ティターニアとは呼ばないで
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発熱、関節の痛み、喉の痛み、目の潤み、朦朧とする意識。
どうも、風邪です。
風邪なんて滅多にひかないので、家に備蓄食糧はなく、解熱剤や氷嚢もない。
そう、詰みである。
表の仕事の人間にはここの住所を教えてない。
呼ぶならライブラか泰鴻か。
「もしもし泰鴻……。風邪ひいた……、助けて……」
『立て込んでる、無理だ』
無情のガチャ切り。おのれ。
どうしよう、誰に連絡しようか。と、途中まで考えたが頭がショートしそうだったので、K・Kさん、チェイン、三バカに「急募 風邪の買い出し」と送りつけて眠った。
まあ、誰か来てくれるだろう、と信じて眠っていると、後頭部に冷たいなにかが差し入れられた。
音がしなかったということは、チェインがきてくれたのだろうか。
「ん……チェイン……ありがとう……」
「どういたしまして。チェインじゃなくて、悪かったな」
「は?」
目をしっかり開け、声の主を視界に入れると不機嫌そうな顔をしたスティーブンさんがいた。
呼んだ覚えがなく、思わず「なにしに来たんですか」と聞くと、さらに不機嫌な顔をして「駆けつけてやったのに、ずいぶんな言いようだな」と言った。
「来てほしくないから連絡しなかったんですけど」
「なんで」
「うつしたくなかったから」
理由が納得できたからか、それ以上は文句を言ってくることはなかった。
スティーブンさんは静かに立ち上がり、「なにか食べるかい?」と聞いてきた。
「アイス」
「主食の話だ。なにもないなら、スープ作るぞ」
適当に「んー」と返すと、スティーブンさんからも、「んー」と返ってきた。
氷枕のおかげか、いくぶんか意識がはっきりしてきた。
キッチンから聞こえる、野菜を刻む音。
美味しそうなブイヨンの匂い。
ああ、きっと風邪のときにいつも作ってくれるチキンスープだ。
野菜とチキンとショートパスタのスープ。
『大丈夫、すぐによくなるよ』
優しく頭を撫でられ、食べさせてもらったスープ。
眠るまで繋いでくれた、少し冷たい手。
「できたよ。食べられるかい?」
「はい……。あの、あとは自分でやるので……」
「いや、今日は一応泊まるよ。キミはすぐ無茶するからね」
「大丈夫ですよ、ちゃんと寝てますから」
「信用ならないなぁ。それに」
「それに?」
「ティティは風邪をひくと寂しがり屋さんになるだろ」
悪い笑みを浮かべるスティーブンさんに、少なからずはらがたち「そんな子供じゃありません」と言い捨てると、まるで「どうだか」と言わんばかりのしたり顔でムカつく。
「わかったよ。圧力鍋にスープ入れとくから、ちゃんと食べるんだよ。あと、果物も切って置いておくから、食べなさい。ああ、明日は病院に行くから朝来るよ」
「病院は自分で行きますよ」
「ダメだ」
おのれ、過保護め。
手早く食事と果物もを用意したら、スティーブンさんは「じゃあ、また明日」と言って帰っていった。
器に盛られたスープを食べながら、懐かしい味に安心したからか、「さみしい……」とぽつりと口にしたら、「ほらみろ」と声がした。
「ス、スティーブンさん?!帰ったんじゃ!」
「いや、寂しがり屋さんが素直になるかな、と思って」
「ぐっ……」
向かいの席に座り、得意気な笑みで「で?泊まっていこうか?」と聞いてきた。
く、くそ……。
一緒にスープを食べながら、昔話をした。
「ティティを引き取ったとき、しょっちゅう風邪ひいてたな」
「栄養が足りませんでしたからね」
「あの頃はなにだしても、目を輝かせて喜んでいたな」
「……いまだって、スティーブンさんの料理好きですけど」
「ふーん、嬉しいね」
本当に嬉しいのか、ゆるく相好を崩すスティーブンさん。
食べ終わりベッドに横になると、頭を撫でながら「大丈夫、すぐよくなるよ」と言った。
ああ、落ち着く。
「寝るまで手は繋ぐかい?」
「……うん」
まさかの返答だったのか、目を丸くしてから、照れ臭そうに笑い「わかった。起きても、ちゃんといるから。安心していいよ」と言うから嬉しくなり、繋いだ手にすり寄る。
「甘えたさんだな」
「そうされて嬉しいくせに」
