ティターニアとは呼ばないで
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「や、ティティ」
「いらっしゃせー」
バイト先に現れたスティーブンさんをおざなりに接客をしたら、スティーブンさんガチ恋勢のアイリーンに怒られた。
いや、だって身内だし。
「ご注文はコーヒーとサンドイッチですね」
「今日は季節のケーキも頼もうかな」
「甘いもの苦手なのに?」
「食べるのは僕じゃなくてキミだから」
しれっと「あちらのお嬢さんにお出しして」をするな、この男。
ありがたくいただくが、それを食べるのはアイリーンである。
なぜなら、めちゃくちゃ睨まれているから。
そのまま立ち去ろうとしたら、「Hi ティティ」と別の人間に声をかけられた。
「オーベルジュさん、いらっしゃいませ」
常連で、最近なにかと好意をバシバシに向けてくるアダム・オーベルジュ。
いつもカウンター席に座るから、今日もそうかと思ったら、スティーブンさんに「相席いいですか?」と聞いた。
他にも空いている席があるのに、なぜ。
「ええ、僕は構いませんよ」
「ありがとうございます。ティティ、僕はいつもので」
「紅茶とフルーツタルトですね」
「ああ、よろしく」
不安になりながらも二人分の注文をだしたら、アイリーンが好奇心を瞳に宿し「修羅場ね」と話しかけてきた。
やはり?
料理持っていきたくないとごねるが、アイリーンに押しきられ渋々持っていくと、二人とも談笑している。
表面上は。
しかし、空気がピリついている……。
「ご注文の品、お持ちしました」
「ああ、ありがとう。ところで、ティティ。オーベルジュさんは、キミと結婚を前提にお付き合いしたいと言っているが、キミはどう思っているんだい」
なんでそんな話を振るの、と胃がキリキリしながら「私には勿体ないお話です」となんとか答える。
「オーベルジュさんは、お若いながら会社で重要なポジションにいらっしゃると聞いています。私はまだ若いですし、オーベルジュさんを支える自信がありません」
当たり前だが、建前である。
いい人だし顔もいいが、ライブラの仕事に支障がでるので恋人を作る気はない。
というのもあるし、スティーブンさんの圧迫面接を常人が耐えられるとは思わないからというのもある。
と思ったのに。
「なんだ、若いのに随分と消極的だな。難しく考えないで、一度付き合ってみたらどうだい?」
「……」
あのスティーブンさんが交際を勧める、ということはアダム・オーベルジュになにか疑いをかけている。
つまり、探りをいれろという意味。
「……そう、ですね。付き合ってみないとわかりませんよね。あの、オーベルジュさん。私とお付き合いしてくれますか?」
「もちろん。アダムと呼んでくれ、ティティ」
それから数ヶ月、アダム・オーベルジュといたって普通のお付き合いをしているが、これはどこで手を引けばいいのか。
スティーブンさんからはまだ指示が来ないということは続行、ということなんだろうとは思うけど。
早く切り上げたいな、と思っていた折りである。
「ティティ、今日うちに来ないか?」
「え?」
「つまり……そろそろいいかと思うんだが……」
艶かしく撫でられる手に、なにがとは理解できた。
どうしよう。
スティーブンさんは私が体を使うことを酷く嫌がる。
しかし、ここまでなにも言わないということは、そういうことなのか。
断るのも不自然だろうし……。
「……はい、いいですよ」
まあ、なんとかなるだろ。
いつも通り一緒に食事をし、そのままオーベルジュさんの家へと来ると性急にソファーへ押し倒された。
「ベッドじゃないんですか、アダムさん?」
甘えるように、弱者のように。
そう振る舞えば、相手はマウントを取れているから勝ったと思ったのだろう。
オーベルジュは不適な笑みを浮かべ「キミは特別な場所でイかせてあげるよ」と囁いた。
