60分一本勝負
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お題「電話」
「ケータイ、持ってる?」
恭弥くんにそう聞かれ、「持ってないよ」と答えると、満足そうな笑みを浮かべられた。
なぜそんなに嬉しそうな顔をするのか分からず首を傾げると、「買ってあげようか?」と言われた。
「え?!悪いよ!」
「大丈夫だよ、タダでとは言わないから」
それはそれで怖いな……、と言う私に、恭弥くんは指を一本立て「条件はひとつ。僕に朝起きたときと夜寝るときに電話すること」と言った。
「それだけでいいの?」
「うん。それが守れるなら、買ってあげるよ」
「も、もし、忘れたら……?」
「そうだね……」
溜められる間に、ごくり、と喉を鳴らすと、恭弥くんは私をチラリと見てから薄く笑い、「しばらく僕が不機嫌になるだけだよ」と言うから、絶対に忘れられない。と思ったのに、「なんてね」と続いた。
「別になにもないよ。心配になって、僕から電話するかも知れないけどね」
「恭弥くんからの電話、されたいかも」
「なに?もう、約束破るつもりなの?なら、買ってあげないけど」
「破らないよ!破らないから!」
慌てて否定すれば、恭弥くんは小さく笑ってから「じゃあ、買いに行こうか」と言いながら私の手を握って歩き出した。
未だに恭弥くんはたまに、子供のように私の手を引いて歩く。
迷子になんてならないのに。
ケータイショップのディスプレイを見ながら、どれにしようか迷う。
正直、どれも同じに見えてしまう。
「恭弥くんのオススメはある?」
「僕はこれを使ってるよ」
「じゃあ、これにする」
私の回答に満足したのか、満面の笑みを浮かべ「色はどれにする?」と聞いてきた。
「僕とおそろいにする?」
「うーん、白にしようかな」
そう答えると、恭弥くんは、むっ、とした表情をしたから、おそろいにしたかったんだろうな。
苦笑いをしながら、私はちゃんと恭弥くんに理由を説明する。
「だって、同じ色だと取り違えちゃうでしょ」
「そうだね……」
納得いかない、という表情をする恭弥くんに「黒と白もセット感あっていいと思わない?」とゴリ押しすれば、不満そうではあるが「まあ、いいよ」と納得はしてくれた。
ルンルンで初めてのケータイで恭弥くんとアドレスを交換する。
「じゃあ、今日の夜。ちゃんと連絡するんだよ」
「うん!」
今日はお母さんが早く帰ってくるので、恭弥くんの家にはよらず直帰した。
ご飯を食べている間も、お風呂に入っている間も、テレビを見ていてもソワソワしてしまい、落ち着かない。
お母さんにも「なにかあるの?」と聞かれてしまったので、その日は早めに寝ることにした。
ケータイの前で正座をし、なにを話すか考える。
まず、ケータイを買ってもらったお礼をして、今日の晩ごはんの話と、宿題の話と……と順序立てて考えてから、いざ!と電話をかける。
コール音が何回かし、「はい」と恭弥くんの声がする。
「あ、もしもし。雲雀恭弥くんのお電話で間違いないですか?」
『ふふっ……。どうしたんだい、そんな改まって。僕のケータイだから、僕以外でないよ』
「そ、そうなんだけど……。電話って、連絡網くらいでしかしたことないから緊張しちゃって」
『そう。それで、今日はどんな話を聞かせてくれるんだい』
「えっと、まずケータイ買ってくれて、ありがとう。さっそく、お母さんとお父さんの連絡先登録しました。お母さんが、恭弥くんにありがとうございますって言ってました」
『なんで敬語なの』
「なんか緊張しちゃって……」
そう言うと、恭弥くんは小さく笑ってから「どういたしまして」と言う。
それから、それから……。と焦る私に、恭弥くんは「ゆっくりでいいよ」と言ってくれる。
「えっと、今日の夕飯は豚の生姜焼きだった。私も手伝ったよ」
『偉いね。ちゃんと包丁使えた?』
「ば、バカにしないでよ!包丁くらいつかえるよくらい使えるよ!」
『そう?僕が料理教えたときは、上から振り下ろしてたように思うけど』
「うっ!恭弥くんに教わって、振り下ろさなくなったし」
『成長したね、偉いよ』
「あと、今日宿題でわからないとこがあった……」
『電話越しでいいなら、教えてあげるよ』
「ほんと!ありがとう、恭弥くん!」
そんな他愛もない話をして宿題を教えてもらっていたら、あっという間に一時間が過ぎていた。
そろそろ寝なくては、とは思うがもう少し話していたい。
「えっとね、恭弥くん」
『日向子、そろそろ寝なくていいの?』
先手を打って言われてしまい、肩を落としながら「うん、寝る時間」と言うと、残念な気持ちが伝わったのか面白そうに笑い、「いつでも話せるでしょ」と言われた。
「うん、そうだね。えへへ、いいね。話したいときに恭弥くんと話せるって」
『そうだね、僕もそう思うよ。ほら、もう寝な』
「うん。おやすみ、恭弥くん」
『おやすみ、日向子』
その日の夢には恭弥くんが現れて、たくさんお喋りをする夢を見た。
また明日、恭弥くんと話すのが楽しみだな。
