60分一本勝負
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お題「好きの裏返し」
「今日から、僕のあとを追いかけるのを禁止するね」
「な、なんで……?」
困惑する私に、恭弥くんは「危ないから」としか言わなかった。
危ないなんて、いまに始まったことではない。それを承知で、私は恭弥くんを追いかけているのに。
いつか、私も恭弥くんみたいにかっこいい、ふーきいいんになるんだ、と意気込む私に「キミは風紀委員には入れてあげないよ」と言うから、当時小学生だった私は大層落ち込んだ。
完全に拗ねた私は、恭弥くんが迎えに来ても「恭弥くんのバカ。知らない」と言って動こうとしなかった。
それでも恭弥くんは、「夜の公園は危ないから、うちに行くよ」と言って、私を抱き上げて無理矢理、恭弥くんの家へと連れて行った。
その日も両親は仕事で帰りが遅く、友だちも帰った公園で宿題をやりながら恭弥くんを待っていると、なんだな怖いお兄さんたちに声をかけられた。
「お前、雲雀恭弥のお気に入りの鳥居日向子?」
「鳥居日向子は私ですね」
お兄さんたちはそれを聞くと、悪い顔をして私の腕を掴もうとした。
怖くなり逃げようとしたが、体格差も人数差もあり全く逃げられない。
恭弥くん、助けて……!と一瞬考えたが、恭弥くんは頼らない。私だってふーきいいんになれることを証明してやる。と意気込み、追いかけられながら恭弥くんがいつもどうやって戦っていたか思い出す。
えっと、攻撃を躱して、そうここで相手の膝を踏み台にして脚を振り切る。
「ぐえっ!」
「やった!」
恭弥くんの攻撃で一番好きな技が決まりはしゃいでいると、「日向子!油断しない!」と言われ振り返ると、お兄さんが腕を振り上げていた。
「わ、わー!」
びっくりしすぎて、思わずお父さんから「男の子の大切な場所だから、叩いたりしちゃダメだからね」と言われていた場所を思い切り蹴り上げてしまった。
蹴った場所を押さえて丸まるお兄さんに必死に謝っていると、そのお兄さんを思い切り蹴り上げて恭弥くんが「キミたち、日向子に手を出して唯で済むとは思ってないよね」と言って、他のお兄さんたちをあっという間に倒してしまった。
「行くよ、日向子」
「うん!恭弥くん、さっきの見てた?私もケンカ、できるよ!」
自慢気に言う私に、恭弥くんは呆れながら「あれはまぐれ当たりって言うんだよ」と言った。
「まあ、あの回し蹴りは悪くなかったかな。筋はいいよ」
「でしょ、でしょ!練習すれば、もっと強くなるよ、私!あの、回し蹴りって技、恭弥くんの技の中で大好きだからいっぱい練習するよ!」
「……トンファーじゃなくて?」
「トンファーも好き!くるくるって!かっこいい!」
エアートンファーをする私の頭を撫でて、「さっき、怖くなかった?」と聞いてくる恭弥くんに、「怖くなかった!強いからね、私!」と強がって見せると、恭弥くんは「これから先、僕といるとああいう連中に絡まれるよ」と言う。
「怖いなら、もう僕といない方がいい」
「怖くない!怖くないから、恭弥くんといる!」
私の決意は固く、恭弥くんも「キミは頑固だね」と諦めてくれた。
「僕が珍しく気を利かせて遠ざけてあげようと思ったのに」
「私は恭弥くんといたいよ。恭弥くんは私といたくない?」
そう聞くと、恭弥くんは困ったように「僕は弱い子と群れるのは嫌いなんだ」と言うから、またショックを受けてしまった。
つまり、弱い私といるのは嫌……。
「いまはまだ、キミのことは“世話をしている”ていう認識だからいいけど、僕と並びたいなら強くなりな」
「道場とかに通うね」
「その必要はないよ。僕が体術とトンファーの使い方を教えてあげる。その辺の草食動物くらいなら、簡単に咬み殺せるくらい、強くしてあげる」
「やったー!そしたら、ふーきいいんにも入れてくれる?」
「考えてあげる」
