並盛の盾 日常小話
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ヒバリさん −X年
主人公 中三
「もうすぐ、プール始まりますねー」
「……」
そう、世の中は間もなくプール授業開始である。
私はプール大好きなので水着に抵抗はないが、世の女子は思春期なので水着を恥ずかしがる。可哀想に。という話をしたからだろうか。
照り返す日差しの中、煌めくプール。そこに立つのは私とヒバリさんのみ。
今年から並盛のプール授業は外部のプールに行き男女別で行うことになった。発案、実行、共に風紀委員です。
なら、なぜ私は並盛のプールにいるのか。
「キミは特別に、並盛のプールで泳がせてあげる」
とのことで、私は一人でプール授業をしている。
ヒバリさんは水着に着替えてはいるが、パーカーを着てプールサイドに腰掛け脚だけを水につけて、本を読んでいる。
なにしに来たんだろう、と思いながら、のんびりと泳ぐ。
義務でもなんでもなく、好きに泳げるのは最高だぜ。
「ヒバリさんは泳がないんですかー?」
「泳がない」
こちらをチラリとも見ずに即答されてしまった。
本当になんで来たの。この炎天下の中、本読みに来たとか言わないよね?
ヒバリさんがいる縁まで泳いでいき、「暑くて倒れちゃいますよ」と言うも、「そんなヤワじゃない」と言われる。
確かに、ヒバリさんはこの暑い中、汗一つかいていない。しかし、そういう人ほど体内に熱がこもりやすく、逆に危険だと聞く。
大丈夫かな、と思ってヒバリさんの露出している腕を触ったら、まあ、普通に熱い。
「ヒバリさん、ちょっと体冷やした方がいいですよ。せっかく水着になってるんですし」
「大丈夫」
頑なにプールに入ろうとしないヒバリさんに、閃いた!
「実は、泳げない!」
名推理!という顔をしてヒバリさんを見たら、静かに本を閉じて、「竪谷、知ってる?水責めって、意外と辛いんだよ」と言うが、拷問は辛いから拷問なのではないだろうか。
「なんでいま、その話をしたんですか」
「沈めるよ、て意味で話したんだよ」
だろうなとは思っていました。
「じゃあ、ヒバリさんなにしに来たんですか」
そう尋ねると、ヒバリさんは溜息をついて「馬鹿なの」と言ってきた。
「もしキミが溺れそうになったとき、誰が助けるの」
「ああ〜」
なるほどな〜、と納得した私に、ヒバリさんはもう一度、「馬鹿」と言った。
「ということは、ヒバリさん。私を心配して来てくれてたんですね」
「……まあ」
優しい〜、と指さしたら「へし折られたいの?」と指を掴まれそうになったので、素早く引っ込めた。
折られることはないだろうが、捻挫はしそうだったから。
「でも、帽子はかぶった方がいいですよ。ないなら、一緒に買いに行きますか?」
「……キミが行きたいなら」
「行きたーい」
ならいいよ、と了承を得たので、ヒバリさんを連れてショッピングモールに来た。
すでに帰りたそうにしているヒバリさんの手を引いて、帽子専門店に連れて行く。
「ヒバリさん、何色がいいとかありますか」
「何色でもいいよ」
「じゃあ、赤とかどうですか?リーダーのレッド!」
と言って赤いキャップをかぶせたが、うーん。
「ポケット無双の主人公」
そう言った瞬間、平手が飛んできた。
どうして……。
「馬鹿にしたでしょ」
「してませんよ。ポケット無双の主人公、いいじゃないですか」
「……」
納得がいかなそうな顔をし、「赤は派手だから嫌だよ」と言って、元の場所に戻した。
派手色は嫌、と。
「ヒバリさんのイメージだと、黒いキャップが似合いそうですけど、黒は熱集めちゃいますし、白ですかね」
