じゃじゃ馬淑女
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「聞いてよ、恭弥くん」
「ヤダ。どうせ、キミの王子様がどうのの話でしょ。そんな話するくらいなら、キミに稽古つけるよ」
お茶の席で、恭弥くんに夏休み中の話を相談しようとしたら、速攻断られた。
聞いてくれよ、我が友、恭弥氏。と言ったら、「僕はキミの友だちじゃない」と言われて、ちょっと泣きそうになった。
恭弥くんとは小さい頃から家同士の付き合いで、なにかと顔を合わせていた。
母の家が並盛の二大名家のうちの一つで、昔から茶道、華道、日舞、琴となんか雅な習い事をさせられていた。
そんな母はお茶の先生をしていて、恭弥くんはそこに習いに来ていた、二大名家のもう一つである雲雀家の子息であった。
うちのモットーが「優雅に強く」で、お茶を教える代わりに、武芸に秀でた雲雀家に格闘術を習っていた。
まあ、言ってしまえば恭弥くんは私の師匠である。
私がお茶を点てたあとに稽古をつけてもらうようになったのは、いつからだろうか。
「聞いてよ〜。他に聞いてくれる人がいない〜」
「友だちがいないことに好感は持てたから、少し聞いてあげる」
交換の持ち方が最悪かよ。
まあ、聞いてくれるならそれでいいや。
「いやさ、この間のイタリア旅行で、その王子との婚約の話が出てさ」
「出だしからもう情報が重いんだけど」
そうだな、私もこの話をされたときには「この歳で結婚を決めないといけないのか」と動揺したものだ。
ディーノくんが嫌いなわけではないし、むしろいまのうちから確保できるなら確保しておきたい。何年惚れていると思っているんだ。
「いくつ差だっけ」
「六つ」
「相手の男の正気を疑うね。キミの熱意に負けたの?」
「そういう感じではなかった」
「なおさら正気を疑うよ。いいかい、未成年に手を出す大人にろくなやつはいないよ」
「あれは未遂!」
思い出して顔を覆う私に、恭弥くんは「なにかされたの……?」と聞いてきた。
だから、あれは未遂なんだ。されたのはほっぺただったし。とモニョモニョと言う私に、恭弥くんは無慈悲に「事案」と言った。
「事案じゃない!」
「どう聞いても事案じゃないか。なに、それで王子様に幻滅したの?」
「いや、男な部分を見てしまい、惚れ直した」
「なら、この話はおしまいだね」
はい、稽古行くよ。と言う恭弥くんに「もっと聞いてよ〜!」とお願いすれば、「なんで、他人の惚気なんて聞かないといけないの」と嫌そうな顔をされた。
「私たちの仲じゃん……!」
「キミとの仲だから、聞き飽きたって言ってるの」
「今回の話は一段と甘いんですよ、恭弥くん!」
「余計聞きたくない」
そう言って、恭弥くんは私を振り切り道場の方へと行ってしまった。
聞いてくれないなら、反芻するからいいよ。
この夏休みは色んな扉が開いてしまった。
いつもは全てを受け入れる気のいいお兄さんだったディーノくんが、完全に私を女の扱いをしだしたから正直戸惑った。
普段は私から押せ押せだったのが、逆転してディーノくんからの押せ押せで私は始終赤面して慌ててばかりだった。
これが歳の差、テクニックの差!
花束に始まり、プレゼントは当たり前。さり気なく手は繋がれるし、耳元で囁かれたときには危うくまた鼻血がでそうだった。
ディーノくんも、キスは私が鼻血をだすとわかっているからか、あれ以来キスをされることはないが、一度だけ「二十歳になるのが待ち遠しいな」と唇を触られたときには、色気にやられ膝から崩れ落ちた。
完全に私が自分以外の男に目移りしないように落としにかかってきている。
そんなことをしなくとも、私はディーノくん以外に目移りしないのに。
「はぁ……ディーノくん好き……」
「悦に浸らないで」
べしっ、といつの間にか戻ってきていた恭弥くんに頭を引っ叩かれた。
「戻ってきたなら、相談のってよ〜」
「惚気なら聞かないよ」
「惚気じゃなくて、相談」
恭弥くんは少し考えてから側に座り、「どうしたの?」と聞いてくれる。
恭弥くんのそういう優しいところ、好きだよ。
「王子様がさ、私が目移りしないのにアプローチしてくれるのは嬉しいんだけどさ、いまだけかも知れないじゃん?いまは若いから可愛く見えてるだけで、年取ったらさ、わからないじゃん……」
しょぼくれながら不安を吐露すると、恭弥くんはいつものトーンで「キミは愚かだね」と言った。
なぜ、このタイミングで罵られたんだ?
