並盛の盾 日常小話
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純がうちに来るときは、基本的に出来上がっていることが多い。
普通なら、同盟ファミリーのボスに会いに来るのにへべれげ状態なんて許されるわけもないのだが、俺がそれを許してしまっているし、そんな状態でも俺に会いに来てくれているのが嬉しい気持ちがある。
「ディーノくーん!」
「はい、はい、ディーノくんだぞ」
酔いどれ上機嫌で抱き着いてくる純を抱きとめ、屋敷の自室に通し、部下にワインを適当に何本か持ってくるように頼む。
このままベッドに連れ込んでもいいのだが、なぜか連れ込んだ瞬間に酔いが吹き飛んで素面に戻るんだよな。
「純さ、酔ったふりしてるんだろ。いつも」
「酔ってないよ~」
俺の膝の上で猫のように甘えてくる純を見ながらそう尋ねるも、ふわふわした返事が返ってくるだけ。
嘘なのか本当なのかわからない。
まあ、酒が入らないと素直に全力で甘えられないのは本当だと思うけれども。
「純、ワイン来たぞ」
「やった~!ディーノくんちの、美味しいワイン~!」
「お前、それが目的で来てないか?」
「ディーノくんにも会いたくて来てるよ?」
「可愛いから、追加でワイン開けてやる」
「サイコー!大好きー!」
子供のようにはしゃぎ、酒場でだされた安物ワインのような扱いで、高級ワインをグラスに開けて仰ぎ飲む。
そういう飲み方するから、恭弥が自分のお気に入りの酒を飲ませたがらないんだろうな。
場合によっては、ボトルから直接飲むし。
前に仕事で一緒に飲んだときはあったが、相手が酔いつぶれても静かに、しとやかに飲んでいたから、この酔いどれも演技なのかもしれない。もしくはここに来るまでに、出来上がるまで飲んできたのか。
「そうだ、ディーノくん!私、懐かしい物を見つけたのだよ!」
「なんだー?」
「日本製の入浴剤!」
ああ、あの伊香保とか草津の?と少し期待したのだが、純が鞄からとりだしたのはどう見ても卵スープのドライフーズだった。
「卵スープ?」
「入浴剤だよ~」
ほら、黄色い!ゆずの香り!と言われるが、どこをどう見ても卵スープ。
「お風呂に入れようぜ!」
「卵スープをか?!」
「入浴剤だって!」
頑なに入浴剤であることを主張する純に、「じゃあ、マグカップで一回試してみような」と言うと、渋々といった様子で「わかった」と言った。
卵スープをマグカップに入れ、お湯を注ぐと、当たり前だが、美味しそうな卵スープが出来上がった。
「卵スープだ……」
「卵スープだな」
しばしの沈黙の後、純が素面のテンションで「あっぶなかったぁ……」と低い声で言った。本当に入浴剤だと思って買って来たのか、お前。
「いや、たしかに途中まで固形の入浴剤だったんだよ……」
「固形の入浴剤の隣に卵スープは置いてないと思うけどな」
頭を抱える純に、「俺んちの風呂、卵スープまみれにしたらどう責任とってた?」と聞くと、「掃除して帰りました」と言った。
帰ってほしいわけじゃなかったから、やはりマグカップで検証してからでよかった。
「お前、ここに来る前にどんだけ飲んでたんだよ」
「ベリーニ広場で飲み歩きしてたから、あんまり記憶にない」
あんなカップルと友人連れの名所みたいなところで飲み歩きしてたのか、お前。
飲まずに来られなかったのか、と聞いたら、「あそこ、気前よく奢ってくれるオジサンとかお兄さんが多くて……」と言うが、それは完全に下心で飲まされているだけだ。
「純、もっと気をつけろよ。泥酔して持ち帰られたなんてあったら、俺と恭弥が相手を生かしておかないからな」
「無残な死を迎えそうだ」
「そのあと、お前はお説教コースだからな」
「やだぁ~。恭弥とディーノくんのダブルお説教長いんだもん~」
「なら、説教されるようなことをするな!」
純の両頬を引っ張って怒ると、「ごめんなさい~」と子供のように情けない声をだす。
まあ、反省したのなら許そう。
ほら、飲み直すぞ。と、ワインを差し出すも「飲む気分じゃなくなった」と言われる。
「なんで。俺が怒ったからか?」
「友だちの家の風呂を卵スープだらけにしようとしたことが恥ずかしすぎて」
「俺はそれより、完全に酔うと赤ちゃん言葉で人このこと甘やかそうとするのを恥じてほしいな」
