魔法少女はかく語りき
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子供の頃の事は、あまり覚えていない。
毎日、普通に笑いながら生活していた気がするし、気が付いた時には兄さんが心配だと思って兄さんのサイドキックになろうと思っていた気がする。
雄英に入ったのも、先生に素質があるとか合格圏内だから受けてみたらどうだと言われたから。
焦凍君なら、何か覚えているだろうか……。
母さんは、連絡はしてもいいと言っていた。
ケータイに手を伸ばしたが、寸での所でやめる。
何でも頼ってはダメだ。
自分で考えないと、と思って手を引っ込めようとしたら不意にマナーモードにしていたケータイが着信を知らせた。
焦凍君と表示された画面を見つめ、二、三回深呼吸してから「はいはい!どうしたの?」と努めて明るく電話に出る。
『今、大丈夫か?』
「平気だよ。どうしたの?」
『いや、休憩時間になったから、他の連中がどういう事してるか気になって電話した』
内心、何と答えようかと思いながら「そっか!」と返事をすると、電話口でもわかる位、心配そうに『……何かあったか?』と聞かれ、ドキリとした。
「なんで?」
『いつもと違うから、何かあったんだろ?』
「何もないよ」
『嘘だろ。語尾が伸びてない。キャラが作れてない』
あー、うっかり……。
キャラ作りを忘れてしまうなんて、それほど余裕をなくしていたのか私。
大きく溜息を吐きながら、話そうかどうか悩んでから「実はさ……」と結局相談してしまう事になる。
「……というわけ」
説明し終わってから暫く間をおいて『……それは、俺が言ってもいいのか?』と聞かれた。
な、何だろう。
ちょっと機嫌が悪くなった様な……。
「ダメだろうな、て自分でも思ってる。だから、困ってるの」
『……じゃあ、ヒントだけでも。幼稚園の時、お前はリリルの番組に凄くはまっていた。そして、お前は誰よりも近くでリリルの活躍を見ていた。……俺からだせるヒントはそれくらいだな』
「母さん……」
『悪い。もう、時間だから切るぞ』
「うん。ありがとう、焦凍君」
『あぁ。じゃあな』
ぶつりと切れた電話を机の上に置いて焦凍君のヒントを基に記憶を手繰る。
そうだ、幼稚園の頃の私は純粋にリリルのアニメが大好きで、母さんがそのモデルである事が誇らしくて。
『わたしね!かーさんみたいなスーパーヒーローになりたいの!みんなに笑顔になってもらいたいんだ!みんなに、ヒーローになりたいって気持ちになってほしいの!』
『そう、大変だけど忘れちゃだめよ』
『うん!わすれない!』
……思い切り忘れてるじゃん、私。
情けなくて頭が痛くなる、確かそれでいつも暗い顔をしていた焦凍君を笑わせ様としていたんだっけ。
『しょうとくんに笑ってほしいの!』
そう言った私の言葉に、焦凍君は目を細めて嬉しそうに笑っていたんだ。
やばい、焦凍君に対してかなり最低な事をしてしまった気がする。
たぶん、さっきの機嫌が悪くなった様な気がするは、気がするのではなく悪くなっていたのだろう。
それはつまり、その思い出は焦凍君にとって大切な思い出だった可能性が高い。
やばい、やばい、やばい、胃がキリキリしてきたぞ。
とにかく、慌てて電話をしようとしたが、今は職場体験中のはず……!
