キミは僕のペット
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「やふー!ビーバーリーさーん!」
「……」
振り向かなくてもわかる声に、避けようかどうか悩んだが、まあ、今日は機嫌がいいから受け止めてあげるか、と動かずにいてあげたら軽い衝撃と胴に回されたクリームパン。可愛い僕の野良猫。
いつもなら、僕が避けるか平手をしてやりとりが始まるが、この状態からやりとりが始まった試しがない。
「……」
「……」
「……なんでなにも言わないの」
なんの反応も見せない鷹藤にそう聞くと、困惑した声で「なんで嫌がってくれないんですか」と言われた。
なんでって言われても、今日はそんなに機嫌も悪くなく、野良猫がじゃれついてきていると思えば嫌ではないからだ。
「嫌がられたいの?」
「嫌がられたいー。ヒバリさんの嫌がる顔、すごい好きだからー」
その一言で嫌になったので、クリームパンを引き剥がして振り向きざまに平手をしたら、いつも通りの小気味いい音が響いた。
普通なら、こんなことをされたら怯えたりしてもいいだろうに、鷹藤は「これぇ……!」と喜んでいる。
気持ち悪いな……。
「そう、その顔が好き」
「なにキミ、僕のこと嫌いなの」
「好きですよ。好きだからちょっかいかけてるんじゃないですか」
なら、普通喜ばせたがるものじゃない?と言う僕に、服のホコリを払いながら「普通にヒバリさん喜ばせるの無理じゃないですか」と言う。
「私、喧嘩できませんし。それなら、嫌な顔見た方が興奮します」
「全然賛同できないんだけど」
喜ばせる努力をする気ないでしょ、と言うと、真面目な顔で「なら、ですよ」と話し始めた。
「私がちょっと戦えるようになったら、ヒバリさん。私に興味わきますか?」
「微塵もわかない」
「でしょー?なら、その辺の有象無象の草食動物たちと同等となるくらいならばいっそ、なんか変な女がいたと記憶に残りたいんです!」
「努力の仕方が間違ってるんだよね」
あと、自分で変な女である自覚があったことにも驚いてるよ、僕は。
じゃあ、無理して変な女のフリをしているのかと聞けば、「素面でこれです」と言う。まあ、確かに、下手な草食動物よりは印象に残るけれども。
「なら、僕が嫌な顔ですら反応しなかったら、キミはどうするの」
「別の嫌がらせを考えます」
やっぱり嫌がらせなのか。
「でも、反応してもらえないと悲しいので、なにかしら反応はしてほしいです。この間、反応してくれなくて、悲しかったです」
つい先日、調子に乗せない為に無視し続けたことを思い出したのか、珍しく悲しそうな顔をする。そんな顔をするなら、普通に話しかけてくればいいのに。
「そもそも、僕が嫌がって喜ぶのはキミだけで僕はなにも楽しくないんだけど」
そう言う僕に、鷹藤は清々しい笑顔で「知ったこっちゃないです」と言う。
潔いクズの見本みたいな発言に、いっそのこと感心してしまう。平手はするけど。
その平手を受けて粗方満足した鷹藤は、「またね、ヒバリさーん!」と元気に帰っていった。
あそこまで図々しいと、僕としてもあの子の嫌がることをしてやりたくなる。
しかし暴力は普通に喜ばれるし、無視すれば悲しまれる。嫌そうな顔は見たいが、別に悲しませたいわけではない。
「猫が嫌がることってなんだろうね」
側にいた草壁に聞くと、少し考えて「構いすぎると怒る印象がありますね」と答えた。
確かに、猫はそういうところがある。
次来たときは、嫌というほど構ってあげようと翌日待っていると、今日も今日とてアホ面で僕に嫌がらせをしに来た。
「いえーい!タックルー!」
「……」
避けるか平手されると疑わない鷹藤を受け止め、そのまま抱きしめて頭を撫で回したら、鷹藤の動きが止まった。
どうしたのかと丸い頭に目を向ければ、耳が赤く、髪をどけて首を見れば赤かった。
「は……はなしてください……」
か細い声の言うとおり解放すると、フラフラとした足取りで僕から距離を取る。その顔は、驚くほど赤かった。
「あ、危なかった……。危うく女の子になるところだった……」
「なに言ってるの。キミ、女の子でしょ」
「そうなんですけど、少女マンガみたいな女の子になるところだったという意味で……」
「なにそれ」
言っている意味はわからないけど、鷹藤が動揺しているのはわかる。
「抱きしめられるの、嫌だったの?」
「嫌でした」
