並盛の盾 日常小話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「キミ、クビ」
なんの前触れもなく言い渡された解雇宣告に、目ン玉ひん剥いてしまった。
風紀委員が、風紀財団という謎組織に進化し、お給料アップだぜー!と喜んでいたところに、これである。
「な、なぜですか、ヒバリさん……。私がなにを……」
どうして……。と現場ねこになる私に、ヒバリさんは「別にクビにしなくてもいいけど、死ぬよ」と更に衝撃的な事実を口にする。
比喩的なことかとも思ったが、ヒバリさんの目が本気のそれ。
たしかに、ヒバリさんはなんだかんだで私を、本当に危険なことから遠ざけているところはあった。
黒曜とのこととか。
「け、けど……。いまから再就職となると中々苦しいものがあり……。ヒバリさん、就職の援助とかは……」
「そんな義務ないよ」
義務はないけど、私を風紀委員に引きずり込んだ責任はあると思うんだよな。
「せめて、退職金はでますか?」
「一年は生活できる額はだすよ」
どんだけ就職できないと思っているんだ、この男。と思うが、事実、一年で再就職できればラッキーだよな。
翌日、ヒバリさんから「振り込んだ」とだけ書かれた簡素なメールを受け取り、銀行に記帳しに行った帰りのことであった。
「貴様!ヒバリの女だな!」
「人違いです」
背後から現れたスーツの男たちに謂れのない疑惑をかけられたので、すぐさま訂正してまた歩きだしたら、後ろから、「止まれ!止まらないと撃つぞ!」とベタな脅しをされる。
この日本で、拳銃使うやつなんていないだろ、と高をくくって無視をして歩き続けていたら、発砲音とほぼ同時に腰や足にツボ押しをされたような感覚がした。
振り向けば、先ほどの男たちが拳銃を構えてうろたえていた。
この法治国家で、銃刀法違反とは?さすが、ヒバリさんの客だ。
「くそっ!匣兵器をだせ!」
そう言うと、男たちはとりだした匣に指輪をはめ込むと、そこから蛇が飛び出してきた。
原理はよくわからないが、とても危険そうなのはわかった私なのであった。
というのが数刻前。
ヒバリさんに「どういうことですか!」と乗り込み、斯々然々と説明と文句を言って回答を求め、「なんで生きてるの?」と心底驚いた顔をされたのがいま。
生きてるの?とは?
「いや、あの、私の質問にですね、ご回答を……」
「いいから、答えて」
「はい……」
容赦のない圧に屈し、先ほどあったことを話した。
「ヤバそうな蛇だな、て思って逃げようとしたら、リボーンくんが現れて、「やられたくなかったら、これを開けろ」て言って、この匣と指輪をわたされました」
装飾のされた手の平サイズの匣と、少しゴツい指輪を見せると、あのヒバリさんが目を見張った。
「それ、開けられたの?」
「まあ、はい……」
「開けてみて」
言われるままに、匣に指輪をはめ込み開けると、中からコロン、とアルマジロが出てきた。
本当に、どういう原理なんだろうな、これ。
私によちよちとよじ登ろうとするアルマジロをヒバリさんはつまみ上げ、「雷の炎……」と呟く。
「キミ、どうやって炎のコントロールを学んだの」
「炎のコントロール、とは?」
話が見えてこず、ヒバリさんがイライラしだしているのが手にとるようにわかる。
こわっ。
しかし、私もなんの話かわからないので説明ができない。
「こいつは、昔から炎のコントロールはできてたぞ」
「うわっ、びっくりした」
「赤ん坊……」
いつも通り、なんの前触れもなく現れたリボーンくん。
「お前んち、合気道の道場やってるだろ?」
「やってるね」
なんか、じいちゃんに小さい頃から「気を身にまとうんじゃ。さすれば、鋼の肉体を手に入れるじゃろう」とか言われて、それを本気にして鍛錬していたが、合気道ってそんな便利なものじゃないだろと気がついてからは、のらりくらりとサボったものだ。
その話をすると、ヒバリさんは「道理で攻撃が通らないわけだ……」と言った。
「雷の炎をまとった相手に、通常攻撃が通るわけないね」
「そういうことだ」
「なにもかもがわからない」
困惑する私を他所に、ヒバリさんはジッと私を見てから「なら、大丈夫かな」と呟くから、ぞわ、とした。
そう、これは、私が風紀委員に引きずり込まれたときの悪寒に似ている。
「ハ、ハローワーク行きます!」
荷物を持ち逃げ出そうとする私であったが、部屋の外で控えていた草壁さんに捕まった。
「行く必要ないよ。キミの就職先は、風紀財団なんだから」
「解雇されましたが?!」
「馬鹿だね。再雇用って言葉を知らないの」
「解雇されたの、昨日ですが?!」
「キミがただ頑丈なだけの子なら、このまま野に帰してあげたけど、そうじゃないなら話は別だよ」
ゆっくりとした動作で立ち上がり、草壁さんに羽交い締めにされている私と視線を合わせ、「まずは強度を試さないとね……」となにやら不穏なことを、ヒバリさんは言いだした。
「哲。訓練場の準備をして」
「わかりました、恭さん」
「なにもわからん!」
なにもかもがわからない状態で、私とアルマジロはヒバリさんとハリネズミにボコボコにされ、わけもわからないまま雇用契約を結ばされていた。
