並盛の盾 日常小話
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恭弥は、もし万が一、私の身に危険が降り注いだときに私を助けるだろうか。
そんなことをこのボンゴレというマフィアの世界に入ってから、よく考えるようになった。
正確には、風紀財団はボンゴレファミリーの傘下ではなく、別の組織ということになっているが、一応他のファミリーから見れば、傘下のうちに入るだろう。
話を元に戻そう。
危険がすぐ側にあるからだろうか、そういう考えが過ることがよくある。
それは、私が恭弥に守ってほしいということではない。その逆である。守ってほしくないのだ。
私という一個人を優先などするくらいなら、自分の戦闘に集中してほしい。
恭弥の場合、守るつもりがなくても敵を討ち倒すことで守るということになる。
そこで、私が足手まといになるようなことはしたくない。
だから、私が如何に危険な状況でも、助けに来ないでほしいと恭弥に伝えると、顔を歪め「どう戦うかは僕が決める」と言われてしまった。
「好きに戦えばいいよ。でも、私が危険だからって理由で戦わないでほしい」
「誰を、なにを守るかも、僕が決めることだよ」
「それで危険な状況になったらどうするの」
「ならないよ」
「……率直に言うわね。見捨てなさい、私のことを。なにがあっても」
この時勢、ミルフィオーレが強襲をかけてこないとも限らない。
そこで乱戦になれば、端から端まで気にしている余裕はなくなるだろう。
だから、その場に私がいたら無視してほしい。私より、恭弥の命を最優先にしてほしい。そう望む私に、恭弥は頑なに「僕はキミも、僕も守るよ」と言う。
「……わかった。恭弥が折れてくれるまで、私はしばらくボンゴレの方にいるから」
「それを僕が許すとでも思うの」
「恭弥が危険なことになるくらいなら、いま、恭弥に咬み殺された方がましだよ」
と言っても、恭弥が本当に私に殴りかかってくることはないと高を括っていたのがよくなかった。
あの恭弥が、絶妙な炎圧差で私を殴り飛ばしたのだ。
「お望みなら、しばらく動けなくして上げるよ」
「え、ちょ、恭弥たんま!たんま!」
私の制止など無視し、私は恭弥によって全治三か月の怪我を負わされたのだ。
風紀財団の一室で、文字通り動けなくなっている私に、ディーノくんは「馬鹿だなぁ、お前は」と呆れと愉快をないまぜにしたような笑いを浮かべた。
お見舞いに来てくれたはずなのに、見舞われている気がしない。
「恭弥があんなに怒るなんて、初めてかも知れない」
「そりゃ、こんな時期にそんなこと言われりゃ怒りたくもなるだろ。俺だって怒るぜ」
「ディーノくんは王子様だから怒らない」
「怒るっての。お前が、戦力としてお前と恭弥どっちが重要か考えて行動しろ、て言いたいのはわかるけどさ、恭弥はお前を見捨ててまで勝ちなんて狙いにいかないって。純、人間にはそれぞれ後悔のない選択があんだよ。お前にとって、自分を見捨てろってのが後悔のない選択なのと一緒で、恭弥にとって、お前を守るのが後悔のない選択なんだよ」
私を守っても戦力にならないとしても?と聞くと、「お前が死んだら、一生後悔するんだろ。恭弥は」と言われた。
「俺も、お前を守れないで死んだら、絶対に後悔する。だから、俺もお前を助けるよ。でも……」
「でも?」
「俺は俺の命を賭けてお前のことは助けられないな。俺は、キャバッローネのボスとして、死ぬわけにはいかないから。だから、はっきりとお前を助けるって言える恭弥が羨ましいよ」
「……それでいいんだよ。ディーノくんには、ディーノくんの立場がある」
「もし、それでお前が死んだら、俺は一生後悔し続けるんだろうな」
「ふふっ、そうなったら私は、ディーノくんの中から消えない絶対の女になっちゃうね」
「いまだって十分、消えない女だよ」
そんな冗談を交わし、ふと真面目な顔で「恭弥にはちゃんと謝れよ」と言われたが、謝る気は毛頭ない。
恭弥には恭弥の譲れない選択があるのと一緒で、私にも譲れない選択がある。
