魔法少女はかく語りき
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「焦凍くん、今日はなにした?」
『パトロールと訓練』
「やっぱり?まあ、そうそう事件なんて起こらないよね」
『平和なのが一番だからいいんだけどな』
それもそうなのだが、このままパトロールと訓練で終わってしまうのはやはりもったいないと、不謹慎ながら思ってしまう。
なにか、ヒーローらしい事件に関わってみたいとは口にはしないが、ヒーローを志す者としてはしかたがないよねぇ。
焦凍くんとの電話を終わらせ、翌日もリリルについてパトロールしていたら、その日はカマキリのような窃盗犯が往来を逃げ回っていた。
心踊る!と不謹慎にも考え、リリルの制止を振り切って追いかければひとつの廃ビルへと逃げ込むのを確認し、リリルに場所をメールしてから到着を待たずに乗り込んだ。
大丈夫、部分変身も覚えて持続時間は延びている。
足音を消し、気配を探り物音に耳をすませば、階段を上る音と荒い息継ぎ。
その音を追いかければ、行き着いたのは定番の屋上。
捕まえるぞ、と鼻息荒く部分変身をして屋上への扉を開ければ、犯人がキョロキョロと視線をさ迷わせながらこちらを警戒していた。
「こっちにくんじゃねぇ!」
「犯罪はよくないよ~!罪を認めて反省しなさい~!」
「うるせぇうるせぇうるせぇ!そんなのはな!否定されない個性の人間が言えることだろ!こんな見た目の所為でガキの頃から馬鹿にはされるしイジメられた!職にもまともに就けねえ!見た目で周りから誤解されて!そんな人間がまっとうに生きられると思ってんのか!」
まくしたてる犯人に圧倒され、「え、あの……」とたじろぐ私などお構いなしになおも犯人は世間への怨嗟を吐く。
「否定できないよな!わからないよな!そんな扱い受けたことないもんな!」
「あ、あの、とりあえず落ち着いて……」
「落ち着けるかよ!あぁ!あぁ!もう嫌だ!助けてくれよヒーロー!助けてくれないならせめて……終わりくらい邪魔しないでくれ」
元からそこの柵が脆くなっているのを知っていたのだろう。
勢いよく柵へと体当たりした犯人は、そのまま柵の向こうへと消えていった。
その時私はまったく動けず、気がつけばその場に座り込んでいた。
見殺しにしたという事実に頭が真っ白になっている私に、上空から「なに呆けてるんですか」と声がかかった。
空をあおげば、月を背にホウキに落ちた犯人を乗せた完全変身リリルが飛んでいた。
静かに私の前に降り立ち、変身を解き「簡易捕縛布を貸しなさい」と言いながらまだ呆然とする私から捕縛布を奪い手早く気絶している犯人を縛り上げた。
「リリル……あの……」
「この馬鹿娘が!」
平手された頬がじんわり痛むも、「そうだよな」という他人事な気分が抜けない。
「あなたはまだ学生の身です!私の指示なくなぜ動いたんですか!自分ならなんとかできるとでも思い上がったんですか!」
「はい……」
「愚かにもほどがあります!あなたが単独行動に出た結果、犯人を下手に追い詰め危うく死なせかけました!ここに来る途中で入った救援要請にも行けませんでした!経験値のないあなたが勝手に動けば私はあなたを優先的に守らないといけない理由がわかりますか!」
「私が……職場体験の生徒だから……」
「それもありますが、あなたはヒーローである前に私の……私の娘なんだよ~!心配したんだからぁ~!叩いてこめんなさい、心香~!」
抱き締められてもなんだか現実が戻ってこず、ぼんやりしている私に「どうかした~?」と聞かれ「私……動けなかった……」とこぼすと、落ち着きを取り戻したリリルは「初めてこんな体験したんだから、仕方ないですよ」と優しく頭を撫でてくれた。
「今後は私の指示に従ってください。いいですね」
「はい……」
「なにか、納得しない様子ですね?」
話してはくれますか?というリリルの問いかけに、話そうかどうか悩んでから「考えが……まとまらなくて……」と言えば、リリルも悩んだ顔をして「今日はもう帰りましょう」と言い事後処理をサイドキックに任せてリリルに子供のように手を引かれて家に帰っていた。
焦凍くんに電話、という気にもなれずメールで「体調が悪いから寝るね」と送ってからすぐに横になったが、頭の中を目まぐるしく駆け回るのはあの犯人の言葉。