後々知ったことだが、私はマフィアの一員になったらしい。
なんの前触れもなく言い渡された解雇宣告に、目ン玉ひん剥いてしまった。
風紀委員が、風紀財団という謎組織に進化し、お給料アップだぜー!と喜んでいたところに、これである。
「な、なぜですか、ヒバリさん……。私がなにを……」
どうして……。と現場ねこになる私に、ヒバリさんは「別にクビにしなくてもいいけど、死ぬよ」と更に衝撃的な事実を口にする。
比喩的なことかとも思ったが、ヒバリさんの目が本気のそれ。
たしかに、ヒバリさんはなんだかんだで私を、本当に危険なことから遠ざけているところはあった。
黒曜とのこととか。
「け、けど……。いまから再就職となると中々苦しいものがあり……。ヒバリさん、就職の援助とかは……」
「そんな義務ないよ」
義務はないけど、私を風紀委員に引きずり込んだ責任はあると思うんだよな。
「せめて、退職金はでますか?」
「一年は生活できる額はだすよ」
どんだけ就職できないと思っているんだ、この男。と思うが、事実、一年で再就職できればラッキーだよな。
翌日、ヒバリさんから「振り込んだ」とだけ書かれた簡素なメールを受け取り、銀行に記帳しに行った帰りのことであった。
「貴様!ヒバリの女だな!」
「人違いです」
背後から現れたスーツの男たちに謂れのない疑惑をかけられたので、すぐさま訂正してまた歩きだしたら、後ろから、「止まれ!止まらないと撃つぞ!」とベタな脅しをされる。
この日本で、拳銃使うやつなんていないだろ、と高をくくって無視をして歩き続けていたら、発砲音とほぼ同時に腰や足にツボ押しをされたような感覚がした。
振り向けば、先ほどの男たちが拳銃を構えてうろたえていた。
この法治国家で、銃刀法違反とは?さすが、ヒバリさんの客だ。
「くそっ!匣兵器をだせ!」
そう言うと、男たちはとりだした匣に指輪をはめ込むと、そこから蛇が飛び出してきた。
原理はよくわからないが、とても危険そうなのはわかった私なのであった。
というのが数刻前。
ヒバリさんに「どういうことですか!」と乗り込み、斯々然々と説明と文句を言って回答を求め、「なんで生きてるの?」と心底驚いた顔をされたのがいま。
生きてるの?とは?
「いや、あの、私の質問にですね、ご回答を……」
「いいから、答えて」
「はい……」
容赦のない圧に屈し、先ほどあったことを話した。
「ヤバそうな蛇だな、て思って逃げようとしたら、リボーンくんが現れて、「やられたくなかったら、これを開けろ」て言って、この匣と指輪をわたされました」
装飾のされた手の平サイズの匣と、少しゴツい指輪を見せると、あのヒバリさんが目を見張った。
「それ、開けられたの?」
「まあ、はい……」
「開けてみて」
言われるままに、匣に指輪をはめ込み開けると、中からコロン、とアルマジロが出てきた。
本当に、どういう原理なんだろうな、これ。
私によちよちとよじ登ろうとするアルマジロをヒバリさんはつまみ上げ、「雷の炎……」と呟く。
「キミ、どうやって炎のコントロールを学んだの」
「炎のコントロール、とは?」
話が見えてこず、ヒバリさんがイライラしだしているのが手にとるようにわかる。
こわっ。
しかし、私もなんの話かわからないので説明ができない。
「こいつは、昔から炎のコントロールはできてたぞ」
「うわっ、びっくりした」
「赤ん坊……」
いつも通り、なんの前触れもなく現れたリボーンくん。
「お前んち、合気道の道場やってるだろ?」
「やってるね」
なんか、じいちゃんに小さい頃から「気を身にまとうんじゃ。さすれば、鋼の肉体を手に入れるじゃろう」とか言われて、それを本気にして鍛錬していたが、合気道ってそんな便利なものじゃないだろと気がついてからは、のらりくらりとサボったものだ。
その話をすると、ヒバリさんは「道理で攻撃が通らないわけだ……」と言った。
「雷の炎をまとった相手に、通常攻撃が通るわけないね」
「そういうことだ」
「なにもかもがわからない」
困惑する私を他所に、ヒバリさんはジッと私を見てから「なら、大丈夫かな」と呟くから、ぞわ、とした。
そう、これは、私が風紀委員に引きずり込まれたときの悪寒に似ている。
「ハ、ハローワーク行きます!」
荷物を持ち逃げ出そうとする私であったが、部屋の外で控えていた草壁さんに捕まった。
「行く必要ないよ。キミの就職先は、風紀財団なんだから」
「解雇されましたが?!」
「馬鹿だね。再雇用って言葉を知らないの」
「解雇されたの、昨日ですが?!」
「キミがただ頑丈なだけの子なら、このまま野に帰してあげたけど、そうじゃないなら話は別だよ」
ゆっくりとした動作で立ち上がり、草壁さんに羽交い締めにされている私と視線を合わせ、「まずは強度を試さないとね……」となにやら不穏なことを、ヒバリさんは言いだした。
「哲。訓練場の準備をして」
「わかりました、恭さん」
「なにもわからん!」
なにもかもがわからない状態で、私とアルマジロはヒバリさんとハリネズミにボコボコにされ、わけもわからないまま雇用契約を結ばされていた。
後々知ったことだが、私はマフィアの一員になったらしい。