60分一本勝負
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お題「花火」
花火大会のチラシを目の前に、私はワクワクドキドキしている。
いままでは風紀委員じゃないからとか、危ないからとか理由をつけられて、お祭りのショバ代回収に参加させてもらえなかったが、今日こそは!
なんたって、正式に風紀委員に入れてもらえたし、つまりは強さは認めてもらえたのだ。今日こそ、ショバ代回収に参加させてもらおう。
「恭弥くん、恭弥くん。もうすぐ、花火大会だね」
「学校では先輩、でしょ?」
「そうだった。恭弥先輩!ショバ代回収、私も行きま」
「ダメ」
す、と言い切る前に却下された。
「な、なんで!私だって、風紀委員なんだよ!」
「事務でしょ」
「そ、そんな……!私の力を認めたからではないの……?」
よろめく私に、恭弥先輩は「認めてるよ。でも、それはそれ。これはこれ」と言った。
「キミをわざわざ危険に晒す気はないから。それに、浴衣が気崩れるからダメ」
「あっ!今年も浴衣あるの!」
顔を輝かせると、「ちゃんと用意してあるよ」とさも当然のように言われた。
恭弥先輩は毎年毎年、花火大会の日に新しい浴衣を用意してくれる。
最初は喜んでいたが、成長するにつれ遠慮を覚え、前のがまだ着れるからいらないよ、と言ったら「毎年キミは変わっていくんだから、それに合わせる必要があるでしょ」と言われては、嬉しくなって受け入れるしかない。
まあ、変わっていっても、恭弥先輩の中で私のカルガモの赤ちゃんポジションが揺らぐことはないようだけれど。
「着付けてあげるから、朝、おいで」
「行くー!……じゃない!私は風紀委員の仕事がしたいの、恭弥先輩!」
「そんな楽しいものじゃないよ」
「私だって恭弥先輩目指してがんばってるんですよ!」
「目指さなくていいよ」
まったく取り合ってもらえず、花火大会前日までしつこく迫ったが話すら聞いてくれなかった。
ぐぬぬ……!しかし、私は諦めないぞ!
花火大会当日、私はセーラー服に着替えて恭弥くんの家ではなく、神社に向かう。
神社にはすでに、リーゼントの風紀委員が勢揃いしており、その集団に元気よく「おはようございます!」と挨拶をすると、場がざわついた。
集団の中から哲くんが駆け寄ってきて、「日向子!なんで、ここに!」と聞いてくるので「風紀委員の仕事をしに!」と、元気に回答する。
「ケータイはどうした?」
「うるさいので置いてきた!」
そう言うと、哲くんがめまいを起こしたような仕草をした。
だって、朝一にかかってきた恭弥くんからの電話に「行かない」と返して切ったら、物凄い量の着歴がついたから……。
「と……とにかく恭さんに連絡をせねば……」
「え、やめて、やめて、やめて。哲くんやめて」
「参加するなら、どの道、恭さんにバレるんだ。諦めろ」
「そうだよ、覚悟を決めな」
「……」
「……」
突然の雲雀恭弥御本人登場に静まり返る場。
肩を掴まれ半回転させられ、顔のあった恭弥くんは無表情ではあったが確かに怒っていた。
負けない!
むくれ面で恭弥くんを睨み返すと、恭弥くんも睨み返してくる。
数秒睨み合ったが、突然恭弥くんがフッ、と笑って「可愛いから許してあげる」と言った。
「じゃあ、参加していいんだね!」
「それはダメ。あれは、キミには持ち上げられないから」
あれとは?と首を傾げる私に、恭弥くんはあれを指し示してくれた。
あれとは、取り壊しの為のハンマー。
「……」
「持って振り回せるなら、参加させてあげるよ」
そっとハンマーの柄を持ち、そのまま勢いで持ち上げようとするが、体がふらつく。
「う……んんん!」
「ほら、無理でしょ。わかったら、浴衣に着替えてきな」
無理矢理ハンマーから手を離させ、くるり、と向きを変えさせ背中を押した。
ちくしょ〜。
とぼとぼと恭弥くんの家へ行くと、家政婦さんにあれよあれよと浴衣を着せられた。
そのままお祭りへ取って返すと、既に何件か潰されたあとだった。
私も参加したかった……。
毎年恒例のあんず飴と広島焼きとイカ焼きを買って、恭弥くんとの裏山の約束の場所で待つが、今年は来るのが遅い。全部食べてしまった……。
なにかトラブルでもあったのかな、と思いながら待っていると、遅れて恭弥くんが来た。
トラブルがあったことは確実なので、特に聞かずに「始まっちゃうよ」と声をかければ、静かに隣に立ち肩を抱いてきた。
「帰ったら、浴衣よく見せてね」
「うん。……次こそ、ハンマー持ち上げられるように筋トレする」
「しなくていい」
花火大会のチラシを目の前に、私はワクワクドキドキしている。
いままでは風紀委員じゃないからとか、危ないからとか理由をつけられて、お祭りのショバ代回収に参加させてもらえなかったが、今日こそは!
