キミは僕のペット
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「秋だねー、ヒバリさん!秋といえば、お魚だね!」
「魚は季節問わず美味しいよ」
たぶん、食欲の秋と言いたいんだろうけど、ピンポイントに魚だけあげられると、ツッコまざるを得ない。
「お魚♪お魚♪」と歌いながら僕の周りをグルグルしているのは、暗に僕に美味しい魚料理を奢れと言っているのかな。
「何魚が食べたいの?」
「えー?!いいんですかー!悪いなー!」
白々しく声を上げる。
「サンマかアジか……。あー!アユもいいな!」
いまにもヨダレを垂らしそうな鷹藤に、「放課後までに考えておきな」と言って別れた。
鷹藤のことだから全部と言い出すだろうし、サンマもアジもアユも用意しておくか、と老舗の魚料理の美味しい店に注文を入れておく。
放課後。
仕事をしながら、鷹藤が来るのを待っていると、ノックなしで「ヒバリさーん!決まんなーい!」と言いながら鷹藤が入ってきた。
「ノックをしろ、バカ!」
「いいよ、草壁。言ったところで、気が向かなきゃ言うことなんて聞かないだろうし」
「しかし、恭さん……」
「おいで、鷹藤。全部食べられれば、満足でしょ」
「やったー!ヒバリさん、好き!」
立ち上がった僕に抱きついてきた鷹藤の頭を撫でてあげてから、バイクに乗って店まで行く。
道中、鷹藤がずっと興奮していて落ちるんじゃないかと若干の不安はあった。帰りは腕を縛り付けて帰ろう。
「うひゃー!お魚料理がいっぱい!」
「好きなだけ食べな」
目を輝かせ、いまにも飛びつきそうなくらい興奮する鷹藤。
そういえば、鷹藤が食事するところは初めて見るな、と興味がわいた。
やはり、塩焼きは頭から食べるのだろうかと楽しみにしていたのだが、なんと普通に箸を使って綺麗に身を解していく。
「キミ、お箸使えるの?」
「ヒバリさん、本当に私のこと化け猫だとでも思ってるんですか?」
実質、猫娘がなにを言っているんだが。
およそ、文明というものを知らないような自由を謳歌しているキミが、箸を使えるとは微塵も思ってなかったよ。
「手掴みくらいは覚悟してたのにな」
「文明人をバカにし過ぎではないですか?」
文明人だとは少しも思っていなかったからね。
それにしても、ふーん。綺麗に食べるものだね。
普段の破天荒な姿が嘘みたいだ。
「人間みたい」
「人間ですが?!」
そうだね、キミは一応人間なんだけど、人間らしく振る舞うキミはとても……。
「つまらない」
「えー。じゃあ、汚らしく食べ散らかせっていうんですか?」
「そこまでは言わないけど、もっと無邪気に食べるかと思ってたから、連れてきて損したよ」
今度から、キミを食事に連れていくのはやめるよ。と言うと、鷹藤は「親の躾が厳しかったんですよ」と、ぺしゃ……、とした表情をした。
「親が、「食事は美しく食べないと恥をかくぞ!」て言って、マナーを物理的に叩き込んできたから、体が勝手にお行儀よくしちゃうんです……」
「そんなまともな親がいながら、なんでこうなったんだろうね」
「私のパッションはそう容易には抑えられなかったってことですね」
確かに、鷹藤を普通の規格には抑え込めないだろう。
もし抑え込めても、鷹藤は“つまらない”を募らせて死んでしまう気がする。
「キミはやっぱり、猫みたくしてるのがいいね」
「猫ちゃんは可愛いけど、猫ちゃん扱いはヤダよ、ヒバリさん〜」
