魔法少女はかく語りき
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「ほほう。私の事務所に来たのね。家族だからって、生温い指導はしないわよ。むしろ、家族だからこそ容赦しなくてもいいって事ね」
「ひ、ひぇぇ……」
母さんの野獣の様にぎらついた瞳に恐怖しか覚えない。
魔法少女にあってはいけない顔をしてるよ、母さん。
「まあ、そんなに怯えなくても、体育祭の前にやった特訓よりちょっと辛いくらいよ」
「あれも相当辛かったですよ、母さん?!」
「それはそうと、ちょっと買い物行ってきてよ」
「何買ってくるの?」
「週刊ベストヒーローズ。今回はアングラヒーロー特集で、イレイザーヘッドさんがでるの」
語尾にハートが付きそうな声色で話す母さんに「そろそろ父さんが泣くよ」とだけ言い、お金を預かりスニーカーをつっかけて外に出る。
うちは閑静な住宅街に建っているので、この時間は何とも穏やかな空気が流れている。
そう、間違っても敵なんて現れないような長閑さ。
故に、私ものんびりとした気持ちで歩いていると、向かいから来た黒のパーカーを着た男性が「わー!シーカちゃんじゃん!本当に会えるとは思わなかったなー!握手してくれよ!」と言いながら向かって来た。
うわぁ、滅茶苦茶馴れ馴れしいな。
しかも、自宅特定班かよ、こわ。と思いながらも営業スマイルで「はい~。応援お願いします~」と差し出された手を握ったが、どういうわけか人差し指だけ付けずに男性は手を握り返してきた。
「?」
「いやぁ、住所は特定してたんだけどさぁ。まさか、本人が出てきてくれるとは思わないじゃん?なぁ、シーカちゃん……?」
先程までとは打って変わって薄気味悪いこの声には聞き覚えがある。
ゆっくりと顔を上げ、相手の顔を確認する。
そこに、あの時の様に掌がついてはいないがわかる。
この男は……。
「死柄木、弔……」
「おいおい、いきなり呼び捨てかよ。これだから、躾のなってない餓鬼は嫌いなんだよな」
手を引こうにも、がっちりと手が掴まれていて変身ができない。
変身前の私に治癒能力はないし、崩壊が引き返せない所に行く前に振りほどけるかと言うと不可能。
今の私にできる事は大声をあげる事だけ。
けれど、それも読まれてしまいすぐさま空いているもう一方の手で喉を掴まれる。
個性が発動しない様に、指を一本離して。
「悲鳴なんて情けないものあげるなよ、魔法少女。全国のお友達に幻滅されちまうぜ?」
思わず舌打ちを打つと、死柄木弔は愉快そうに喉で笑い「魔法少女らしくないぜ?」と言った。
「前みたいに余裕かまして煽ってみろよ、シーカちゃん」
「それより、なんの用なのかな~?わざわざ、私の家の近辺うろつくなんて、怪しすぎだよね~。流石、ヴィラ……いたたたた!」
掴まれている手を情け容赦なく握りしめられ、苦悶の悲鳴をあげてしまった。
「粋がっていい状況じゃない事、わかんねえの?」
「いや、煽れって言ったんじゃん!」
なんだよそれ、理不尽かよ!
ぎちぎちと遠慮なく握られる手に悶絶しながら「本当になにしに来たんだよ~!」と問い詰めると「リリルに会いに来たんだよ」と言った。
「母さんに……?」
「そう。オールマイトとは別の、餓鬼共にヒーローへの憧れを持たせるクソみたいな女に会って、まあ、気が乗ったら殺していこうかな~って思って来たんだよ」
「なっ!」
驚きで目を見開くと「そんなに驚くなよ」と喉で笑いながら「あるだろ、そういう感情」と意味の分からない事を言い出した。
「こいつうざいなー。死んでくれないかなー、とか思う奴はいるだろ?俺だってそうさ。ヒーローは誰でも救えるなんていう妄想を植え付ける連中に死んでほしい。そう思う事だってあるさ。俺とお前ら、なにが違う?人で、生きて、個性を持っている。なんの違いもないだろ?」
死柄木弔が捲し立てる様に言うので私も「目指すものが違う、守るべきものが違う、慕うものが違う。あなたにはそれがない」とはっきりと答えてやった。
「はぁ……。ヒーローの矜持ってやつ?」
「違う。それがあるとないとでは、生きる意味も違ってくる」
断言すると、死柄木弔は「わかんねえな……」と言いながら自分の首をがりがりと掻いた。
「まあ、いいや。なんの役にも立たなそうだけどアドバイスありがとう、シーカちゃん。じゃあ、俺帰るわ」
