魔法少女はかく語りき
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ソワソワと玄関で落ち着きなく焦凍君を待っていると、母さんが「そんなとこで待ち構えてたら、焦凍君もびっくりするわよ」と言われ、自室でソワソワと待っていたら下から「いらっしゃい、焦凍君」という声が聞こえた。
来た!と深呼吸をするも、軽い足取りで階段を上る音と一緒に心臓のバクバクも跳ね上がっていく。
ノックの音にビクリ、としながら「ど、どうぞ!」と我ながら大きな声で入室を許可してしまった。
「こんばんは」
一見、いつも通りの焦凍君に「こんばんは……」と緊張しながら返し、ローテーブルの向かいを勧める。
「あ、えっと、飲み物とってくるね!」
緊張感からの逃げの口実を口にしたが、直ぐ様「持ってきたわよ」と母さんが飲み物と高級煎餅を持って入ってくる。
机にそれらを置いて、さっさと出ていく母さんに、さすがはお見通しかとガックリきた。
わかった、わかったよ。
腹を括るよ。
「あの、こんな夜分に呼び出しちゃって、ごめんね?」
「いや、俺も話したいことがあったし」
「あぁ、体験の話?」
検討をつけて聞いたのだけれど、首を横に振られる。
じゃあ、なんだろう?
「えっと……じゃあ、先に私から話してもいい?」
「あぁ、その方がいいと思う」
「わかった。ごめんね、焦凍君。私、忘れちゃいけないことを忘れて、それを一番聞いたらいけない焦凍君に聞いて……傷付けたと思う。私、焦凍君の友だちだって言っておきながら知らないことばっかりだし、忘れて傷付けてばっかりで……本当に、ごめん……」
沈痛な面持ちで謝罪すれば、少しの沈黙のあとに「俺の方こそ、悪い」と謝られた。
「確かに電話で相談された時、心香にとって俺を笑わせたかったって気持ちは忘れられる内容だったんだ、て思ったらムカついた。けど、よく考えたら俺はお前になにも説明しないで、突き放してた。それなのに、勝手にムカついて、悪い」
「いや、そんな!私が悪いわけだし!」
「あと、これ言ったら気持ち悪いかも知れねぇけど、なかったことにしたかった、忘れたいくらい心香にとって当時の俺の態度がショックだったんだとか、それでも俺の隣にいてくれたんだとか、俺を頼ってくれたんだって思ったら……嬉しかった」
チラリと友人の垣間見てはならない歪みが見えた気がしなくもないが、結果として焦凍君が怒っていないことに安心してホッとした。
緊張も解け、漸く肩の力が抜けたら「やっといつもみたいになったな」と焦凍君が笑っていた。
「へ?」
「さっきからずっと、ガチガチだったしキャラ作りもできてなかった。悪い、怖がらせて」
「怖がってたんじゃなくて、友だち怒らせちゃって謝るんだからそりゃ緊張もするよ」
「そんなもんか?爆豪とかいっつもキレてるけど、誰も緊張してねぇけど」
「彼は別枠だよ」
そういうキャラクターというか、ネタというか。
「あとね、キャラ作りしてないのは、今はヒーロー目指してる卵としての私じゃなくて、轟焦凍君の友だちとして話したかったから作ってないだけ」
卵としての気持ちを保つため、余裕を持つ為の修行の一環としてキャラ作りはしているつもりだから、今はしてない。
なので、語尾も伸びないし本来の一般的な女の子として焦凍君と話しているのだ。
焦凍君は数秒考えてから「なんだかそれ、嬉しいな」と言った。
「できれば、俺相手の時はそうしてほしい」
「物凄い慌ただしくなりますが?!」
「じゃあ、二人の時だけとかはダメか?」
真摯な瞳でお願いされたらNoとは言えないし、まぁ、言うつもりもないので二つ返事で了承したら心底嬉しそうに微笑まれた。
「……そうやって、笑えるようにさせてあげられたのが私じゃないのが、悔しいなぁ」
ずっと燻っていた悔しさを吐露すれば、焦凍君は「どういうことだ?」と聞かれた。
「私は何年も側にいたのに、焦凍君のエンデヴァーさんへの復讐心を晴らしてあげられなかった……。親への復讐心なんて知らない自分の言葉は、きっと届かない、薄っぺらいって諦めてたから。緑谷くんは凄いね」
悔しさ半分、悲しさ半分とも言えよう気持ちを口にすると、向かいに座っていた焦凍君が隣に来て抱き締めてくれた。
なんで?