「可愛いならいいでしょ。それに、キミが猫だから僕に構ってもらえてるんだよ。人間なんて、咬み殺す以外で遊びたくないよ」
そう言うと、鷹藤はぶすっ、とブサイクな顔をした。まあ、その顔も可愛いと、飼い主の贔屓目で思ってしまう。
粛々と静かに鷹藤が食べるものだから、「美味しい?」と何度も聞いてしまった。
意外と小さい一口、綺麗な箸使い、背筋を伸ばし食べる姿も美しい。
相当、礼儀作法を叩き込まれたことが見て取れる。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま。本当に美味しいと思っているか疑問に思うくらい、静かだったね」
「昔はもっと、頬袋いっぱいにしてたんですけどね。三つ子の魂百までってやつです」
「鷹藤の仔猫時代、ちょっと気になるね。ホームビデオとかあったら、持ってきてよ」
僕の言葉に、鷹藤は「たいして面白くもないですよ」と言うが、それを決めるのは僕だよ。
「ふぁ……。お腹いっぱいになったら、眠くなってきちゃいました……」
「赤ん坊みたいなこと言うね。バイクから落ちないでよ」
「むにゃ……」
すでに寝落ちしそうで、不安だ。
仕方ないので、腰に回された手を紐で縛り上げる。
「なんで紐なんて持ち歩いてるんですか」
「キミを縛り上げないといけない状況が、いつかはくると思ってたから」
実際、来たでしょ?と言えば、背中から「特殊性癖だと思われますよ、周りから」と言われたが、そのときはキミも道連れだよ。
バイクを飛ばし鷹藤の家まで行き、縛られているからどうせ落ちないと高をくくり爆睡を決め込んでいる鷹藤の手を解放すると、赤ちゃんのようにぐずりながら引っ付いてきた。
「鷹藤、起きな」
「あと三十分〜」
「布団で寝なよ」
むにゃむにゃ言う鷹藤をおぶり、家の中に入ろうとしたら声がした。
「ゆかり、見なよ。ヒバリだよ」
「えにし、凄いね。ヒバリだよ」
「?」
誰だと思ったら、鷹藤を少し気怠げにしたような顔の双子の男女が立っていた。
双子は僕の側に立ち、「ヒバリが響おんぶしてるよ、ゆかり」「どうしてだろうね、えにし」と勝手に話している。
「キミたち、鷹藤の家族?」
「うん、鷹藤えにし。響の兄ちゃ。よろしくね」
「うん、鷹藤ゆかり。響の姉ちゃ。よろしくね」
「なら、この子引き取って」
「重いからヤダ」
「ヒバリ、中まで運んで」
僕のことを知っていながら、僕に命令する態度。
わかりやすく、鷹藤の血筋を強く感じる。
さっさと中に入って行った、えにしとゆかりを追い、鷹藤の家へと踏み入った。
「父さん、ヒバリ来た。お茶ある?」
「母さん、ヒバリ来た。お菓子ある?」
「長居する気はないよ」
この子たちの親だ、それは、自由奔放なことだろう。
さすがに、鷹藤を五人も相手するのは疲れるから、さっさと帰りたかったのだが、出てきた鷹藤の両親は僕を見るなり、「うちの愚息たちが失礼を!」と言いながら、お茶とお菓子を出してきた。
この普通な親から、なにがどうなって、この自由人たちが生まれるのか。
隔世遺伝かな。
「ねえ、ヒバリ。アルバム見ない?響可愛いよ」
「ねえ、ヒバリ。アルバム見て。響可愛いんだ」
まだ見るとも言っていないうちに積み上げられたアルバムを鷹藤を抱っこしながらソファーに座りめくると、赤ん坊の頃の鷹藤が写っていた。
どれも眠そうな顔をしているというか、だいたい寝ている。
赤ん坊は寝るのが仕事だとは思うけど、寝過ぎじゃない?