そう簡単に死ぬつもりはないけども、万が一ということもある。
私のことを庇いながらでは、恭弥にまで危険にさらす。そんなことはあってはならない。恭弥の危険は、戦闘状況の不利にも直結してくる。
「怪我が治ってきたら、絶対に綱吉くんのところ行くんだー!」
「なら、怪我が治ってきたあたりで、また足の骨折ってあげるから楽しみにしてなよ」
果物の盛り合わせを持ってきてくれた恭弥に「どうして……」と弱弱しく聞けば、眉根を寄せ「反省してないから」と言った。
盛り合わせの皿を近くの机に置くと、ディーノくんに「用事済んだなら、さっさと帰って」と追い立てるが、ディーノくんはディーノくんで「まだ、説教したりないんだけど、ここは恭弥に任せるわ」と言って帰ってしまった。
な、なんだよぉ、みんなして私を悪者にしてぇ……。
「……謝らないよ」
「別に謝ってほしいわけじゃないよ。反省はしてほしいけどね」
「どう違うの、それ」
「僕が怒ってるのは、キミがキミの考えを僕に押し付けてきたこと、自分の命を軽く見過ぎていること。この二つだよ。僕は僕もキミも守る。それは僕の誇りだ。キミでも譲れない」
恭弥の誇りは難攻不落だ。
譲れないからこそ誇りだと豪語するだけあり、恭弥が譲らないとなったときはてこでも譲らない。
いや、譲られたことなんて一つもないのだけれども。
「キミが簡単にキミの命を譲ることが理解できないね」
「別に譲ってるわけじゃない。自分と恭弥の命、どっちが大事かってなったら恭弥の方がってなっただけ」
「それを譲るって言うんだよ。僕はキミに命を優先されてもなにも嬉しくない。それでキミが大事になったら、たぶん、あの人の言う通り後悔する。したくないのに。だから、生きる努力をして。じゃないと、生かせない」
差し出されたリンゴを口で受け取り咀嚼し、飲み込んでから「ごめん」と謝ると、「だから、謝ってほしいわけじゃない」と言われる。
「違う。私が、自分の身くらい守れるって言えるくらい強くなくて、ごめん」
そうもう一度謝ると、呆れたようにため息を吐いて、「キミが強くても、僕はキミを守るよ」と言う恭弥。
今日はなんだか、素直に気持ちを言葉にしてくれるな。
そんなことをこのボンゴレというマフィアの世界に入ってから、よく考えるようになった。
正確には、風紀財団はボンゴレファミリーの傘下ではなく、別の組織ということになっているが、一応他のファミリーから見れば、傘下のうちに入るだろう。
話を元に戻そう。
危険がすぐ側にあるからだろうか、そういう考えが過ることがよくある。
それは、私が恭弥に守ってほしいということではない。その逆である。守ってほしくないのだ。
私という一個人を優先などするくらいなら、自分の戦闘に集中してほしい。
恭弥の場合、守るつもりがなくても敵を討ち倒すことで守るということになる。
そこで、私が足手まといになるようなことはしたくない。
だから、私が如何に危険な状況でも、助けに来ないでほしいと恭弥に伝えると、顔を歪め「どう戦うかは僕が決める」と言われてしまった。
「好きに戦えばいいよ。でも、私が危険だからって理由で戦わないでほしい」
「誰を、なにを守るかも、僕が決めることだよ」
「それで危険な状況になったらどうするの」
「ならないよ」
「……率直に言うわね。見捨てなさい、私のことを。なにがあっても」
この時勢、ミルフィオーレが強襲をかけてこないとも限らない。
そこで乱戦になれば、端から端まで気にしている余裕はなくなるだろう。
だから、その場に私がいたら無視してほしい。私より、恭弥の命を最優先にしてほしい。そう望む私に、恭弥は頑なに「僕はキミも、僕も守るよ」と言う。
「……わかった。恭弥が折れてくれるまで、私はしばらくボンゴレの方にいるから」
「それを僕が許すとでも思うの」
「恭弥が危険なことになるくらいなら、いま、恭弥に咬み殺された方がましだよ」
と言っても、恭弥が本当に私に殴りかかってくることはないと高を括っていたのがよくなかった。
あの恭弥が、絶妙な炎圧差で私を殴り飛ばしたのだ。
「お望みなら、しばらく動けなくして上げるよ」
