並盛の盾 日常小話
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「へいへへーい!つーなよーしくーん!あーそーぼー!」
およそ、三十代のテンションではないテンションで入室してきた純さんに、「いや、俺まだ仕事があるんで」と言うも、「暑いし、水遊びしよ!」と一切話しを聞かない。
いつもなら付き合ってもいいと思えるが、いまは立て込んでいる。
というかそもそも、あのテンションの上がり方。絶対に俺同様、何徹かはキメている。
「純さん、遊ぶ前に寝た方がいいんじゃ……」
「いや、遊んだらまた仕事に戻るから」
おかしいでしょ、というツッコミを入れる余力もなく、どうやって帰ってもらおうかと悩んでいると、獄寺くんがしかめっ面で「いい加減にしろよ、純」と言った。
手荒くなりそうだが、これくらいしないと帰ってはくれないだろう。
「十代目はお忙しいんだ」
「ふははは!甘いな、隼人くん!こんなお疲れの綱吉くんを休ませないなんて、右腕失格だよ!」
「うっ!」
「恭弥は私が無理をしたら休ませようとするぞ!」
「偉そうにするな!」
獄寺くんを無視して、純さんは「遊ぼう、綱吉くん」と誘ってくる。
まあ、純さんの言うことは尤もと言えば尤もだ。
ここ最近、事務仕事ばかりで動いていなかったし、睡眠もあまりよく取れていない。
「わかりました、付き合いますよ」
「十代目!いいんですか?」
「構わないよ。気晴らしも必要だからね」
道具は揃ってるんですか?と聞くと、得意げな顔で俺の手を引き建物の外に連れていくと、そこには多種多様な水鉄砲と水風船が用意されていた。
俺が断らないってわかってたんですか?と聞くと、「断らせる気がなかった」と悪い顔をする。
「ここまで準備されたら、断れないじゃないですか。着替えてきますから、ちょっと待って下さい」
「スーツでいいじゃん」
「高いんですよ、このスーツ」
俺の言葉に純さんは納得して、「じゃあ着替えたら、またここに集合ね」と笑顔を振りまき、純さんは一度帰って行った。
獄寺くんが「十代目、付き合うことないですよ」と言うが、ここまで用意しているのに無視するのは可哀想だ。
「久しぶりに遊ぶのも、悪くないんじゃないかな?」
「十代目……。なら、この獄寺隼人!十代目の右腕としてお供します!」
「えっ?!大丈夫だよ!無理に付き合わなくても!」
「いいえ!お供させてください!」
こうなっては、獄寺くんを止めるのはもう無理だ。一度火がつくと突っ走っちゃうところは、昔から変わらないな。
獄寺くんと一緒に廊下を歩いていると、山本とお兄さんとランボに会った。
折角だし、と誘うと三人とも面白そうだ、と言いながらOKした。
純さんなら、軽く「いいよー!」と言ってくれるだろうし。
全員で着替えて集合場所に行くと、純さんと、誰よりも半袖短パンが似合わない男が待っていた。
「お待ちしてましたよ、ボンゴレ」
「なんで骸がいるの、純さん」
「なんか、やりたいって言うから……」
なにか企んでるのでは、という俺たちの視線など物ともせず「いやですね。今日は単純に涼を取りに来ただけですよ」と言うが、信用ならない。
「はい、というわけで六道くんが裏切ることを想定してチーム分けをします」
「お前が決めんのかよ!」
「綱吉くんチームは、綱吉くん、隼人くん、武くんです。理由は、綱吉くんと離れると隼人くんがゴネるからです」
「人をワガママみたいに言うんじゃねえ!」
「よろしくな、ツナ!」
「よろしく、二人共」
「次に、純ちゃんチームですが、了平くん、ランボくん、私です」
「極限任せろ!」
「純さんは必ずお守りしますよ」
そこまで来て、あれ、骸は?と全員が思ったところで、純さんが「六道くんはどっちのチームに入れても引っ掻き回すので、一人です」と言った。
違いないが、言ってもいいんですか、純さん。
しかし、骸は余裕綽々で「貴方たちなど、僕一人で十分ですよ」と煽るから、俺と純さん以外の闘争心に火がついた。
「まずはあいつから殺るぞ、山本」
「ああ」
「そういう遊びじゃないから!」
「はいはーい。ルールですが、水鉄砲と水風船以外は使用禁止。技とかもなし。あと、一発も食らわなかった人は負けね」
「なんでだよ!」
「そうでもしないと、誰も当たらないでしょ」
確かに、この界隈にいたら銃弾を避ける癖はついているだろう。
