第八次元にて忍はじめました
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あれから幾年。
私も丹波様の下で佐助と一緒に任務をこなし、他の忍に実力を示してきた。
実力も経験も知識も十分蓄えてきた。
「だーかーらー。そろそろ隠居しませんか、丹波様?」
「可愛くねだっても、俺は生涯現役だぞー」
生涯現役って、それじゃあ佐助を忍隊長にって話は嘘だったのかと詰め寄れば、ニコニコしながら「本当さ」と言われる。
じゃあ、佐助を隊長にして丹波様が一般隊士になるのか?でも、それじゃ隊の者が困惑するのでは?
「結局のところ、どういうことなんですか?」
「若い者は若い者に仕えろ、ということだ」
「若い者?」
「あぁ、お前も佐助も知っている若者だ」
誰だ?とすっとぼけたい所だが、検討がついてしまった。
あの子ですね。
赤い鉢巻きがよく似合う。
「弁丸様が主か……」
信玄様より手を焼きそうだと眉間のシワを揉みほぐす私に、「だからこそ、二大柱で支えるんだ」とありがたくない助言をいただいた。
「弁丸様は見ての通り搦め手が得意ではない。だからこそ、代わりに担う者が必要だとは思わないか?」
「思いますけどー」
私と佐助で世話してきた、可愛い真田の次男坊は裏表のない良い子ではあるが、如何せん実直すぎる。
先々の不安を抱えながら、件の男児と手合わせしているであろう佐助を訪ねるため道場へ赴くと、耳をつんざく怒声がした。
「何度も言っているだろ、さぁすけぇー!」
「だぁからー!手なんて抜いてないですってばー!」
またやってんのか、と呆れ気味に道場の戸を開ければ佐助をぽかすか殴る弁丸様と、面倒くさそうにする佐助がいた。
「毎度、飽きませんねえ」
「ぬぅ!真白、聞いてくれ!佐助が手を抜くのだ!」
「抜いてない、抜いてない」
佐助は否定しているが、顔が完全にやる気がない。
絶対に手を抜いているだろうが、そもそも立場が上の人間に本気はだせないから仕方ない。
しかも、相手は戦場を知らない子供だ。
修羅場を掻い潜ってきた佐助が本気だしたら瞬殺だ。
文字通り、一瞬で殺される。
それをわかった上で。
「やだー!佐助サイテー!手抜きされてヨイショされるなんて、弁丸様超カワイソー!」
盛大に煽れば、弁丸様は「その通りだ!わかっているのか、さぁすけぇー!」とまたぽかすか佐助を叩きはじめ、佐助は「てめぇ、このクソアマ」という顔をした。
ぷすーくすくす、いい表情だな佐助とからかいすぎたのがよくなかった。
「真白もいつも手抜きしてるよ、弁丸様」
チクられた。
完全に藪をつついて蛇が出た。
佐助、蛇っぽいところあるからねー。わかるー。
怒りの矛先を私に向け、づかづかと私に近付き「お前もなのか真白!」と怒鳴られたので、「あ、はい」と嘘偽りなく答えたら「忖度ー!」と佐助にまで怒鳴られた。
やだよー。
なに言っても納得しないじゃん、この子。
私の答えに憤慨して地団駄を踏む弁丸様と視線を合わせ、「じゃあ、弁丸様は自分より非力な蟻を本気で倒せますか?」と聞けば、ぐぬぬ!という顔をされた。
「それは、俺が蟻程度ということか!」
「そうです」
忖度しない回答に、さしもの弁丸様もショックを押し隠せないご様子。
「お前、子供相手に大人気なさすぎるでしょうが」
「私だって、忖度してなんとかなる相手ならしてるっての」
腐っても、我忍ぞ?草だけに。
ドン引きする佐助を他所に、膨れっ面な弁丸様に「私たちからすれば、弁丸様は蟻のように非力なのは事実です」ともう一度告げる。
「なぜなら、弁丸様はまだ死線を知らない。死ぬかもしれない、殺されるかもしれない、殺らなければ殺られるかもしれない。その死線を知らないか知っているかで、強さは雲泥の差です。その生きるか死ぬかの際を生きてきた私たちが、弁丸様に負けるわけないでしょ」
「ふんぐぐぐ!」
「お前、弁丸様になにか恨みでもあんの?」
「ないけど?」
傍目から見れば完全に子供を苛める大人である、自覚はあるよ。
大丈夫、ちゃんとフォローはいれるから。
そんなゴミを見るような目で私を見るな。
「この先、弁丸様は嫌でも死線を掻い潜って行くでしょう。そうなった時、私も佐助も本当に敵わなくなってしまうでしょうね」
「……本当にそう思っているのか?」
「大丈夫だよ、若。真白は人を貶める時以外は嘘つかないから」
「言ってくれるじゃねえか。でも、嘘をついてないのは本当ですよ。強くなったら、真っ先に佐助ぶちのめしてくださいね」
「真白ちゃーん?」
お互いに殺気をぶつけ合う私たちのことなど気にせず、上手く気分を上げてくれた弁丸様が「あぁ!強くなったら、二人まとめて相手してやる!」と言われてしまった。
チクショー、私もかー。
「ご成長、楽しみにしております。主君よ」
「主君……?よくわからぬが、楽しみにしていろ!」
「はい。それでは、勉学にもお励みください」
そう促せば、いい笑顔で「うむ!」と返事をして走り去る弁丸様に手を振りお見送りをしたら、「主君ってなに?」と佐助に早速聞かれたので斯々然々説明すれば、真顔になった。
そうなるよねえ……。
私も丹波様の下で佐助と一緒に任務をこなし、他の忍に実力を示してきた。
実力も経験も知識も十分蓄えてきた。
「だーかーらー。そろそろ隠居しませんか、丹波様?」
「可愛くねだっても、俺は生涯現役だぞー」
生涯現役って、それじゃあ佐助を忍隊長にって話は嘘だったのかと詰め寄れば、ニコニコしながら「本当さ」と言われる。
じゃあ、佐助を隊長にして丹波様が一般隊士になるのか?でも、それじゃ隊の者が困惑するのでは?
