蘭の嫁
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「おっ、蘭の嫁じゃん」
「ほ?」
買い物に出ると、見知らぬ男性に声をかけられた。
どこかで会っただろうか?と思い出すも、そもそもこんなEXITの兼近みたいなピンク頭を忘れるはずもない。
なら、考えられる可能性としては、ジャイアンの知り合い……!
「人違いですね」
「はぁ?オマエ、蘭の嫁だろ?写真で見たぞ?」
「よくある地味顔なので。私、まだ独身ですから」
ジャイアンの知り合いということは、まともなやつじゃねえ。
全力回避せねばと、知り合いでも嫁でもないと主張していると、痺れを切らした兼近が、後ろにいたブルーベリーヨーグルトみたいな紫ウルフに「おい、竜胆!こいつ、蘭の嫁じゃねえのかよ!」と聞いた。
「わかんねえ。そもそも、兄貴が結婚したって事実も、俺信じられてねえし」
「はー?じゃあ、蘭が結婚したってのは嘘かよ!」
「わかんねえし、本人に聞いた方がはえーんじゃね」
そう言うと、ブルーベリーヨーグルトはどこかに電話をかけ始めた。
このスキに逃げよう、としたがブルーベリーヨーグルトと兼近に両サイドから腕を捕まれ逃走失敗。
私はただ、夕飯と飲み物を買いに出ただけなのに……。
宇宙人のように確保されていると、「兄貴来るって」と言って、私を近くの喫茶店に引きずり込んだ。
「好きに頼めよ、奢ってやるから」
「あ、ありがとうございます……」
「よっしゃー。高いやつ頼んでやろ」
「テメーは自腹だ、ヤク中」
ヤク中……酷いニックネームをつけるな……。私は人のこと言えないけど。
「じゃあ、アールグレイで」
「ん。じゃあ、アールグレイ二つ」
「キャラメル・ラテ」
「キャラに合わねえもん頼むなよ。美夜子、飯はいいのか?」
「じゃあ、カルボナーラを頼んでもいいですか?」
「いいよ」
お言葉に甘えて夕飯にさせてもらい、ジャイアンを待っている間に兼近とブルーベリーヨーグルトと打ち解けたのはいいのだが、一向に二人共名乗ってくれないんだよなぁ……。
日本語ってすごいことに、名前がわからなくても会話が成立してしまうのだ。
いまさら聞いたら怒るかな、と思っていたら、「なんか仲良さそうじゃん。妬いちゃうなー」と思ってもいないようなことを言いながら、ジャイアンが現れた。
私が逃げないように席を塞いでいたブルーベリーヨーグルトがジャイアンと交替し、私の隣にジャイアン、向かいに兼近とブルーベリーヨーグルトが。
熱にうなされたときに見る悪夢みたいな配色だな。
「それで?美夜子は俺と結婚してないんだって……?」
「うっ……」
少し低めの声で尋ねられ、言葉につまる。
まさか、ジャイアンの知り合いなら、みんなヤベー奴だろうと思ったとは言えず、「いや、すごい髪色の人に話しかけられて日和りまして……」と答える。
「ヤベー奴だと思って怖かったから、知らない人の振りしようとしたのか?」
「はい」
「んだと、テメー!誰がヤベー奴だ!」
騒ぐ兼近に、ブルーベリーヨーグルトが「オマエはどこからどう見てもヤベー奴だろうが」とツッコんだ。
ジャイアンはそれを無視し、「ちゃんと危機管理できて偉いなー」と私の頭を撫でる。
「けど、そういうときは竜胆頼ろうな」
「いや、私、竜胆くんの連絡先知らないんで」
「目の前にいんだろうが」
そうブルーベリーヨーグルトが言うから、ビックリして目を細めたりちょっと引きで見たりしていたら、「手紙確認するプーさんみたいな顔するな」と言われた。
え、ブルーベリーヨーグルトが竜胆くん……?