間髪入れずに返ってきた返事に、抱きつくのはよくて抱きしめられるのは嫌とはどういう感情なんだ、と不思議になる。
しかし、なるほど。抱きしめられるのは嫌なんだね。
狼狽する鷹藤の腕を掴み、「なら、女の子にしてあげるよ」と言って力一杯抱きしめたら、「あ〜!ダメ〜!恋しちゃうから〜!」と言って腕の中でもがく。
「今度から僕に嫌がらせしに来るときは、女の子にされる覚悟してきてね」
「くそー!覚えてろよー!」
安い捨て台詞を吐き、顔を真っ赤にして帰っていく鷹藤。
面白かった、と機嫌がよくなるのがわかる。
それはそうと、あの子。本当に、僕に恋したのかな。
からかう種にしたいから、それだけでも教えてほしいのだけれど、日課のように来ていた鷹藤の来襲がパタリと途絶えた。
様子を見に行くか、と思案していたが、取り越し苦労だったようで、久しぶりに鷹藤が「やっほー!ヒバリさーん!久しぶりー!」と言いながら来た。
「久しぶり、元気そうだね。ここ数日来なかったから、野垂れ死んだかと思ってたよ」
「ちょっと、自分の中から恋心を蹴り出してました」
「いいんだよ、恋して」
「やめてください」
真顔で拒否した鷹藤だったが、すぐに「でも、もういつもの私なので、行きますよ!ヒバリさん!」とタックルをして来ようとしたので、腕を広げて受け止める構えを取る。
それを見た鷹藤は怯んだ。
「な、なぜ受け止める体勢をとっているんですか……」
「遠慮せずきなよ、女の子にしてあげるから」
「う……うー!」
唸り声をあげながら、ウロウロと僕の周りをうろつく鷹藤をどうしてやろうかと思案する。
丁度、僕の間合いに入らないように距離を保っている。一歩近寄れば一歩逃げられる。
「……来ないなら、僕はもう行くよ」
「えっ!」
「じゃあね」
「あ……あ……」
目に見えて狼狽える鷹藤に「五秒あげる」と猶予を与える。
「五秒以内に来なかったら、僕は行くからね」
「え……う……」
「一……二……三……四……」
五、と言った瞬間、なにを血迷ったのか鷹藤は手を振り上げた。
その腕をとり引き寄せ抱きしめ、「どういうつもり?」と聞くと、「一発仕掛ければ、カウンターしてもらえるかと思ったんです〜!」と言い出す。
まあ、一瞬殴ろうかとは思ったけど。
「残念だったね。いっぱい女の子になるんだよ」
「ぴえー!」
「……」
振り向かなくてもわかる声に、避けようかどうか悩んだが、まあ、今日は機嫌がいいから受け止めてあげるか、と動かずにいてあげたら軽い衝撃と胴に回されたクリームパン。可愛い僕の野良猫。
いつもなら、僕が避けるか平手をしてやりとりが始まるが、この状態からやりとりが始まった試しがない。
「……」
「……」
「……なんでなにも言わないの」
なんの反応も見せない鷹藤にそう聞くと、困惑した声で「なんで嫌がってくれないんですか」と言われた。
なんでって言われても、今日はそんなに機嫌も悪くなく、野良猫がじゃれついてきていると思えば嫌ではないからだ。
「嫌がられたいの?」
「嫌がられたいー。ヒバリさんの嫌がる顔、すごい好きだからー」
その一言で嫌になったので、クリームパンを引き剥がして振り向きざまに平手をしたら、いつも通りの小気味いい音が響いた。
普通なら、こんなことをされたら怯えたりしてもいいだろうに、鷹藤は「これぇ……!」と喜んでいる。
気持ち悪いな……。
「そう、その顔が好き」
「なにキミ、僕のこと嫌いなの」
「好きですよ。好きだからちょっかいかけてるんじゃないですか」
なら、普通喜ばせたがるものじゃない?と言う僕に、服のホコリを払いながら「普通にヒバリさん喜ばせるの無理じゃないですか」と言う。
「私、喧嘩できませんし。それなら、嫌な顔見た方が興奮します」
「全然賛同できないんだけど」
喜ばせる努力をする気ないでしょ、と言うと、真面目な顔で「なら、ですよ」と話し始めた。
「私がちょっと戦えるようになったら、ヒバリさん。私に興味わきますか?」
「微塵もわかない」
「でしょー?なら、その辺の有象無象の草食動物たちと同等となるくらいならばいっそ、なんか変な女がいたと記憶に残りたいんです!」
「努力の仕方が間違ってるんだよね」
あと、自分で変な女である自覚があったことにも驚いてるよ、僕は。
じゃあ、無理して変な女のフリをしているのかと聞けば、「素面でこれです」と言う。まあ、確かに、下手な草食動物よりは印象に残るけれども。
「なら、僕が嫌な顔ですら反応しなかったら、キミはどうするの」
