並盛の盾 日常小話
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なんの前触れもなく降ってきた土砂降りの雨に、私は「おっ、ゲリラ豪雨」と言い、ヒバリさんは「夕立だね」と言うから、育ちの差を感じてしまった。
「夕立って言うんですね」
「別に、ゲリラ豪雨でも間違いじゃないけど、僕は夕立の方が好きなだけ」
あれだけ暴れまわっていても、やはり名家の人間は育ちが違う。
激しく叩きつけられる雨にひしひしと嫌な予感がしつつ、無意識にヒバリさんの服をつまんでいたら、「伸びるんだけど」と不満そうに言われた瞬間、轟くような雷が鳴った。
「きゃー!」
「っ!」
悲鳴をあげてしゃがみ込む私に、ヒバリさんは「キミの悲鳴の方がびっくりしたんだけど」と文句を言ってくるが、こちとら、前に学校で幽霊を見てから雷が本当にダメになってしまったのだから。
床で丸まる私を起き上がらせ、抱きしめるヒバリさん。
「そんなんで、帰れるのキミ」
「雨止んだら帰ります……」
「いつになるの、それ。……うちに泊まりに来る?」
そんな、突然行ってはご迷惑では、と言う私に「家主の僕がいいって言ってるんだよ」と言うから、お言葉に甘えて泊まらせてもらうことにした。
ヒバリさんが手配してくれた車から降り、門をくぐり玄関を抜けると、女中の和服美人若桜さんが出迎えてくれた。
初めて、ヒバリさんに朝起こしに来いと言われこの家に来たとき、若桜さんのことをヒバリさんのお母さんだと思って笑われてしまったものだ。
「いらっしゃいませ、純さん」
「すみません、若桜さん。突然、来てしまって」
「お気になさらず。あの、恭弥坊ちゃんが連れてきた方ですから。それに、何度もお泊りはされていますので、純さんの日用品も揃えてあります。我が家だと思ってくつろいでください」
まあ、お泊りと言っても、雲雀恭弥プレゼンツ生活習慣改善合宿で健康的な生活を叩きこまれていたんですけどね。
若桜さんが「お部屋は、いつものお部屋でよろしいですか?」とヒバリさんに問いかけると、ヒバリさんは「僕の部屋に通して」と言うから、若桜さんがちらりと、こちらを見た。
私はヒバリさんを「なんで?」という顔で見ると、ヒバリさんは呆れた顔で「雷怖くてうち来たんでしょ」と言う。
「大丈夫です、若桜さん!大人として、絶対にヒバリさんは清い身のままでいさせます!」
「純さんに関して、その心配はしておりませんが……。恭弥坊ちゃん、いいですか?気の迷いでも、正気でもダメですからね」
「わかってるよ」
なにが、という顔をする私にだけなにも説明がされず、若桜さんは食事を用意したら帰ろうとしたので、全力で止めた。
人数は多い方がいい。帰らないで、若桜さん。みんなで一緒に花札やろう。私がカモでもいいから。
しかし、ヒバリさんに引きはがされてしまい、若桜さんは帰宅してしまった。うっ、私の若桜さん……!
「ほら、花札なら僕が付き合ってあげるから」
「ヒバリさん、鬼強いじゃないですか」
「キミの運がなさすぎるんだよ」
五光しまくる男がなにを言っているんだ。こちとら、カスと短しか揃わないんだぞ。
雨も弱まり、雷の心配はないが、あの日見た、ヒバリさんの姿をした幽霊はなんだったんだろうか。
「ヒバリさんの生霊とかだったんですかね……」
「僕が生霊飛ばすタイプだと思うの?」
「そんな粘着質なタイプではないですよね」
生霊飛ばす前に本人が来そうだし。
ほどほどに遊び、そろそろヒバリさんがおねむの時間になったので、ヒバリさんの部屋で就寝しようとしたら、「お手洗い、行かなくて大丈夫?」と聞かれ若干プライドが傷ついた。
私を何歳だと思っているんですか、ヒバリさん。
大丈夫です!と力強く返したが、完全にフラグだったな。夜中である。トイレに行きたい。
ヒバリさんを起こしたいが、こんなことで起こしたとあっては絶対に咬み殺される。
外を見ると、また、雨の降りは強くなっていた。
だ、大丈夫、大丈夫。まだ、一回も雷鳴ってないし。大丈夫、行けるよ、純さん。と自分を励ましながら用を足して手を洗い帰ろうとした帰りである。
空が割れるような音が鳴り響いた。
「きゃー!」
またもや悲鳴をあげながらその場から動けなくなっていると、廊下を歩く音がかすかに聞こえてきた。
完全に腰を抜かしている私の視界に、暗がりから人影が現れるのが見えた。
「ひ……ひばりさん……」
震える声で、この家の中で最も頼れる人間の名前を呼ぶと、人影は私の目の前でしゃがみ込み「なに」と言った。
「え、ヒバリさん……?」
「この家で、僕以外に誰がいると思ってるの」
「い、生きてる?」
私の質問に、ヒバリさんは「なに、馬鹿言ってるの」と言いながら、私の頬に手を添えて「ほら、あったかいでしょ」と言った。