「昔はもっと、セブンティーンアイスのソーダフロートみたいな頭だったじゃん!」
「誰が、セブンティーンアイスのソーダフロートだ!腕折られてえのか?!」
「ぎゃははは!セブンティーンアイス!」
「うるせえぞ、ヤク中!」
本当に、人間の顔面覚えるの苦手だから、特徴的な髪であればあるほど判断がつきにくくなる。
「ジャイ子といい、なに?!オマエ、俺のこと嫌いなの?!」
「蘭ちゃんよりかは好きでした!」
「おーし、美夜子。カードとりあげな」
「いまは、蘭ちゃんの財力が好きです!」
「そんなこと言われると、おこづかいやりたくなっちゃうだろー」
私たちのやり取りを見ていた兼近が、「なんだ、嫁じゃなくてヒモかよ」言うが、まあ、関係性としては婚姻関係のあるヒモだわな。
私は嫁だろうとヒモだろうと構わないのだが、ジャイアンは「ヒモは結婚しねえけど、俺たちは結婚したから正式な嫁だっての」と訂正する。
「金で繋がった関係とか、九井が嫌な顔しそうだな」
「知るかよ。俺は美夜子に金を払って、美夜子は俺のオモチャになる。win-winの関係だろ」
「はー?嫁はそれでいいの?」
「結婚なんて、金と忍耐力さえあればいい。愛でなんとかなる関係性じゃないんだよ」
「否定はしねえけど、なんか嫌なことあったのか、美夜子?」
心配する竜胆くんには悪いが、これは単に親が口酸っぱく言ってるだけである。
愛で乗り越えられることはたかが知れている、と。私もそう思うワンニャン。
「金がある限り、美夜子は一生俺の物だもんな」
「うっす」
「いや、ただの舎弟じゃねーかよ!」
「ところで、美夜子はさっきまで、竜胆と三途なんて呼んでたんだ?」
嫌なところに気付きやがる。
黙り込む私に、ジャイアンが「怒らねえから、言ってみな?」と言うが、そりゃ、オマエのことじゃないから怒らなくて当たり前だろ。
しかし、言わないと絶対にコイツは怒る。
「……ブルーベリーヨーグルトと兼近です」
そう白状すると、竜胆くんと三途さんに「美夜子、路地裏行こうぜ。ちょっと脚折ってやるから」「服で見えねえとこ、ぶん殴ってやるから安心しろ」と言われた。
人生で一番嫌なお誘いと、一番安心できない安心しろである。
脚は折られなかったが、竜胆くんに死ぬほど痛い関節技決められたし、三途さんには乳揉まれたし、ジャイアンはそれを笑いながら録画していただけであった。
ジャイアンが一番嫌い。
「ほ?」
買い物に出ると、見知らぬ男性に声をかけられた。
どこかで会っただろうか?と思い出すも、そもそもこんなEXITの兼近みたいなピンク頭を忘れるはずもない。
なら、考えられる可能性としては、ジャイアンの知り合い……!
「人違いですね」
「はぁ?オマエ、蘭の嫁だろ?写真で見たぞ?」
「よくある地味顔なので。私、まだ独身ですから」
ジャイアンの知り合いということは、まともなやつじゃねえ。
全力回避せねばと、知り合いでも嫁でもないと主張していると、痺れを切らした兼近が、後ろにいたブルーベリーヨーグルトみたいな紫ウルフに「おい、竜胆!こいつ、蘭の嫁じゃねえのかよ!」と聞いた。
「わかんねえ。そもそも、兄貴が結婚したって事実も、俺信じられてねえし」
「はー?じゃあ、蘭が結婚したってのは嘘かよ!」
「わかんねえし、本人に聞いた方がはえーんじゃね」
そう言うと、ブルーベリーヨーグルトはどこかに電話をかけ始めた。
このスキに逃げよう、としたがブルーベリーヨーグルトと兼近に両サイドから腕を捕まれ逃走失敗。
私はただ、夕飯と飲み物を買いに出ただけなのに……。
宇宙人のように確保されていると、「兄貴来るって」と言って、私を近くの喫茶店に引きずり込んだ。
「好きに頼めよ、奢ってやるから」
「あ、ありがとうございます……」
「よっしゃー。高いやつ頼んでやろ」
「テメーは自腹だ、ヤク中」
ヤク中……酷いニックネームをつけるな……。私は人のこと言えないけど。
「じゃあ、アールグレイで」
「ん。じゃあ、アールグレイ二つ」
「キャラメル・ラテ」
「キャラに合わねえもん頼むなよ。美夜子、飯はいいのか?」
「じゃあ、カルボナーラを頼んでもいいですか?」