「結局のところ、どういうことなんですか?」
「若い者は若い者に仕えろ、ということだ」
「若い者?」
「あぁ、お前も佐助も知っている若者だ」
誰だ?とすっとぼけたい所だが、検討がついてしまった。
あの子ですね。
赤い鉢巻きがよく似合う。
「弁丸様が主か……」
信玄様より手を焼きそうだと眉間のシワを揉みほぐす私に、「だからこそ、二大柱で支えるんだ」とありがたくない助言をいただいた。
「弁丸様は見ての通り搦め手が得意ではない。だからこそ、代わりに担う者が必要だとは思わないか?」
「思いますけどー」
私と佐助で世話してきた、可愛い真田の次男坊は裏表のない良い子ではあるが、如何せん実直すぎる。
先々の不安を抱えながら、件の男児と手合わせしているであろう佐助を訪ねるため道場へ赴くと、耳をつんざく怒声がした。
「何度も言っているだろ、さぁすけぇー!」
「だぁからー!手なんて抜いてないですってばー!」
またやってんのか、と呆れ気味に道場の戸を開ければ佐助をぽかすか殴る弁丸様と、面倒くさそうにする佐助がいた。
「毎度、飽きませんねえ」
「ぬぅ!真白、聞いてくれ!佐助が手を抜くのだ!」
「抜いてない、抜いてない」
佐助は否定しているが、顔が完全にやる気がない。
絶対に手を抜いているだろうが、そもそも立場が上の人間に本気はだせないから仕方ない。
しかも、相手は戦場を知らない子供だ。
修羅場を掻い潜ってきた佐助が本気だしたら瞬殺だ。
文字通り、一瞬で殺される。
それをわかった上で。
「やだー!佐助サイテー!手抜きされてヨイショされるなんて、弁丸様超カワイソー!」
盛大に煽れば、弁丸様は「その通りだ!わかっているのか、さぁすけぇー!」とまたぽかすか佐助を叩きはじめ、佐助は「てめぇ、このクソアマ」という顔をした。
ぷすーくすくす、いい表情だな佐助とからかいすぎたのがよくなかった。
「真白もいつも手抜きしてるよ、弁丸様」
チクられた。
完全に藪をつついて蛇が出た。
佐助、蛇っぽいところあるからねー。わかるー。
怒りの矛先を私に向け、づかづかと私に近付き「お前もなのか真白!」と怒鳴られたので、「あ、はい」と嘘偽りなく答えたら「忖度ー!」と佐助にまで怒鳴られた。
やだよー。
なに言っても納得しないじゃん、この子。
私の答えに憤慨して地団駄を踏む弁丸様と視線を合わせ、「じゃあ、弁丸様は自分より非力な蟻を本気で倒せますか?」と聞けば、ぐぬぬ!という顔をされた。
「それは、俺が蟻程度ということか!」
「そうです」
忖度しない回答に、さしもの弁丸様もショックを押し隠せないご様子。
「お前、子供相手に大人気なさすぎるでしょうが」
「私だって、忖度してなんとかなる相手ならしてるっての」
腐っても、我忍ぞ?草だけに。
ドン引きする佐助を他所に、膨れっ面な弁丸様に「私たちからすれば、弁丸様は蟻のように非力なのは事実です」ともう一度告げる。
「なぜなら、弁丸様はまだ死線を知らない。死ぬかもしれない、殺されるかもしれない、殺らなければ殺られるかもしれない。その死線を知らないか知っているかで、強さは雲泥の差です。その生きるか死ぬかの際を生きてきた私たちが、弁丸様に負けるわけないでしょ」
「ふんぐぐぐ!」
「お前、弁丸様になにか恨みでもあんの?」
「ないけど?」
傍目から見れば完全に子供を苛める大人である、自覚はあるよ。
大丈夫、ちゃんとフォローはいれるから。
そんなゴミを見るような目で私を見るな。
「この先、弁丸様は嫌でも死線を掻い潜って行くでしょう。そうなった時、私も佐助も本当に敵わなくなってしまうでしょうね」
「……本当にそう思っているのか?」
「大丈夫だよ、若。真白は人を貶める時以外は嘘つかないから」
「言ってくれるじゃねえか。でも、嘘をついてないのは本当ですよ。強くなったら、真っ先に佐助ぶちのめしてくださいね」
「真白ちゃーん?」
お互いに殺気をぶつけ合う私たちのことなど気にせず、上手く気分を上げてくれた弁丸様が「あぁ!強くなったら、二人まとめて相手してやる!」と言われてしまった。
チクショー、私もかー。
「ご成長、楽しみにしております。主君よ」
「主君……?よくわからぬが、楽しみにしていろ!」
「はい。それでは、勉学にもお励みください」
そう促せば、いい笑顔で「うむ!」と返事をして走り去る弁丸様に手を振りお見送りをしたら、「主君ってなに?」と佐助に早速聞かれたので斯々然々説明すれば、真顔になった。
そうなるよねえ……。