第八次元にて忍はじめました
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
佐助が食事を作っている時、私は掃除をしているのである。
などと、どこぞの深淵ネタをパクった台詞を考えながら、影分身でぴょんぴょん飛び回り任された掃除をしていると、武士と目があったがすぐにばつが悪そうに、目をそらされた。
いやぁ、何年も揚げ足とりをし、真っ正面から叩き潰してやっただけありますなぁ!
私、元が現代っ子イキリゲーマーだったから、どうも忖度や煽り耐性がありませんでしてなぁ!わはは!
内心高笑いが止まらずにいると、下から「真白ー!」と佐助に呼ばれた。
「昼ができたから、休憩にしよー!」
「はいよー!」
影分身を回収し、佐助の前へと降り立てば「お疲れ様」と手拭いで汗を拭われる。
「やーめろって」
「なーに?照れてんの?」
「当たり前だろうが。こちとら、世話焼く側だぞ」
そう言って、佐助の手を払いのけようとするが、私の手など妨害にならないとでも言うように、佐助はぐいぐいと手拭いで汗を拭ってくるが、もう汗ないだろうが!
ニヤニヤとする佐助に「なんだ、その顔はー!」と威嚇すれば、「いやぁ、可愛い子猫ちゃんだな、て思って」と言われた。
「んだ、てめぇ!ケンカ売ってんのか?!」
「そうだけど?」
「フー!」
私が威嚇すればするほど、佐助は愉快そうに笑うばかり。
くそ……くそ……佐助のくせに……!
ひとしきり、人のことをバカにして満足した佐助が、「変わったなぁ」と染々と言う。
「昔は、俺様がからかわれて怒ってたのに、いまじゃ立場逆転だね」
「体格まで逆転されたしな」
「それは当たり前でしょ、男と女なんだから」
そりゃそうだけどさー、とブスくれる私を佐助はまた笑い「昼にしよう」と歩きだした。
佐助は、真田忍隊の長となってからは嫌に余裕を持つようになった。
苦労は増えたであろうに、それでもいまの佐助には昔のような、無理をしたがむしゃらさなくなってよかったと思う。
握り飯を食べながら、ふと、佐助に尋ねてみた。
「佐助はさ、ここじゃない別の世界に生まれたら、とか考えたことがある?」
「忍じゃなかったら、てこと?そういう、たられば話、あんまり好きじゃないんだよね」
「そうじゃなくてさ、別次元の話」
その世界はさ、ここみたいに生きるか死ぬかなことがない。
いや、あるっちゃあるけど、それをしないと生きていけないってことはない。
着るものも食べるものにも困らず、医療は充実して人の寿命はのび、人々は明日死ぬかもしれないなんて不安に怯えない。
「そういう、こことは完全に別次元の話」
私の、前にいた次元の話を、たられば話が好きじゃない佐助はつまらなそうに聞く。
まあ、ぴんと来ないのは当たり前か。
私は最近、よく考える。
佐助や幸村様が、あの次元で生きていたらと。
きっと、私とは出会うことがないままだろうけど、いまよりもっと幸せに暮らせていたのではないか、と。
佐助をちらり、と見ればやはりつまらなそうな顔をしていた。
「そうだねぇ、そんな平和な世界があったら……」
「あったら?」
「俺様たちは生き難いだろうね」
私の見解とは違う意見に目を丸くしていると、佐助はやはりつまらなそうに語る。
「大前提に、俺様はどんな世界にいても真田の旦那についていくよ。その真田の旦那が、そんな平和な世界で生きていけるわけがない。そして、俺様たちは影として以外に生き方を知らない。そんな世界で、俺様たちは生きていけない」
「だーかーらー。いまから、じゃなくて最初からって話」