あれは、俺も恥ずかしいから、やめて欲しい。と言うと、顔を青くしたと思ったら真っ赤にして「そんなことしてる?!」と聞いてきた。
してる。
記憶が飛ぶくらい飲まなければ、普段より陽気くらいなのだが、ある一定量を超えた瞬間、それをやり始める。
頭を抱える純に、「だから、恭弥に目の届く範囲で飲めって言われるんだぞ」と注意したら、「酒が美味いのが罪」と開き直った。
「けど、次そうなったら、すぐさまぶん殴って正気にしてほしい」
「純が正気になるレベルの打撃って、匣使わないと無理じゃん」
「スクーデリアに踏まれれば、たぶんダメージは来る」
そこまでして飲みたいのか。
そこからだいぶ日が経ち、そろそろ純が恭弥から休みを言い渡される時期かな。
また性懲りもなく酔っ払いながら来るんだろうな、と思っていたら珍しく素面の状態でうちに来た。
「珍しいな、飲んでないなんて」
「いつも私が飲んでると思わないでほしいな」
「休みの日はいつも飲んでるだろ」
「まあね」
「なんかあったのか?」
いつも約束がない限り酔っぱらっている奴が酔っていないと、逆に心配になるものだ。
悩みがあるなら聞くぜ、と言う俺に、純は申し訳なさそうな顔で「いや、自業自得なんだけどさ」と前置きをする。
「綱吉くんがお酒貰ったけど飲まないからってくれて、それがすごく美味しそうだったから、お風呂入りながら飲んだら溺れかけて……。それを部下が恭弥に報告したら、禁酒令が出て……」
「見事なまでに自業自得だな」
なんで、徹夜明けで風呂入りながら酒を飲もうと思えるんだよ、お前。
「俺も、二度と純には酒出さないことにする」
「え~!美味しいワインとチーズ!」
「酒とつまみないと、会いに来てくれないのか?」
「え、来てるじゃん。あーそーぼー。ディーノくーん」
「俺が仕事してるかも、とか思わなかったのかよ」
「お仕事終わってないなら待ってるけど」
まあ、来ると思って午前中に仕事は終わらせてるけどな。
ロマーリオに「デートに行ってくる」と言って出た。
ついでだから、最近出店したうちの店の味を見てもらおうと連れて行ったら、流れるように酒を頼もうとしていた。
そうはさせないからな。
「恭弥に言うぞ」
「えーん、ディーノくんのイジワルー」
たまには俺とも素面で付き合えっての。
普通なら、同盟ファミリーのボスに会いに来るのにへべれげ状態なんて許されるわけもないのだが、俺がそれを許してしまっているし、そんな状態でも俺に会いに来てくれているのが嬉しい気持ちがある。
「ディーノくーん!」
「はい、はい、ディーノくんだぞ」
酔いどれ上機嫌で抱き着いてくる純を抱きとめ、屋敷の自室に通し、部下にワインを適当に何本か持ってくるように頼む。
このままベッドに連れ込んでもいいのだが、なぜか連れ込んだ瞬間に酔いが吹き飛んで素面に戻るんだよな。
「純さ、酔ったふりしてるんだろ。いつも」
「酔ってないよ~」
俺の膝の上で猫のように甘えてくる純を見ながらそう尋ねるも、ふわふわした返事が返ってくるだけ。
嘘なのか本当なのかわからない。
まあ、酒が入らないと素直に全力で甘えられないのは本当だと思うけれども。
「純、ワイン来たぞ」
「やった~!ディーノくんちの、美味しいワイン~!」
「お前、それが目的で来てないか?」
「ディーノくんにも会いたくて来てるよ?」
「可愛いから、追加でワイン開けてやる」
「サイコー!大好きー!」
子供のようにはしゃぎ、酒場でだされた安物ワインのような扱いで、高級ワインをグラスに開けて仰ぎ飲む。
そういう飲み方するから、恭弥が自分のお気に入りの酒を飲ませたがらないんだろうな。
場合によっては、ボトルから直接飲むし。
前に仕事で一緒に飲んだときはあったが、相手が酔いつぶれても静かに、しとやかに飲んでいたから、この酔いどれも演技なのかもしれない。もしくはここに来るまでに、出来上がるまで飲んできたのか。
「そうだ、ディーノくん!私、懐かしい物を見つけたのだよ!」
「なんだー?」
「日本製の入浴剤!」
ああ、あの伊香保とか草津の?と少し期待したのだが、純が鞄からとりだしたのはどう見ても卵スープのドライフーズだった。
「卵スープ?」
「入浴剤だよ~」
ほら、黄色い!ゆずの香り!と言われるが、どこをどう見ても卵スープ。
「お風呂に入れようぜ!」
「卵スープをか?!」
「入浴剤だって!」
