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子供の頃の話。
恭弥様は手加減をしない。
目をつけられ、恭弥様直々に戦闘訓練をつけられてからと言うもの、私の体に青痣がなかったことはない。
おかげで、何度か虐待を疑われたが、雲雀家お抱えの組織故に介入もできない状態であった。
青痣だけならまだマシだが、最近、恭弥様はトンファーを改造するようになり、凶悪な棘やら鉄球付きの鎖などが出てくるようにしている。
「そんな凶悪な改造してまで、私を殺したいんですか?!」
「すごく殺したい」
私がなにをしたって言うんですか、恭弥様?!そんな、殺されるようなことをしでかした記憶はないのですが!
と言ったところで、恭弥様が武器を下ろすわけもなく、嬉々とした表情を向けてくるばかり。
殺らなきゃ殺られる……!
本家に対して思うべき感情ではないが、本当に身を守るために殺るきでいかなければ死ぬ……!
棘に注意しながら攻撃を受け止め、距離を取りながら飛び道具などでスキを伺うも、すぐに距離をつめられる。
恭弥様の怖いところは興が乗ってくると、どんどん攻撃のスピードが上がり、いなし切れなくなってくるところだ。
腕、腹、脚、と徐々に傷が増えていき、床に血だまりができ始めた。
血を流し過ぎた、このままではまずい。しかし、逃げるには相手が悪すぎる。
完全に獲物をしとめる目になっている恭弥様から視線をそらさずに、逃げるスキを伺うが、いまの恭弥様の目には私しか映っていない状態で逃げ出すのは難しそうだ。
主君に討たれるって、どんな最後だよ、と情けなく思い最後の一撃を叩きこもうとする恭弥様を見つめていると、目の前に、誰かが立ちふさがり攻撃を代わりに受けた。
「盃、満月を連れて引け」
「はい、父上」
兄上に支えられながら、道場をあとにしてからは、あまり記憶にない。
気がついたときには、部屋に寝かされていた状態であった。
腕を怪我した父上に、「なにをしたら、あんな殺意を向けられるんだ」と嘆かれたが、私にもよくわからない。
怪我も治り動き回る程度には支障がなくなり、いつも通り、学校に行く為に本家へ恭弥様を迎えに行くと、変わらぬ表情で「怪我、大丈夫」と聞いてきた。
「完治とまでは行かないけど、動けるよ」
学校へ行っている間は友人として振る舞うようにと、ご当主からも恭弥様からも言われているので、そう気軽に返すと、短く「そう」とだけ返ってきた。
「責任とるから」
「なんの?恭弥が責任を感じることなんてないよ」
「いいから、責任とらせて」
「え、やめて。怖い」
なにをどう責任をとるのかはわからないが、あまりいい予感がしないので勘弁してほしい。
断る私に、恭弥様は不機嫌そうな顔をしながら、「キミがいいって言っても、責任はとるから」と頑なに、謎の責任をとろうとする。
せめて、責任の取り方の内容だけ教えてくれ。
怯える私など無視して、恭弥様はいつものように私の手を握り「満月、行こう。あのね、好きだよ」と言った。
え、なに、本当に怖い。
◆
満月のことを殺したいと思った。
憎いとかではなく、純粋に、殺したい。その感情が、あの子を見る度に湧き上がってくる。
その日、改造したトンファーで満月の命を奪う一歩手前までいったのだが、満月の父親に止められた。
あとちょっとで、あの子の命は僕のものだったのに。そう、父に話したら、「恭弥、いいことを教えてあげるよ」と楽しそうに口にした。
「私たちの「殺したい」は愛情なんだよ」
「愛情?」
「そう。生死と言う、本人にしか握れないものを握ったとき、その相手のすべてを手に入れた気持ちになるんだ。だから、どうしても殺したくなる」
全部、ほしくなってしまうくらい、愛してるんだよ。と懐かしそうに言う父の言葉に、なにかしっくりきた。
いままで漠然とした「殺したい」という感情に名前がついた感覚。
僕は、満月が好き。愛している。
「その殺害衝動を抑えないと、いつか後悔するよ。恭弥」
「うん、うん……。大丈夫、もう、殺さない。愛せばいいんでしょ」
「そう、そう。がんばって。けど、そうか。恭弥は満月が好きなのか。草との恋は、中々難しいよ」
あの子たちは、分家たち以上に立場や外聞を気にするしね。と言うが、そうなったら僕は満月を連れて本家から出て行くだけだ。
「私は賛成だけどね、草との恋愛。私も彼らが好きだから。なにか、既成事実でも作れればいいんだけど」
「傷とか残ったら、責任とるって言って娶れないかな」
「うーん、ちょっと理由としては弱いけど、いけなくもないかな」
あの傷で跡が残らないわけないと思い、満月に「責任とるから」と宣言したら嫌がられた。
満月が僕に懐いていないのは知っているけど、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか。
キミが嫌だって言っても、責任は絶対にとるからね。
僕がつけた傷がどうなっているのか楽しみにしていたのに、満月の白い腕は無傷だった。
「なんで跡残ってないの」
不機嫌な僕に及び腰になる満月の腕を掴み逃げられないようにし聞くと、震えながら「うちの傷薬、効き目がいいので……」と言う。
そう……そうなんだね……。
「どれくらい深く抉ったら、跡が残るかな……」
「なんで、そんな怖いこと言うんですか?!」
そうしないと、僕が責任とれないでしょ。
しかし、恐らく傷をつけている間にまた、満月を殺したくなる。
「なにか別の方法を考えないと」
「なにを考えているんですか、恭弥様。お願い、怖いことはやめて」
恭弥様は手加減をしない。
目をつけられ、恭弥様直々に戦闘訓練をつけられてからと言うもの、私の体に青痣がなかったことはない。
おかげで、何度か虐待を疑われたが、雲雀家お抱えの組織故に介入もできない状態であった。
青痣だけならまだマシだが、最近、恭弥様はトンファーを改造するようになり、凶悪な棘やら鉄球付きの鎖などが出てくるようにしている。
「そんな凶悪な改造してまで、私を殺したいんですか?!」
「すごく殺したい」
私がなにをしたって言うんですか、恭弥様?!そんな、殺されるようなことをしでかした記憶はないのですが!