しばらく見ていると、段々成長してくるがどれも退屈そうな顔ばかり。
「響、なんでもすぐ覚える。だから、なんでもつまらない」
「響、なんでもすぐできる。だから、本気出せない」
「でも、ヒバリに会ってから毎日楽しそう。ありがとう、ヒバリ」
「そう、毎日ヒバリの話ばっかり。ありがとう、ヒバリ」
両サイドからお礼を言われたが、僕に会う前に跳ね馬と出会っているから、僕が鷹藤にとって初めての面白い人間ではないんだろうな、と思うと少しムカつく。
跳ね馬と写ってる写真の鷹藤は、どれも生きた顔をしている。
「響、ディーノも好き。自分にできないことをできるから」
「響、ヒバリも好き。自分にできないことをできるから」
「この子にとっては、僕も跳ね馬も同等ってわけなんだね」
やっぱり、気に食わないな。
「ヒバリ、ディーノより身近。だから響もっと好き」
「ヒバリ、ディーノより自由。だから響いっぱい好き」
「鷹藤がそう言ってたの?」
「言ってた」
「言ってた」
そう、ならいいかな。と、僕にしがみつく鷹藤の頭を撫でると、「ヒバリさん……」と言いながら寝ぼけてすり寄ってきた。
そうだよね、キミが好きなのは僕の方だよね。
「魚は季節問わず美味しいよ」
たぶん、食欲の秋と言いたいんだろうけど、ピンポイントに魚だけあげられると、ツッコまざるを得ない。
「お魚♪お魚♪」と歌いながら僕の周りをグルグルしているのは、暗に僕に美味しい魚料理を奢れと言っているのかな。
「何魚が食べたいの?」
「えー?!いいんですかー!悪いなー!」
白々しく声を上げる。
「サンマかアジか……。あー!アユもいいな!」
いまにもヨダレを垂らしそうな鷹藤に、「放課後までに考えておきな」と言って別れた。
鷹藤のことだから全部と言い出すだろうし、サンマもアジもアユも用意しておくか、と老舗の魚料理の美味しい店に注文を入れておく。
放課後。
仕事をしながら、鷹藤が来るのを待っていると、ノックなしで「ヒバリさーん!決まんなーい!」と言いながら鷹藤が入ってきた。
「ノックをしろ、バカ!」
「いいよ、草壁。言ったところで、気が向かなきゃ言うことなんて聞かないだろうし」
「しかし、恭さん……」
「おいで、鷹藤。全部食べられれば、満足でしょ」
「やったー!ヒバリさん、好き!」
立ち上がった僕に抱きついてきた鷹藤の頭を撫でてあげてから、バイクに乗って店まで行く。
道中、鷹藤がずっと興奮していて落ちるんじゃないかと若干の不安はあった。帰りは腕を縛り付けて帰ろう。
「うひゃー!お魚料理がいっぱい!」
「好きなだけ食べな」
目を輝かせ、いまにも飛びつきそうなくらい興奮する鷹藤。
そういえば、鷹藤が食事するところは初めて見るな、と興味がわいた。
やはり、塩焼きは頭から食べるのだろうかと楽しみにしていたのだが、なんと普通に箸を使って綺麗に身を解していく。
「キミ、お箸使えるの?」
「ヒバリさん、本当に私のこと化け猫だとでも思ってるんですか?」
実質、猫娘がなにを言っているんだが。
およそ、文明というものを知らないような自由を謳歌しているキミが、箸を使えるとは微塵も思ってなかったよ。
「手掴みくらいは覚悟してたのにな」
「文明人をバカにし過ぎではないですか?」
文明人だとは少しも思っていなかったからね。
それにしても、ふーん。綺麗に食べるものだね。
普段の破天荒な姿が嘘みたいだ。
「人間みたい」
「人間ですが?!」
そうだね、キミは一応人間なんだけど、人間らしく振る舞うキミはとても……。
「つまらない」
「えー。じゃあ、汚らしく食べ散らかせっていうんですか?」
「そこまでは言わないけど、もっと無邪気に食べるかと思ってたから、連れてきて損したよ」
今度から、キミを食事に連れていくのはやめるよ。と言うと、鷹藤は「親の躾が厳しかったんですよ」と、ぺしゃ……、とした表情をした。
「親が、「食事は美しく食べないと恥をかくぞ!」て言って、マナーを物理的に叩き込んできたから、体が勝手にお行儀よくしちゃうんです……」
「そんなまともな親がいながら、なんでこうなったんだろうね」
「私のパッションはそう容易には抑えられなかったってことですね」
確かに、鷹藤を普通の規格には抑え込めないだろう。
もし抑え込めても、鷹藤は“つまらない”を募らせて死んでしまう気がする。
「キミはやっぱり、猫みたくしてるのがいいね」
「猫ちゃんは可愛いけど、猫ちゃん扱いはヤダよ、ヒバリさん〜」
「可愛いならいいでしょ。それに、キミが猫だから僕に構ってもらえてるんだよ。人間なんて、咬み殺す以外で遊びたくないよ」