「いつの話でも同じさ。魂の本質は変わらない。俺様たちは光の中では生きていけない」
魂なんて信じてないくせに、なにを言っているんだ。
そうは思うも、興味のない話題に適当に乗っかっていることくらいわかったので、これ以上は不毛な水掛け論だ。
いや、最初から不毛な会話なんだけれども。
「ていうか、さっきから俺様たちって言ってるけど、誰のこと言ってんだよ」
「……」
無言でむにり、と頬を指された。私か。
「私は違うよ。たぶん、私は染まりやすいから変わってしまう。佐助みたいに、いつまでも幸村様とだなんて思わないよ」
実際、私は簡単にこちらの次元に染まり、簡単に人を殺すようになった。
不満そうな顔をする佐助に、「私はそこまでの信念も忠誠心も持ち合わせてないんだ」と笑って見せたら、「そこは合わせてよ」と文句を言われた。
「ごめーん。協調性なくってねー」
「可愛くない」
「まあ、私は平和な世界なら平和に暮らしたいよ」
「真白はそればっかり」
「それが一番だよ。佐助もさ、人なんだから変わるよ。人は変わるものだ」
「ばーか。俺様たちは人じゃないっての」
無理無理、と馬鹿にする佐助に苦笑いを向け「ごちそーさま。じゃあ、掃除戻るわ」と腰をあげようとしたら、「もし」と佐助が口を開く。
「もし、そんな世界に生まれたら、俺様は真田の旦那を探しに行く」
「うん」
「そしたら、今度は真白を探しに行くから」
強い視線を向けられ、呆気にとられた。
幸村様を見つけたら、それで終わりだと思っていたから。
「俺様とお前は、二人で真田の旦那を支えるんだ。お前がいないと、ダメだ」
「とかなんとか言って、本当は私のことが大好きなんだろー?」
いつものからかいで言ったのに、佐助は真面目な顔で「大好きだよ。だから、見つける」と言うから笑いだしてしまった。
「ほら、佐助も変わってる。昔なら、絶対にそんなこと言わないよ」
私の指摘に「もし、て言っただろ」と反論するも、私はそれに対しても「ほら、たられば話してる」と指摘する。
「この世界で変わるのは難しいよ。けど、変われないわけじゃないんだ。佐助は諦めてるだけ」
成長しな、佐助。
変わることに怯えて、諦めないで。
そう言いながら頭を撫でれば、佐助はむすっとしながら、「そうやってすぐ、俺様のこと子供扱いする」とブスくれる。
しょうがないさ。
佐助はいつになっても、世話の焼ける頑張り屋さんだからね。
などと、どこぞの深淵ネタをパクった台詞を考えながら、影分身でぴょんぴょん飛び回り任された掃除をしていると、武士と目があったがすぐにばつが悪そうに、目をそらされた。
いやぁ、何年も揚げ足とりをし、真っ正面から叩き潰してやっただけありますなぁ!
私、元が現代っ子イキリゲーマーだったから、どうも忖度や煽り耐性がありませんでしてなぁ!わはは!
内心高笑いが止まらずにいると、下から「真白ー!」と佐助に呼ばれた。
「昼ができたから、休憩にしよー!」
「はいよー!」
影分身を回収し、佐助の前へと降り立てば「お疲れ様」と手拭いで汗を拭われる。
「やーめろって」
「なーに?照れてんの?」
「当たり前だろうが。こちとら、世話焼く側だぞ」
そう言って、佐助の手を払いのけようとするが、私の手など妨害にならないとでも言うように、佐助はぐいぐいと手拭いで汗を拭ってくるが、もう汗ないだろうが!
ニヤニヤとする佐助に「なんだ、その顔はー!」と威嚇すれば、「いやぁ、可愛い子猫ちゃんだな、て思って」と言われた。
「んだ、てめぇ!ケンカ売ってんのか?!」
「そうだけど?」
「フー!」
私が威嚇すればするほど、佐助は愉快そうに笑うばかり。
くそ……くそ……佐助のくせに……!