「え、ちょ、恭弥たんま!たんま!」
私の制止など無視し、私は恭弥によって全治三か月の怪我を負わされたのだ。
風紀財団の一室で、文字通り動けなくなっている私に、ディーノくんは「馬鹿だなぁ、お前は」と呆れと愉快をないまぜにしたような笑いを浮かべた。
お見舞いに来てくれたはずなのに、見舞われている気がしない。
「恭弥があんなに怒るなんて、初めてかも知れない」
「そりゃ、こんな時期にそんなこと言われりゃ怒りたくもなるだろ。俺だって怒るぜ」
「ディーノくんは王子様だから怒らない」
「怒るっての。お前が、戦力としてお前と恭弥どっちが重要か考えて行動しろ、て言いたいのはわかるけどさ、恭弥はお前を見捨ててまで勝ちなんて狙いにいかないって。純、人間にはそれぞれ後悔のない選択があんだよ。お前にとって、自分を見捨てろってのが後悔のない選択なのと一緒で、恭弥にとって、お前を守るのが後悔のない選択なんだよ」
私を守っても戦力にならないとしても?と聞くと、「お前が死んだら、一生後悔するんだろ。恭弥は」と言われた。
「俺も、お前を守れないで死んだら、絶対に後悔する。だから、俺もお前を助けるよ。でも……」
「でも?」
「俺は俺の命を賭けてお前のことは助けられないな。俺は、キャバッローネのボスとして、死ぬわけにはいかないから。だから、はっきりとお前を助けるって言える恭弥が羨ましいよ」
「……それでいいんだよ。ディーノくんには、ディーノくんの立場がある」
「もし、それでお前が死んだら、俺は一生後悔し続けるんだろうな」
「ふふっ、そうなったら私は、ディーノくんの中から消えない絶対の女になっちゃうね」
「いまだって十分、消えない女だよ」
そんな冗談を交わし、ふと真面目な顔で「恭弥にはちゃんと謝れよ」と言われたが、謝る気は毛頭ない。
恭弥には恭弥の譲れない選択があるのと一緒で、私にも譲れない選択がある。
そう簡単に死ぬつもりはないけども、万が一ということもある。
私のことを庇いながらでは、恭弥にまで危険にさらす。そんなことはあってはならない。恭弥の危険は、戦闘状況の不利にも直結してくる。
「怪我が治ってきたら、絶対に綱吉くんのところ行くんだー!」
「なら、怪我が治ってきたあたりで、また足の骨折ってあげるから楽しみにしてなよ」
果物の盛り合わせを持ってきてくれた恭弥に「どうして……」と弱弱しく聞けば、眉根を寄せ「反省してないから」と言った。
盛り合わせの皿を近くの机に置くと、ディーノくんに「用事済んだなら、さっさと帰って」と追い立てるが、ディーノくんはディーノくんで「まだ、説教したりないんだけど、ここは恭弥に任せるわ」と言って帰ってしまった。
な、なんだよぉ、みんなして私を悪者にしてぇ……。
「……謝らないよ」
「別に謝ってほしいわけじゃないよ。反省はしてほしいけどね」
「どう違うの、それ」
「僕が怒ってるのは、キミがキミの考えを僕に押し付けてきたこと、自分の命を軽く見過ぎていること。この二つだよ。僕は僕もキミも守る。それは僕の誇りだ。キミでも譲れない」
恭弥の誇りは難攻不落だ。
譲れないからこそ誇りだと豪語するだけあり、恭弥が譲らないとなったときはてこでも譲らない。
いや、譲られたことなんて一つもないのだけれども。
「キミが簡単にキミの命を譲ることが理解できないね」
「別に譲ってるわけじゃない。自分と恭弥の命、どっちが大事かってなったら恭弥の方がってなっただけ」
「それを譲るって言うんだよ。僕はキミに命を優先されてもなにも嬉しくない。それでキミが大事になったら、たぶん、あの人の言う通り後悔する。したくないのに。だから、生きる努力をして。じゃないと、生かせない」
差し出されたリンゴを口で受け取り咀嚼し、飲み込んでから「ごめん」と謝ると、「だから、謝ってほしいわけじゃない」と言われる。
「違う。私が、自分の身くらい守れるって言えるくらい強くなくて、ごめん」
そうもう一度謝ると、呆れたようにため息を吐いて、「キミが強くても、僕はキミを守るよ」と言う恭弥。
今日はなんだか、素直に気持ちを言葉にしてくれるな。