60分一本勝負
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お題「添い寝」
「そういえば、ここの所“お泊り”していかないね」
お泊りとは、文字通り恭弥くんの家にお泊りするわけなのだけれど、それは小学生のときに夜中まで両親が帰らない日に限った話だ。
小学生が一人で留守番など危険極まりないと、どんなに恭弥くんに技を仕込まれても、恭弥くんが許してはくれなかった。
いまはもう中学生だし、一人で留守番するのは危なくない。と言う私の話を無視し、「泊まっていく?」と恭弥くんは詰め寄ってくる。
「今日は別に、お父さんたち帰り遅くないんだけど」
「でも、明日休みだよ」
接続詞が仕事をしていない。
恭弥くんは人の意見を尊重するというか、好きにすればいいよ精神だが、それはそれとして自分の意見を通したいときには私から「やる」と言わせたがる。
まあ、たしかに明日は休みだから教科書を取りに家へ戻る必要もない。
「わかった、今日泊まっていく」
「いいよ」
満足そうに笑い、私の手を引き服が置いてある部屋へと引っ張っていく。
ごそごそと多種多様の柄の浴衣を出してきた。
「キミがまたお泊りするとき用に、準備してたんだ」
「よくサイズわかったね」
「目測でわかるよ。いつも見てたから」
ご機嫌で、「どれにする?」と聞いてきたので、どれにしようかと悩んでいる間に、恭弥くんが「僕はこれがいいと思うよ」と、黒地に藤の花が咲く浴衣を示した。
つまり、これがいいということなのだろう。
「じゃあ、これにする」
「うん、いいと思う」
じゃあ、着付けしようか。と恭弥くんは言うが、小学生のときならまだしも、中学生になって男の子に裸を見られるのは恥ずかしい。
そりゃ、昔は恭弥くんに着付けをしてもらっていたが、さすがに、いまはもう。
「自分でできるの?」
「思い出しながらやるから」
恭弥くんを部屋の外に追い出し、恭弥くんがいつもどうやってくれていたか思い出しつつやったが、よくよく考えれば、帯はいつも後ろで結ばれていたからわからない。
ま、まあ、こんな感じだろうと締めたが、恭弥くんの前に出た瞬間、舌打ちをされた。
「襟がヘタれてる、見っともないよ。帯もなに、この雑な結び方。やり直すから、部屋入って」
問答無用で着付けをやり直しさせられた。
簡単な気付けのやり方を教わり、お風呂上がりに再チェックをされることになった。
一緒に作った食事を食べ、のんびりとテレビを見ていたらお風呂の時間になった。
いままで本を読んでいた恭弥くんが本を閉じ、「お風呂に入るよ」と言った。
「じゃあ、あとで入るね」
「なに言ってるの。一緒に入るんでしょ?」
「恭弥くん??」
なにを言っているんだという顔をする私を、不思議そうな顔で見つめる恭弥くん。
「一人で入るに決まってるでしょ?!」
「溺れたらどうするんだい?」
「いくつだと思ってるの?!」
そんな歳はずっと昔に過ぎたよ?!
無理矢理お風呂場に連れて行かれそうになり、「そんなんするなら、いまから帰るから!」と言えば、不満そうにしながらもお風呂場に行った。
交代で入るときに、「一時間経っても出てこなかったら、様子見に来るからね」と言われたの言われたので、三十分で出てやった。
「ちゃんと百まで数えた?」
「数えましたー」
数えてないけど。
寝る時間になり、今日、私はどこで寝るのかと聞いたら、きょとんとした顔で「一緒に寝るんでしょ?」と言われ、連れてこられた恭弥くんの部屋には枕が二つ並んだ敷布団が敷かれていた。
「あのね、恭弥くん。いい?」
「なに?」
「アップデートして!いったい、私の姿がいつ時代で止まって見えてるの?!」
「どんなに成長しても、僕にとってキミがカルガモの赤ちゃんであることは変わりないよ」
「幻想を捨てて!カルガモの赤ちゃんも、いつかは大人になるの!そして私はいま、思春期なの!」
「お断りだし、知ったことじゃないよ」
理不尽か!と怒る私を抱き上げ、布団に転がし、上から覆いかぶさってくる恭弥くん。
「もう夜なんだから、大人しく寝るんだよ。そもそも、僕はキミになにもしない。それとも、僕はキミにとってそんなに危険な男?」
「ち、がう……」
「ならいいでしょ。ほら、寝るよ」
