蘭の嫁
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「えー!オフ会っすか?!やったー!行きます、行きます!」
ゲームを通して仲良くなったムミ子さんに誘われ、オフ会をすることになった。
同士と会うということに浮かれていたら、「機嫌いいな、美夜子」とジャイアンに声をかけられた。
「オフ会するんですよ!」
「ふーん。一応、場所教えろよ?」
「……」
「嫌な顔してもダーメ」
心配なの、と私の頬を指の背で撫でながらジャイアンは言う。
仕方がない、とオフ会の場所と時間をジャイアンに教える。
「ん。じゃあ、終わったら連絡しろ。迎えに行くから」
「え、いいです」
「んー?なんか言ったかー?言えるもんなら、もう一回言ってみようか?」
ギリギリと頬をつねられた。
「なんれもないれす!」
「ならいい。久しぶりに楽しんでこいよ」
よしよし、と私の頭を撫でて、ジャイアンは仕事に行った。
くっ、変なところでお兄ちゃんムーヴしやがって……。
約束の夜。
同士に恥じないように着飾り約束の場所に来ると、ムミ子さんらしき人を見つけた。
「ムミ子さんですか?」
「え、はい!ムミ子です!ランリンドさんですか?」
「はい!ランリンドです!会えてよかったです!」
ムミ子さん、イメージではムーミンのようなフワフワ女子だったが、中々のゴリゴリロック女子だった。
いや、まあ、あんなバトロワゲームをやっている子が、フワフワ女子なわけなかったわな。
暴言と煽りが飛び交う世界だぞ。
「お店、こっちです」
ムミ子さんに連れてこられた店は、個人経営のバーだった。
あれ、調べたときはカフェだったんだけどな。
すでに嫌な予感がし、入るのを躊躇っていたらムミ子さんに腕を捕まれ引きずり込まれた。
中には何名かの男女。
誰も彼もガラが悪い。
まずいなあ……。
「ランリンドさん、紹介するね!私の友だち!」
「あ、はい……。二人ではなかったんですね……」
「みんないい子だよ!」
そういう話じゃないんだわな。
ジャイアンに連絡をとらなくては、と焦りながら「旦那に、店が変わったって連絡しないといけないんで」と断って電話をしようとしたら、男の一人に腕を掴まれる。
「いいじゃん、いいじゃん!今日はオールで楽しめば!」
「うちの旦那そういうの厳しいんでー」
「束縛旦那ってやつですか!ダメだよ、ランリンドさん!別れた方がいいって!」
「そうそう!俺とかどう?優しくするよ?」
若人の押しがつれ〜!
「それに、束縛旦那は将来的にDVするようになりますよ。そんなクズ、早めに捨てた方が将来的に幸せになれるって!」
「……はぁ?」
私の、どこから出したんだというような低い声に、その場の全員が固まった。
「あんたが、蘭のなにを知ってクズとか抜かしてんだ?あの人は、たしかに理不尽の権化だし自由でワガママではあるけど、私を不幸にするような暴力は振るわない。絶対にだ。なにも知らないのに、知ったような口きくな」
全員を睨みつけてから、「気分悪いんで帰ります」と言って手を振りほどこうとしたが、ビクともしない。
「いいね、いいね!好きだよ、気の強い女!あと、俺、寝取りとかも好きなんだー。信頼しながら、快楽に堕ちろよ。ああ、警察に行っても無駄だぜ?この店は、梵天傘下だからな。警察も迂闊に手出しできねえよ」
どこまでがハッタリかはわからないが、このままではよくない事態に発展しそうだ。
どうしよう……、と意外と冷静に考えているのは、ジャイアンと竜胆くんに追い回されてきたからだろうか。
まあ、あの二人は私が本当に泣く一歩手前でやめてはくれていたが。
男がべろり、と私の手を舐めようとした瞬間、男の顔面に拳がめりこんだ。
「寝取れるもんなら、やってみろよ」
敵のときは一番聞きたくはないが、味方のときは一番聞きたい声。
「蘭ちゃん……」
「うん。ちょっと、俺こいつらに話があるから外出てくれるか?外に竜胆いるから」
蘭ちゃんのちょっと話がある、つまり拳による対話だろうなと察し、足早に店から出た。
外に出ると竜胆くんがいて、私を見ると眉を釣り上げ「バカ!」と怒る。
「なんで、こんな明らかにやべえ場所に連れてこられた時点で帰らなかったんだよ!」
「ごめんなさい……」
「うちの連中から連絡なかったら、どうなってたかわかんなかったんだぞ!わかってんのか!」
「はい……」
小さくなる私に、竜胆くんは深めのため息をついて、「兄ちゃんにちゃんと謝って、礼言うんだぞ」と言った。
はい、それはもう、もちろんです。
「……怖くなかったか?」
「蘭ちゃんと竜胆くんに鍛えられましたからね!多少のことでは、動じませんよ!」
「どういう意味だ……?」
「あっ、あっ、すみません……」
もちもちと頬をつねられていると、「竜胆、美夜子イジメんな」と、スーツを整えながらジャイアンが戻ってきた。
「イジメてねえよ。こいつ、俺らのことが怖いって言うからさ」
「えー。美夜子、酷えな。こんなに大切にしてやってんのに」
「あう……」
両頬を二人につままれ引っ張られる。
痛くないけど、なんか嫌だ。
「んじゃ、俺は美夜子と帰るから、後始末頼むわ」
「スクラップしとく?」
「取っておいてくれると、兄ちゃん嬉しいな♡」
「ん、わかった。じゃあな、美夜子。もう危ないことするなよ」
「はい」
車に乗ると、ジャイアンが「美夜子さ、意外と俺のこと好きだろ」と聞いてくる。
は?普通に嫌いだけど?
