並盛の盾 日常小話
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「みんな、この配置でよろしく」
「はい、十代目」
ツナの言葉に、幹部連中は返事をしたが下の方の連中やうち、キャバッローネの連中は不安そうにざわめいた。
そりゃそうだ。
明らかに一箇所、要所とも言える場所の配置人数が少ない。
しかし、配置された人間を見れば、納得いくやつは納得いく。
「あの、ボス。そこ、そんな手薄でいいんですか?」
「手薄?どこが?」
ほら、そこ。と指摘された場所を見て、ツナは薄く笑みを浮かべながら、「そんなことはないよ。むしろ、ここが一番堅固だ」と言う。
「ランボと彼女がここを守ってくれるから、他に人員を割ける」
「しかし……」
「大丈夫。ね、純さん。ランボ」
「お任せください、十代目」
「やめてよ、ツナくん。プレッシャーで胃に穴が空きそうなんだから」
「まだ空いてないから、大丈夫、大丈夫」
守護者であるランボがいるとはいえ、ツナに励まされるも顔を青くし、震える純を見れば、誰だって不安にもなるだろう。
しかし、純は恭弥すら一目置く堅牢さ。そして、あの恭弥が死なせないために戦闘訓練を施しているのだから、十分に強い。
純の肩を抱き「だーいじょうぶだって!なんかあったら、俺を呼べよ」と安心させようとしたら、いつものように、恭弥が遠慮なくトンファーを振り切ってきた。
「危ないだろ、恭弥」
「馴れ馴れしく触るな」
殺気だちながらトンファーを構える恭弥に応戦し武器を構えたら、純が「こういう時に、私に喧嘩の仲裁させるとか神経疑う」とか細く、しかし俺たちにはしっかりとダメージを残すことを言う。
毎回、抗争のときになるとナーバスになるよな……。
「大丈夫だって!純は強いんだからさ!」
「僕が鍛えてあげてるんだから、そう簡単に死ぬわけないでしょ」
必死に励ます俺たちに、純は首を振り「私が死なないのはわかってるんだわ」と言う。
「それより、私の両肩に人の命がかかっている事実!プレッシャーがのしかかる……!」
「別に沢田はキミにそこまで期待してないよ」
「恭弥」
プレッシャーに押し潰されそうになる純に、ツナは「難しいようなら、人員そっちに回しましょうか?」と提案するが、配置や人員を見てから「いや、このままでいい」とため息をついた。
言うと思った。
他から人員を割けば、その分、俺たちへの負担が増える。
別にそれくらい平気なのだが、純は少しでも俺たちが危険になるのを嫌がる。
「純のやつ大丈夫かなー」
「なにが」
隣に立ち迎撃の準備をする恭弥に聞くも、素っ気無い返事が返ってくるだけ。
「あの子がやられるとでも思ってるの?」
「いや、そこは思ってないけど」
今回、襲撃してくる連中は純にかすり傷をつけることすら敵わないだろう。
ただ、純を嘗めた味方連中が下手に前に出て怪我して、純が罪悪感でも感じたら嫌だなって思っただけだ。
「そんなバカは僕が咬み殺すよ」
「それじゃあ、純がもっと気にするだろ」
「じゃあ、どうするの。酒盛りでもして、気でも紛らわせてあげるわけ」
「おっ!いいな!純も、なにもなくても気が滅入ってるだろうし飲み会しようぜ!」
「仕方ないから付き合ってあげるよ」
「んじゃ、さっさと片付けるか!」
敵ファミリーが押し寄せてくるが、俺と恭弥相手では手も足も出ない。
拳銃もダメ、近接戦もダメとなると、出てくるのはマシンガンと手榴弾。
マシンガンはさすがに相手するのは面倒なので、物陰に隠れて回避。
こういうときに純がいてくれると、弾丸浴びながら突っ込んでいって厄介な武器全部破壊して、ダイハードみたいに帰ってくるから楽なんだけどな。
俺にできるのは、炙り出すために投げられた手榴弾をキャッチ・アンド・リリースして、突撃のチャンスを作るくらい。
敵が引いていき、ツナに報告していると、純たちのところに配置されていた俺の部下が来た。
「純は?」
「その……ランボさんをなだめてます……」
ああ、ランボの緊張の糸が切れたんだろうな。
それで、代わりに報告しに来たのだろう。
一通り報告し終わると、部下は興奮した様子で「純さん、凄いですね!」と俺に行った。