頑なに入浴剤であることを主張する純に、「じゃあ、マグカップで一回試してみような」と言うと、渋々といった様子で「わかった」と言った。
卵スープをマグカップに入れ、お湯を注ぐと、当たり前だが、美味しそうな卵スープが出来上がった。
「卵スープだ……」
「卵スープだな」
しばしの沈黙の後、純が素面のテンションで「あっぶなかったぁ……」と低い声で言った。本当に入浴剤だと思って買って来たのか、お前。
「いや、たしかに途中まで固形の入浴剤だったんだよ……」
「固形の入浴剤の隣に卵スープは置いてないと思うけどな」
頭を抱える純に、「俺んちの風呂、卵スープまみれにしたらどう責任とってた?」と聞くと、「掃除して帰りました」と言った。
帰ってほしいわけじゃなかったから、やはりマグカップで検証してからでよかった。
「お前、ここに来る前にどんだけ飲んでたんだよ」
「ベリーニ広場で飲み歩きしてたから、あんまり記憶にない」
あんなカップルと友人連れの名所みたいなところで飲み歩きしてたのか、お前。
飲まずに来られなかったのか、と聞いたら、「あそこ、気前よく奢ってくれるオジサンとかお兄さんが多くて……」と言うが、それは完全に下心で飲まされているだけだ。
「純、もっと気をつけろよ。泥酔して持ち帰られたなんてあったら、俺と恭弥が相手を生かしておかないからな」
「無残な死を迎えそうだ」
「そのあと、お前はお説教コースだからな」
「やだぁ~。恭弥とディーノくんのダブルお説教長いんだもん~」
「なら、説教されるようなことをするな!」
純の両頬を引っ張って怒ると、「ごめんなさい~」と子供のように情けない声をだす。
まあ、反省したのなら許そう。
ほら、飲み直すぞ。と、ワインを差し出すも「飲む気分じゃなくなった」と言われる。
「なんで。俺が怒ったからか?」
「友だちの家の風呂を卵スープだらけにしようとしたことが恥ずかしすぎて」
「俺はそれより、完全に酔うと赤ちゃん言葉で人このこと甘やかそうとするのを恥じてほしいな」
あれは、俺も恥ずかしいから、やめて欲しい。と言うと、顔を青くしたと思ったら真っ赤にして「そんなことしてる?!」と聞いてきた。
してる。
記憶が飛ぶくらい飲まなければ、普段より陽気くらいなのだが、ある一定量を超えた瞬間、それをやり始める。
頭を抱える純に、「だから、恭弥に目の届く範囲で飲めって言われるんだぞ」と注意したら、「酒が美味いのが罪」と開き直った。
「けど、次そうなったら、すぐさまぶん殴って正気にしてほしい」
「純が正気になるレベルの打撃って、匣使わないと無理じゃん」
「スクーデリアに踏まれれば、たぶんダメージは来る」
そこまでして飲みたいのか。
そこからだいぶ日が経ち、そろそろ純が恭弥から休みを言い渡される時期かな。
また性懲りもなく酔っ払いながら来るんだろうな、と思っていたら珍しく素面の状態でうちに来た。
「珍しいな、飲んでないなんて」
「いつも私が飲んでると思わないでほしいな」
「休みの日はいつも飲んでるだろ」
「まあね」
「なんかあったのか?」
いつも約束がない限り酔っぱらっている奴が酔っていないと、逆に心配になるものだ。
悩みがあるなら聞くぜ、と言う俺に、純は申し訳なさそうな顔で「いや、自業自得なんだけどさ」と前置きをする。
「綱吉くんがお酒貰ったけど飲まないからってくれて、それがすごく美味しそうだったから、お風呂入りながら飲んだら溺れかけて……。それを部下が恭弥に報告したら、禁酒令が出て……」
「見事なまでに自業自得だな」
なんで、徹夜明けで風呂入りながら酒を飲もうと思えるんだよ、お前。
「俺も、二度と純には酒出さないことにする」
「え~!美味しいワインとチーズ!」
「酒とつまみないと、会いに来てくれないのか?」
「え、来てるじゃん。あーそーぼー。ディーノくーん」
「俺が仕事してるかも、とか思わなかったのかよ」
「お仕事終わってないなら待ってるけど」
まあ、来ると思って午前中に仕事は終わらせてるけどな。
ロマーリオに「デートに行ってくる」と言って出た。
ついでだから、最近出店したうちの店の味を見てもらおうと連れて行ったら、流れるように酒を頼もうとしていた。
そうはさせないからな。
「恭弥に言うぞ」
「えーん、ディーノくんのイジワルー」
たまには俺とも素面で付き合えっての。