「好きじゃなかったら、俺がバカにされてあんなに怒らないじゃん」
「……私は、蘭ちゃんのいいところも悪いところも知っているつもりです。それを全部秤にかけて、嫌いだなって思ってるだけです」
「ふーん?じゃあ、別に俺がなに言われてもいいんじゃねえの?」
「なにも知らない赤の他人に蘭ちゃんを語られるのはムカつきます」
そうきっぱり言うと、ジャイアンは目を丸くしてから、ニヤニヤと口元を緩めて「やっぱ好きじゃん」と言う。
好きじゃないって言ってんだろうが。とは、これ以上怖くて言えず黙っていると、「ハンネも、俺と竜胆くっつけたやつにしてさ。かーわい」と言い、指で頬をつついてくる。
「二人の名前は、綺麗で好きなんですよ」
「えー、マジかよ。超うれしい」
うれしいと言っているはずなのに、頬をつつく指がめり込んでいる。
これはもう、指すではないだろうか。
「俺も、美夜子の名前好き。いっぱい呼びたくなる」
そう言うと、「美夜子」と何度も名前を呼んできた。
その声が、甘く、あまえるように、愛しい者の名前を呼ぶ音で、ああ、こうやって何人もの女を勘違いさせてきたんだな、と納得した。
まあ、私は自分の立場をわきまえていますし、ジャイアンのことが嫌いなので勘違いしませんけども。
「なんか気分乗ったから、デートしようぜ。折角、美夜子もオシャレしてんだしさ」
「私は気乗りしない……」
「残念だなあ。一緒にゲームも見て、買ってやろうと思ったのに」
「蘭ちゃん大好きー!なに買う?!」
「相変わらず早い手のひら返しだなー。そういうとこ、俺も大好きだぜ♡デートに付き合ってくれたあとに、買いに行こうな♡」
「あと、心配させて、すみませんでした。助けてくれて、ありがとうございます」
「流れで言うんじゃねえよ、そこはキレてるからな」
ゲームを通して仲良くなったムミ子さんに誘われ、オフ会をすることになった。
同士と会うということに浮かれていたら、「機嫌いいな、美夜子」とジャイアンに声をかけられた。
「オフ会するんですよ!」
「ふーん。一応、場所教えろよ?」
「……」
「嫌な顔してもダーメ」
心配なの、と私の頬を指の背で撫でながらジャイアンは言う。
仕方がない、とオフ会の場所と時間をジャイアンに教える。
「ん。じゃあ、終わったら連絡しろ。迎えに行くから」
「え、いいです」
「んー?なんか言ったかー?言えるもんなら、もう一回言ってみようか?」
ギリギリと頬をつねられた。
「なんれもないれす!」
「ならいい。久しぶりに楽しんでこいよ」
よしよし、と私の頭を撫でて、ジャイアンは仕事に行った。
くっ、変なところでお兄ちゃんムーヴしやがって……。
約束の夜。
同士に恥じないように着飾り約束の場所に来ると、ムミ子さんらしき人を見つけた。
「ムミ子さんですか?」
「え、はい!ムミ子です!ランリンドさんですか?」
「はい!ランリンドです!会えてよかったです!」
ムミ子さん、イメージではムーミンのようなフワフワ女子だったが、中々のゴリゴリロック女子だった。
いや、まあ、あんなバトロワゲームをやっている子が、フワフワ女子なわけなかったわな。
暴言と煽りが飛び交う世界だぞ。
「お店、こっちです」
ムミ子さんに連れてこられた店は、個人経営のバーだった。
あれ、調べたときはカフェだったんだけどな。
すでに嫌な予感がし、入るのを躊躇っていたらムミ子さんに腕を捕まれ引きずり込まれた。
中には何名かの男女。
誰も彼もガラが悪い。
まずいなあ……。
「ランリンドさん、紹介するね!私の友だち!」
「あ、はい……。二人ではなかったんですね……」
「みんないい子だよ!」
そういう話じゃないんだわな。
ジャイアンに連絡をとらなくては、と焦りながら「旦那に、店が変わったって連絡しないといけないんで」と断って電話をしようとしたら、男の一人に腕を掴まれる。
「いいじゃん、いいじゃん!今日はオールで楽しめば!」
「うちの旦那そういうの厳しいんでー」
「束縛旦那ってやつですか!ダメだよ、ランリンドさん!別れた方がいいって!」
「そうそう!俺とかどう?優しくするよ?」
若人の押しがつれ〜!