「ケータイ、持ってる?」
恭弥くんにそう聞かれ、「持ってないよ」と答えると、満足そうな笑みを浮かべられた。
なぜそんなに嬉しそうな顔をするのか分からず首を傾げると、「買ってあげようか?」と言われた。
「え?!悪いよ!」
「大丈夫だよ、タダでとは言わないから」
それはそれで怖いな……、と言う私に、恭弥くんは指を一本立て「条件はひとつ。僕に朝起きたときと夜寝るときに電話すること」と言った。
「それだけでいいの?」
「うん。それが守れるなら、買ってあげるよ」
「も、もし、忘れたら……?」
「そうだね……」
溜められる間に、ごくり、と喉を鳴らすと、恭弥くんは私をチラリと見てから薄く笑い、「しばらく僕が不機嫌になるだけだよ」と言うから、絶対に忘れられない。と思ったのに、「なんてね」と続いた。
「別になにもないよ。心配になって、僕から電話するかも知れないけどね」
「恭弥くんからの電話、されたいかも」
「なに?もう、約束破るつもりなの?なら、買ってあげないけど」
「破らないよ!破らないから!」
慌てて否定すれば、恭弥くんは小さく笑ってから「じゃあ、買いに行こうか」と言いながら私の手を握って歩き出した。
未だに恭弥くんはたまに、子供のように私の手を引いて歩く。
迷子になんてならないのに。
ケータイショップのディスプレイを見ながら、どれにしようか迷う。
正直、どれも同じに見えてしまう。
「恭弥くんのオススメはある?」
「僕はこれを使ってるよ」
「じゃあ、これにする」
私の回答に満足したのか、満面の笑みを浮かべ「色はどれにする?」と聞いてきた。
「僕とおそろいにする?」
「うーん、白にしようかな」
そう答えると、恭弥くんは、むっ、とした表情をしたから、おそろいにしたかったんだろうな。
苦笑いをしながら、私はちゃんと恭弥くんに理由を説明する。
「だって、同じ色だと取り違えちゃうでしょ」
「そうだね……」
納得いかない、という表情をする恭弥くんに「黒と白もセット感あっていいと思わない?」とゴリ押しすれば、不満そうではあるが「まあ、いいよ」と納得はしてくれた。
ルンルンで初めてのケータイで恭弥くんとアドレスを交換する。
「じゃあ、今日の夜。ちゃんと連絡するんだよ」
「うん!」
今日はお母さんが早く帰ってくるので、恭弥くんの家にはよらず直帰した。
ご飯を食べている間も、お風呂に入っている間も、テレビを見ていてもソワソワしてしまい、落ち着かない。
お母さんにも「なにかあるの?」と聞かれてしまったので、その日は早めに寝ることにした。
ケータイの前で正座をし、なにを話すか考える。
まず、ケータイを買ってもらったお礼をして、今日の晩ごはんの話と、宿題の話と……と順序立てて考えてから、いざ!と電話をかける。
コール音が何回かし、「はい」と恭弥くんの声がする。
「あ、もしもし。雲雀恭弥くんのお電話で間違いないですか?」
『ふふっ……。どうしたんだい、そんな改まって。僕のケータイだから、僕以外でないよ』
「そ、そうなんだけど……。電話って、連絡網くらいでしかしたことないから緊張しちゃって」
『そう。それで、今日はどんな話を聞かせてくれるんだい』
「えっと、まずケータイ買ってくれて、ありがとう。さっそく、お母さんとお父さんの連絡先登録しました。お母さんが、恭弥くんにありがとうございますって言ってました」
『なんで敬語なの』
「なんか緊張しちゃって……」
そう言うと、恭弥くんは小さく笑ってから「どういたしまして」と言う。
それから、それから……。と焦る私に、恭弥くんは「ゆっくりでいいよ」と言ってくれる。
「えっと、今日の夕飯は豚の生姜焼きだった。私も手伝ったよ」
『偉いね。ちゃんと包丁使えた?』
「ば、バカにしないでよ!包丁くらいつかえるよくらい使えるよ!」
『そう?僕が料理教えたときは、上から振り下ろしてたように思うけど』
「うっ!恭弥くんに教わって、振り下ろさなくなったし」
『成長したね、偉いよ』
「あと、今日宿題でわからないとこがあった……」
『電話越しでいいなら、教えてあげるよ』
「ほんと!ありがとう、恭弥くん!」
そんな他愛もない話をして宿題を教えてもらっていたら、あっという間に一時間が過ぎていた。
そろそろ寝なくては、とは思うがもう少し話していたい。
「えっとね、恭弥くん」
『日向子、そろそろ寝なくていいの?』
先手を打って言われてしまい、肩を落としながら「うん、寝る時間」と言うと、残念な気持ちが伝わったのか面白そうに笑い、「いつでも話せるでしょ」と言われた。
「うん、そうだね。えへへ、いいね。話したいときに恭弥くんと話せるって」
『そうだね、僕もそう思うよ。ほら、もう寝な』
「うん。おやすみ、恭弥くん」
『おやすみ、日向子』
その日の夢には恭弥くんが現れて、たくさんお喋りをする夢を見た。
また明日、恭弥くんと話すのが楽しみだな。
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