楽しい軟禁生活
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体重計に乗り体重を確認し、降りてもう一度乗るが、誤差はあるものの似たような数字。
太った……。
そりゃそうだ。私は基本的に食事のとき以外は外に出ず、ひたすら部屋でゲームをしているかドラマや映画を見ているか寝ているかだ。
むしろ、太らない方がおかしい。
「ま、万次郎くん……」
「どうした?」
「ランニングに行きたいです……」
そう言うと、万次郎くんは無表情で近寄ってきて「逃げるつもりか?」と聞いてきた。
言われるとは思っていたけど、正直に言わないと絶対に行かせてはくれないだろう。
恥ずかしがりながら、「体重が増えて……」と白状すると、万次郎くんは少し間を置いて「わ、悪い……」と謝った。
「けど、俺はそんなに変わらないと思うぞ。むしろ、柔らかくなって健康的になったと思う」
「いまはいいけど、この先、不健康になるから!」
あと、やっぱり太くなったなとは思ってたんだね!
「お願い!絶対に逃げないから!」
しかし、万次郎くんは「いまのまんまでいいのに……」と言って首を縦に振らない。
このままでは、デブまっしぐらだ!
「なら、朝一緒に走ってくれる?」
「!」
私の提案に、万次郎くんは目を輝かせてから「ま、まあ、それなら……」と、やっと納得してくれた。
よかった、と胸をなでおろし、ランニングウェアを買ってもらった翌日。万次郎くんと入念に準備運動をしてから走り出したが、三十分と持たずに息が上がってしまった。
体力が落ちている……。
「大丈夫か?」
「ちょっと休憩……」
近くの公園のベンチで休憩をすると、万次郎くんが「やっぱり、このままでよくないか?」と言ってきた。
「これだけ体力なきゃ、逃げたときにすぐ捕まえられる」
「逃げる為に体力つけようとしてるんじゃないんだけどな……」
万次郎くんはすぐに、私が逃走することと結びつける。
信用してもらえないのは悲しいな。私は万次郎くん以外、頼る人がいないのに。
「そんなに嫌そうにしてる、私?」
「いや、楽しそうだと思うけど……。……悠は、悪くないんだ。俺が、悠のことを普通に幸せにしてやれてないって思ってるから、いつか悠が俺の側からいなくなるんじゃないかって不安なだけだ」
普通の幸せって、なに?と聞く私に、万次郎くんは「普通に仕事して、好きなやつとデート行ったりして、友だちとも自由に遊べる生活……」と言いながら、暗い顔になっていく。
自分で言って自分でダメージを受けている……。
「いまからでも遅くないと思うけどな」
「……ダメだ。俺がもう、捕まえたんだから逃さねえ」
「うん。だから、万次郎くんと一緒に暮らしながら、普通に働いて、普通に万次郎くんとデートして、普通に蘭ちゃんさんたちと遊ぶの」
ダメ?と聞くと、視線をうろつかせてから「ダ、ダメ……」と言われてしまった。
「なんで?」
「だって……」
「だって?」
「一般人と交流持ったら、反社の俺のこと嫌いになるだろ!」
うん、反社なのは知っているけど、朝から反社という言葉を大きな声で言うのはどうかと思う。
でも、私は万次郎くんが反社でよかったと思うけどな。
「いまの万次郎くんがいるから、こうしてまた会えたんだよ」
万次郎くんが反社じゃなくて、極普通に生きていたらそもそもキャバクラなんて来なかっただろうし、来ていても私の借金肩代わりするなんてできなかった。
反社なことを負い目に感じて、私の普通な幸せを願ってくれるのは嬉しいが、私はこれでいいと思っている。
「万次郎くんが私を助けてくれて、好きだって言ってくれたこと。私、すごく嬉しかったよ」
愛情は重いけれど。
私の言葉に万次郎くんは嬉しそうにしたが、持ち直してしまい「やっぱり、ダメだ!」と言った。
「一般人と触れ合ったら、心揺れるかも知れねえ!それに、命だって危ないかも知れないだろ!」
「滅多にないよ、どっちも」
心配性なお父さんみたいなことを言うから、つい呆れた声を出してしまったが、万次郎くんは真剣な顔で「エマも場地も兄貴もそうだった」と言うから、言葉に詰まる。
そうだ、万次郎くんは立て続けに大切な人をなくした過去がある。
だからこそ、怯えるのだ。
「万次郎くん……」
「いなくならないでくれ、悠……」
すがる様な声を出す万次郎くんの手を握り、「いなくならないよ、万次郎くん」とできるだけ優しい声で話しかける。
「私はいなくならないから、そこまで心配することはないけど、でも、万次郎くんがそれで安心するならこれでいいよ」
「悪い、悠」
「そこは、ありがとうって言ってほしいな」
万次郎くんは幸せそうに薄く笑み「ありがとう」と言った。
「それじゃあ、ランニング再開しようか」
「ああ」
「あ、そうだ。あのね、万次郎くん。好きだよ」
そう言って、万次郎くんにキスをすると、万次郎くんの顔が真っ赤になった。
しどろもどろに「な、えっ……?!」と動揺する万次郎くんに「私から言ってないし、したことないなって思って」と言うと、顔を腕で隠しながら「悠からするのは禁止だ!」と言われてしまった。
えー、なんでー?