『助けてくれよヒーロー!』
苦悩に満ちたあの言葉に、私はなにひとつ返す言葉がでてこなかった。
『パトロールと訓練』
「やっぱり?まあ、そうそう事件なんて起こらないよね」
『平和なのが一番だからいいんだけどな』
それもそうなのだが、このままパトロールと訓練で終わってしまうのはやはりもったいないと、不謹慎ながら思ってしまう。
なにか、ヒーローらしい事件に関わってみたいとは口にはしないが、ヒーローを志す者としてはしかたがないよねぇ。
焦凍くんとの電話を終わらせ、翌日もリリルについてパトロールしていたら、その日はカマキリのような窃盗犯が往来を逃げ回っていた。
心踊る!と不謹慎にも考え、リリルの制止を振り切って追いかければひとつの廃ビルへと逃げ込むのを確認し、リリルに場所をメールしてから到着を待たずに乗り込んだ。
大丈夫、部分変身も覚えて持続時間は延びている。
足音を消し、気配を探り物音に耳をすませば、階段を上る音と荒い息継ぎ。
その音を追いかければ、行き着いたのは定番の屋上。
捕まえるぞ、と鼻息荒く部分変身をして屋上への扉を開ければ、犯人がキョロキョロと視線をさ迷わせながらこちらを警戒していた。
「こっちにくんじゃねぇ!」
「犯罪はよくないよ~!罪を認めて反省しなさい~!」
「うるせぇうるせぇうるせぇ!そんなのはな!否定されない個性の人間が言えることだろ!こんな見た目の所為でガキの頃から馬鹿にはされるしイジメられた!職にもまともに就けねえ!見た目で周りから誤解されて!そんな人間がまっとうに生きられると思ってんのか!」
まくしたてる犯人に圧倒され、「え、あの……」とたじろぐ私などお構いなしになおも犯人は世間への怨嗟を吐く。
「否定できないよな!わからないよな!そんな扱い受けたことないもんな!」
「あ、あの、とりあえず落ち着いて……」
「落ち着けるかよ!あぁ!あぁ!もう嫌だ!助けてくれよヒーロー!助けてくれないならせめて……終わりくらい邪魔しないでくれ」
元からそこの柵が脆くなっているのを知っていたのだろう。
勢いよく柵へと体当たりした犯人は、そのまま柵の向こうへと消えていった。
その時私はまったく動けず、気がつけばその場に座り込んでいた。
見殺しにしたという事実に頭が真っ白になっている私に、上空から「なに呆けてるんですか」と声がかかった。
空をあおげば、月を背にホウキに落ちた犯人を乗せた完全変身リリルが飛んでいた。
静かに私の前に降り立ち、変身を解き「簡易捕縛布を貸しなさい」と言いながらまだ呆然とする私から捕縛布を奪い手早く気絶している犯人を縛り上げた。
「リリル……あの……」
「この馬鹿娘が!」
平手された頬がじんわり痛むも、「そうだよな」という他人事な気分が抜けない。
「あなたはまだ学生の身です!私の指示なくなぜ動いたんですか!自分ならなんとかできるとでも思い上がったんですか!」
「はい……」
「愚かにもほどがあります!あなたが単独行動に出た結果、犯人を下手に追い詰め危うく死なせかけました!ここに来る途中で入った救援要請にも行けませんでした!経験値のないあなたが勝手に動けば私はあなたを優先的に守らないといけない理由がわかりますか!」
「私が……職場体験の生徒だから……」
「それもありますが、あなたはヒーローである前に私の……私の娘なんだよ~!心配したんだからぁ~!叩いてこめんなさい、心香~!」
抱き締められてもなんだか現実が戻ってこず、ぼんやりしている私に「どうかした~?」と聞かれ「私……動けなかった……」とこぼすと、落ち着きを取り戻したリリルは「初めてこんな体験したんだから、仕方ないですよ」と優しく頭を撫でてくれた。
「今後は私の指示に従ってください。いいですね」
「はい……」
「なにか、納得しない様子ですね?」
話してはくれますか?というリリルの問いかけに、話そうかどうか悩んでから「考えが……まとまらなくて……」と言えば、リリルも悩んだ顔をして「今日はもう帰りましょう」と言い事後処理をサイドキックに任せてリリルに子供のように手を引かれて家に帰っていた。
焦凍くんに電話、という気にもなれずメールで「体調が悪いから寝るね」と送ってからすぐに横になったが、頭の中を目まぐるしく駆け回るのはあの犯人の言葉。
『助けてくれよヒーロー!』
苦悩に満ちたあの言葉に、私はなにひとつ返す言葉がでてこなかった。