楽しい軟禁生活
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「よー!デーブ!太ったんだってな!」
「こんにちは、ヤク中。今日もピンク色のゾウは見えてますか?」
開口一番に人がいま一番気にしている所を罵ってくる、ヤク中の三途さん。
三途さん一人なら、いますぐにでも万次郎くんに連絡して引き取りに来てもらうところだが、今日はもう一人食材お届け人がいるので、勘弁してやる。
「竜胆さん、どうぞあがってください。三途さんは帰ってください」
「やーだねー!」
「邪魔すんぞ」
ずかずかと入ってくる三途さんと、片手にビニール袋を持った竜胆さん。
リビングに入ると、三途さんはどっかりと椅子に座り「飯!」と言ってくる。
それを無視し、竜胆さんに「食べていきますか?」と聞くと「いや、食材一人分しか買ってねえから」と言うので、「なら、遊んで帰りませんか?最近、一人遊びばかりでつまらなくて」と引き止めたら「はー!寂しいやつ!」と三途さんが茶々を入れてくる。
「三途さんは帰っていいですよ」
「俺は飯食ってから帰る」
「じゃあ、食材買ってきてくださいよ。竜胆さんの分ふくめて、二人分」
「やーだーねー!なんで俺が!」
馬鹿にしきった顔をする三途さんに、正直に「ムカつくな」と思いながら、「まあ、ヤク中にお買い物なんて無理ですよね」と煽れば、いともたやすく「ふざけんじゃねえぞ、デブ!それくらい、できるわ!」と言って、出ていった。チョロい。
三途さんが帰って来る前にドアロックを竜胆さんにかけてきてもらおうかと思ったが、三途さんの場合開かないとヤクザキックで蹴破ってくるらしいので、やめておくことにした。
「竜胆さんだけなら、平和的に遊べたのに」
「そんなに暇してたのか」
「大乱闘スマッシュブラザーズ極めすぎて、ハンデつけてもつまらなくて……」
「暇すぎだろ」
そうは言っても、ただでさえ万次郎くんがいないと外に出られないのに、一週間の外出禁止令が出てしまい暇で腐りそうだ。
食材を届けに来てくれた人を捕まえては遊んでるが、みんなすぐ帰ってしまう。
蘭ちゃんさんくらいだ、ギリギリまで付き合ってくれるのは。
「まあ、いいけど。三途もたぶん、残るぞ」
「あの人、私のこと嫌いなはずなのに異様に絡んできません?」
「反抗期なんじゃね?知らねえけど」
血の繋がりもない女に反抗期起こしているのかと思うと、少し面白いな。
「まあ、三途には気をつけろよ。さっき見たく気軽にやり取りしてるけど、あいつはマイキーの側にオマエがいるのをよく思ってない」
「それ、蘭ちゃんさんにも言われた気がします」
「だろうな。三途だけじゃねえ。組織の中には、三途程じゃねえが、そういうやつらはいる。気をつけろよ」
なるほど、だから万次郎くんはあんなに心配していたのかと、納得がいった。
そこでふと、気になったことを口にしてみる。
「幹部の人たちは、私のことをどう思っているんですか?」
「俺ら?なんで?」
「だって、三途さんみたくよく思ってなかったら、死じゃないですか。ここにくるの、基本、幹部の人たちなんですから。鶴蝶さんとか望月さんとか明司さんとか、来て早々に帰る人たち、実は私のことが嫌いなのでは……」
深刻そうに語る私に、竜胆さんは「あー」と言ってから、おかしそうに笑い「そこ三人なら、そんなことはないな」と言った。
「鶴蝶と望月は、たんに硬派なだけだ。他人の女と二人きりになるなんてよくねえ、とか思ってんだろ。明司は普通に面倒くせえから、さっさと帰りたいだけだろうし」
気にすんなよ、と言われて安堵した。
「なら、竜胆さんはどうなんですか?いつもさっさと帰りますけど」
「俺も面倒くせえ派。だって、マイキーに睨まれたくねえし」
カラカラと笑う竜胆さん。
嫌われていないなら、なによりだ。
「ココは損がなけりゃどうでもいいだろうし、兄貴は普通に、オマエのこと気に入ってるしな。飯が美味いから、て。よく、食材届けに行きたがってるけど、マイキーに邪魔されてる」
目に浮かびます、その光景。と言うと、「また餃子食いたいってよ」と言伝を受け取った。
