並盛の盾 日常小話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゴロゴロと遠雷をが聞こえてくる。
ちょっと用事があって応接室を出ていたが、用事を頼まれて戻りが遅くなってしまった。
廊下も教室も暗く、外も暗雲が立ち込め、全体的に視界が暗い。
いまにも教室から、幽霊でも出てくるんじゃないかという薄気味悪さに、完全に腰が引けて歩みがカタツムリだ。
どうしよう、ヒバリさん先に帰っていたら。
いや、これだけ待たせて、待っていてくれるなんて虫の良い話はない。
絶対に帰っている。
というか、そもそもヒバリさんが私を待っているというより、帰るタイミングが一緒だから帰っているだけで、正確には待ってくれてはいないのだ。
帰りも、この暗い中を一人で歩かないといけないのか。すでに泣きそうだ。
応接室は施錠されているだろうけど、カバンは外にでているはず。
ヒバリさん、そこまで薄情ではない!たぶん!
ここを曲がれば、応接室。というところまで来たとき、一際大きい雷が落ち、曲がり角から現れた人影を黒く浮かび上がらせた。
「ーーっ!」
言語として成り立たない悲鳴を上げ、その場にへたり込むと、人影は「なにやってるの」と話しかけてきた。
「ヒ、ヒバリさん……?」
「そんなに驚くこと?」
不思議そうな顔をするヒバリさんに、一気に肩の力が抜ける。
いつまで経っても立ち上がろうとしない私に、ヒバリさんが「いつまで座ってるの」と手を差し出し、その手を掴もうとしたが、一瞬、ヒバリさんに違和感を感じ「あなた、誰?」と聞いていた。
それは、いつもいるヒバードがいないとか、薄く浮かべられた笑みがいつもと違うとか、目に光が感じられないとか、些細なものだったが、違うと感じるには十分だった。
目の前のナニかはニタリと笑い、走り去っていった。
「ヒ……ヒ゛ハ゛リ゛さ゛ん゛ーーーー!!」
あまりの恐怖体験に、年甲斐もなく大泣きしながらヒバリさんを呼んだら、珍しく慌てた様子で駆けつけてくれた。
完全に腰を抜かし、大泣きする私を抱きしめ背中を叩き落ち着かせ、なにがあったのかと聞いてくれたヒバリさんに、しゃくり上げながら先程あったことを話す。
ヒバリさんは馬鹿にすることなく、「僕の側にいな。全部、なんとかしてあげるから」と言ってくれたのだ。
「それ以来、雷と暗がりが苦手なんだよね……」
「なにが言いたいんですか?」
「帰り怖いんで、財団まで送り届けてください……」
震える私に、綱吉くんが「誰かに送らせます」と困り笑顔で手配してくれた。
ごめんね、出るときは晴れていたから大丈夫だと思っていたんだよ。
こうなるとわかっていたら、哲さんと一緒に書類提出に来ていた。
「なら、僕が行きましょう」
「えぇ〜、六道くんか〜」
露骨に嫌そうな反応をする私に、六道くんは嫌な顔をするどころか楽しそうな表情をする。
なんだ、気味が悪いな……。
「おやおや、いいんですか?いま、頼れるのは僕だけですよ?」
綱吉くんを見れば、大変申し訳無さそうな顔をしていた。事実なのか……。
正直、六道くんという恭弥を煽っていくスタイルの男を風紀財団に連れて行くというのは、とても戸惑われる。が、このままでは帰れない。
帰るのが遅くなればなるほど、私のデスクには確認書類が増え、メールボックスにはメールが溜まっていく。
「……お願いします」
「クフフ、最初から素直にそう言えばいいんですよ」
偉そうな歳下だな。偉いんだけども。
綱吉くんに見送られ、六道くんのスーツの裾をつまみ、そしてしっかり目を閉じて歩く。
「おやおや、それでは怪我をしますよ」
「怪我しないように、誘導して!」
「わかりました。ところで、純。これに見覚えはありませんか?」
これ、とは?と、気になり薄っすら目を開ければ、そこには身長が近かった、遠き日の恭弥が立っていた。
あの日、落雷の中で見た違和感を携えて。
「ま、まさか……」
「はい。貴女のトラウマの正体です」
恭弥が絶対にしない極上スマイルを浮かべ、暴露された事実に「お前ー!」と叫びながら殴りかかるも、華麗に避けられた。
「私が何年、おばけに怯えてきたと思ってるんだよ!」
「ありもしない幻影に怯える貴女は可愛かったですよ」
「愛でるなー!」
ちょっと用事があって応接室を出ていたが、用事を頼まれて戻りが遅くなってしまった。
廊下も教室も暗く、外も暗雲が立ち込め、全体的に視界が暗い。
いまにも教室から、幽霊でも出てくるんじゃないかという薄気味悪さに、完全に腰が引けて歩みがカタツムリだ。
どうしよう、ヒバリさん先に帰っていたら。
いや、これだけ待たせて、待っていてくれるなんて虫の良い話はない。
絶対に帰っている。
というか、そもそもヒバリさんが私を待っているというより、帰るタイミングが一緒だから帰っているだけで、正確には待ってくれてはいないのだ。
帰りも、この暗い中を一人で歩かないといけないのか。すでに泣きそうだ。
応接室は施錠されているだろうけど、カバンは外にでているはず。
ヒバリさん、そこまで薄情ではない!たぶん!
