日からは、リリルさんの指示に従うんだぞ」
「はい~!もちろんです~!」
目指すべき道が見えた。
きっとそれは茨の道。
敵側からもヒーロー側からも、市民からも嫌な顔をされるだろう。
でも私は、敵であっても助けてくれと叫ぶ人たちを見捨てるヒーローにはなりたくないんだ!
「新生シーカちゃん、誕生だ~!」
ここから私のヒーロー道は始まったと言って過言ではない。
「な、なんで?!まだ職場体験中だよ?!」
「なんで、て言われても~。イレイザーさんに昨日のこと相談したら、学校に来るように伝えてくださいって言うから~」
ほんわか言っているが、昨日の指示を無視したことや失態が相澤先生の耳に入った事実に悲鳴をあげそうだよ!
いや、そんな、まずい!確実に除籍コースだ!
ガクガクと震えながら「た、体調悪いからお休みしたいな」と伝えるも、「母さんは構わないけど~、イレイザーさんはなんて言うかしら~」と酷い脅し文句を出された。
除籍されてぇのか、ですね。
憂鬱な気持ちで登校すると、開口一番「除籍されてぇのか」で泣きそうになった。
「すみません~。調子乗りました~」
「たくっ……。怪我がなかったからいいが、お前はまだ現場指揮に従わないとならないひよっ子以下なんだからな」
「はい、ごめんなさい~」
「今日は反省文書いたあとに面談だ」
ばさっ、と渡された原稿用紙の束に笑顔が引きつったが、それだけ危険なことをしたのだと実感した。
教室の戸を開ければ、当たり前だが誰一人いない、普段では想像できないほどの静けさが広がっている。
窓を開け、自分の席に着き原稿用紙と向き合うも、頭の中にあるのは、昨日投げ掛けられた悲痛な叫びへの返答ばかり。
犯罪に手を染める理由にはならない?貴方でも世界は受け入れてくれる?
違う、そんなんじゃない。
そんな綺麗事で彼は救えない。
私が持ち合わせている言葉では、彼は同じ結末を迎えてしまう。
いけない、と気分を変えようと顔をあげたら前の席に相澤先生が座っていて、椅子から転がり落ちるかと思った。
「一文字も進んでいないようだが?」
「あ~。えっと~」
しどろもどろな私に、相澤先生はため息を吐き「先に面談するか」と言って私からペンと原稿用紙を取り上げる。
「リリルさんから話は聞いてる。敵と交戦したんだろ」
「交戦、というほどのことはしていません。ただ、言葉を……交わしました」
「どんな」
「なりたくて敵になったんじゃない。助けてくれ、ヒーロー。……そう言われました」
その時、私はなにも言えませんでした。
なにを言っても、私の言葉は救いにならないと感じたから。
彼は自殺未遂をするくらい追い詰められていたのに、私は……。
「ヒーローである私は、彼のことを助けられませんでした。相澤先生は、こういう時になんて声をかけますか」
私の質問に、相澤先生は「まず耳を貸さない」とはね付けた。
目を丸くする私に、相澤先生は「俺たちヒーローは敵を捕まえ、一般市民を守るのが仕事だ」と言うが、そんなのは納得できない。
「そんな!だって、あの人は自分の個性に苦しめられて、周りからも後ろ指さされて!そんな人は救わなくていいんですか!」
「だからって、犯罪に手を染めていい理由にはならない」
「そんな……」
「いいか、川利。俺たちヒーローにも、救える範囲って物がある。俺たちはどんなに頑張っても、一般市民を守るので精一杯なんだ。その一般市民だって、全て救えるわけじゃない。それは、わかるな?」
「はい……」
「だから、まずはただのヒーローになれ。そこから、敵も救えるヒーローを目指すんだ」
相澤先生の意外な言葉に俯いていた顔をあげれば、穏やかな顔で「お前の悩みは間違っていないよ」と肯定された。
「敵は悪いから捕まえる、で終わらないで敵も救いたいと思える優しさは美点だ」
「ありがとうございます」
「ただ、敵が誰も彼も救いようのあるやつらばかりじゃない。どうしようもない悪党や、根っからの敵だっている。そいつらまで救う必要はないからな」
「わかっています」
「敵の更生支援なんて、世間からはバッシングされるかも知れない。それでも、お前は救える敵は救いたいのか?」
敢えて困難な道であると指し示しているのは、私を諦めさせる為ではなく、私がなんと答えるかわかっている上での最終確認のため。
私はいつもの笑顔で「私は敵だって救います!プルスウルトラです!」と答えた。
それを見て、相澤先生は「がんばれよ、ひよっ子」と静かに微笑む。
「そんじゃ、悩みもなくなったなら反省文さっさと書いて、明日からまた職場体験がんばりなさい」
「は~い!」
「伸ばすな」
ぺしっ、と軽く私の頭を叩いてから教室から出ていこうとしたから、慌てて立ち上がり「相澤先生!」と呼び止める。
扉の前で振り返った先生に、「私、担任の先生が相澤先生でよかったです!また、相談してもいいですか!」と聞けば、小さく笑い「ありがとう。いつでも来い」と言い、手をヒラヒラ振って今度こそ教室から出ていった。
よーし!絶対に、敵と後ろ指さされて苦しんでいる人も助けられるヒーローになるぞ!
まずは反省文を片付けて、職場体験復帰だ!と、意気込んで反省文を提出したら、「反省文と将来設計と目標、課題になってんぞ」と呆れられた。
「目標が明確になったら、燃えてきちゃいまして~」
「まぁ、悪くない。今回は熱意に免じて許すよ」
「わ~い、相澤先生大好き~!」
「明日からは、リリルさんの指示に従うんだぞ」
「はい~!もちろんです~!」
目指すべき道が見えた。
きっとそれは茨の道。
敵側からもヒーロー側からも、市民からも嫌な顔をされるだろう。
でも私は、敵であっても助けてくれと叫ぶ人たちを見捨てるヒーローにはなりたくないんだ!
「新生シーカちゃん、誕生だ~!」
ここから私のヒーロー道は始まったと言って過言ではない。