なら、また餃子作っておくか。
「本当なら、今日もさっさと帰るつもりだったんだけどな。三途とオマエを二人きりにはさせられねえし」
「絶対に三途さん置いて帰らないでくださいよ」
「わかってるって。俺だって、マイキーにスクラップされたくねえし。けど三途のやつ、絶対にオマエとマイキー別れさせるって息巻いてたから、覚悟した方がいいぞ」
それは無理だろう。
私にそもそも別れる意思はないし、もし万が一、別れるなんて言った日には、良くて監禁、悪くて殺害だ。
私もいまの生活は惜しい。
「ご飯食べたら、さっさと帰ってくれないかな……」
「ぜーってー!別れるって言うまで帰らねえからな!」
いつの間にか帰ってきていた三途さんに、これみよがしに帰れコールをしたが、上記のように断られた。
まあ、万次郎くんが帰ってきたら帰るだろう。
食材を私に押し付けてきて、「さっさと作れ、ドンガメ!」と言ってくる三途さんに「はい、はい」と適当に返事をして、キッチンに立つ。
今日は、青椒肉絲です。
「私、これ食べたら竜胆さんと大乱闘スマッシュブラザーズするんだ」
「弱いぞ、俺」
「ハンデいっぱいつけますね」
「なら、それに俺が勝ったらマイキーと別れろ」
「嫌ですよ」
「自信がねえのか、ビビリ?」
「いや、そんな挑発に乗るほど短気じゃないんで」
三途さんじゃあるまいし、という言葉は飲み込んだ。危うく、いらぬ火種をまくところだった。
食器を片し、コントローラーを3つ用意し、私と三途さんの間に竜胆さんを置く。
「俺、オマエらの間とかヤダよ」
「竜胆さんが間にいないと、三途さんがリアル大乱闘し始めるので」
「オマエ相手に本気になるかよ、バーカ!」
と言って、かれこれ二時間。
「テメー!クソブス!なにチート技ばっか使ってんだよ!」
「れっきとした実力差ですよ!」
「俺が弱いって言いてえのか、クソデブ!」
「そうですよ!やーい!語彙力小学生!」
「人のこと言えねえだろ、オマエ!」
「やめろ!どっちもどっちだ!」
竜胆さんが三途さんを抑えてくれているが、段々と押されていて、このままでは竜胆さんバリケードが破られてしまう!
「さっさと負けて、マイキーと別れろクソビッチ!」
「誰の女に口利いてんだ、三途……?」
「……」
「……」
「……」
お互いがお互いに気を取られていて、誰一人万次郎くんの帰宅に気がついていなかった。
静まり返る場に、三途さんの小さい「マイキーの女です……」という声が響いた。
あのクソデカボイスの三途さんでも、こんな小さな声が出せるのかと、変なところで感心してしまった。
「で?誰と別れろって……?」
「……」
冷や汗をかく三途さんと、嫌な緊張感で動悸が激しい私。
竜胆さんは「あーあ」みたいな顔をしている。
「あ、あのね、万次郎くん。これは言葉のあやで……」
なんとか三途さんを助けようとするが、万次郎くんに暗い目で「悠、ちょっと黙ってろ」と言われて、尻込みをしてしまう。
しかし、ここでなにも言わなければ三途さんの命が危うい。
「万次郎くん。三途さんを殺したり傷つけたりしたら、私は一生負い目に感じて、まともに笑えなくなるよ」
「……」
「それでもいいの?」
万次郎くんはじっ、と私を見つめ、私もその黒々とした瞳を見つめ返す。
「……はぁ、わかった。今回は見逃す。三途、悠に感謝しろ」
「うっす……」
「うっす、じゃねえだろ。命助けてもらった相手に、言うことあんだろ?」
怒気を含んだ万次郎くんの言葉に、三途さんは悔しそうにしながらも、「命を助けていただき、ありがとうございます。御堂さん……」と口にした。
「竜胆、こいつ連れてさっさと帰れ」
「うーっす」
「……」
意気消沈した三途さんを連れて帰る竜胆さんを見送ると、謎の緊張感が私と万次郎くんの間に漂う。
いや、脅したのだから、謎の緊張感ではないのだろうけど。
万次郎くんからして見たら、面白くない話だろうに。
なにか、私から話題を振らなければ……。と、ない話題の引き出しを片っ端から引き出していると、手を握られ「別れるなんて、言わないよな……?」と不安そうな声で聞かれた。