たしかに、ヒバリさんの手からはぬくもりが伝わってきた。本当だ、生きている。
「けど、なんでここに」
「キミの悲鳴が聞こえたんだから、来るに決まってるでしょ」
僕は、キミが助けを求めたらすぐに行くよ。と言われ、吊り橋効果からか、思い切りときめいてしまった。
それから十年ほどしてから、私が学校で見た幽霊は六道くんの嫌がらせだと判明したわけで、雷も怖くなくなり、幽霊などへの恐怖心もなくなった。
雨の日に鼻歌交じりで廊下をスキップする余裕の見せ方だぜ。
「おっと、ごめんなさ――」
曲がり角。誰かにぶつかりそうになったが、その相手は満面の笑みを浮かべた中学生時代の恭弥だった。
フラッシュバックする恐怖。
「きゃー!」
悲鳴をあげてへたり込む私に、中学生恭弥は「クハハ!わかっていても、驚くんですね!」と独特な笑い声をあげるから、一発で誰かわかる。
なにやってんだ、六道テメーこの野郎。
「なに?!暇なの?!」
「いえ、先ほど沢田と口論になりましてね。ストレス発散に来ました」
「人をストレスのはけ口にしないでくれる?!……はっ!」
背後の廊下から、廊下を走る音が聞こえる……!こ、これはもしかしなくても……!
「純、どうしたの」
「あー!セコムはやーい!」
セコム、雲雀恭弥の登場である。
いや、しかし、六道くんは別に恭弥を煽りに来たわけじゃないので、早々に退散しているはず、と思ったのにばっちり三叉槍をを構えていた。
どうして……?まだストレス発散したいの……?
「これは、これは、過保護の雲雀恭弥ではありませんか」
「六道骸。この子になにしたの」
「ちょっとしたサプライズをしただけですよ」
「ドッキリの間違いでしょ?!」
「なにをしたかは知らないけど、純に危害を加えたのはわかったよ。今日こそは咬み殺す」
「できますかね……」
完全に戦闘モードに入ってしまった二人は、狭い廊下でバトルを始めたので、綱吉くんにヘルプをだしたら「もう、好きにさせておけばいいんじゃないですか」と投げ出された。
そういえば、綱吉くんと六道くん、いま喧嘩中でしたね!
「えーん!助けて、ディーノくん!」
「夕立って言うんですね」
「別に、ゲリラ豪雨でも間違いじゃないけど、僕は夕立の方が好きなだけ」
あれだけ暴れまわっていても、やはり名家の人間は育ちが違う。
激しく叩きつけられる雨にひしひしと嫌な予感がしつつ、無意識にヒバリさんの服をつまんでいたら、「伸びるんだけど」と不満そうに言われた瞬間、轟くような雷が鳴った。
「きゃー!」
「っ!」
悲鳴をあげてしゃがみ込む私に、ヒバリさんは「キミの悲鳴の方がびっくりしたんだけど」と文句を言ってくるが、こちとら、前に学校で幽霊を見てから雷が本当にダメになってしまったのだから。
床で丸まる私を起き上がらせ、抱きしめるヒバリさん。
「そんなんで、帰れるのキミ」
「雨止んだら帰ります……」
「いつになるの、それ。……うちに泊まりに来る?」
そんな、突然行ってはご迷惑では、と言う私に「家主の僕がいいって言ってるんだよ」と言うから、お言葉に甘えて泊まらせてもらうことにした。
ヒバリさんが手配してくれた車から降り、門をくぐり玄関を抜けると、女中の和服美人若桜さんが出迎えてくれた。
初めて、ヒバリさんに朝起こしに来いと言われこの家に来たとき、若桜さんのことをヒバリさんのお母さんだと思って笑われてしまったものだ。
「いらっしゃいませ、純さん」
「すみません、若桜さん。突然、来てしまって」
「お気になさらず。あの、恭弥坊ちゃんが連れてきた方ですから。それに、何度もお泊りはされていますので、純さんの日用品も揃えてあります。我が家だと思ってくつろいでください」
まあ、お泊りと言っても、雲雀恭弥プレゼンツ生活習慣改善合宿で健康的な生活を叩きこまれていたんですけどね。
若桜さんが「お部屋は、いつものお部屋でよろしいですか?」とヒバリさんに問いかけると、ヒバリさんは「僕の部屋に通して」と言うから、若桜さんがちらりと、こちらを見た。
私はヒバリさんを「なんで?」という顔で見ると、ヒバリさんは呆れた顔で「雷怖くてうち来たんでしょ」と言う。
「大丈夫です、若桜さん!大人として、絶対にヒバリさんは清い身のままでいさせます!」
「純さんに関して、その心配はしておりませんが……。恭弥坊ちゃん、いいですか?気の迷いでも、正気でもダメですからね」
「わかってるよ」
なにが、という顔をする私にだけなにも説明がされず、若桜さんは食事を用意したら帰ろうとしたので、全力で止めた。
人数は多い方がいい。帰らないで、若桜さん。みんなで一緒に花札やろう。私がカモでもいいから。
しかし、ヒバリさんに引きはがされてしまい、若桜さんは帰宅してしまった。うっ、私の若桜さん……!