そう言い残し、死柄木弔は私から手を放しワープホールに包まれ消えた。
姿が見えなくなり、一気に緊張と恐怖が津々と体中に巡っていった。
「ひ、ひぇぇ……」
母さんの野獣の様にぎらついた瞳に恐怖しか覚えない。
魔法少女にあってはいけない顔をしてるよ、母さん。
「まあ、そんなに怯えなくても、体育祭の前にやった特訓よりちょっと辛いくらいよ」
「あれも相当辛かったですよ、母さん?!」
「それはそうと、ちょっと買い物行ってきてよ」
「何買ってくるの?」
「週刊ベストヒーローズ。今回はアングラヒーロー特集で、イレイザーヘッドさんがでるの」
語尾にハートが付きそうな声色で話す母さんに「そろそろ父さんが泣くよ」とだけ言い、お金を預かりスニーカーをつっかけて外に出る。
うちは閑静な住宅街に建っているので、この時間は何とも穏やかな空気が流れている。
そう、間違っても敵なんて現れないような長閑さ。
故に、私ものんびりとした気持ちで歩いていると、向かいから来た黒のパーカーを着た男性が「わー!シーカちゃんじゃん!本当に会えるとは思わなかったなー!握手してくれよ!」と言いながら向かって来た。
うわぁ、滅茶苦茶馴れ馴れしいな。
しかも、自宅特定班かよ、こわ。と思いながらも営業スマイルで「はい~。応援お願いします~」と差し出された手を握ったが、どういうわけか人差し指だけ付けずに男性は手を握り返してきた。
「?」
「いやぁ、住所は特定してたんだけどさぁ。まさか、本人が出てきてくれるとは思わないじゃん?なぁ、シーカちゃん……?」
先程までとは打って変わって薄気味悪いこの声には聞き覚えがある。
ゆっくりと顔を上げ、相手の顔を確認する。
そこに、あの時の様に掌がついてはいないがわかる。
この男は……。
「死柄木、弔……」
「おいおい、いきなり呼び捨てかよ。これだから、躾のなってない餓鬼は嫌いなんだよな」
手を引こうにも、がっちりと手が掴まれていて変身ができない。
変身前の私に治癒能力はないし、崩壊が引き返せない所に行く前に振りほどけるかと言うと不可能。
今の私にできる事は大声をあげる事だけ。
けれど、それも読まれてしまいすぐさま空いているもう一方の手で喉を掴まれる。
個性が発動しない様に、指を一本離して。
「悲鳴なんて情けないものあげるなよ、魔法少女。全国のお友達に幻滅されちまうぜ?」
思わず舌打ちを打つと、死柄木弔は愉快そうに喉で笑い「魔法少女らしくないぜ?」と言った。
「前みたいに余裕かまして煽ってみろよ、シーカちゃん」
「それより、なんの用なのかな~?わざわざ、私の家の近辺うろつくなんて、怪しすぎだよね~。流石、ヴィラ……いたたたた!」
掴まれている手を情け容赦なく握りしめられ、苦悶の悲鳴をあげてしまった。
「粋がっていい状況じゃない事、わかんねえの?」
「いや、煽れって言ったんじゃん!」
なんだよそれ、理不尽かよ!
ぎちぎちと遠慮なく握られる手に悶絶しながら「本当になにしに来たんだよ~!」と問い詰めると「リリルに会いに来たんだよ」と言った。
「母さんに……?」
「そう。オールマイトとは別の、餓鬼共にヒーローへの憧れを持たせるクソみたいな女に会って、まあ、気が乗ったら殺していこうかな~って思って来たんだよ」
「なっ!」
驚きで目を見開くと「そんなに驚くなよ」と喉で笑いながら「あるだろ、そういう感情」と意味の分からない事を言い出した。
「こいつうざいなー。死んでくれないかなー、とか思う奴はいるだろ?俺だってそうさ。ヒーローは誰でも救えるなんていう妄想を植え付ける連中に死んでほしい。そう思う事だってあるさ。俺とお前ら、なにが違う?人で、生きて、個性を持っている。なんの違いもないだろ?」
死柄木弔が捲し立てる様に言うので私も「目指すものが違う、守るべきものが違う、慕うものが違う。あなたにはそれがない」とはっきりと答えてやった。
「はぁ……。ヒーローの矜持ってやつ?」
「違う。それがあるとないとでは、生きる意味も違ってくる」
断言すると、死柄木弔は「わかんねえな……」と言いながら自分の首をがりがりと掻いた。
「まあ、いいや。なんの役にも立たなそうだけどアドバイスありがとう、シーカちゃん。じゃあ、俺帰るわ」
そう言い残し、死柄木弔は私から手を放しワープホールに包まれ消えた。
姿が見えなくなり、一気に緊張と恐怖が津々と体中に巡っていった。