なお、このときの私は恭弥くんの言う“その辺の草食動物”が世の中の半数以上の生物を指すことを知らないのであった。
「今日から、僕のあとを追いかけるのを禁止するね」
「な、なんで……?」
困惑する私に、恭弥くんは「危ないから」としか言わなかった。
危ないなんて、いまに始まったことではない。それを承知で、私は恭弥くんを追いかけているのに。
いつか、私も恭弥くんみたいにかっこいい、ふーきいいんになるんだ、と意気込む私に「キミは風紀委員には入れてあげないよ」と言うから、当時小学生だった私は大層落ち込んだ。
完全に拗ねた私は、恭弥くんが迎えに来ても「恭弥くんのバカ。知らない」と言って動こうとしなかった。
それでも恭弥くんは、「夜の公園は危ないから、うちに行くよ」と言って、私を抱き上げて無理矢理、恭弥くんの家へと連れて行った。
その日も両親は仕事で帰りが遅く、友だちも帰った公園で宿題をやりながら恭弥くんを待っていると、なんだな怖いお兄さんたちに声をかけられた。
「お前、雲雀恭弥のお気に入りの鳥居日向子?」
「鳥居日向子は私ですね」
お兄さんたちはそれを聞くと、悪い顔をして私の腕を掴もうとした。
怖くなり逃げようとしたが、体格差も人数差もあり全く逃げられない。
恭弥くん、助けて……!と一瞬考えたが、恭弥くんは頼らない。私だってふーきいいんになれることを証明してやる。と意気込み、追いかけられながら恭弥くんがいつもどうやって戦っていたか思い出す。
えっと、攻撃を躱して、そうここで相手の膝を踏み台にして脚を振り切る。
「ぐえっ!」
「やった!」
恭弥くんの攻撃で一番好きな技が決まりはしゃいでいると、「日向子!油断しない!」と言われ振り返ると、お兄さんが腕を振り上げていた。
「わ、わー!」
びっくりしすぎて、思わずお父さんから「男の子の大切な場所だから、叩いたりしちゃダメだからね」と言われていた場所を思い切り蹴り上げてしまった。
蹴った場所を押さえて丸まるお兄さんに必死に謝っていると、そのお兄さんを思い切り蹴り上げて恭弥くんが「キミたち、日向子に手を出して唯で済むとは思ってないよね」と言って、他のお兄さんたちをあっという間に倒してしまった。
「行くよ、日向子」
「うん!恭弥くん、さっきの見てた?私もケンカ、できるよ!」
自慢気に言う私に、恭弥くんは呆れながら「あれはまぐれ当たりって言うんだよ」と言った。
「まあ、あの回し蹴りは悪くなかったかな。筋はいいよ」
「でしょ、でしょ!練習すれば、もっと強くなるよ、私!あの、回し蹴りって技、恭弥くんの技の中で大好きだからいっぱい練習するよ!」
「……トンファーじゃなくて?」
「トンファーも好き!くるくるって!かっこいい!」
エアートンファーをする私の頭を撫でて、「さっき、怖くなかった?」と聞いてくる恭弥くんに、「怖くなかった!強いからね、私!」と強がって見せると、恭弥くんは「これから先、僕といるとああいう連中に絡まれるよ」と言う。
「怖いなら、もう僕といない方がいい」
「怖くない!怖くないから、恭弥くんといる!」
私の決意は固く、恭弥くんも「キミは頑固だね」と諦めてくれた。
「僕が珍しく気を利かせて遠ざけてあげようと思ったのに」
「私は恭弥くんといたいよ。恭弥くんは私といたくない?」
そう聞くと、恭弥くんは困ったように「僕は弱い子と群れるのは嫌いなんだ」と言うから、またショックを受けてしまった。
つまり、弱い私といるのは嫌……。
「いまはまだ、キミのことは“世話をしている”ていう認識だからいいけど、僕と並びたいなら強くなりな」
「道場とかに通うね」
「その必要はないよ。僕が体術とトンファーの使い方を教えてあげる。その辺の草食動物くらいなら、簡単に咬み殺せるくらい、強くしてあげる」
「やったー!そしたら、ふーきいいんにも入れてくれる?」
「考えてあげる」
なお、このときの私は恭弥くんの言う“その辺の草食動物”が世の中の半数以上の生物を指すことを知らないのであった。