なんたって、正式に風紀委員に入れてもらえたし、つまりは強さは認めてもらえたのだ。今日こそ、ショバ代回収に参加させてもらおう。
「恭弥くん、恭弥くん。もうすぐ、花火大会だね」
「学校では先輩、でしょ?」
「そうだった。恭弥先輩!ショバ代回収、私も行きま」
「ダメ」
す、と言い切る前に却下された。
「な、なんで!私だって、風紀委員なんだよ!」
「事務でしょ」
「そ、そんな……!私の力を認めたからではないの……?」
よろめく私に、恭弥先輩は「認めてるよ。でも、それはそれ。これはこれ」と言った。
「キミをわざわざ危険に晒す気はないから。それに、浴衣が気崩れるからダメ」
「あっ!今年も浴衣あるの!」
顔を輝かせると、「ちゃんと用意してあるよ」とさも当然のように言われた。
恭弥先輩は毎年毎年、花火大会の日に新しい浴衣を用意してくれる。
最初は喜んでいたが、成長するにつれ遠慮を覚え、前のがまだ着れるからいらないよ、と言ったら「毎年キミは変わっていくんだから、それに合わせる必要があるでしょ」と言われては、嬉しくなって受け入れるしかない。
まあ、変わっていっても、恭弥先輩の中で私のカルガモの赤ちゃんポジションが揺らぐことはないようだけれど。
「着付けてあげるから、朝、おいで」
「行くー!……じゃない!私は風紀委員の仕事がしたいの、恭弥先輩!」
「そんな楽しいものじゃないよ」
「私だって恭弥先輩目指してがんばってるんですよ!」
「目指さなくていいよ」
まったく取り合ってもらえず、花火大会前日までしつこく迫ったが話すら聞いてくれなかった。
ぐぬぬ……!しかし、私は諦めないぞ!
花火大会当日、私はセーラー服に着替えて恭弥くんの家ではなく、神社に向かう。
神社にはすでに、リーゼントの風紀委員が勢揃いしており、その集団に元気よく「おはようございます!」と挨拶をすると、場がざわついた。
集団の中から哲くんが駆け寄ってきて、「日向子!なんで、ここに!」と聞いてくるので「風紀委員の仕事をしに!」と、元気に回答する。
「ケータイはどうした?」
「うるさいので置いてきた!」
そう言うと、哲くんがめまいを起こしたような仕草をした。
だって、朝一にかかってきた恭弥くんからの電話に「行かない」と返して切ったら、物凄い量の着歴がついたから……。
「と……とにかく恭さんに連絡をせねば……」
「え、やめて、やめて、やめて。哲くんやめて」
「参加するなら、どの道、恭さんにバレるんだ。諦めろ」
「そうだよ、覚悟を決めな」
「……」
「……」
突然の雲雀恭弥御本人登場に静まり返る場。
肩を掴まれ半回転させられ、顔のあった恭弥くんは無表情ではあったが確かに怒っていた。
負けない!
むくれ面で恭弥くんを睨み返すと、恭弥くんも睨み返してくる。
数秒睨み合ったが、突然恭弥くんがフッ、と笑って「可愛いから許してあげる」と言った。
「じゃあ、参加していいんだね!」
「それはダメ。あれは、キミには持ち上げられないから」
あれとは?と首を傾げる私に、恭弥くんはあれを指し示してくれた。
あれとは、取り壊しの為のハンマー。
「……」
「持って振り回せるなら、参加させてあげるよ」
そっとハンマーの柄を持ち、そのまま勢いで持ち上げようとするが、体がふらつく。
「う……んんん!」
「ほら、無理でしょ。わかったら、浴衣に着替えてきな」
無理矢理ハンマーから手を離させ、くるり、と向きを変えさせ背中を押した。
ちくしょ〜。
とぼとぼと恭弥くんの家へ行くと、家政婦さんにあれよあれよと浴衣を着せられた。
そのままお祭りへ取って返すと、既に何件か潰されたあとだった。
私も参加したかった……。
毎年恒例のあんず飴と広島焼きとイカ焼きを買って、恭弥くんとの裏山の約束の場所で待つが、今年は来るのが遅い。全部食べてしまった……。
なにかトラブルでもあったのかな、と思いながら待っていると、遅れて恭弥くんが来た。
トラブルがあったことは確実なので、特に聞かずに「始まっちゃうよ」と声をかければ、静かに隣に立ち肩を抱いてきた。
「帰ったら、浴衣よく見せてね」
「うん。……次こそ、ハンマー持ち上げられるように筋トレする」
「しなくていい」