「……言わないよ。私は、万次郎くんといるから」
手を握り返し寄り添えば、痛いくらいに更に握り返された。
「こんにちは、ヤク中。今日もピンク色のゾウは見えてますか?」
開口一番に人がいま一番気にしている所を罵ってくる、ヤク中の三途さん。
三途さん一人なら、いますぐにでも万次郎くんに連絡して引き取りに来てもらうところだが、今日はもう一人食材お届け人がいるので、勘弁してやる。
「竜胆さん、どうぞあがってください。三途さんは帰ってください」
「やーだねー!」
「邪魔すんぞ」
ずかずかと入ってくる三途さんと、片手にビニール袋を持った竜胆さん。
リビングに入ると、三途さんはどっかりと椅子に座り「飯!」と言ってくる。
それを無視し、竜胆さんに「食べていきますか?」と聞くと「いや、食材一人分しか買ってねえから」と言うので、「なら、遊んで帰りませんか?最近、一人遊びばかりでつまらなくて」と引き止めたら「はー!寂しいやつ!」と三途さんが茶々を入れてくる。
「三途さんは帰っていいですよ」
「俺は飯食ってから帰る」
「じゃあ、食材買ってきてくださいよ。竜胆さんの分ふくめて、二人分」
「やーだーねー!なんで俺が!」
馬鹿にしきった顔をする三途さんに、正直に「ムカつくな」と思いながら、「まあ、ヤク中にお買い物なんて無理ですよね」と煽れば、いともたやすく「ふざけんじゃねえぞ、デブ!それくらい、できるわ!」と言って、出ていった。チョロい。
三途さんが帰って来る前にドアロックを竜胆さんにかけてきてもらおうかと思ったが、三途さんの場合開かないとヤクザキックで蹴破ってくるらしいので、やめておくことにした。
「竜胆さんだけなら、平和的に遊べたのに」
「そんなに暇してたのか」
「大乱闘スマッシュブラザーズ極めすぎて、ハンデつけてもつまらなくて……」
「暇すぎだろ」
そうは言っても、ただでさえ万次郎くんがいないと外に出られないのに、一週間の外出禁止令が出てしまい暇で腐りそうだ。
食材を届けに来てくれた人を捕まえては遊んでるが、みんなすぐ帰ってしまう。
蘭ちゃんさんくらいだ、ギリギリまで付き合ってくれるのは。
「まあ、いいけど。三途もたぶん、残るぞ」
「あの人、私のこと嫌いなはずなのに異様に絡んできません?」
「反抗期なんじゃね?知らねえけど」
血の繋がりもない女に反抗期起こしているのかと思うと、少し面白いな。
「まあ、三途には気をつけろよ。さっき見たく気軽にやり取りしてるけど、あいつはマイキーの側にオマエがいるのをよく思ってない」
「それ、蘭ちゃんさんにも言われた気がします」
「だろうな。三途だけじゃねえ。組織の中には、三途程じゃねえが、そういうやつらはいる。気をつけろよ」
なるほど、だから万次郎くんはあんなに心配していたのかと、納得がいった。
そこでふと、気になったことを口にしてみる。
「幹部の人たちは、私のことをどう思っているんですか?」
「俺ら?なんで?」
「だって、三途さんみたくよく思ってなかったら、死じゃないですか。ここにくるの、基本、幹部の人たちなんですから。鶴蝶さんとか望月さんとか明司さんとか、来て早々に帰る人たち、実は私のことが嫌いなのでは……」
深刻そうに語る私に、竜胆さんは「あー」と言ってから、おかしそうに笑い「そこ三人なら、そんなことはないな」と言った。
「鶴蝶と望月は、たんに硬派なだけだ。他人の女と二人きりになるなんてよくねえ、とか思ってんだろ。明司は普通に面倒くせえから、さっさと帰りたいだけだろうし」
気にすんなよ、と言われて安堵した。
「なら、竜胆さんはどうなんですか?いつもさっさと帰りますけど」
「俺も面倒くせえ派。だって、マイキーに睨まれたくねえし」
カラカラと笑う竜胆さん。
嫌われていないなら、なによりだ。
「ココは損がなけりゃどうでもいいだろうし、兄貴は普通に、オマエのこと気に入ってるしな。飯が美味いから、て。よく、食材届けに行きたがってるけど、マイキーに邪魔されてる」
目に浮かびます、その光景。と言うと、「また餃子食いたいってよ」と言伝を受け取った。
なら、また餃子作っておくか。
