並盛の盾 日常小話
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純さんの死は、意外とあっけないものだった。
俺たちはこの世界に入ってから多くの死を受け入れてきた。
受け入れはするが、悲しくないわけではない。
ディーノさんとヒバリさんも、平静を装っているが心中穏やかではないだろう。
それは理解してはいた。
「キミたちには今からマツケンサンバを覚えてもらうよ」
突然、ヒバリさんがそう言い出した。
ヒバリさんが突拍子もないことを言うのはいつものことだが、これはあまりに突拍子もなさすぎる。
が、なんとなく全員「純さんから事前に言われていたんだろうな」と納得してしまった。
このタイプの突拍子のなさは、純のさんしかしない。
「純の遺言で、葬儀には沢田と守護者と跳ね馬にマツケンサンバを全力で歌って踊らせろって言われてるからね」
「また、なんで……」
「さあ、知らないよ。あの子の考えなんて、理解できないからね」
嘘をつけ、と内心思った。
純さんの考えは、ヒバリさんが一番理解できるだろうに。
横で苦笑いをしているディーノさんも、理解しているんだろう。
いつもなら止めるのに、止める気配がない。
やる気しかないヒバリさんと、渋々ながら賛同しているディーノさんを説得するのは難しい。
それに、故人の意志はできるだけ汲みたいとは思う。
恥ずかしいけど。
そこからみっちりと、ヒバリさんのスパルタと獄寺くんの理論と山本の感覚で全員がマツケンサンバを完璧に踊れるまで練習した。
最終的に、純さんを慕っている人たちやキャバッローネの人たちも加わり、かなりの大所帯になった。
純さんの葬儀とかそういうことより、全員でマツケンサンバを踊ったことの方が印象深すぎて、悲しいとかよりも謎の達成感に満ちている。
これが狙いだったんだろうなぁ、と全員が否が応にもわからされた。
それからずいぶん経ってから俺も死んだのだが、所謂あの世という場所に来ると「綱吉くん、来るの早すぎない?」と純さんが迎えてくれた。
「純さんの方が早いじゃないですか」
「私はキミより歳食ってるから妥当だよ」
「俺の享年より下じゃないですか」
俺の反論に言い返せないのか、純さんは露骨に視線をそらした。
「それより、私の葬式にマツケンサンバしてくれて、ありがとうね」
「かなりキツかったですよ、あれ」
「なんか、恭弥が熱入ってたからね~」
笑いながら言う純さんに「笑い事じゃないですよ」と言うも、嬉しそうに「すごくよかった」と笑う。
「しかも、葬式にマツケンサンバが慣習化してて面白かった。恭弥は私の時以外踊らなかったけど」
「まあ、悪くなかったですから。皆、悲しい気持ちじゃなくて、笑って見送ってほしいですしね」
「隼人くん、綱吉くんの葬式マツケンサンバ、メチャクチャ泣いてたよ」
いや、獄寺くんが俺の葬式で泣かない方が、ちょっと異常事態な気が……。と言うと、純さんは「隼人くん、綱吉くん大好きだからね」とからかってきた。
そういう純さんだってディーノさんとヒバリさんに、と言い返したら気恥ずかしそうに笑い「だよね~」と肯定するから、ディーノさんが純さんを語るとき「悪い女だったな」と言っていたのを思い出した。
「ディーノくんとか綱吉くんたちは渋々はやってくれるかなとは思ってたけど、まさか恭弥がやってくれるとは思わなかった」
「ヒバリさんはわかりますけど、いちファミリーのボスと幹部に踊らせないでください」
「だから、嬉しいんじゃん。ありがとうね」
「……純さんには、なんだかんだでお世話になりましたし」
「ふふっ、ありがとう」
「どういたしまして」
だが、純さんだけマツケンサンバを踊っていないのが腑に落ちなかったので、純さんにはあの世で一人マツケンサンバをしてもらった。
俺たちはこの世界に入ってから多くの死を受け入れてきた。
受け入れはするが、悲しくないわけではない。
ディーノさんとヒバリさんも、平静を装っているが心中穏やかではないだろう。
それは理解してはいた。
「キミたちには今からマツケンサンバを覚えてもらうよ」
突然、ヒバリさんがそう言い出した。
ヒバリさんが突拍子もないことを言うのはいつものことだが、これはあまりに突拍子もなさすぎる。
が、なんとなく全員「純さんから事前に言われていたんだろうな」と納得してしまった。
このタイプの突拍子のなさは、純のさんしかしない。
「純の遺言で、葬儀には沢田と守護者と跳ね馬にマツケンサンバを全力で歌って踊らせろって言われてるからね」
「また、なんで……」
「さあ、知らないよ。あの子の考えなんて、理解できないからね」
嘘をつけ、と内心思った。
純さんの考えは、ヒバリさんが一番理解できるだろうに。
横で苦笑いをしているディーノさんも、理解しているんだろう。
いつもなら止めるのに、止める気配がない。
やる気しかないヒバリさんと、渋々ながら賛同しているディーノさんを説得するのは難しい。
それに、故人の意志はできるだけ汲みたいとは思う。
恥ずかしいけど。
そこからみっちりと、ヒバリさんのスパルタと獄寺くんの理論と山本の感覚で全員がマツケンサンバを完璧に踊れるまで練習した。
最終的に、純さんを慕っている人たちやキャバッローネの人たちも加わり、かなりの大所帯になった。
純さんの葬儀とかそういうことより、全員でマツケンサンバを踊ったことの方が印象深すぎて、悲しいとかよりも謎の達成感に満ちている。
これが狙いだったんだろうなぁ、と全員が否が応にもわからされた。
それからずいぶん経ってから俺も死んだのだが、所謂あの世という場所に来ると「綱吉くん、来るの早すぎない?」と純さんが迎えてくれた。
「純さんの方が早いじゃないですか」
「私はキミより歳食ってるから妥当だよ」
「俺の享年より下じゃないですか」
俺の反論に言い返せないのか、純さんは露骨に視線をそらした。
「それより、私の葬式にマツケンサンバしてくれて、ありがとうね」
「かなりキツかったですよ、あれ」
「なんか、恭弥が熱入ってたからね~」
笑いながら言う純さんに「笑い事じゃないですよ」と言うも、嬉しそうに「すごくよかった」と笑う。
「しかも、葬式にマツケンサンバが慣習化してて面白かった。恭弥は私の時以外踊らなかったけど」
「まあ、悪くなかったですから。皆、悲しい気持ちじゃなくて、笑って見送ってほしいですしね」
「隼人くん、綱吉くんの葬式マツケンサンバ、メチャクチャ泣いてたよ」
いや、獄寺くんが俺の葬式で泣かない方が、ちょっと異常事態な気が……。と言うと、純さんは「隼人くん、綱吉くん大好きだからね」とからかってきた。
そういう純さんだってディーノさんとヒバリさんに、と言い返したら気恥ずかしそうに笑い「だよね~」と肯定するから、ディーノさんが純さんを語るとき「悪い女だったな」と言っていたのを思い出した。
「ディーノくんとか綱吉くんたちは渋々はやってくれるかなとは思ってたけど、まさか恭弥がやってくれるとは思わなかった」
「ヒバリさんはわかりますけど、いちファミリーのボスと幹部に踊らせないでください」
「だから、嬉しいんじゃん。ありがとうね」
「……純さんには、なんだかんだでお世話になりましたし」
「ふふっ、ありがとう」
「どういたしまして」
だが、純さんだけマツケンサンバを踊っていないのが腑に落ちなかったので、純さんにはあの世で一人マツケンサンバをしてもらった。
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