オーベルジュが指を鳴らすと、隠れていた連中がゾロゾロと出てきた。
はいはい、気がついてた。
「オーベルジュさん、どういうことですか……?」
「キミには、スティーブン・A・スターフェイズを捕らえるための人質になってもらう。彼は随分、キミに執心のようだからね」
「どうして、スティーブンさんを……?」
「いいよ、そんな白々しい芝居をしなくても」
あ、そう?ならいいや。
「はー、あんたバカだな。抱き潰しでもしてから捕まえりゃいいのに、こんな中途半端なとこで捕まえようとするなんて。それとも、そんなテクもないのかな?」
「窮地なのに強気だね」
「窮地?どこが?」
「キミに向けられた銃口が見えないのか?」
「はーもー。あんたらはさ、最初から間違ってんだよ。一、スティーブンさんはこのことを既に気がついてた乗ってやってるって。二、スティーブンさんは人質とられても交渉に乗らない。三、あんたら全員、スティーブンさんなら一瞬で捕らえられる。四、能力もわかんない相手を生け捕りしようとか甘いんだよ!」
突如として現れた蔦に捕らえられた、オーベルジュとその一味。
「落ち着け!幻覚かなにかだ!」
「さーて、どうかね?世の中には不思議なわざがたくさんあるから、もしかしたら現実かもね。夢か現実か確認する方法って知ってるか?痛みだよ」
私の言葉に、捕まった連中が命乞いを始めるが、もう遅い。
骨の折れる音と悲鳴が響き渡る。
「おやおや、おかしいな。痛みがあるってことは、これは現実じゃないかな?」
「た……助けて……」
「助けるわけないだろ。スティーブンさんに楯突いて、助かるなんて思うな。さあさあ!楽しい楽しい悪夢の始まりだよ!」
一通り、失神するまで脳ミソに拷問のイメージを送りつけ、泰鴻たちが来るのを待つ。
「ティティ」
「泰鴻!」
久しぶりだね、のハグをしようとしたら軽くかわされた。
「それはボスが喜ばれない」
「いいじゃん、ちょっとくらい。ねえ、ねえ。このあとの仕事、私も連れていってよ」
「ダメだ。それより、外でお待ちだ」
誰が、とは聞かない。
折角、私が手柄をたてたのに。と不貞腐れながら外に出ると、スティーブンさんが困ったように笑いながら「や」と言った。
「ここまでやらせたなら、最後までやってもよくないですか?」
「うーん、また今度な」
その今度は一体いつくるのか。
歩きだす私の隣を歩きながら、スティーブンさんは申し訳なさそうに「今回は長引かせて悪かったな」と謝る。
「本当ですよ。いつ、手を引くのかとヤキモキしたんですからね」
「ごめん、ごめん」
「もしかしたら、本当に付き合えば、とか思ってるのかと思いましたよ」
「キミがそうしたいなら、それでもいいかとは思っていたよ」
どうせ嘘だというのはわかっているが、からかって「本当に?」と聞くと、渋い顔で「……嫌だ」と言うから吹き出してしまった。
ほらね。
「キミに恋人とか嫌だなあ。いや、いいんだ!キミが本当に好きなら、全然いいんだ!でも、はっきり言って俺以上にキミを愛せる人間はいないだろ!だからせめて、俺を倒してキミを奪うくらいの気概を見せてほしい!俺を倒せないやつがティティの恋人になるなんておこがましいにもほどがある!」
「落ち着け、お父さん」
スティーブンさんを倒せる男なんて、そういない。
気持ちを落ち着かせるために「そうなると、もうクラウスさんしか相手がいないですね」と冗談で言ったら、さらに悩みだした。
「クラウス……クラウスなら……」
「冗談ですよ。私は死ぬまでスティーブンさんについていくつもりなんで、恋人は作りません」
「本当かい?」
「ええ。あ、でもスティーブンさんに恋人ができたら、話は変わりますね」
「大丈夫だよ。キミ以上に、俺を理解してくれる女性はいないからね」
そう期待されてしまうと、応えたくなってしまうあたりに私の忠犬精神が見え隠れする。