ひとしきり、人のことをバカにして満足した佐助が、「変わったなぁ」と染々と言う。
「昔は、俺様がからかわれて怒ってたのに、いまじゃ立場逆転だね」
「体格まで逆転されたしな」
「それは当たり前でしょ、男と女なんだから」
そりゃそうだけどさー、とブスくれる私を佐助はまた笑い「昼にしよう」と歩きだした。
佐助は、真田忍隊の長となってからは嫌に余裕を持つようになった。
苦労は増えたであろうに、それでもいまの佐助には昔のような、無理をしたがむしゃらさなくなってよかったと思う。
握り飯を食べながら、ふと、佐助に尋ねてみた。
「佐助はさ、ここじゃない別の世界に生まれたら、とか考えたことがある?」
「忍じゃなかったら、てこと?そういう、たられば話、あんまり好きじゃないんだよね」
「そうじゃなくてさ、別次元の話」
その世界はさ、ここみたいに生きるか死ぬかなことがない。
いや、あるっちゃあるけど、それをしないと生きていけないってことはない。
着るものも食べるものにも困らず、医療は充実して人の寿命はのび、人々は明日死ぬかもしれないなんて不安に怯えない。
「そういう、こことは完全に別次元の話」
私の、前にいた次元の話を、たられば話が好きじゃない佐助はつまらなそうに聞く。
まあ、ぴんと来ないのは当たり前か。
私は最近、よく考える。
佐助や幸村様が、あの次元で生きていたらと。
きっと、私とは出会うことがないままだろうけど、いまよりもっと幸せに暮らせていたのではないか、と。
佐助をちらり、と見ればやはりつまらなそうな顔をしていた。
「そうだねぇ、そんな平和な世界があったら……」
「あったら?」
「俺様たちは生き難いだろうね」
私の見解とは違う意見に目を丸くしていると、佐助はやはりつまらなそうに語る。
「大前提に、俺様はどんな世界にいても真田の旦那についていくよ。その真田の旦那が、そんな平和な世界で生きていけるわけがない。そして、俺様たちは影として以外に生き方を知らない。そんな世界で、俺様たちは生きていけない」
「だーかーらー。いまから、じゃなくて最初からって話」
「いつの話でも同じさ。魂の本質は変わらない。俺様たちは光の中では生きていけない」
魂なんて信じてないくせに、なにを言っているんだ。
そうは思うも、興味のない話題に適当に乗っかっていることくらいわかったので、これ以上は不毛な水掛け論だ。
いや、最初から不毛な会話なんだけれども。
「ていうか、さっきから俺様たちって言ってるけど、誰のこと言ってんだよ」
「……」
無言でむにり、と頬を指された。私か。
「私は違うよ。たぶん、私は染まりやすいから変わってしまう。佐助みたいに、いつまでも幸村様とだなんて思わないよ」
実際、私は簡単にこちらの次元に染まり、簡単に人を殺すようになった。
不満そうな顔をする佐助に、「私はそこまでの信念も忠誠心も持ち合わせてないんだ」と笑って見せたら、「そこは合わせてよ」と文句を言われた。
「ごめーん。協調性なくってねー」
「可愛くない」
「まあ、私は平和な世界なら平和に暮らしたいよ」
「真白はそればっかり」
「それが一番だよ。佐助もさ、人なんだから変わるよ。人は変わるものだ」
「ばーか。俺様たちは人じゃないっての」
無理無理、と馬鹿にする佐助に苦笑いを向け「ごちそーさま。じゃあ、掃除戻るわ」と腰をあげようとしたら、「もし」と佐助が口を開く。
「もし、そんな世界に生まれたら、俺様は真田の旦那を探しに行く」
「うん」
「そしたら、今度は真白を探しに行くから」
強い視線を向けられ、呆気にとられた。
幸村様を見つけたら、それで終わりだと思っていたから。
「俺様とお前は、二人で真田の旦那を支えるんだ。お前がいないと、ダメだ」
「とかなんとか言って、本当は私のことが大好きなんだろー?」
いつものからかいで言ったのに、佐助は真面目な顔で「大好きだよ。だから、見つける」と言うから笑いだしてしまった。
「ほら、佐助も変わってる。昔なら、絶対にそんなこと言わないよ」
私の指摘に「もし、て言っただろ」と反論するも、私はそれに対しても「ほら、たられば話してる」と指摘する。
「この世界で変わるのは難しいよ。けど、変われないわけじゃないんだ。佐助は諦めてるだけ」
成長しな、佐助。
変わることに怯えて、諦めないで。
そう言いながら頭を撫でれば、佐助はむすっとしながら、「そうやってすぐ、俺様のこと子供扱いする」とブスくれる。
しょうがないさ。
佐助はいつになっても、世話の焼ける頑張り屋さんだからね。