そう言って、私を抱きしめて横になった恭弥くんの腕の中は、昔と変わらず安心できる場所で、私はぐっすりと眠ってしまった。
「そういえば、ここの所“お泊り”していかないね」
お泊りとは、文字通り恭弥くんの家にお泊りするわけなのだけれど、それは小学生のときに夜中まで両親が帰らない日に限った話だ。
小学生が一人で留守番など危険極まりないと、どんなに恭弥くんに技を仕込まれても、恭弥くんが許してはくれなかった。
いまはもう中学生だし、一人で留守番するのは危なくない。と言う私の話を無視し、「泊まっていく?」と恭弥くんは詰め寄ってくる。
「今日は別に、お父さんたち帰り遅くないんだけど」
「でも、明日休みだよ」
接続詞が仕事をしていない。
恭弥くんは人の意見を尊重するというか、好きにすればいいよ精神だが、それはそれとして自分の意見を通したいときには私から「やる」と言わせたがる。
まあ、たしかに明日は休みだから教科書を取りに家へ戻る必要もない。
「わかった、今日泊まっていく」
「いいよ」
満足そうに笑い、私の手を引き服が置いてある部屋へと引っ張っていく。
ごそごそと多種多様の柄の浴衣を出してきた。
「キミがまたお泊りするとき用に、準備してたんだ」
「よくサイズわかったね」
「目測でわかるよ。いつも見てたから」
ご機嫌で、「どれにする?」と聞いてきたので、どれにしようかと悩んでいる間に、恭弥くんが「僕はこれがいいと思うよ」と、黒地に藤の花が咲く浴衣を示した。
つまり、これがいいということなのだろう。
「じゃあ、これにする」
「うん、いいと思う」
じゃあ、着付けしようか。と恭弥くんは言うが、小学生のときならまだしも、中学生になって男の子に裸を見られるのは恥ずかしい。
そりゃ、昔は恭弥くんに着付けをしてもらっていたが、さすがに、いまはもう。
「自分でできるの?」
「思い出しながらやるから」
恭弥くんを部屋の外に追い出し、恭弥くんがいつもどうやってくれていたか思い出しつつやったが、よくよく考えれば、帯はいつも後ろで結ばれていたからわからない。
ま、まあ、こんな感じだろうと締めたが、恭弥くんの前に出た瞬間、舌打ちをされた。
「襟がヘタれてる、見っともないよ。帯もなに、この雑な結び方。やり直すから、部屋入って」
問答無用で着付けをやり直しさせられた。
簡単な気付けのやり方を教わり、お風呂上がりに再チェックをされることになった。
一緒に作った食事を食べ、のんびりとテレビを見ていたらお風呂の時間になった。
いままで本を読んでいた恭弥くんが本を閉じ、「お風呂に入るよ」と言った。
「じゃあ、あとで入るね」
「なに言ってるの。一緒に入るんでしょ?」
「恭弥くん??」
なにを言っているんだという顔をする私を、不思議そうな顔で見つめる恭弥くん。
「一人で入るに決まってるでしょ?!」
「溺れたらどうするんだい?」
「いくつだと思ってるの?!」
そんな歳はずっと昔に過ぎたよ?!
無理矢理お風呂場に連れて行かれそうになり、「そんなんするなら、いまから帰るから!」と言えば、不満そうにしながらもお風呂場に行った。
交代で入るときに、「一時間経っても出てこなかったら、様子見に来るからね」と言われたの言われたので、三十分で出てやった。
「ちゃんと百まで数えた?」
「数えましたー」
数えてないけど。
寝る時間になり、今日、私はどこで寝るのかと聞いたら、きょとんとした顔で「一緒に寝るんでしょ?」と言われ、連れてこられた恭弥くんの部屋には枕が二つ並んだ敷布団が敷かれていた。
「あのね、恭弥くん。いい?」
「なに?」
「アップデートして!いったい、私の姿がいつ時代で止まって見えてるの?!」
「どんなに成長しても、僕にとってキミがカルガモの赤ちゃんであることは変わりないよ」
「幻想を捨てて!カルガモの赤ちゃんも、いつかは大人になるの!そして私はいま、思春期なの!」
「お断りだし、知ったことじゃないよ」
理不尽か!と怒る私を抱き上げ、布団に転がし、上から覆いかぶさってくる恭弥くん。
「もう夜なんだから、大人しく寝るんだよ。そもそも、僕はキミになにもしない。それとも、僕はキミにとってそんなに危険な男?」
「ち、がう……」
「ならいいでしょ。ほら、寝るよ」
そう言って、私を抱きしめて横になった恭弥くんの腕の中は、昔と変わらず安心できる場所で、私はぐっすりと眠ってしまった。