各々、好きな水鉄砲を取り、開戦した。
水遊びのはずが、完全に戦闘と変わりない陣形で動く獄寺くん、山本、お兄さん、ランボだったが、その中、純さんだけがこちらに突進してきた。
そういえば、純さんの基本的な戦闘スタイルって、「敵に単身突っ込んで行く」だったな。
獄寺くんと山本が純さんに向かって撃つが、当然、全部受け止める。
「くーらーえー!」
撃ち込まれた水弾を二人は軽々避けたが、俺はあえてそれを受け止め、純さんに向かって水弾を撃ち込んだ。
「十代目!」
「ツナ!」
「いや、みんな!これ水遊びだからね?!」
根本的に間違ってるから!という俺の言葉を皮切りに、チーム分けをしたはずが、気が付けば乱戦になっていた。
「あれ、純さんは?」
「む、そういえばいないな」
気が付けば主催者である純さんがおらず、丁度いいから一旦休憩していると、「あ、休憩?」とのんびりした声がした。
入口を見ると、クーラーボックスを二つ抱えた純さんが立っていた。
「主催が勝手にいなくなんじゃねえ!」
「ごめん、ごめん。途中で疲れちゃって。ほら、お詫びに差し入れだぞ、若者たちよ」
そう言いながら、純さんが開けたクーラーボックスにはスイカとビールと麦茶が入っていた。
動いてお腹も空いていたし、喉が乾いていた俺たちは、我先にとスイカに手を伸ばした。
びしょびしょになりながらスイカを食べていると、隣に純さんが腰掛けた。
「どう、気分転換になった?」
「はは、久しぶりに動き回ってスッキリしました」
それはよかった、と笑う純さんは、先ほどまでの無邪気な笑みではなく、ちゃんと大人であった。
「これはね、徹夜常連者のアドバイスだけど、息抜きとか体動かすのは大事だよ。じゃないと、嫌な考えに囚われていくから」
伏し目がちに語る純さんも、おそらく同じ経験をしたのだろう。
たしかに、最近はちゃんと休んでいないからか、考えが悪い方向に向かっていたような気がする。
「ありがとうございます、純さん」
「どういたしまして。動いたら眠くなったんじゃないの?今日はもう、お風呂入って寝ちゃいな」
「そうですね。でも、もう少し……」
もう少し、この束の間の平和を味わっていたいです、と言う俺に、純さんも目を細めて「そうだね」と言った。
およそ、三十代のテンションではないテンションで入室してきた純さんに、「いや、俺まだ仕事があるんで」と言うも、「暑いし、水遊びしよ!」と一切話しを聞かない。
いつもなら付き合ってもいいと思えるが、いまは立て込んでいる。
というかそもそも、あのテンションの上がり方。絶対に俺同様、何徹かはキメている。
「純さん、遊ぶ前に寝た方がいいんじゃ……」
「いや、遊んだらまた仕事に戻るから」
おかしいでしょ、というツッコミを入れる余力もなく、どうやって帰ってもらおうかと悩んでいると、獄寺くんがしかめっ面で「いい加減にしろよ、純」と言った。
手荒くなりそうだが、これくらいしないと帰ってはくれないだろう。
「十代目はお忙しいんだ」
「ふははは!甘いな、隼人くん!こんなお疲れの綱吉くんを休ませないなんて、右腕失格だよ!」
「うっ!」
「恭弥は私が無理をしたら休ませようとするぞ!」
「偉そうにするな!」
獄寺くんを無視して、純さんは「遊ぼう、綱吉くん」と誘ってくる。
まあ、純さんの言うことは尤もと言えば尤もだ。
ここ最近、事務仕事ばかりで動いていなかったし、睡眠もあまりよく取れていない。
「わかりました、付き合いますよ」
「十代目!いいんですか?」
「構わないよ。気晴らしも必要だからね」
道具は揃ってるんですか?と聞くと、得意げな顔で俺の手を引き建物の外に連れていくと、そこには多種多様な水鉄砲と水風船が用意されていた。
俺が断らないってわかってたんですか?と聞くと、「断らせる気がなかった」と悪い顔をする。
「ここまで準備されたら、断れないじゃないですか。着替えてきますから、ちょっと待って下さい」
「スーツでいいじゃん」
「高いんですよ、このスーツ」
俺の言葉に純さんは納得して、「じゃあ着替えたら、またここに集合ね」と笑顔を振りまき、純さんは一度帰って行った。
獄寺くんが「十代目、付き合うことないですよ」と言うが、ここまで用意しているのに無視するのは可哀想だ。
「久しぶりに遊ぶのも、悪くないんじゃないかな?」