「ほら、花札なら僕が付き合ってあげるから」
「ヒバリさん、鬼強いじゃないですか」
「キミの運がなさすぎるんだよ」
五光しまくる男がなにを言っているんだ。こちとら、カスと短しか揃わないんだぞ。
雨も弱まり、雷の心配はないが、あの日見た、ヒバリさんの姿をした幽霊はなんだったんだろうか。
「ヒバリさんの生霊とかだったんですかね……」
「僕が生霊飛ばすタイプだと思うの?」
「そんな粘着質なタイプではないですよね」
生霊飛ばす前に本人が来そうだし。
ほどほどに遊び、そろそろヒバリさんがおねむの時間になったので、ヒバリさんの部屋で就寝しようとしたら、「お手洗い、行かなくて大丈夫?」と聞かれ若干プライドが傷ついた。
私を何歳だと思っているんですか、ヒバリさん。
大丈夫です!と力強く返したが、完全にフラグだったな。夜中である。トイレに行きたい。
ヒバリさんを起こしたいが、こんなことで起こしたとあっては絶対に咬み殺される。
外を見ると、また、雨の降りは強くなっていた。
だ、大丈夫、大丈夫。まだ、一回も雷鳴ってないし。大丈夫、行けるよ、純さん。と自分を励ましながら用を足して手を洗い帰ろうとした帰りである。
空が割れるような音が鳴り響いた。
「きゃー!」
またもや悲鳴をあげながらその場から動けなくなっていると、廊下を歩く音がかすかに聞こえてきた。
完全に腰を抜かしている私の視界に、暗がりから人影が現れるのが見えた。
「ひ……ひばりさん……」
震える声で、この家の中で最も頼れる人間の名前を呼ぶと、人影は私の目の前でしゃがみ込み「なに」と言った。
「え、ヒバリさん……?」
「この家で、僕以外に誰がいると思ってるの」
「い、生きてる?」
私の質問に、ヒバリさんは「なに、馬鹿言ってるの」と言いながら、私の頬に手を添えて「ほら、あったかいでしょ」と言った。
たしかに、ヒバリさんの手からはぬくもりが伝わってきた。本当だ、生きている。
「けど、なんでここに」
「キミの悲鳴が聞こえたんだから、来るに決まってるでしょ」
僕は、キミが助けを求めたらすぐに行くよ。と言われ、吊り橋効果からか、思い切りときめいてしまった。
それから十年ほどしてから、私が学校で見た幽霊は六道くんの嫌がらせだと判明したわけで、雷も怖くなくなり、幽霊などへの恐怖心もなくなった。
雨の日に鼻歌交じりで廊下をスキップする余裕の見せ方だぜ。
「おっと、ごめんなさ――」
曲がり角。誰かにぶつかりそうになったが、その相手は満面の笑みを浮かべた中学生時代の恭弥だった。
フラッシュバックする恐怖。
「きゃー!」
悲鳴をあげてへたり込む私に、中学生恭弥は「クハハ!わかっていても、驚くんですね!」と独特な笑い声をあげるから、一発で誰かわかる。
なにやってんだ、六道テメーこの野郎。
「なに?!暇なの?!」
「いえ、先ほど沢田と口論になりましてね。ストレス発散に来ました」
「人をストレスのはけ口にしないでくれる?!……はっ!」
背後の廊下から、廊下を走る音が聞こえる……!こ、これはもしかしなくても……!
「純、どうしたの」
「あー!セコムはやーい!」
セコム、雲雀恭弥の登場である。
いや、しかし、六道くんは別に恭弥を煽りに来たわけじゃないので、早々に退散しているはず、と思ったのにばっちり三叉槍をを構えていた。
どうして……?まだストレス発散したいの……?
「これは、これは、過保護の雲雀恭弥ではありませんか」
「六道骸。この子になにしたの」
「ちょっとしたサプライズをしただけですよ」
「ドッキリの間違いでしょ?!」
「なにをしたかは知らないけど、純に危害を加えたのはわかったよ。今日こそは咬み殺す」
「できますかね……」
完全に戦闘モードに入ってしまった二人は、狭い廊下でバトルを始めたので、綱吉くんにヘルプをだしたら「もう、好きにさせておけばいいんじゃないですか」と投げ出された。
そういえば、綱吉くんと六道くん、いま喧嘩中でしたね!
「えーん!助けて、ディーノくん!」