「最初は、若い女の子だし、顔真っ青だったし、正直、俺たちがフォローしないとって思ってたんですけど、戦闘に入る前に人が変わったみたいに凛々しくなって、『皆さんの命は私が守ります』なんて言っちゃって!しかも、銃弾ものともしないで敵陣に単身突撃して、敵薙ぎ倒しちゃうんですから!もう、かっこいいですよ!」
熱烈な称賛に、自分のことのように喜ぶ俺と恭弥であったが、次の瞬間、場の空気が凍った。
「さすが、ボスの女ですね!」
「……」
「……」
部下の曇りなき眼、恭弥の刺さる視線。
無言で武器を構える俺たちに、ツナは呆れながら「やるなら、外でやってください」と言う。
睨み合ったまま外に出ようとすると、丁度、純が「疲れたー、お風呂入るー」と言いながら入ってきた。
俺たちを見るや、顔をしかめ「まだ喧嘩するの。元気だね」と言い、横をすり抜けていく。
「綱吉くん、お風呂貸してー」
「いいですよ。入りながらお酒は飲まないでくださいね」
「溺死はしたくないから、しないよ」
「出てきたら、あそこの二人がお酒奢ってくれるらしいですよ」
「マジかよー。たらふく高いの飲んじゃおー」
純はこちらに向き直る。
「じゃあ、二人共お風呂入ったら、またここに集合ね。喧嘩はしないように。汗臭い男と傷だらけの男とは飲みたくないから!」
わかったら、さっさと行けー!と言われては、俺も恭弥も喧嘩をやめて一度帰るしかない。
「……一応言っとくけど、俺が言ったわけじゃないからな。下の連中が勘違いしてるだけだ」
「勘違いされてることもムカつく」
「恭弥だって、風紀財団の連中に勘違いされてるだろ!」
「勘違いじゃないからいいんだよ」
「そういうこと言うと、純に中指立てられて笑われるぞ」
「……」
容易に想像できたのだろう。唇を尖らせて拗ねた表情をした。
昔は反抗心というものはなかったが、マフィアという環境が純を強くしたのか、今では随分とふてぶてしくなった。
「まあ、そもそもあいつ。俺たちのこと相手にしてないしな……」
「うるさい……」
お互いに難儀な女に惚れたよな、と言うも、恭弥は「僕がいつ、あの子を好きだなんて言った?」と否定する。
素直じゃねーの。
「はい、十代目」
ツナの言葉に、幹部連中は返事をしたが下の方の連中やうち、キャバッローネの連中は不安そうにざわめいた。
そりゃそうだ。
明らかに一箇所、要所とも言える場所の配置人数が少ない。
しかし、配置された人間を見れば、納得いくやつは納得いく。
「あの、ボス。そこ、そんな手薄でいいんですか?」
「手薄?どこが?」
ほら、そこ。と指摘された場所を見て、ツナは薄く笑みを浮かべながら、「そんなことはないよ。むしろ、ここが一番堅固だ」と言う。
「ランボと彼女がここを守ってくれるから、他に人員を割ける」
「しかし……」
「大丈夫。ね、純さん。ランボ」
「お任せください、十代目」
「やめてよ、ツナくん。プレッシャーで胃に穴が空きそうなんだから」
「まだ空いてないから、大丈夫、大丈夫」
守護者であるランボがいるとはいえ、ツナに励まされるも顔を青くし、震える純を見れば、誰だって不安にもなるだろう。
しかし、純は恭弥すら一目置く堅牢さ。そして、あの恭弥が死なせないために戦闘訓練を施しているのだから、十分に強い。
純の肩を抱き「だーいじょうぶだって!なんかあったら、俺を呼べよ」と安心させようとしたら、いつものように、恭弥が遠慮なくトンファーを振り切ってきた。
「危ないだろ、恭弥」
「馴れ馴れしく触るな」
殺気だちながらトンファーを構える恭弥に応戦し武器を構えたら、純が「こういう時に、私に喧嘩の仲裁させるとか神経疑う」とか細く、しかし俺たちにはしっかりとダメージを残すことを言う。
毎回、抗争のときになるとナーバスになるよな……。
「大丈夫だって!純は強いんだからさ!」
「僕が鍛えてあげてるんだから、そう簡単に死ぬわけないでしょ」
必死に励ます俺たちに、純は首を振り「私が死なないのはわかってるんだわ」と言う。
「それより、私の両肩に人の命がかかっている事実!プレッシャーがのしかかる……!」
「別に沢田はキミにそこまで期待してないよ」
「恭弥」
