呼ばれまして忍者ちゃん!
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身バレしてしまったので、誠心誠意恭弥様にお仕えしようとしたら、またもや「そういうのいらない」と言われ、学校外でまでくっついてくるなと言われ、学校が休みの日は暇を出されてしまった。
いまの今まで、警護なんてしてなかったのだから、今更、警護しないと、などとは虫がよすぎるが、大丈夫かな……。本家とか、父上とかに怒られないかな……。
ドキドキしながら、昼餉を作っていると、チャイムが鳴った。
「はい」
『やあ、遊びに来たよ』
世界で一番不吉な“遊びに来たよ”が来た。
私の中で、恭弥様の「遊ぼう」は「殺るよ」と同義な為に、この一言だけで嫌な汗が吹き出してしまう。
オートロックなのに、どうしてすでに玄関前まで来ているのだ。不動産屋に聞いたのか。セキュリティしっかりしろ、不動産屋。
心拍数があがりながらも、なんとか平常心を保ち、扉を開けると、休みだというのに制服を着こんだ恭弥様が風呂敷包みを持って立っていた。
「はい、これ。キミの好きなお菓子」
「あ、ありがとうございます……」
「お昼、作ってたの」
「はい……」
なにをしに来たのかわからず、戸惑う私などお構いなしに恭弥様はキッチンスペースを抜け、リビングに入った。
「物、少ないね」
「必要な物は少ないので」
部屋をぐるりと見て満足したのか、ちゃぶ台の側に腰をおろし「それで、お昼はまだなの」と言ってきた。
自由~!いや、たしかに、夕餉用にも多めに作ってはいましたけれども!
わざわざ、人の家の昼餉を食べに来たのか。と戦慄しながらも、肉じゃがと白米、味噌汁、浅漬けを用意していく。
ちゃぶ台に、恭弥様の分だけ置くと、不機嫌そうに「キミの分は」と聞いてきた。
「主と同じ机で食事はとれないから。恭弥が食べ終わったら、あとで食べるよ」
「キミが食べるまで、食べない」
なんで~?お昼食べたかったんじゃないの?
なにがしたいのかわからず、しかし、草の者が主と同じ卓で食事をとったとあれば、父上と地獄の鬼ごっこが待っているし、恭弥様大好きな妹にも追いかけ回されかねない。
般若二人に追いかけ回されるのは、さすがに怖い。
「あの、一応聞いていい?なにしに来たの?」
「キミとご飯食べに来た」
あ、目的がそれだったのか。勘弁してくれ。
「う~、だから、本家と草の立場考えて……」
「僕は草の満月と食事しに来たんじゃなくて、僕の物のただの満月と食事にしに来たんだよ」
「差異が分からない」
「そもそも、僕は上にもキミの父親にもイチイチ言うつもりはないよ」
そういう問題じゃなくてな、と言ったところで聞かないのだろう。
はあ、もう仕方がないな、と自分の分の昼餉を持ってきてちゃぶ台に並べると、ただでさえ狭いちゃぶ台はさらに狭くなった。
恭弥様はどこか満足そうな顔をしている。
無言で食べていると、不意に肩を叩かれた。
振り返ると、血みどろの女がルーズリーフを持って側にいた。
「どうしたの、美香ちゃん」
「ごく自然に幽霊と会話しないでくれる」
ご紹介遅れましたが、こちら同居人である幽霊の美香ちゃんです。
以前、こちらに住んでいて、強盗殺人に会い死んでしまった可哀想な女子大生です。
彼女のおかげで、お家賃二万五千円と破格の値段で、こちらのオートロック付きマンションの一室をお借りできております。
と、美香ちゃんの紹介をしたら、恭弥様は目を細めて「どうりで寒いわけだ」と言った。
「害はないの」
「仲よくやってるよ」
「キミ、基本的に幽霊関係とはいつも仲よくやるよね」
「仲よくなれないのは成仏させるから」
殴ればだいたい成仏する。と言う私に、恭弥様は白い目で「脳筋」と言うが、恭弥様だってだいたいの揉め事は殴って解決する癖に。
それで、どうしたんだい、美香ちゃん。と美香ちゃんに聞くと、ルーズリーフに赤い文字が浮かび上がってきた。
――彼氏?