そう言うと、鷹藤はぶすっ、とブサイクな顔をした。まあ、その顔も可愛いと、飼い主の贔屓目で思ってしまう。
粛々と静かに鷹藤が食べるものだから、「美味しい?」と何度も聞いてしまった。
意外と小さい一口、綺麗な箸使い、背筋を伸ばし食べる姿も美しい。
相当、礼儀作法を叩き込まれたことが見て取れる。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま。本当に美味しいと思っているか疑問に思うくらい、静かだったね」
「昔はもっと、頬袋いっぱいにしてたんですけどね。三つ子の魂百までってやつです」
「鷹藤の仔猫時代、ちょっと気になるね。ホームビデオとかあったら、持ってきてよ」
僕の言葉に、鷹藤は「たいして面白くもないですよ」と言うが、それを決めるのは僕だよ。
「ふぁ……。お腹いっぱいになったら、眠くなってきちゃいました……」
「赤ん坊みたいなこと言うね。バイクから落ちないでよ」
「むにゃ……」
すでに寝落ちしそうで、不安だ。
仕方ないので、腰に回された手を紐で縛り上げる。
「なんで紐なんて持ち歩いてるんですか」
「キミを縛り上げないといけない状況が、いつかはくると思ってたから」
実際、来たでしょ?と言えば、背中から「特殊性癖だと思われますよ、周りから」と言われたが、そのときはキミも道連れだよ。
バイクを飛ばし鷹藤の家まで行き、縛られているからどうせ落ちないと高をくくり爆睡を決め込んでいる鷹藤の手を解放すると、赤ちゃんのようにぐずりながら引っ付いてきた。
「鷹藤、起きな」
「あと三十分〜」
「布団で寝なよ」
むにゃむにゃ言う鷹藤をおぶり、家の中に入ろうとしたら声がした。
「ゆかり、見なよ。ヒバリだよ」
「えにし、凄いね。ヒバリだよ」
「?」
誰だと思ったら、鷹藤を少し気怠げにしたような顔の双子の男女が立っていた。
双子は僕の側に立ち、「ヒバリが響おんぶしてるよ、ゆかり」「どうしてだろうね、えにし」と勝手に話している。
「キミたち、鷹藤の家族?」
「うん、鷹藤えにし。響の兄ちゃ。よろしくね」
「うん、鷹藤ゆかり。響の姉ちゃ。よろしくね」
「なら、この子引き取って」
「重いからヤダ」
「ヒバリ、中まで運んで」
僕のことを知っていながら、僕に命令する態度。
わかりやすく、鷹藤の血筋を強く感じる。
さっさと中に入って行った、えにしとゆかりを追い、鷹藤の家へと踏み入った。
「父さん、ヒバリ来た。お茶ある?」
「母さん、ヒバリ来た。お菓子ある?」
「長居する気はないよ」
この子たちの親だ、それは、自由奔放なことだろう。
さすがに、鷹藤を五人も相手するのは疲れるから、さっさと帰りたかったのだが、出てきた鷹藤の両親は僕を見るなり、「うちの愚息たちが失礼を!」と言いながら、お茶とお菓子を出してきた。
この普通な親から、なにがどうなって、この自由人たちが生まれるのか。
隔世遺伝かな。
「ねえ、ヒバリ。アルバム見ない?響可愛いよ」
「ねえ、ヒバリ。アルバム見て。響可愛いんだ」
まだ見るとも言っていないうちに積み上げられたアルバムを鷹藤を抱っこしながらソファーに座りめくると、赤ん坊の頃の鷹藤が写っていた。
どれも眠そうな顔をしているというか、だいたい寝ている。
赤ん坊は寝るのが仕事だとは思うけど、寝過ぎじゃない?
しばらく見ていると、段々成長してくるがどれも退屈そうな顔ばかり。
「響、なんでもすぐ覚える。だから、なんでもつまらない」
「響、なんでもすぐできる。だから、本気出せない」
「でも、ヒバリに会ってから毎日楽しそう。ありがとう、ヒバリ」
「そう、毎日ヒバリの話ばっかり。ありがとう、ヒバリ」
両サイドからお礼を言われたが、僕に会う前に跳ね馬と出会っているから、僕が鷹藤にとって初めての面白い人間ではないんだろうな、と思うと少しムカつく。
跳ね馬と写ってる写真の鷹藤は、どれも生きた顔をしている。
「響、ディーノも好き。自分にできないことをできるから」
「響、ヒバリも好き。自分にできないことをできるから」
「この子にとっては、僕も跳ね馬も同等ってわけなんだね」
やっぱり、気に食わないな。
「ヒバリ、ディーノより身近。だから響もっと好き」
「ヒバリ、ディーノより自由。だから響いっぱい好き」
「鷹藤がそう言ってたの?」
「言ってた」
「言ってた」
そう、ならいいかな。と、僕にしがみつく鷹藤の頭を撫でると、「ヒバリさん……」と言いながら寝ぼけてすり寄ってきた。
そうだよね、キミが好きなのは僕の方だよね。
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