白キャップを見繕いかぶせたが、うーん。
「クソ生意気度に拍車がかか、ぶっ!」
「馬鹿にしたでしょ、今度こそ」
「いや、そういうつもりはなく。どうします?自分で選びます?」
「キミがちゃんと選んで」
「へーい」
それから余計なことを言わずに、ヒバリさんに似合いそうなキャップを探し出し、ヒバリさんからも「いいんじゃない」と了承を得た。
翌日のプール授業で更衣室から出てくると、ヒバリさんがしっかりとキャップを被っていた。
「よく似合ってますよ、ヒバリさん」
「ありがとう」
その日も延々とクロール、背泳ぎ、平泳ぎをしていたら、「休憩しな」とヒバリさんから声がかかったので、プールからあがりヒバリさんの隣に腰掛ける。
「よく飽きないよね」
「無心になれて楽しいですよ。ヒバリさんも一緒に泳ぎましょうよ!」
「興味ない」
とか言って本当は泳げないのでは、と思ったが、言ったら最後、プールに沈められそうなので黙っておいた。
ヒバリさんからの差し入れであるお茶を飲んでいたら、隣から視線を感じた。
「なんですか、ヒバリさん?」
「別に……。キミ、あがってるときはこれ着てなよ」
そう言って、自分のパーカーを私に押し付けてきた。
なんでですか?と聞くも、「いいから」としか言わない。
なんだかよくわからないまま袖を通すが、肩幅は問題ないが、胸元がきつい。
「これでいいんですか」
「前閉めて」
たぶんこれ、閉まらないだろうな。と思いながらチャックを閉めるが、胸辺りで止まる。
胸を潰せばなんとかしまったが、あきらかにパツパツで苦しい。
「し、閉めましたが……」
「……」
ヒバリさんは何故か絶句した表情でこちらを見ていた。
何故……。
「明日から、休憩中に着るパーカー持ってきて」
「え〜。薄手のパーカー持ってませんよ〜」
「買ってあげる」
「おっ!じゃあ、今日も買い物ですね!」
役得、役得!と喜んでいたら、ファスナーが壊れて、ヒバリさんが信じられないものを見る目で見てきた。
主人公 中三
「もうすぐ、プール始まりますねー」
「……」
そう、世の中は間もなくプール授業開始である。
私はプール大好きなので水着に抵抗はないが、世の女子は思春期なので水着を恥ずかしがる。可哀想に。という話をしたからだろうか。
照り返す日差しの中、煌めくプール。そこに立つのは私とヒバリさんのみ。
今年から並盛のプール授業は外部のプールに行き男女別で行うことになった。発案、実行、共に風紀委員です。
なら、なぜ私は並盛のプールにいるのか。
「キミは特別に、並盛のプールで泳がせてあげる」
とのことで、私は一人でプール授業をしている。
ヒバリさんは水着に着替えてはいるが、パーカーを着てプールサイドに腰掛け脚だけを水につけて、本を読んでいる。
なにしに来たんだろう、と思いながら、のんびりと泳ぐ。
義務でもなんでもなく、好きに泳げるのは最高だぜ。
「ヒバリさんは泳がないんですかー?」
「泳がない」
こちらをチラリとも見ずに即答されてしまった。
本当になんで来たの。この炎天下の中、本読みに来たとか言わないよね?
ヒバリさんがいる縁まで泳いでいき、「暑くて倒れちゃいますよ」と言うも、「そんなヤワじゃない」と言われる。
確かに、ヒバリさんはこの暑い中、汗一つかいていない。しかし、そういう人ほど体内に熱がこもりやすく、逆に危険だと聞く。
大丈夫かな、と思ってヒバリさんの露出している腕を触ったら、まあ、普通に熱い。
「ヒバリさん、ちょっと体冷やした方がいいですよ。せっかく水着になってるんですし」
「大丈夫」
頑なにプールに入ろうとしないヒバリさんに、閃いた!