「十代目……。なら、この獄寺隼人!十代目の右腕としてお供します!」
「えっ?!大丈夫だよ!無理に付き合わなくても!」
「いいえ!お供させてください!」
こうなっては、獄寺くんを止めるのはもう無理だ。一度火がつくと突っ走っちゃうところは、昔から変わらないな。
獄寺くんと一緒に廊下を歩いていると、山本とお兄さんとランボに会った。
折角だし、と誘うと三人とも面白そうだ、と言いながらOKした。
純さんなら、軽く「いいよー!」と言ってくれるだろうし。
全員で着替えて集合場所に行くと、純さんと、誰よりも半袖短パンが似合わない男が待っていた。
「お待ちしてましたよ、ボンゴレ」
「なんで骸がいるの、純さん」
「なんか、やりたいって言うから……」
なにか企んでるのでは、という俺たちの視線など物ともせず「いやですね。今日は単純に涼を取りに来ただけですよ」と言うが、信用ならない。
「はい、というわけで六道くんが裏切ることを想定してチーム分けをします」
「お前が決めんのかよ!」
「綱吉くんチームは、綱吉くん、隼人くん、武くんです。理由は、綱吉くんと離れると隼人くんがゴネるからです」
「人をワガママみたいに言うんじゃねえ!」
「よろしくな、ツナ!」
「よろしく、二人共」
「次に、純ちゃんチームですが、了平くん、ランボくん、私です」
「極限任せろ!」
「純さんは必ずお守りしますよ」
そこまで来て、あれ、骸は?と全員が思ったところで、純さんが「六道くんはどっちのチームに入れても引っ掻き回すので、一人です」と言った。
違いないが、言ってもいいんですか、純さん。
しかし、骸は余裕綽々で「貴方たちなど、僕一人で十分ですよ」と煽るから、俺と純さん以外の闘争心に火がついた。
「まずはあいつから殺るぞ、山本」
「ああ」
「そういう遊びじゃないから!」
「はいはーい。ルールですが、水鉄砲と水風船以外は使用禁止。技とかもなし。あと、一発も食らわなかった人は負けね」
「なんでだよ!」
「そうでもしないと、誰も当たらないでしょ」
確かに、この界隈にいたら銃弾を避ける癖はついているだろう。
各々、好きな水鉄砲を取り、開戦した。
水遊びのはずが、完全に戦闘と変わりない陣形で動く獄寺くん、山本、お兄さん、ランボだったが、その中、純さんだけがこちらに突進してきた。
そういえば、純さんの基本的な戦闘スタイルって、「敵に単身突っ込んで行く」だったな。
獄寺くんと山本が純さんに向かって撃つが、当然、全部受け止める。
「くーらーえー!」
撃ち込まれた水弾を二人は軽々避けたが、俺はあえてそれを受け止め、純さんに向かって水弾を撃ち込んだ。
「十代目!」
「ツナ!」
「いや、みんな!これ水遊びだからね?!」
根本的に間違ってるから!という俺の言葉を皮切りに、チーム分けをしたはずが、気が付けば乱戦になっていた。
「あれ、純さんは?」
「む、そういえばいないな」
気が付けば主催者である純さんがおらず、丁度いいから一旦休憩していると、「あ、休憩?」とのんびりした声がした。
入口を見ると、クーラーボックスを二つ抱えた純さんが立っていた。
「主催が勝手にいなくなんじゃねえ!」
「ごめん、ごめん。途中で疲れちゃって。ほら、お詫びに差し入れだぞ、若者たちよ」
そう言いながら、純さんが開けたクーラーボックスにはスイカとビールと麦茶が入っていた。
動いてお腹も空いていたし、喉が乾いていた俺たちは、我先にとスイカに手を伸ばした。
びしょびしょになりながらスイカを食べていると、隣に純さんが腰掛けた。
「どう、気分転換になった?」
「はは、久しぶりに動き回ってスッキリしました」
それはよかった、と笑う純さんは、先ほどまでの無邪気な笑みではなく、ちゃんと大人であった。
「これはね、徹夜常連者のアドバイスだけど、息抜きとか体動かすのは大事だよ。じゃないと、嫌な考えに囚われていくから」
伏し目がちに語る純さんも、おそらく同じ経験をしたのだろう。
たしかに、最近はちゃんと休んでいないからか、考えが悪い方向に向かっていたような気がする。
「ありがとうございます、純さん」
「どういたしまして。動いたら眠くなったんじゃないの?今日はもう、お風呂入って寝ちゃいな」
「そうですね。でも、もう少し……」
もう少し、この束の間の平和を味わっていたいです、と言う俺に、純さんも目を細めて「そうだね」と言った。