どうしようかと悩んだ末に、LINEで「ごめんなさい」とだけ送る事にした。
やらかしたぁ……、と頭を抱えていると「シーカ。お昼ご飯に行きますよ」と言いながらリリルが入ってきた。
「い、いや、ちょっと食欲が……」
「答えの悩みすぎてですか?」
「いえ、それに関しては答えが出たんですけど、他の問題が発生しまして……」
「なら、その答えと一緒に問題の方の話も聞きましょう。行きますよ」
食欲がないと訴える私を引きずり、タイ料理店へと連れ込まれリリルに悩み相談した。
「可哀想な焦凍君」
「はい、本当に……」
「焦凍君の家庭事情は知っていただけに、彼の心の支えになっていたであろう思い出を本人はまるっと忘れているなんて、悲劇ね」
「どうしましょう、リリル……!次会った時に無視とかされたら!」
「まあ、とりあえずキャラを保ちなさい。大丈夫よ。焦凍君は優しい子だから、その優しさに胡坐をかかなければ許してくれるわ」
タンドリーチキンを食べながら言うので、私もサモサを食べながら「今日の夜に会いに行ってくる……」と言うと、渋い顔で「女の子が夜に一人で歩くんじゃありません」と窘められてしまったが、ちゃんと顔を見て謝りたいのだ。
きっと、私はあの電話で焦凍君を傷つけてしまったのだから。
毎日、普通に笑いながら生活していた気がするし、気が付いた時には兄さんが心配だと思って兄さんのサイドキックになろうと思っていた気がする。
雄英に入ったのも、先生に素質があるとか合格圏内だから受けてみたらどうだと言われたから。
焦凍君なら、何か覚えているだろうか……。
母さんは、連絡はしてもいいと言っていた。
ケータイに手を伸ばしたが、寸での所でやめる。
何でも頼ってはダメだ。
自分で考えないと、と思って手を引っ込めようとしたら不意にマナーモードにしていたケータイが着信を知らせた。
焦凍君と表示された画面を見つめ、二、三回深呼吸してから「はいはい!どうしたの?」と努めて明るく電話に出る。
『今、大丈夫か?』
「平気だよ。どうしたの?」
『いや、休憩時間になったから、他の連中がどういう事してるか気になって電話した』
内心、何と答えようかと思いながら「そっか!」と返事をすると、電話口でもわかる位、心配そうに『……何かあったか?』と聞かれ、ドキリとした。
「なんで?」
『いつもと違うから、何かあったんだろ?』
「何もないよ」
『嘘だろ。語尾が伸びてない。キャラが作れてない』
あー、うっかり……。
キャラ作りを忘れてしまうなんて、それほど余裕をなくしていたのか私。
大きく溜息を吐きながら、話そうかどうか悩んでから「実はさ……」と結局相談してしまう事になる。
「……というわけ」
説明し終わってから暫く間をおいて『……それは、俺が言ってもいいのか?』と聞かれた。
な、何だろう。
ちょっと機嫌が悪くなった様な……。
「ダメだろうな、て自分でも思ってる。だから、困ってるの」
『……じゃあ、ヒントだけでも。幼稚園の時、お前はリリルの番組に凄くはまっていた。そして、お前は誰よりも近くでリリルの活躍を見ていた。……俺からだせるヒントはそれくらいだな』
「母さん……」
『悪い。もう、時間だから切るぞ』
「うん。ありがとう、焦凍君」
『あぁ。じゃあな』
ぶつりと切れた電話を机の上に置いて焦凍君のヒントを基に記憶を手繰る。
そうだ、幼稚園の頃の私は純粋にリリルのアニメが大好きで、母さんがそのモデルである事が誇らしくて。
『わたしね!かーさんみたいなスーパーヒーローになりたいの!みんなに笑顔になってもらいたいんだ!みんなに、ヒーローになりたいって気持ちになってほしいの!』
『そう、大変だけど忘れちゃだめよ』
『うん!わすれない!』
……思い切り忘れてるじゃん、私。
情けなくて頭が痛くなる、確かそれでいつも暗い顔をしていた焦凍君を笑わせ様としていたんだっけ。
『しょうとくんに笑ってほしいの!』
そう言った私の言葉に、焦凍君は目を細めて嬉しそうに笑っていたんだ。
やばい、焦凍君に対してかなり最低な事をしてしまった気がする。
たぶん、さっきの機嫌が悪くなった様な気がするは、気がするのではなく悪くなっていたのだろう。
それはつまり、その思い出は焦凍君にとって大切な思い出だった可能性が高い。
やばい、やばい、やばい、胃がキリキリしてきたぞ。
とにかく、慌てて電話をしようとしたが、今は職場体験中のはず……!
どうしようかと悩んだ末に、LINEで「ごめんなさい」とだけ送る事にした。
やらかしたぁ……、と頭を抱えていると「シーカ。お昼ご飯に行きますよ」と言いながらリリルが入ってきた。
「い、いや、ちょっと食欲が……」
「答えの悩みすぎてですか?」
「いえ、それに関しては答えが出たんですけど、他の問題が発生しまして……」
「なら、その答えと一緒に問題の方の話も聞きましょう。行きますよ」
食欲がないと訴える私を引きずり、タイ料理店へと連れ込まれリリルに悩み相談した。
「可哀想な焦凍君」
「はい、本当に……」
「焦凍君の家庭事情は知っていただけに、彼の心の支えになっていたであろう思い出を本人はまるっと忘れているなんて、悲劇ね」
「どうしましょう、リリル……!次会った時に無視とかされたら!」
「まあ、とりあえずキャラを保ちなさい。大丈夫よ。焦凍君は優しい子だから、その優しさに胡坐をかかなければ許してくれるわ」
タンドリーチキンを食べながら言うので、私もサモサを食べながら「今日の夜に会いに行ってくる……」と言うと、渋い顔で「女の子が夜に一人で歩くんじゃありません」と窘められてしまったが、ちゃんと顔を見て謝りたいのだ。
きっと、私はあの電話で焦凍君を傷つけてしまったのだから。