目を丸くする私に、恭弥くんはダメ押しのように「本当に愚か」ともう一度言う。
「キミの王子様は、年齢や若さなんてものでキミを評価する男なの?」
「それは……」
「僕はキミの色眼鏡がかかった王子様のことしか知らないけど、人の一生をそんなあやふやな理由で決めるような、不誠実な男ではないと思うよ」
「恭弥くん……。うん、そうだね。ディーノくんは、そんな人じゃない……」
「そうだよね。でも、未成年に手をだす大人はやっぱり正気を疑うよ、僕は」
「あれは未遂だからセーフ!」
「ヤダ。どうせ、キミの王子様がどうのの話でしょ。そんな話するくらいなら、キミに稽古つけるよ」
お茶の席で、恭弥くんに夏休み中の話を相談しようとしたら、速攻断られた。
聞いてくれよ、我が友、恭弥氏。と言ったら、「僕はキミの友だちじゃない」と言われて、ちょっと泣きそうになった。
恭弥くんとは小さい頃から家同士の付き合いで、なにかと顔を合わせていた。
母の家が並盛の二大名家のうちの一つで、昔から茶道、華道、日舞、琴となんか雅な習い事をさせられていた。
そんな母はお茶の先生をしていて、恭弥くんはそこに習いに来ていた、二大名家のもう一つである雲雀家の子息であった。
うちのモットーが「優雅に強く」で、お茶を教える代わりに、武芸に秀でた雲雀家に格闘術を習っていた。
まあ、言ってしまえば恭弥くんは私の師匠である。
私がお茶を点てたあとに稽古をつけてもらうようになったのは、いつからだろうか。
「聞いてよ〜。他に聞いてくれる人がいない〜」
「友だちがいないことに好感は持てたから、少し聞いてあげる」
交換の持ち方が最悪かよ。
まあ、聞いてくれるならそれでいいや。
「いやさ、この間のイタリア旅行で、その王子との婚約の話が出てさ」
「出だしからもう情報が重いんだけど」
そうだな、私もこの話をされたときには「この歳で結婚を決めないといけないのか」と動揺したものだ。
ディーノくんが嫌いなわけではないし、むしろいまのうちから確保できるなら確保しておきたい。何年惚れていると思っているんだ。
「いくつ差だっけ」
「六つ」
「相手の男の正気を疑うね。キミの熱意に負けたの?」
「そういう感じではなかった」
「なおさら正気を疑うよ。いいかい、未成年に手を出す大人にろくなやつはいないよ」
「あれは未遂!」
思い出して顔を覆う私に、恭弥くんは「なにかされたの……?」と聞いてきた。
だから、あれは未遂なんだ。されたのはほっぺただったし。とモニョモニョと言う私に、恭弥くんは無慈悲に「事案」と言った。
「事案じゃない!」
「どう聞いても事案じゃないか。なに、それで王子様に幻滅したの?」
「いや、男な部分を見てしまい、惚れ直した」
「なら、この話はおしまいだね」
はい、稽古行くよ。と言う恭弥くんに「もっと聞いてよ〜!」とお願いすれば、「なんで、他人の惚気なんて聞かないといけないの」と嫌そうな顔をされた。
「私たちの仲じゃん……!」
「キミとの仲だから、聞き飽きたって言ってるの」
「今回の話は一段と甘いんですよ、恭弥くん!」
「余計聞きたくない」
そう言って、恭弥くんは私を振り切り道場の方へと行ってしまった。
聞いてくれないなら、反芻するからいいよ。
この夏休みは色んな扉が開いてしまった。
いつもは全てを受け入れる気のいいお兄さんだったディーノくんが、完全に私を女の扱いをしだしたから正直戸惑った。
普段は私から押せ押せだったのが、逆転してディーノくんからの押せ押せで私は始終赤面して慌ててばかりだった。
これが歳の差、テクニックの差!
花束に始まり、プレゼントは当たり前。さり気なく手は繋がれるし、耳元で囁かれたときには危うくまた鼻血がでそうだった。
ディーノくんも、キスは私が鼻血をだすとわかっているからか、あれ以来キスをされることはないが、一度だけ「二十歳になるのが待ち遠しいな」と唇を触られたときには、色気にやられ膝から崩れ落ちた。
完全に私が自分以外の男に目移りしないように落としにかかってきている。
そんなことをしなくとも、私はディーノくん以外に目移りしないのに。
「はぁ……ディーノくん好き……」
「悦に浸らないで」
べしっ、といつの間にか戻ってきていた恭弥くんに頭を引っ叩かれた。
「戻ってきたなら、相談のってよ〜」
「惚気なら聞かないよ」
「惚気じゃなくて、相談」
恭弥くんは少し考えてから側に座り、「どうしたの?」と聞いてくれる。
恭弥くんのそういう優しいところ、好きだよ。
「王子様がさ、私が目移りしないのにアプローチしてくれるのは嬉しいんだけどさ、いまだけかも知れないじゃん?いまは若いから可愛く見えてるだけで、年取ったらさ、わからないじゃん……」
しょぼくれながら不安を吐露すると、恭弥くんはいつものトーンで「キミは愚かだね」と言った。
なぜ、このタイミングで罵られたんだ?
目を丸くする私に、恭弥くんはダメ押しのように「本当に愚か」ともう一度言う。
「キミの王子様は、年齢や若さなんてものでキミを評価する男なの?」
「それは……」
「僕はキミの色眼鏡がかかった王子様のことしか知らないけど、人の一生をそんなあやふやな理由で決めるような、不誠実な男ではないと思うよ」
「恭弥くん……。うん、そうだね。ディーノくんは、そんな人じゃない……」
「そうだよね。でも、未成年に手をだす大人はやっぱり正気を疑うよ、僕は」
「あれは未遂だからセーフ!」