と言ったところで、恭弥様が武器を下ろすわけもなく、嬉々とした表情を向けてくるばかり。
殺らなきゃ殺られる……!
本家に対して思うべき感情ではないが、本当に身を守るために殺るきでいかなければ死ぬ……!
棘に注意しながら攻撃を受け止め、距離を取りながら飛び道具などでスキを伺うも、すぐに距離をつめられる。
恭弥様の怖いところは興が乗ってくると、どんどん攻撃のスピードが上がり、いなし切れなくなってくるところだ。
腕、腹、脚、と徐々に傷が増えていき、床に血だまりができ始めた。
血を流し過ぎた、このままではまずい。しかし、逃げるには相手が悪すぎる。
完全に獲物をしとめる目になっている恭弥様から視線をそらさずに、逃げるスキを伺うが、いまの恭弥様の目には私しか映っていない状態で逃げ出すのは難しそうだ。
主君に討たれるって、どんな最後だよ、と情けなく思い最後の一撃を叩きこもうとする恭弥様を見つめていると、目の前に、誰かが立ちふさがり攻撃を代わりに受けた。
「盃、満月を連れて引け」
「はい、父上」
兄上に支えられながら、道場をあとにしてからは、あまり記憶にない。
気がついたときには、部屋に寝かされていた状態であった。
腕を怪我した父上に、「なにをしたら、あんな殺意を向けられるんだ」と嘆かれたが、私にもよくわからない。
怪我も治り動き回る程度には支障がなくなり、いつも通り、学校に行く為に本家へ恭弥様を迎えに行くと、変わらぬ表情で「怪我、大丈夫」と聞いてきた。
「完治とまでは行かないけど、動けるよ」
学校へ行っている間は友人として振る舞うようにと、ご当主からも恭弥様からも言われているので、そう気軽に返すと、短く「そう」とだけ返ってきた。
「責任とるから」
「なんの?恭弥が責任を感じることなんてないよ」
「いいから、責任とらせて」
「え、やめて。怖い」
なにをどう責任をとるのかはわからないが、あまりいい予感がしないので勘弁してほしい。
断る私に、恭弥様は不機嫌そうな顔をしながら、「キミがいいって言っても、責任はとるから」と頑なに、謎の責任をとろうとする。
せめて、責任の取り方の内容だけ教えてくれ。
怯える私など無視して、恭弥様はいつものように私の手を握り「満月、行こう。あのね、好きだよ」と言った。
え、なに、本当に怖い。
◆
満月のことを殺したいと思った。
憎いとかではなく、純粋に、殺したい。その感情が、あの子を見る度に湧き上がってくる。
その日、改造したトンファーで満月の命を奪う一歩手前までいったのだが、満月の父親に止められた。
あとちょっとで、あの子の命は僕のものだったのに。そう、父に話したら、「恭弥、いいことを教えてあげるよ」と楽しそうに口にした。
「私たちの「殺したい」は愛情なんだよ」
「愛情?」
「そう。生死と言う、本人にしか握れないものを握ったとき、その相手のすべてを手に入れた気持ちになるんだ。だから、どうしても殺したくなる」
全部、ほしくなってしまうくらい、愛してるんだよ。と懐かしそうに言う父の言葉に、なにかしっくりきた。
いままで漠然とした「殺したい」という感情に名前がついた感覚。
僕は、満月が好き。愛している。
「その殺害衝動を抑えないと、いつか後悔するよ。恭弥」
「うん、うん……。大丈夫、もう、殺さない。愛せばいいんでしょ」
「そう、そう。がんばって。けど、そうか。恭弥は満月が好きなのか。草との恋は、中々難しいよ」
あの子たちは、分家たち以上に立場や外聞を気にするしね。と言うが、そうなったら僕は満月を連れて本家から出て行くだけだ。
「私は賛成だけどね、草との恋愛。私も彼らが好きだから。なにか、既成事実でも作れればいいんだけど」
「傷とか残ったら、責任とるって言って娶れないかな」
「うーん、ちょっと理由としては弱いけど、いけなくもないかな」
あの傷で跡が残らないわけないと思い、満月に「責任とるから」と宣言したら嫌がられた。
満月が僕に懐いていないのは知っているけど、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか。
キミが嫌だって言っても、責任は絶対にとるからね。
僕がつけた傷がどうなっているのか楽しみにしていたのに、満月の白い腕は無傷だった。
「なんで跡残ってないの」
不機嫌な僕に及び腰になる満月の腕を掴み逃げられないようにし聞くと、震えながら「うちの傷薬、効き目がいいので……」と言う。
そう……そうなんだね……。
「どれくらい深く抉ったら、跡が残るかな……」
「なんで、そんな怖いこと言うんですか?!」
そうしないと、僕が責任とれないでしょ。
しかし、恐らく傷をつけている間にまた、満月を殺したくなる。
「なにか別の方法を考えないと」
「なにを考えているんですか、恭弥様。お願い、怖いことはやめて」