「あの、焦凍君?」
「お母さんが、俺が辛い時にこうしてくれたから」
「それは親子だから許されるから、誰にでもしたらダメですよ。お兄さん?……でも、ちょっとこうしてて。落ち着く」
「わかった。……心香は、緑谷が凄いって言ってたけどお前も凄いよ」
私は、なにも……。そう口にする前に、焦凍君は「心香が側にいたから、俺はヒーローを諦めなかった」と言う。
「親父への当て付けなら、なんでもよかった。敵になって、ザマーミロて言ってやってもよかった。それをしなかったのは、隣に心香がいて、心香がヒーローになるって言ったから。敵になったら、お前と戦わないといけないし、川利心香とヒーローになりたかった。俺がヒーローを諦めなかったのは、心香の存在があったからだ」
救われた、とでも言えばいいのか。
なにもしなかった私の存在を肯定してくれた焦凍君には、感謝しかない。
塞き止めきれなかった涙を流しながら「あり……がとう……」と、お礼が口をついてでた。
「俺の方こそ、ありがとう」
「ねぇ、焦凍君。私のヒーローになる為の第一課題『焦凍君を笑わせる』、続行してもいいかな?」
私のお願いに、焦凍君は真顔で「お前が側にいるだけで十分達成されてるぞ」とイケメン発言された。
それでも、継続目標にしたいんだ。
この先、また焦凍君が暗い気持ちに飲まれた時には今度こそ私が助け出す為にも。
来た!と深呼吸をするも、軽い足取りで階段を上る音と一緒に心臓のバクバクも跳ね上がっていく。
ノックの音にビクリ、としながら「ど、どうぞ!」と我ながら大きな声で入室を許可してしまった。
「こんばんは」
一見、いつも通りの焦凍君に「こんばんは……」と緊張しながら返し、ローテーブルの向かいを勧める。
「あ、えっと、飲み物とってくるね!」
緊張感からの逃げの口実を口にしたが、直ぐ様「持ってきたわよ」と母さんが飲み物と高級煎餅を持って入ってくる。
机にそれらを置いて、さっさと出ていく母さんに、さすがはお見通しかとガックリきた。
わかった、わかったよ。
腹を括るよ。
「あの、こんな夜分に呼び出しちゃって、ごめんね?」
「いや、俺も話したいことがあったし」
「あぁ、体験の話?」
検討をつけて聞いたのだけれど、首を横に振られる。
じゃあ、なんだろう?