「……うん、嬉しいよ。甘えてくれて」
どうも、風邪です。
風邪なんて滅多にひかないので、家に備蓄食糧はなく、解熱剤や氷嚢もない。
そう、詰みである。
表の仕事の人間にはここの住所を教えてない。
呼ぶならライブラか泰鴻か。
「もしもし泰鴻……。風邪ひいた……、助けて……」
『立て込んでる、無理だ』
無情のガチャ切り。おのれ。
どうしよう、誰に連絡しようか。と、途中まで考えたが頭がショートしそうだったので、K・Kさん、チェイン、三バカに「急募 風邪の買い出し」と送りつけて眠った。
まあ、誰か来てくれるだろう、と信じて眠っていると、後頭部に冷たいなにかが差し入れられた。
音がしなかったということは、チェインがきてくれたのだろうか。
「ん……チェイン……ありがとう……」
「どういたしまして。チェインじゃなくて、悪かったな」
「は?」
目をしっかり開け、声の主を視界に入れると不機嫌そうな顔をしたスティーブンさんがいた。
呼んだ覚えがなく、思わず「なにしに来たんですか」と聞くと、さらに不機嫌な顔をして「駆けつけてやったのに、ずいぶんな言いようだな」と言った。
「来てほしくないから連絡しなかったんですけど」
「なんで」
「うつしたくなかったから」
理由が納得できたからか、それ以上は文句を言ってくることはなかった。
スティーブンさんは静かに立ち上がり、「なにか食べるかい?」と聞いてきた。
「アイス」
「主食の話だ。なにもないなら、スープ作るぞ」
適当に「んー」と返すと、スティーブンさんからも、「んー」と返ってきた。
氷枕のおかげか、いくぶんか意識がはっきりしてきた。
キッチンから聞こえる、野菜を刻む音。
美味しそうなブイヨンの匂い。
ああ、きっと風邪のときにいつも作ってくれるチキンスープだ。
野菜とチキンとショートパスタのスープ。
『大丈夫、すぐによくなるよ』
優しく頭を撫でられ、食べさせてもらったスープ。
眠るまで繋いでくれた、少し冷たい手。
「できたよ。食べられるかい?」
「はい……。あの、あとは自分でやるので……」
「いや、今日は一応泊まるよ。キミはすぐ無茶するからね」
「大丈夫ですよ、ちゃんと寝てますから」
「信用ならないなぁ。それに」
「それに?」
「ティティは風邪をひくと寂しがり屋さんになるだろ」
悪い笑みを浮かべるスティーブンさんに、少なからずはらがたち「そんな子供じゃありません」と言い捨てると、まるで「どうだか」と言わんばかりのしたり顔でムカつく。
「わかったよ。圧力鍋にスープ入れとくから、ちゃんと食べるんだよ。あと、果物も切って置いておくから、食べなさい。ああ、明日は病院に行くから朝来るよ」
「病院は自分で行きますよ」
「ダメだ」
おのれ、過保護め。
手早く食事と果物もを用意したら、スティーブンさんは「じゃあ、また明日」と言って帰っていった。
器に盛られたスープを食べながら、懐かしい味に安心したからか、「さみしい……」とぽつりと口にしたら、「ほらみろ」と声がした。
「ス、スティーブンさん?!帰ったんじゃ!」
「いや、寂しがり屋さんが素直になるかな、と思って」
「ぐっ……」
向かいの席に座り、得意気な笑みで「で?泊まっていこうか?」と聞いてきた。
く、くそ……。
一緒にスープを食べながら、昔話をした。
「ティティを引き取ったとき、しょっちゅう風邪ひいてたな」
「栄養が足りませんでしたからね」
「あの頃はなにだしても、目を輝かせて喜んでいたな」
「……いまだって、スティーブンさんの料理好きですけど」
「ふーん、嬉しいね」
本当に嬉しいのか、ゆるく相好を崩すスティーブンさん。
食べ終わりベッドに横になると、頭を撫でながら「大丈夫、すぐよくなるよ」と言った。
ああ、落ち着く。
「寝るまで手は繋ぐかい?」
「……うん」
まさかの返答だったのか、目を丸くしてから、照れ臭そうに笑い「わかった。起きても、ちゃんといるから。安心していいよ」と言うから嬉しくなり、繋いだ手にすり寄る。
「甘えたさんだな」
「そうされて嬉しいくせに」
「……うん、嬉しいよ。甘えてくれて」
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