「本当なら、今日もさっさと帰るつもりだったんだけどな。三途とオマエを二人きりにはさせられねえし」
「絶対に三途さん置いて帰らないでくださいよ」
「わかってるって。俺だって、マイキーにスクラップされたくねえし。けど三途のやつ、絶対にオマエとマイキー別れさせるって息巻いてたから、覚悟した方がいいぞ」
それは無理だろう。
私にそもそも別れる意思はないし、もし万が一、別れるなんて言った日には、良くて監禁、悪くて殺害だ。
私もいまの生活は惜しい。
「ご飯食べたら、さっさと帰ってくれないかな……」
「ぜーってー!別れるって言うまで帰らねえからな!」
いつの間にか帰ってきていた三途さんに、これみよがしに帰れコールをしたが、上記のように断られた。
まあ、万次郎くんが帰ってきたら帰るだろう。
食材を私に押し付けてきて、「さっさと作れ、ドンガメ!」と言ってくる三途さんに「はい、はい」と適当に返事をして、キッチンに立つ。
今日は、青椒肉絲です。
「私、これ食べたら竜胆さんと大乱闘スマッシュブラザーズするんだ」
「弱いぞ、俺」
「ハンデいっぱいつけますね」
「なら、それに俺が勝ったらマイキーと別れろ」
「嫌ですよ」
「自信がねえのか、ビビリ?」
「いや、そんな挑発に乗るほど短気じゃないんで」
三途さんじゃあるまいし、という言葉は飲み込んだ。危うく、いらぬ火種をまくところだった。
食器を片し、コントローラーを3つ用意し、私と三途さんの間に竜胆さんを置く。
「俺、オマエらの間とかヤダよ」
「竜胆さんが間にいないと、三途さんがリアル大乱闘し始めるので」
「オマエ相手に本気になるかよ、バーカ!」
と言って、かれこれ二時間。
「テメー!クソブス!なにチート技ばっか使ってんだよ!」
「れっきとした実力差ですよ!」
「俺が弱いって言いてえのか、クソデブ!」
「そうですよ!やーい!語彙力小学生!」
「人のこと言えねえだろ、オマエ!」
「やめろ!どっちもどっちだ!」
竜胆さんが三途さんを抑えてくれているが、段々と押されていて、このままでは竜胆さんバリケードが破られてしまう!
「さっさと負けて、マイキーと別れろクソビッチ!」
「誰の女に口利いてんだ、三途……?」
「……」
「……」
「……」
お互いがお互いに気を取られていて、誰一人万次郎くんの帰宅に気がついていなかった。
静まり返る場に、三途さんの小さい「マイキーの女です……」という声が響いた。
あのクソデカボイスの三途さんでも、こんな小さな声が出せるのかと、変なところで感心してしまった。
「で?誰と別れろって……?」
「……」
冷や汗をかく三途さんと、嫌な緊張感で動悸が激しい私。
竜胆さんは「あーあ」みたいな顔をしている。
「あ、あのね、万次郎くん。これは言葉のあやで……」
なんとか三途さんを助けようとするが、万次郎くんに暗い目で「悠、ちょっと黙ってろ」と言われて、尻込みをしてしまう。
しかし、ここでなにも言わなければ三途さんの命が危うい。
「万次郎くん。三途さんを殺したり傷つけたりしたら、私は一生負い目に感じて、まともに笑えなくなるよ」
「……」
「それでもいいの?」
万次郎くんはじっ、と私を見つめ、私もその黒々とした瞳を見つめ返す。
「……はぁ、わかった。今回は見逃す。三途、悠に感謝しろ」
「うっす……」
「うっす、じゃねえだろ。命助けてもらった相手に、言うことあんだろ?」
怒気を含んだ万次郎くんの言葉に、三途さんは悔しそうにしながらも、「命を助けていただき、ありがとうございます。御堂さん……」と口にした。
「竜胆、こいつ連れてさっさと帰れ」
「うーっす」
「……」
意気消沈した三途さんを連れて帰る竜胆さんを見送ると、謎の緊張感が私と万次郎くんの間に漂う。
いや、脅したのだから、謎の緊張感ではないのだろうけど。
万次郎くんからして見たら、面白くない話だろうに。
なにか、私から話題を振らなければ……。と、ない話題の引き出しを片っ端から引き出していると、手を握られ「別れるなんて、言わないよな……?」と不安そうな声で聞かれた。
「……言わないよ。私は、万次郎くんといるから」
手を握り返し寄り添えば、痛いくらいに更に握り返された。