「えっと……じゃあ、先に私から話してもいい?」
「あぁ、その方がいいと思う」
「わかった。ごめんね、焦凍君。私、忘れちゃいけないことを忘れて、それを一番聞いたらいけない焦凍君に聞いて……傷付けたと思う。私、焦凍君の友だちだって言っておきながら知らないことばっかりだし、忘れて傷付けてばっかりで……本当に、ごめん……」
沈痛な面持ちで謝罪すれば、少しの沈黙のあとに「俺の方こそ、悪い」と謝られた。
「確かに電話で相談された時、心香にとって俺を笑わせたかったって気持ちは忘れられる内容だったんだ、て思ったらムカついた。けど、よく考えたら俺はお前になにも説明しないで、突き放してた。それなのに、勝手にムカついて、悪い」
「いや、そんな!私が悪いわけだし!」
「あと、これ言ったら気持ち悪いかも知れねぇけど、なかったことにしたかった、忘れたいくらい心香にとって当時の俺の態度がショックだったんだとか、それでも俺の隣にいてくれたんだとか、俺を頼ってくれたんだって思ったら……嬉しかった」
チラリと友人の垣間見てはならない歪みが見えた気がしなくもないが、結果として焦凍君が怒っていないことに安心してホッとした。
緊張も解け、漸く肩の力が抜けたら「やっといつもみたいになったな」と焦凍君が笑っていた。
「へ?」
「さっきからずっと、ガチガチだったしキャラ作りもできてなかった。悪い、怖がらせて」
「怖がってたんじゃなくて、友だち怒らせちゃって謝るんだからそりゃ緊張もするよ」
「そんなもんか?爆豪とかいっつもキレてるけど、誰も緊張してねぇけど」
「彼は別枠だよ」
そういうキャラクターというか、ネタというか。
「あとね、キャラ作りしてないのは、今はヒーロー目指してる卵としての私じゃなくて、轟焦凍君の友だちとして話したかったから作ってないだけ」
卵としての気持ちを保つため、余裕を持つ為の修行の一環としてキャラ作りはしているつもりだから、今はしてない。
なので、語尾も伸びないし本来の一般的な女の子として焦凍君と話しているのだ。
焦凍君は数秒考えてから「なんだかそれ、嬉しいな」と言った。
「できれば、俺相手の時はそうしてほしい」
「物凄い慌ただしくなりますが?!」
「じゃあ、二人の時だけとかはダメか?」
真摯な瞳でお願いされたらNoとは言えないし、まぁ、言うつもりもないので二つ返事で了承したら心底嬉しそうに微笑まれた。
「……そうやって、笑えるようにさせてあげられたのが私じゃないのが、悔しいなぁ」
ずっと燻っていた悔しさを吐露すれば、焦凍君は「どういうことだ?」と聞かれた。
「私は何年も側にいたのに、焦凍君のエンデヴァーさんへの復讐心を晴らしてあげられなかった……。親への復讐心なんて知らない自分の言葉は、きっと届かない、薄っぺらいって諦めてたから。緑谷くんは凄いね」
悔しさ半分、悲しさ半分とも言えよう気持ちを口にすると、向かいに座っていた焦凍君が隣に来て抱き締めてくれた。
なんで?
「あの、焦凍君?」
「お母さんが、俺が辛い時にこうしてくれたから」
「それは親子だから許されるから、誰にでもしたらダメですよ。お兄さん?……でも、ちょっとこうしてて。落ち着く」
「わかった。……心香は、緑谷が凄いって言ってたけどお前も凄いよ」
私は、なにも……。そう口にする前に、焦凍君は「心香が側にいたから、俺はヒーローを諦めなかった」と言う。
「親父への当て付けなら、なんでもよかった。敵になって、ザマーミロて言ってやってもよかった。それをしなかったのは、隣に心香がいて、心香がヒーローになるって言ったから。敵になったら、お前と戦わないといけないし、川利心香とヒーローになりたかった。俺がヒーローを諦めなかったのは、心香の存在があったからだ」
救われた、とでも言えばいいのか。
なにもしなかった私の存在を肯定してくれた焦凍君には、感謝しかない。
塞き止めきれなかった涙を流しながら「あり……がとう……」と、お礼が口をついてでた。
「俺の方こそ、ありがとう」
「ねぇ、焦凍君。私のヒーローになる為の第一課題『焦凍君を笑わせる』、続行してもいいかな?」
私のお願いに、焦凍君は真顔で「お前が側にいるだけで十分達成されてるぞ」とイケメン発言された。
それでも、継続目標にしたいんだ。
この先、また焦凍君が暗い気持ちに飲まれた時には今度こそ私が助け出す為にも。