「別の嫌がらせを考えます」
やっぱり嫌がらせなのか。
「でも、反応してもらえないと悲しいので、なにかしら反応はしてほしいです。この間、反応してくれなくて、悲しかったです」
つい先日、調子に乗せない為に無視し続けたことを思い出したのか、珍しく悲しそうな顔をする。そんな顔をするなら、普通に話しかけてくればいいのに。
「そもそも、僕が嫌がって喜ぶのはキミだけで僕はなにも楽しくないんだけど」
そう言う僕に、鷹藤は清々しい笑顔で「知ったこっちゃないです」と言う。
潔いクズの見本みたいな発言に、いっそのこと感心してしまう。平手はするけど。
その平手を受けて粗方満足した鷹藤は、「またね、ヒバリさーん!」と元気に帰っていった。
あそこまで図々しいと、僕としてもあの子の嫌がることをしてやりたくなる。
しかし暴力は普通に喜ばれるし、無視すれば悲しまれる。嫌そうな顔は見たいが、別に悲しませたいわけではない。
「猫が嫌がることってなんだろうね」
側にいた草壁に聞くと、少し考えて「構いすぎると怒る印象がありますね」と答えた。
確かに、猫はそういうところがある。
次来たときは、嫌というほど構ってあげようと翌日待っていると、今日も今日とてアホ面で僕に嫌がらせをしに来た。
「いえーい!タックルー!」
「……」
避けるか平手されると疑わない鷹藤を受け止め、そのまま抱きしめて頭を撫で回したら、鷹藤の動きが止まった。
どうしたのかと丸い頭に目を向ければ、耳が赤く、髪をどけて首を見れば赤かった。
「は……はなしてください……」
か細い声の言うとおり解放すると、フラフラとした足取りで僕から距離を取る。その顔は、驚くほど赤かった。
「あ、危なかった……。危うく女の子になるところだった……」
「なに言ってるの。キミ、女の子でしょ」
「そうなんですけど、少女マンガみたいな女の子になるところだったという意味で……」
「なにそれ」
言っている意味はわからないけど、鷹藤が動揺しているのはわかる。
「抱きしめられるの、嫌だったの?」
「嫌でした」
間髪入れずに返ってきた返事に、抱きつくのはよくて抱きしめられるのは嫌とはどういう感情なんだ、と不思議になる。
しかし、なるほど。抱きしめられるのは嫌なんだね。
狼狽する鷹藤の腕を掴み、「なら、女の子にしてあげるよ」と言って力一杯抱きしめたら、「あ〜!ダメ〜!恋しちゃうから〜!」と言って腕の中でもがく。
「今度から僕に嫌がらせしに来るときは、女の子にされる覚悟してきてね」
「くそー!覚えてろよー!」
安い捨て台詞を吐き、顔を真っ赤にして帰っていく鷹藤。
面白かった、と機嫌がよくなるのがわかる。
それはそうと、あの子。本当に、僕に恋したのかな。
からかう種にしたいから、それだけでも教えてほしいのだけれど、日課のように来ていた鷹藤の来襲がパタリと途絶えた。
様子を見に行くか、と思案していたが、取り越し苦労だったようで、久しぶりに鷹藤が「やっほー!ヒバリさーん!久しぶりー!」と言いながら来た。
「久しぶり、元気そうだね。ここ数日来なかったから、野垂れ死んだかと思ってたよ」
「ちょっと、自分の中から恋心を蹴り出してました」
「いいんだよ、恋して」
「やめてください」
真顔で拒否した鷹藤だったが、すぐに「でも、もういつもの私なので、行きますよ!ヒバリさん!」とタックルをして来ようとしたので、腕を広げて受け止める構えを取る。
それを見た鷹藤は怯んだ。
「な、なぜ受け止める体勢をとっているんですか……」
「遠慮せずきなよ、女の子にしてあげるから」
「う……うー!」
唸り声をあげながら、ウロウロと僕の周りをうろつく鷹藤をどうしてやろうかと思案する。
丁度、僕の間合いに入らないように距離を保っている。一歩近寄れば一歩逃げられる。
「……来ないなら、僕はもう行くよ」
「えっ!」
「じゃあね」
「あ……あ……」
目に見えて狼狽える鷹藤に「五秒あげる」と猶予を与える。
「五秒以内に来なかったら、僕は行くからね」
「え……う……」
「一……二……三……四……」
五、と言った瞬間、なにを血迷ったのか鷹藤は手を振り上げた。
その腕をとり引き寄せ抱きしめ、「どういうつもり?」と聞くと、「一発仕掛ければ、カウンターしてもらえるかと思ったんです〜!」と言い出す。
まあ、一瞬殴ろうかとは思ったけど。
「残念だったね。いっぱい女の子になるんだよ」
「ぴえー!」