「ここ数ヶ月、キミから引き離されてたから、しばらくは俺の側にいてくれ」
「はいはい、ボス」
「いらっしゃせー」
バイト先に現れたスティーブンさんをおざなりに接客をしたら、スティーブンさんガチ恋勢のアイリーンに怒られた。
いや、だって身内だし。
「ご注文はコーヒーとサンドイッチですね」
「今日は季節のケーキも頼もうかな」
「甘いもの苦手なのに?」
「食べるのは僕じゃなくてキミだから」
しれっと「あちらのお嬢さんにお出しして」をするな、この男。
ありがたくいただくが、それを食べるのはアイリーンである。
なぜなら、めちゃくちゃ睨まれているから。
そのまま立ち去ろうとしたら、「Hi ティティ」と別の人間に声をかけられた。
「オーベルジュさん、いらっしゃいませ」
常連で、最近なにかと好意をバシバシに向けてくるアダム・オーベルジュ。
いつもカウンター席に座るから、今日もそうかと思ったら、スティーブンさんに「相席いいですか?」と聞いた。
他にも空いている席があるのに、なぜ。
「ええ、僕は構いませんよ」
「ありがとうございます。ティティ、僕はいつもので」
「紅茶とフルーツタルトですね」
「ああ、よろしく」
不安になりながらも二人分の注文をだしたら、アイリーンが好奇心を瞳に宿し「修羅場ね」と話しかけてきた。
やはり?
料理持っていきたくないとごねるが、アイリーンに押しきられ渋々持っていくと、二人とも談笑している。
表面上は。
しかし、空気がピリついている……。
「ご注文の品、お持ちしました」
「ああ、ありがとう。ところで、ティティ。オーベルジュさんは、キミと結婚を前提にお付き合いしたいと言っているが、キミはどう思っているんだい」
なんでそんな話を振るの、と胃がキリキリしながら「私には勿体ないお話です」となんとか答える。
「オーベルジュさんは、お若いながら会社で重要なポジションにいらっしゃると聞いています。私はまだ若いですし、オーベルジュさんを支える自信がありません」
当たり前だが、建前である。
いい人だし顔もいいが、ライブラの仕事に支障がでるので恋人を作る気はない。
というのもあるし、スティーブンさんの圧迫面接を常人が耐えられるとは思わないからというのもある。
と思ったのに。
「なんだ、若いのに随分と消極的だな。難しく考えないで、一度付き合ってみたらどうだい?」
「……」
あのスティーブンさんが交際を勧める、ということはアダム・オーベルジュになにか疑いをかけている。
つまり、探りをいれろという意味。
「……そう、ですね。付き合ってみないとわかりませんよね。あの、オーベルジュさん。私とお付き合いしてくれますか?」
「もちろん。アダムと呼んでくれ、ティティ」
それから数ヶ月、アダム・オーベルジュといたって普通のお付き合いをしているが、これはどこで手を引けばいいのか。
スティーブンさんからはまだ指示が来ないということは続行、ということなんだろうとは思うけど。
早く切り上げたいな、と思っていた折りである。
「ティティ、今日うちに来ないか?」
「え?」
「つまり……そろそろいいかと思うんだが……」
艶かしく撫でられる手に、なにがとは理解できた。
どうしよう。
スティーブンさんは私が体を使うことを酷く嫌がる。
しかし、ここまでなにも言わないということは、そういうことなのか。
断るのも不自然だろうし……。
「……はい、いいですよ」
まあ、なんとかなるだろ。
いつも通り一緒に食事をし、そのままオーベルジュさんの家へと来ると性急にソファーへ押し倒された。
「ベッドじゃないんですか、アダムさん?」
甘えるように、弱者のように。
そう振る舞えば、相手はマウントを取れているから勝ったと思ったのだろう。
オーベルジュは不適な笑みを浮かべ「キミは特別な場所でイかせてあげるよ」と囁いた。
オーベルジュが指を鳴らすと、隠れていた連中がゾロゾロと出てきた。