「違う」
「なにが」
恭弥様に、美香ちゃんが勘違いしているという話をすると、興味深そうに「僕たちはそういう風に見えるの?」と質問した。
――恋人未満友人以上に見える、もっといちゃいちゃしてほしい。学生カップルからしか接種できない栄養がある。お願いだから、いちゃいちゃして。
「美香ちゃん、めっちゃ喋るね?」
どうしたの、と驚く私と、「いちゃいちゃって具体的には」とさらに質問を続ける恭弥様に対し、美香ちゃんは端的に「抱き合え」と書いた。
美香ちゃん!
しかし、恭弥様は実行しませんよね、という思いがあったのに、いい笑顔でにじり寄ってくる。
「食事中に席を立たれてはなりませぬ!」
「僕はもう、食べ終わった」
言うとおり、恭弥様のお皿は空っぽだった。
男子の食欲を嘗めてかかっていた私は、にじり寄ってくる恭弥様から後ずさりながら逃げる。
「食事中に席を立ったらダメだよ、満月」
「なら、来ないでください!」
「ヤダ」
そう言いながら、あとのなくなった私の首に腕を回し、強く抱きつき「満月、好き」と恭弥様が言った瞬間、ガタガタと部屋が揺れ始めた。
な、なに?!と慌てながら、恭弥様の頭を抱えて物が当たらないようにする。
辺りを見回せば、美香ちゃんが荒ぶっていた。
「美香ちゃん、落ち着いて?!」
しばらく、ポルターガイストは続いたがようやく収まり、美香ちゃんは「拙者、強気男子の片思い好きに弱い侍で候」と書いて拝まれた。
美香ちゃん、情緒が乱れすぎている。
とりあえず、このままでは美香ちゃんがまた暴走しかねないと判断し、今日はもう帰ってもらうことにした。
家まで送り届けると、「またしようね」と言われたが、絶対にしない。
いまの今まで、警護なんてしてなかったのだから、今更、警護しないと、などとは虫がよすぎるが、大丈夫かな……。本家とか、父上とかに怒られないかな……。
ドキドキしながら、昼餉を作っていると、チャイムが鳴った。
「はい」
『やあ、遊びに来たよ』
世界で一番不吉な“遊びに来たよ”が来た。
私の中で、恭弥様の「遊ぼう」は「殺るよ」と同義な為に、この一言だけで嫌な汗が吹き出してしまう。
オートロックなのに、どうしてすでに玄関前まで来ているのだ。不動産屋に聞いたのか。セキュリティしっかりしろ、不動産屋。
心拍数があがりながらも、なんとか平常心を保ち、扉を開けると、休みだというのに制服を着こんだ恭弥様が風呂敷包みを持って立っていた。
「はい、これ。キミの好きなお菓子」
「あ、ありがとうございます……」
「お昼、作ってたの」
「はい……」
なにをしに来たのかわからず、戸惑う私などお構いなしに恭弥様はキッチンスペースを抜け、リビングに入った。
「物、少ないね」
「必要な物は少ないので」
部屋をぐるりと見て満足したのか、ちゃぶ台の側に腰をおろし「それで、お昼はまだなの」と言ってきた。
自由~!いや、たしかに、夕餉用にも多めに作ってはいましたけれども!
わざわざ、人の家の昼餉を食べに来たのか。と戦慄しながらも、肉じゃがと白米、味噌汁、浅漬けを用意していく。
ちゃぶ台に、恭弥様の分だけ置くと、不機嫌そうに「キミの分は」と聞いてきた。
「主と同じ机で食事はとれないから。恭弥が食べ終わったら、あとで食べるよ」
「キミが食べるまで、食べない」
なんで~?お昼食べたかったんじゃないの?