「実は、泳げない!」
名推理!という顔をしてヒバリさんを見たら、静かに本を閉じて、「竪谷、知ってる?水責めって、意外と辛いんだよ」と言うが、拷問は辛いから拷問なのではないだろうか。
「なんでいま、その話をしたんですか」
「沈めるよ、て意味で話したんだよ」
だろうなとは思っていました。
「じゃあ、ヒバリさんなにしに来たんですか」
そう尋ねると、ヒバリさんは溜息をついて「馬鹿なの」と言ってきた。
「もしキミが溺れそうになったとき、誰が助けるの」
「ああ〜」
なるほどな〜、と納得した私に、ヒバリさんはもう一度、「馬鹿」と言った。
「ということは、ヒバリさん。私を心配して来てくれてたんですね」
「……まあ」
優しい〜、と指さしたら「へし折られたいの?」と指を掴まれそうになったので、素早く引っ込めた。
折られることはないだろうが、捻挫はしそうだったから。
「でも、帽子はかぶった方がいいですよ。ないなら、一緒に買いに行きますか?」
「……キミが行きたいなら」
「行きたーい」
ならいいよ、と了承を得たので、ヒバリさんを連れてショッピングモールに来た。
すでに帰りたそうにしているヒバリさんの手を引いて、帽子専門店に連れて行く。
「ヒバリさん、何色がいいとかありますか」
「何色でもいいよ」
「じゃあ、赤とかどうですか?リーダーのレッド!」
と言って赤いキャップをかぶせたが、うーん。
「ポケット無双の主人公」
そう言った瞬間、平手が飛んできた。
どうして……。
「馬鹿にしたでしょ」
「してませんよ。ポケット無双の主人公、いいじゃないですか」
「……」
納得がいかなそうな顔をし、「赤は派手だから嫌だよ」と言って、元の場所に戻した。
派手色は嫌、と。
「ヒバリさんのイメージだと、黒いキャップが似合いそうですけど、黒は熱集めちゃいますし、白ですかね」
白キャップを見繕いかぶせたが、うーん。
「クソ生意気度に拍車がかか、ぶっ!」
「馬鹿にしたでしょ、今度こそ」
「いや、そういうつもりはなく。どうします?自分で選びます?」
「キミがちゃんと選んで」
「へーい」
それから余計なことを言わずに、ヒバリさんに似合いそうなキャップを探し出し、ヒバリさんからも「いいんじゃない」と了承を得た。
翌日のプール授業で更衣室から出てくると、ヒバリさんがしっかりとキャップを被っていた。
「よく似合ってますよ、ヒバリさん」
「ありがとう」
その日も延々とクロール、背泳ぎ、平泳ぎをしていたら、「休憩しな」とヒバリさんから声がかかったので、プールからあがりヒバリさんの隣に腰掛ける。
「よく飽きないよね」
「無心になれて楽しいですよ。ヒバリさんも一緒に泳ぎましょうよ!」
「興味ない」
とか言って本当は泳げないのでは、と思ったが、言ったら最後、プールに沈められそうなので黙っておいた。
ヒバリさんからの差し入れであるお茶を飲んでいたら、隣から視線を感じた。
「なんですか、ヒバリさん?」
「別に……。キミ、あがってるときはこれ着てなよ」
そう言って、自分のパーカーを私に押し付けてきた。
なんでですか?と聞くも、「いいから」としか言わない。
なんだかよくわからないまま袖を通すが、肩幅は問題ないが、胸元がきつい。
「これでいいんですか」
「前閉めて」
たぶんこれ、閉まらないだろうな。と思いながらチャックを閉めるが、胸辺りで止まる。
胸を潰せばなんとかしまったが、あきらかにパツパツで苦しい。
「し、閉めましたが……」
「……」
ヒバリさんは何故か絶句した表情でこちらを見ていた。
何故……。
「明日から、休憩中に着るパーカー持ってきて」
「え〜。薄手のパーカー持ってませんよ〜」
「買ってあげる」
「おっ!じゃあ、今日も買い物ですね!」
役得、役得!と喜んでいたら、ファスナーが壊れて、ヒバリさんが信じられないものを見る目で見てきた。