はいはい、気がついてた。
「オーベルジュさん、どういうことですか……?」
「キミには、スティーブン・A・スターフェイズを捕らえるための人質になってもらう。彼は随分、キミに執心のようだからね」
「どうして、スティーブンさんを……?」
「いいよ、そんな白々しい芝居をしなくても」
あ、そう?ならいいや。
「はー、あんたバカだな。抱き潰しでもしてから捕まえりゃいいのに、こんな中途半端なとこで捕まえようとするなんて。それとも、そんなテクもないのかな?」
「窮地なのに強気だね」
「窮地?どこが?」
「キミに向けられた銃口が見えないのか?」
「はーもー。あんたらはさ、最初から間違ってんだよ。一、スティーブンさんはこのことを既に気がついてた乗ってやってるって。二、スティーブンさんは人質とられても交渉に乗らない。三、あんたら全員、スティーブンさんなら一瞬で捕らえられる。四、能力もわかんない相手を生け捕りしようとか甘いんだよ!」
突如として現れた蔦に捕らえられた、オーベルジュとその一味。
「落ち着け!幻覚かなにかだ!」
「さーて、どうかね?世の中には不思議なわざがたくさんあるから、もしかしたら現実かもね。夢か現実か確認する方法って知ってるか?痛みだよ」
私の言葉に、捕まった連中が命乞いを始めるが、もう遅い。
骨の折れる音と悲鳴が響き渡る。
「おやおや、おかしいな。痛みがあるってことは、これは現実じゃないかな?」
「た……助けて……」
「助けるわけないだろ。スティーブンさんに楯突いて、助かるなんて思うな。さあさあ!楽しい楽しい悪夢の始まりだよ!」
一通り、失神するまで脳ミソに拷問のイメージを送りつけ、泰鴻たちが来るのを待つ。
「ティティ」
「泰鴻!」
久しぶりだね、のハグをしようとしたら軽くかわされた。
「それはボスが喜ばれない」
「いいじゃん、ちょっとくらい。ねえ、ねえ。このあとの仕事、私も連れていってよ」
「ダメだ。それより、外でお待ちだ」
誰が、とは聞かない。
折角、私が手柄をたてたのに。と不貞腐れながら外に出ると、スティーブンさんが困ったように笑いながら「や」と言った。
「ここまでやらせたなら、最後までやってもよくないですか?」
「うーん、また今度な」
その今度は一体いつくるのか。
歩きだす私の隣を歩きながら、スティーブンさんは申し訳なさそうに「今回は長引かせて悪かったな」と謝る。
「本当ですよ。いつ、手を引くのかとヤキモキしたんですからね」
「ごめん、ごめん」
「もしかしたら、本当に付き合えば、とか思ってるのかと思いましたよ」
「キミがそうしたいなら、それでもいいかとは思っていたよ」
どうせ嘘だというのはわかっているが、からかって「本当に?」と聞くと、渋い顔で「……嫌だ」と言うから吹き出してしまった。
ほらね。
「キミに恋人とか嫌だなあ。いや、いいんだ!キミが本当に好きなら、全然いいんだ!でも、はっきり言って俺以上にキミを愛せる人間はいないだろ!だからせめて、俺を倒してキミを奪うくらいの気概を見せてほしい!俺を倒せないやつがティティの恋人になるなんておこがましいにもほどがある!」
「落ち着け、お父さん」
スティーブンさんを倒せる男なんて、そういない。
気持ちを落ち着かせるために「そうなると、もうクラウスさんしか相手がいないですね」と冗談で言ったら、さらに悩みだした。
「クラウス……クラウスなら……」
「冗談ですよ。私は死ぬまでスティーブンさんについていくつもりなんで、恋人は作りません」
「本当かい?」
「ええ。あ、でもスティーブンさんに恋人ができたら、話は変わりますね」
「大丈夫だよ。キミ以上に、俺を理解してくれる女性はいないからね」
そう期待されてしまうと、応えたくなってしまうあたりに私の忠犬精神が見え隠れする。
「ここ数ヶ月、キミから引き離されてたから、しばらくは俺の側にいてくれ」
「はいはい、ボス」