「それに、束縛旦那は将来的にDVするようになりますよ。そんなクズ、早めに捨てた方が将来的に幸せになれるって!」
「……はぁ?」
私の、どこから出したんだというような低い声に、その場の全員が固まった。
「あんたが、蘭のなにを知ってクズとか抜かしてんだ?あの人は、たしかに理不尽の権化だし自由でワガママではあるけど、私を不幸にするような暴力は振るわない。絶対にだ。なにも知らないのに、知ったような口きくな」
全員を睨みつけてから、「気分悪いんで帰ります」と言って手を振りほどこうとしたが、ビクともしない。
「いいね、いいね!好きだよ、気の強い女!あと、俺、寝取りとかも好きなんだー。信頼しながら、快楽に堕ちろよ。ああ、警察に行っても無駄だぜ?この店は、梵天傘下だからな。警察も迂闊に手出しできねえよ」
どこまでがハッタリかはわからないが、このままではよくない事態に発展しそうだ。
どうしよう……、と意外と冷静に考えているのは、ジャイアンと竜胆くんに追い回されてきたからだろうか。
まあ、あの二人は私が本当に泣く一歩手前でやめてはくれていたが。
男がべろり、と私の手を舐めようとした瞬間、男の顔面に拳がめりこんだ。
「寝取れるもんなら、やってみろよ」
敵のときは一番聞きたくはないが、味方のときは一番聞きたい声。
「蘭ちゃん……」
「うん。ちょっと、俺こいつらに話があるから外出てくれるか?外に竜胆いるから」
蘭ちゃんのちょっと話がある、つまり拳による対話だろうなと察し、足早に店から出た。
外に出ると竜胆くんがいて、私を見ると眉を釣り上げ「バカ!」と怒る。
「なんで、こんな明らかにやべえ場所に連れてこられた時点で帰らなかったんだよ!」
「ごめんなさい……」
「うちの連中から連絡なかったら、どうなってたかわかんなかったんだぞ!わかってんのか!」
「はい……」
小さくなる私に、竜胆くんは深めのため息をついて、「兄ちゃんにちゃんと謝って、礼言うんだぞ」と言った。
はい、それはもう、もちろんです。
「……怖くなかったか?」
「蘭ちゃんと竜胆くんに鍛えられましたからね!多少のことでは、動じませんよ!」
「どういう意味だ……?」
「あっ、あっ、すみません……」
もちもちと頬をつねられていると、「竜胆、美夜子イジメんな」と、スーツを整えながらジャイアンが戻ってきた。
「イジメてねえよ。こいつ、俺らのことが怖いって言うからさ」
「えー。美夜子、酷えな。こんなに大切にしてやってんのに」
「あう……」
両頬を二人につままれ引っ張られる。
痛くないけど、なんか嫌だ。
「んじゃ、俺は美夜子と帰るから、後始末頼むわ」
「スクラップしとく?」
「取っておいてくれると、兄ちゃん嬉しいな♡」
「ん、わかった。じゃあな、美夜子。もう危ないことするなよ」
「はい」
車に乗ると、ジャイアンが「美夜子さ、意外と俺のこと好きだろ」と聞いてくる。
は?普通に嫌いだけど?
「好きじゃなかったら、俺がバカにされてあんなに怒らないじゃん」
「……私は、蘭ちゃんのいいところも悪いところも知っているつもりです。それを全部秤にかけて、嫌いだなって思ってるだけです」
「ふーん?じゃあ、別に俺がなに言われてもいいんじゃねえの?」
「なにも知らない赤の他人に蘭ちゃんを語られるのはムカつきます」
そうきっぱり言うと、ジャイアンは目を丸くしてから、ニヤニヤと口元を緩めて「やっぱ好きじゃん」と言う。
好きじゃないって言ってんだろうが。とは、これ以上怖くて言えず黙っていると、「ハンネも、俺と竜胆くっつけたやつにしてさ。かーわい」と言い、指で頬をつついてくる。
「二人の名前は、綺麗で好きなんですよ」
「えー、マジかよ。超うれしい」
うれしいと言っているはずなのに、頬をつつく指がめり込んでいる。
これはもう、指すではないだろうか。
「俺も、美夜子の名前好き。いっぱい呼びたくなる」
そう言うと、「美夜子」と何度も名前を呼んできた。
その声が、甘く、あまえるように、愛しい者の名前を呼ぶ音で、ああ、こうやって何人もの女を勘違いさせてきたんだな、と納得した。
まあ、私は自分の立場をわきまえていますし、ジャイアンのことが嫌いなので勘違いしませんけども。
「なんか気分乗ったから、デートしようぜ。折角、美夜子もオシャレしてんだしさ」
「私は気乗りしない……」
「残念だなあ。一緒にゲームも見て、買ってやろうと思ったのに」
「蘭ちゃん大好きー!なに買う?!」
「相変わらず早い手のひら返しだなー。そういうとこ、俺も大好きだぜ♡デートに付き合ってくれたあとに、買いに行こうな♡」
「あと、心配させて、すみませんでした。助けてくれて、ありがとうございます」
「流れで言うんじゃねえよ、そこはキレてるからな」