並盛の盾 日常小話
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「はーい、竪谷さんのお疲れ様バレンタインチョコだよ〜」
そう言いながら大量のカヌレを机に置くと、わらわらと男性職員たちが率先して集まってきた。と思ったら、女性職員たちが「どきなさい!竪谷さんのチョコは私のよ!」と男性職員たちをなぎ倒してチョコをもぎ取っていく。
バーゲンとかもそうだけど、女性のほしいものを得るためのパワーはすごいよな。
「なんの騒ぎ?」
「恭弥、いいところに。はい、お世話になってますチョコ」
恭弥用に作ってあったチョコをわたすと、「給料上げろチョコの間違いじゃないの?」と言われた。
正解。
「じゃあ、給料上げて」
「上げても、老後の貯蓄と酒とつまみに消えるでしょ」
「老後の貯蓄はいくらあってもいい!!」
「億単位の貯蓄を老後でどう使っていくつもりなの」
そりゃ、酒と食事と温泉よ!という私に、「早死するよ」と言われたが、そうなったら適当な施設に残ったお金は寄付するよ。
「それで、恭弥はなんか用?」
「うるさかったから、なにかあったのかと思っただけだよ」
「はは、ごめん、ごめん」
謝りながら、ふと恭弥の手に、いま私がわたした物とは別のチョコがあるのに気がついた。
「受け取ったのか、私以外の女から……!」
そう冗談で聞いたら、含みのある笑みで「だったら、どうする?」と聞いてきた。
いや、別に。どうせ、イーピンちゃんからもらったんだろうし。
「まあ、恭弥モテるしね。むしろ、ひとつだけで済んでるのが意外」
「……」
回答が不服だったのか、ムスッ、とされた。
私に嫉妬させようなんて、無理だってわかってるくせに。
恭弥はため息をつきながら、そのチョコの箱を私に押し付けた。
「僕から、キミに」
「貰い物押し付けているのではなく?」
「僕がそんな男だとでも?」
「思ってないけど、イベントにのってくるタイプにも見えないから」
そう言うと、顔を背けて「気分だったから」と言う。
気分、気分ねえ。
気分だったから、という理由で手作り感のあるラッピングをしたチョコを持ってくるだろうか。
「恭弥が作ったの?」
「……違う、哲が作った」
間が物語っているんだよな。
「なら、お返しは哲さんにしないとね」
「渡したのは僕なんだけど」
「作ったのは哲さんじゃん」
「……」
むくれる恭弥と、扉の影からあわあわした様子を見せる哲さんが面白くて、笑い出しそうになる。
イジメるのはこれくらいにしておかないと、あとで哲さんが可哀想なことになるな。
「仕方ないなあ。今回は恭弥から、てことにしておいてあげるけど、来年からはそうはいかないからね」
「ふんっ」
鼻を鳴らし、不貞腐れたように踵を返し行ってしまった恭弥に、内心、素直にありがとうくらい言ったほうがよかったかな、と反省した。
お返しのときに巻き返そう、と思っていたら、部下たちが「ヒバリさん、相変わらずツンデレですね」と笑い混じりに言った。
そこが可愛いから、ついついからかっちゃうんだよね〜。
そう言いながら大量のカヌレを机に置くと、わらわらと男性職員たちが率先して集まってきた。と思ったら、女性職員たちが「どきなさい!竪谷さんのチョコは私のよ!」と男性職員たちをなぎ倒してチョコをもぎ取っていく。
バーゲンとかもそうだけど、女性のほしいものを得るためのパワーはすごいよな。
「なんの騒ぎ?」
「恭弥、いいところに。はい、お世話になってますチョコ」
恭弥用に作ってあったチョコをわたすと、「給料上げろチョコの間違いじゃないの?」と言われた。
正解。
「じゃあ、給料上げて」
「上げても、老後の貯蓄と酒とつまみに消えるでしょ」
「老後の貯蓄はいくらあってもいい!!」
「億単位の貯蓄を老後でどう使っていくつもりなの」
そりゃ、酒と食事と温泉よ!という私に、「早死するよ」と言われたが、そうなったら適当な施設に残ったお金は寄付するよ。
「それで、恭弥はなんか用?」
「うるさかったから、なにかあったのかと思っただけだよ」
「はは、ごめん、ごめん」
謝りながら、ふと恭弥の手に、いま私がわたした物とは別のチョコがあるのに気がついた。
「受け取ったのか、私以外の女から……!」
そう冗談で聞いたら、含みのある笑みで「だったら、どうする?」と聞いてきた。
いや、別に。どうせ、イーピンちゃんからもらったんだろうし。
「まあ、恭弥モテるしね。むしろ、ひとつだけで済んでるのが意外」
「……」
回答が不服だったのか、ムスッ、とされた。
私に嫉妬させようなんて、無理だってわかってるくせに。
恭弥はため息をつきながら、そのチョコの箱を私に押し付けた。
「僕から、キミに」
「貰い物押し付けているのではなく?」
「僕がそんな男だとでも?」
「思ってないけど、イベントにのってくるタイプにも見えないから」
そう言うと、顔を背けて「気分だったから」と言う。
気分、気分ねえ。
気分だったから、という理由で手作り感のあるラッピングをしたチョコを持ってくるだろうか。
「恭弥が作ったの?」
「……違う、哲が作った」
間が物語っているんだよな。
「なら、お返しは哲さんにしないとね」
「渡したのは僕なんだけど」
「作ったのは哲さんじゃん」
「……」
むくれる恭弥と、扉の影からあわあわした様子を見せる哲さんが面白くて、笑い出しそうになる。
イジメるのはこれくらいにしておかないと、あとで哲さんが可哀想なことになるな。
「仕方ないなあ。今回は恭弥から、てことにしておいてあげるけど、来年からはそうはいかないからね」
「ふんっ」
鼻を鳴らし、不貞腐れたように踵を返し行ってしまった恭弥に、内心、素直にありがとうくらい言ったほうがよかったかな、と反省した。
お返しのときに巻き返そう、と思っていたら、部下たちが「ヒバリさん、相変わらずツンデレですね」と笑い混じりに言った。
そこが可愛いから、ついついからかっちゃうんだよね〜。