なにがしたいのかわからず、しかし、草の者が主と同じ卓で食事をとったとあれば、父上と地獄の鬼ごっこが待っているし、恭弥様大好きな妹にも追いかけ回されかねない。
般若二人に追いかけ回されるのは、さすがに怖い。
「あの、一応聞いていい?なにしに来たの?」
「キミとご飯食べに来た」
あ、目的がそれだったのか。勘弁してくれ。
「う~、だから、本家と草の立場考えて……」
「僕は草の満月と食事しに来たんじゃなくて、僕の物のただの満月と食事にしに来たんだよ」
「差異が分からない」
「そもそも、僕は上にもキミの父親にもイチイチ言うつもりはないよ」
そういう問題じゃなくてな、と言ったところで聞かないのだろう。
はあ、もう仕方がないな、と自分の分の昼餉を持ってきてちゃぶ台に並べると、ただでさえ狭いちゃぶ台はさらに狭くなった。
恭弥様はどこか満足そうな顔をしている。
無言で食べていると、不意に肩を叩かれた。
振り返ると、血みどろの女がルーズリーフを持って側にいた。
「どうしたの、美香ちゃん」
「ごく自然に幽霊と会話しないでくれる」
ご紹介遅れましたが、こちら同居人である幽霊の美香ちゃんです。
以前、こちらに住んでいて、強盗殺人に会い死んでしまった可哀想な女子大生です。
彼女のおかげで、お家賃二万五千円と破格の値段で、こちらのオートロック付きマンションの一室をお借りできております。
と、美香ちゃんの紹介をしたら、恭弥様は目を細めて「どうりで寒いわけだ」と言った。
「害はないの」
「仲よくやってるよ」
「キミ、基本的に幽霊関係とはいつも仲よくやるよね」
「仲よくなれないのは成仏させるから」
殴ればだいたい成仏する。と言う私に、恭弥様は白い目で「脳筋」と言うが、恭弥様だってだいたいの揉め事は殴って解決する癖に。
それで、どうしたんだい、美香ちゃん。と美香ちゃんに聞くと、ルーズリーフに赤い文字が浮かび上がってきた。
――彼氏?
「違う」
「なにが」
恭弥様に、美香ちゃんが勘違いしているという話をすると、興味深そうに「僕たちはそういう風に見えるの?」と質問した。
――恋人未満友人以上に見える、もっといちゃいちゃしてほしい。学生カップルからしか接種できない栄養がある。お願いだから、いちゃいちゃして。
「美香ちゃん、めっちゃ喋るね?」
どうしたの、と驚く私と、「いちゃいちゃって具体的には」とさらに質問を続ける恭弥様に対し、美香ちゃんは端的に「抱き合え」と書いた。
美香ちゃん!
しかし、恭弥様は実行しませんよね、という思いがあったのに、いい笑顔でにじり寄ってくる。
「食事中に席を立たれてはなりませぬ!」
「僕はもう、食べ終わった」
言うとおり、恭弥様のお皿は空っぽだった。
男子の食欲を嘗めてかかっていた私は、にじり寄ってくる恭弥様から後ずさりながら逃げる。
「食事中に席を立ったらダメだよ、満月」
「なら、来ないでください!」
「ヤダ」
そう言いながら、あとのなくなった私の首に腕を回し、強く抱きつき「満月、好き」と恭弥様が言った瞬間、ガタガタと部屋が揺れ始めた。
な、なに?!と慌てながら、恭弥様の頭を抱えて物が当たらないようにする。
辺りを見回せば、美香ちゃんが荒ぶっていた。
「美香ちゃん、落ち着いて?!」
しばらく、ポルターガイストは続いたがようやく収まり、美香ちゃんは「拙者、強気男子の片思い好きに弱い侍で候」と書いて拝まれた。
美香ちゃん、情緒が乱れすぎている。
とりあえず、このままでは美香ちゃんがまた暴走しかねないと判断し、今日はもう帰ってもらうことにした。
家まで送り届けると、「またしようね」と言われたが、絶対にしない。