ここを曲がれば、応接室。というところまで来たとき、一際大きい雷が落ち、曲がり角から現れた人影を黒く浮かび上がらせた。
「ーーっ!」
言語として成り立たない悲鳴を上げ、その場にへたり込むと、人影は「なにやってるの」と話しかけてきた。
「ヒ、ヒバリさん……?」
「そんなに驚くこと?」
不思議そうな顔をするヒバリさんに、一気に肩の力が抜ける。
いつまで経っても立ち上がろうとしない私に、ヒバリさんが「いつまで座ってるの」と手を差し出し、その手を掴もうとしたが、一瞬、ヒバリさんに違和感を感じ「あなた、誰?」と聞いていた。
それは、いつもいるヒバードがいないとか、薄く浮かべられた笑みがいつもと違うとか、目に光が感じられないとか、些細なものだったが、違うと感じるには十分だった。
目の前のナニかはニタリと笑い、走り去っていった。
「ヒ……ヒ゛ハ゛リ゛さ゛ん゛ーーーー!!」
あまりの恐怖体験に、年甲斐もなく大泣きしながらヒバリさんを呼んだら、珍しく慌てた様子で駆けつけてくれた。
完全に腰を抜かし、大泣きする私を抱きしめ背中を叩き落ち着かせ、なにがあったのかと聞いてくれたヒバリさんに、しゃくり上げながら先程あったことを話す。
ヒバリさんは馬鹿にすることなく、「僕の側にいな。全部、なんとかしてあげるから」と言ってくれたのだ。
「それ以来、雷と暗がりが苦手なんだよね……」
「なにが言いたいんですか?」
「帰り怖いんで、財団まで送り届けてください……」
震える私に、綱吉くんが「誰かに送らせます」と困り笑顔で手配してくれた。
ごめんね、出るときは晴れていたから大丈夫だと思っていたんだよ。
こうなるとわかっていたら、哲さんと一緒に書類提出に来ていた。
「なら、僕が行きましょう」
「えぇ〜、六道くんか〜」
露骨に嫌そうな反応をする私に、六道くんは嫌な顔をするどころか楽しそうな表情をする。
なんだ、気味が悪いな……。
「おやおや、いいんですか?いま、頼れるのは僕だけですよ?」
綱吉くんを見れば、大変申し訳無さそうな顔をしていた。事実なのか……。
正直、六道くんという恭弥を煽っていくスタイルの男を風紀財団に連れて行くというのは、とても戸惑われる。が、このままでは帰れない。
帰るのが遅くなればなるほど、私のデスクには確認書類が増え、メールボックスにはメールが溜まっていく。
「……お願いします」
「クフフ、最初から素直にそう言えばいいんですよ」
偉そうな歳下だな。偉いんだけども。
綱吉くんに見送られ、六道くんのスーツの裾をつまみ、そしてしっかり目を閉じて歩く。
「おやおや、それでは怪我をしますよ」
「怪我しないように、誘導して!」
「わかりました。ところで、純。これに見覚えはありませんか?」
これ、とは?と、気になり薄っすら目を開ければ、そこには身長が近かった、遠き日の恭弥が立っていた。
あの日、落雷の中で見た違和感を携えて。
「ま、まさか……」
「はい。貴女のトラウマの正体です」
恭弥が絶対にしない極上スマイルを浮かべ、暴露された事実に「お前ー!」と叫びながら殴りかかるも、華麗に避けられた。
「私が何年、おばけに怯えてきたと思ってるんだよ!」
「ありもしない幻影に怯える貴女は可愛かったですよ」
「愛でるなー!」