プレッシャーに押し潰されそうになる純に、ツナは「難しいようなら、人員そっちに回しましょうか?」と提案するが、配置や人員を見てから「いや、このままでいい」とため息をついた。
言うと思った。
他から人員を割けば、その分、俺たちへの負担が増える。
別にそれくらい平気なのだが、純は少しでも俺たちが危険になるのを嫌がる。
「純のやつ大丈夫かなー」
「なにが」
隣に立ち迎撃の準備をする恭弥に聞くも、素っ気無い返事が返ってくるだけ。
「あの子がやられるとでも思ってるの?」
「いや、そこは思ってないけど」
今回、襲撃してくる連中は純にかすり傷をつけることすら敵わないだろう。
ただ、純を嘗めた味方連中が下手に前に出て怪我して、純が罪悪感でも感じたら嫌だなって思っただけだ。
「そんなバカは僕が咬み殺すよ」
「それじゃあ、純がもっと気にするだろ」
「じゃあ、どうするの。酒盛りでもして、気でも紛らわせてあげるわけ」
「おっ!いいな!純も、なにもなくても気が滅入ってるだろうし飲み会しようぜ!」
「仕方ないから付き合ってあげるよ」
「んじゃ、さっさと片付けるか!」
敵ファミリーが押し寄せてくるが、俺と恭弥相手では手も足も出ない。
拳銃もダメ、近接戦もダメとなると、出てくるのはマシンガンと手榴弾。
マシンガンはさすがに相手するのは面倒なので、物陰に隠れて回避。
こういうときに純がいてくれると、弾丸浴びながら突っ込んでいって厄介な武器全部破壊して、ダイハードみたいに帰ってくるから楽なんだけどな。
俺にできるのは、炙り出すために投げられた手榴弾をキャッチ・アンド・リリースして、突撃のチャンスを作るくらい。
敵が引いていき、ツナに報告していると、純たちのところに配置されていた俺の部下が来た。
「純は?」
「その……ランボさんをなだめてます……」
ああ、ランボの緊張の糸が切れたんだろうな。
それで、代わりに報告しに来たのだろう。
一通り報告し終わると、部下は興奮した様子で「純さん、凄いですね!」と俺に行った。
「最初は、若い女の子だし、顔真っ青だったし、正直、俺たちがフォローしないとって思ってたんですけど、戦闘に入る前に人が変わったみたいに凛々しくなって、『皆さんの命は私が守ります』なんて言っちゃって!しかも、銃弾ものともしないで敵陣に単身突撃して、敵薙ぎ倒しちゃうんですから!もう、かっこいいですよ!」
熱烈な称賛に、自分のことのように喜ぶ俺と恭弥であったが、次の瞬間、場の空気が凍った。
「さすが、ボスの女ですね!」
「……」
「……」
部下の曇りなき眼、恭弥の刺さる視線。
無言で武器を構える俺たちに、ツナは呆れながら「やるなら、外でやってください」と言う。
睨み合ったまま外に出ようとすると、丁度、純が「疲れたー、お風呂入るー」と言いながら入ってきた。
俺たちを見るや、顔をしかめ「まだ喧嘩するの。元気だね」と言い、横をすり抜けていく。
「綱吉くん、お風呂貸してー」
「いいですよ。入りながらお酒は飲まないでくださいね」
「溺死はしたくないから、しないよ」
「出てきたら、あそこの二人がお酒奢ってくれるらしいですよ」
「マジかよー。たらふく高いの飲んじゃおー」
純はこちらに向き直る。
「じゃあ、二人共お風呂入ったら、またここに集合ね。喧嘩はしないように。汗臭い男と傷だらけの男とは飲みたくないから!」
わかったら、さっさと行けー!と言われては、俺も恭弥も喧嘩をやめて一度帰るしかない。
「……一応言っとくけど、俺が言ったわけじゃないからな。下の連中が勘違いしてるだけだ」
「勘違いされてることもムカつく」
「恭弥だって、風紀財団の連中に勘違いされてるだろ!」
「勘違いじゃないからいいんだよ」
「そういうこと言うと、純に中指立てられて笑われるぞ」
「……」
容易に想像できたのだろう。唇を尖らせて拗ねた表情をした。
昔は反抗心というものはなかったが、マフィアという環境が純を強くしたのか、今では随分とふてぶてしくなった。
「まあ、そもそもあいつ。俺たちのこと相手にしてないしな……」
「うるさい……」
お互いに難儀な女に惚れたよな、と言うも、恭弥は「僕がいつ、あの子を好きだなんて言った?」と否定する。
素直じゃねーの。