「いいよ」
お言葉に甘えて夕飯にさせてもらい、ジャイアンを待っている間に兼近とブルーベリーヨーグルトと打ち解けたのはいいのだが、一向に二人共名乗ってくれないんだよなぁ……。
日本語ってすごいことに、名前がわからなくても会話が成立してしまうのだ。
いまさら聞いたら怒るかな、と思っていたら、「なんか仲良さそうじゃん。妬いちゃうなー」と思ってもいないようなことを言いながら、ジャイアンが現れた。
私が逃げないように席を塞いでいたブルーベリーヨーグルトがジャイアンと交替し、私の隣にジャイアン、向かいに兼近とブルーベリーヨーグルトが。
熱にうなされたときに見る悪夢みたいな配色だな。
「それで?美夜子は俺と結婚してないんだって……?」
「うっ……」
少し低めの声で尋ねられ、言葉につまる。
まさか、ジャイアンの知り合いなら、みんなヤベー奴だろうと思ったとは言えず、「いや、すごい髪色の人に話しかけられて日和りまして……」と答える。
「ヤベー奴だと思って怖かったから、知らない人の振りしようとしたのか?」
「はい」
「んだと、テメー!誰がヤベー奴だ!」
騒ぐ兼近に、ブルーベリーヨーグルトが「オマエはどこからどう見てもヤベー奴だろうが」とツッコんだ。
ジャイアンはそれを無視し、「ちゃんと危機管理できて偉いなー」と私の頭を撫でる。
「けど、そういうときは竜胆頼ろうな」
「いや、私、竜胆くんの連絡先知らないんで」
「目の前にいんだろうが」
そうブルーベリーヨーグルトが言うから、ビックリして目を細めたりちょっと引きで見たりしていたら、「手紙確認するプーさんみたいな顔するな」と言われた。
え、ブルーベリーヨーグルトが竜胆くん……?
「昔はもっと、セブンティーンアイスのソーダフロートみたいな頭だったじゃん!」
「誰が、セブンティーンアイスのソーダフロートだ!腕折られてえのか?!」
「ぎゃははは!セブンティーンアイス!」
「うるせえぞ、ヤク中!」
本当に、人間の顔面覚えるの苦手だから、特徴的な髪であればあるほど判断がつきにくくなる。
「ジャイ子といい、なに?!オマエ、俺のこと嫌いなの?!」
「蘭ちゃんよりかは好きでした!」
「おーし、美夜子。カードとりあげな」
「いまは、蘭ちゃんの財力が好きです!」
「そんなこと言われると、おこづかいやりたくなっちゃうだろー」
私たちのやり取りを見ていた兼近が、「なんだ、嫁じゃなくてヒモかよ」言うが、まあ、関係性としては婚姻関係のあるヒモだわな。
私は嫁だろうとヒモだろうと構わないのだが、ジャイアンは「ヒモは結婚しねえけど、俺たちは結婚したから正式な嫁だっての」と訂正する。
「金で繋がった関係とか、九井が嫌な顔しそうだな」
「知るかよ。俺は美夜子に金を払って、美夜子は俺のオモチャになる。win-winの関係だろ」
「はー?嫁はそれでいいの?」
「結婚なんて、金と忍耐力さえあればいい。愛でなんとかなる関係性じゃないんだよ」
「否定はしねえけど、なんか嫌なことあったのか、美夜子?」
心配する竜胆くんには悪いが、これは単に親が口酸っぱく言ってるだけである。
愛で乗り越えられることはたかが知れている、と。私もそう思うワンニャン。
「金がある限り、美夜子は一生俺の物だもんな」
「うっす」
「いや、ただの舎弟じゃねーかよ!」
「ところで、美夜子はさっきまで、竜胆と三途なんて呼んでたんだ?」
嫌なところに気付きやがる。
黙り込む私に、ジャイアンが「怒らねえから、言ってみな?」と言うが、そりゃ、オマエのことじゃないから怒らなくて当たり前だろ。
しかし、言わないと絶対にコイツは怒る。
「……ブルーベリーヨーグルトと兼近です」
そう白状すると、竜胆くんと三途さんに「美夜子、路地裏行こうぜ。ちょっと脚折ってやるから」「服で見えねえとこ、ぶん殴ってやるから安心しろ」と言われた。
人生で一番嫌なお誘いと、一番安心できない安心しろである。
脚は折られなかったが、竜胆くんに死ぬほど痛い関節技決められたし、三途さんには乳揉まれたし、ジャイアンはそれを笑いながら録画していただけであった。
ジャイアンが一番嫌い。