「悠からされたら、心臓もたねぇ!」
「自分からはいっぱいするのに?」
「あれは、やるってわかってるから!とにかく、禁止なもんは、禁止だ!」
子供みたいに禁止を連呼する万次郎くんに、満面の笑みで「やーだ」と言ったら、「今日から外出一週間禁止にするからな!絶対にだしてやんね!」と可愛く軟禁宣言をされた。
太った……。
そりゃそうだ。私は基本的に食事のとき以外は外に出ず、ひたすら部屋でゲームをしているかドラマや映画を見ているか寝ているかだ。
むしろ、太らない方がおかしい。
「ま、万次郎くん……」
「どうした?」
「ランニングに行きたいです……」
そう言うと、万次郎くんは無表情で近寄ってきて「逃げるつもりか?」と聞いてきた。
言われるとは思っていたけど、正直に言わないと絶対に行かせてはくれないだろう。
恥ずかしがりながら、「体重が増えて……」と白状すると、万次郎くんは少し間を置いて「わ、悪い……」と謝った。
「けど、俺はそんなに変わらないと思うぞ。むしろ、柔らかくなって健康的になったと思う」
「いまはいいけど、この先、不健康になるから!」
あと、やっぱり太くなったなとは思ってたんだね!
「お願い!絶対に逃げないから!」
しかし、万次郎くんは「いまのまんまでいいのに……」と言って首を縦に振らない。
このままでは、デブまっしぐらだ!
「なら、朝一緒に走ってくれる?」
「!」
私の提案に、万次郎くんは目を輝かせてから「ま、まあ、それなら……」と、やっと納得してくれた。
よかった、と胸をなでおろし、ランニングウェアを買ってもらった翌日。万次郎くんと入念に準備運動をしてから走り出したが、三十分と持たずに息が上がってしまった。
体力が落ちている……。
「大丈夫か?」
「ちょっと休憩……」
近くの公園のベンチで休憩をすると、万次郎くんが「やっぱり、このままでよくないか?」と言ってきた。
「これだけ体力なきゃ、逃げたときにすぐ捕まえられる」
「逃げる為に体力つけようとしてるんじゃないんだけどな……」
万次郎くんはすぐに、私が逃走することと結びつける。
信用してもらえないのは悲しいな。私は万次郎くん以外、頼る人がいないのに。
「そんなに嫌そうにしてる、私?」
「いや、楽しそうだと思うけど……。……悠は、悪くないんだ。俺が、悠のことを普通に幸せにしてやれてないって思ってるから、いつか悠が俺の側からいなくなるんじゃないかって不安なだけだ」
普通の幸せって、なに?と聞く私に、万次郎くんは「普通に仕事して、好きなやつとデート行ったりして、友だちとも自由に遊べる生活……」と言いながら、暗い顔になっていく。
自分で言って自分でダメージを受けている……。
「いまからでも遅くないと思うけどな」
「……ダメだ。俺がもう、捕まえたんだから逃さねえ」
「うん。だから、万次郎くんと一緒に暮らしながら、普通に働いて、普通に万次郎くんとデートして、普通に蘭ちゃんさんたちと遊ぶの」
ダメ?と聞くと、視線をうろつかせてから「ダ、ダメ……」と言われてしまった。
「なんで?」
「だって……」
「だって?」
「一般人と交流持ったら、反社の俺のこと嫌いになるだろ!」
うん、反社なのは知っているけど、朝から反社という言葉を大きな声で言うのはどうかと思う。
でも、私は万次郎くんが反社でよかったと思うけどな。
「いまの万次郎くんがいるから、こうしてまた会えたんだよ」
万次郎くんが反社じゃなくて、極普通に生きていたらそもそもキャバクラなんて来なかっただろうし、来ていても私の借金肩代わりするなんてできなかった。
反社なことを負い目に感じて、私の普通な幸せを願ってくれるのは嬉しいが、私はこれでいいと思っている。
「万次郎くんが私を助けてくれて、好きだって言ってくれたこと。私、すごく嬉しかったよ」
愛情は重いけれど。
私の言葉に万次郎くんは嬉しそうにしたが、持ち直してしまい「やっぱり、ダメだ!」と言った。
「一般人と触れ合ったら、心揺れるかも知れねえ!それに、命だって危ないかも知れないだろ!」
「滅多にないよ、どっちも」
心配性なお父さんみたいなことを言うから、つい呆れた声を出してしまったが、万次郎くんは真剣な顔で「エマも場地も兄貴もそうだった」と言うから、言葉に詰まる。
そうだ、万次郎くんは立て続けに大切な人をなくした過去がある。
だからこそ、怯えるのだ。
「万次郎くん……」
「いなくならないでくれ、悠……」
すがる様な声を出す万次郎くんの手を握り、「いなくならないよ、万次郎くん」とできるだけ優しい声で話しかける。
「私はいなくならないから、そこまで心配することはないけど、でも、万次郎くんがそれで安心するならこれでいいよ」
「悪い、悠」
「そこは、ありがとうって言ってほしいな」
万次郎くんは幸せそうに薄く笑み「ありがとう」と言った。
「それじゃあ、ランニング再開しようか」
「ああ」
「あ、そうだ。あのね、万次郎くん。好きだよ」
そう言って、万次郎くんにキスをすると、万次郎くんの顔が真っ赤になった。
しどろもどろに「な、えっ……?!」と動揺する万次郎くんに「私から言ってないし、したことないなって思って」と言うと、顔を腕で隠しながら「悠からするのは禁止だ!」と言われてしまった。
えー、なんでー?
「悠からされたら、心臓もたねぇ!」
「自分からはいっぱいするのに?」
「あれは、やるってわかってるから!とにかく、禁止なもんは、禁止だ!」
子供みたいに禁止を連呼する万次郎くんに、満面の笑みで「やーだ」と言ったら、「今日から外出一週間禁止にするからな!絶対にだしてやんね!」と可愛く軟禁宣言をされた。