ゆるふわリクエスト企画
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何徹目かの昼。
疲れた頭でぼんやりと、「最近、彼女と話してないな」と思った。
監視アプリを警戒してか、Twitterではまともな呟きしかしていないのでつまらない。
もっと以前みたいに、荒れ狂った呟きをしてくれないだろうか。
できれば余計なことも口を滑らしほしいところでもある。
別に用もないのに、呼び出すのもな……。けど、このままストレスを溜めるのもよくないしな……。
ケータイを出してはしまってを繰り返していたら、同じく何徹目かの風見が「呼びますか?」と聞いてきた。
「意味もなく呼ぶのもな……」
「意味はあるのでは。彼女、まだ被疑者ではあるのですから」
そういえばそうだった。
だいぶ疲れているな、僕は。
そうと決まれば、普通の呟きとして「スタバの新作~」とか画像つきで呟いている珍獣を呼び出そう。
三回、四回、五回とコール音が鳴り、二桁に到達する間際で「は……はい……」と震える声で応答した。
「出るのが遅くないか?」
『仕方ないじゃないですか……。好きな人から着信あったら、心の準備が必要じゃないですか……』
久しぶりに聞いた情けない声に思わず笑みが溢れそうになるのを堪え、少し彼女が怖がりそうな声をわざとだし「着信はスリーコールで出るのがマナーだと覚えておきなさい」と注意すれば、「ごめんなさい……」と反省した子供みたいな小さな声。
今頃、半泣きなんだろうなと思うと、悪いなと思いつつ可愛くなってしまう。
隣のデスクの風見が、やれやれと言わんばかりにため息を吐いているが、知りやしないさ。
「最近、あまりにも動きがないからね。ちょっと話を聞きたいから、いまから来られますか?」
『えっとぉ……』
「はい、かYesで答えよ」
『はいえす……』
どっちだ、と聞こえないように笑い声を殺し「じゃあ、待っていますよ」と優しく締めの言葉をかければ、「推しの落差しゅきぃ……!」と聞こえ「なんでもないです!」と慌てて訂正をいれ切った。
僕も通話画面を消してから、この短いやり取りを反芻する。
「ははっ、やっぱり面白いな。彼女は」
「あまりからかうと、愛想をつかれますよ」
「そう簡単に愛想をつかすような子じゃないさ」
愛情は突然終わるものだろうけど、彼女はなんだかんだで僕に振り回されるのも含めて好きなのが伝わっているのだ。
慌ててくるんだろうなと想像すれば、また面白くて笑っていたら風見も笑いだし、伝染したのかと思えば、「降谷さんに振り回される彼女が可愛いのはわかります」と言い出す。
疲れているのか、風見も目覚めたのか。
「それじゃあ、恋する少女に幻滅されない為に、顔洗ってくるよ」
「彼女の場合、どんな姿でも称賛しそうですけどね」
二人して同じ姿を想像したのか、一緒になって微笑ましい気持ちの笑いが溢れる。
身だしなみを整え戻る途中、廊下の向こうから「何徹目ですか!」と大きすぎ小さすぎず丁度いい声で怒る彼女の懐かしい声。
「睡眠!入浴!食事!この三つは、修羅場でも守らないと早死にしますよ!私みたいに!」
「修羅場で早死にしたのか、君は」
「ひょぇあぁ、降谷さん……!」
素っ頓狂な声をあげ、僕から距離をとって風見の後ろに隠れる彼女の動きが少し気に入らず、「なんで隠れるんだい」と不機嫌になりながら聞いたら「久しぶりの降谷さんだから緊張しちゃいまして」という理由だったから、まあ、許そう。
「それじゃあ来てもらって早々悪いが、少しここ最近のこと聞くからこっちの会議室においで」
「待ってぇ……ハートが持たない……」
「ほら、早く出てきなさい」
いつまでも風見の後ろから出てこない彼女の手を掴み引きずり出したら、「推しぃ!不用意に触られると心乱れてキティちゃんポップコーンになります!」と叫びだした。
なんで心乱れるとキティちゃんポップコーンになるんだ、意味がわからない。
「ほら、いいから座って」
「推しに手掴まれた、嬉しい、ドキドキする。これが恋……」
「恋だな」
「本人が肯定しないでください!」
顔を赤くして取り乱す彼女にバレないようニヤニヤする。
反応がやはり面白い。
その後、彼女に形式上二週間ほどの動向を聴取し、当たり前だが極々一般的な女子高生の日常だった。
正直、いつもこれだけ取り乱している彼女が学校でこれだけ大人しく普通に生活しているのかと、疑ってはいる。
以前にも疑って聞いてみたことはあるが、「私は、オタクは擬態して身を潜める生き物だと考える古のオタクなので」と真面目に言っていた気がする。
ハナカマキリか、君は。
「そういえば、最近はどんな小説を書いているんだい?」
興味本意で聞いたら「嫌でーす!答えませーん!心閉ざした!バーリア!」と小学生みたいなセリフを言い、両腕をクロスさせ右手で左耳を、左手で右耳を塞ぐ。
また、奇っ怪なポーズをとる。
そう頑なに言いたがらないと聞きたくなるので、「あなたの心にハッキングしたら開いてくれますか?」とバーボンの時に言うようなセリフを言ったら「私の心をアンロック!」と容易く開いた。
「突然のバーボンはよくない」
「よくわかったな」
「まあ、数多と書いてきましたし」
「組織の女とバーボンでしたっけ」
「やめてくださいバカ野郎!」
人を罵倒しながら、またも風見の後ろに隠れようとしたので、「すみません、悪意はないんです」と弁解したが「嘘だ!悪意しかない!」と見抜かれてしまった。
さすが、僕の分析をよくしているだけありますね。
その後、僕がスッキリするまで散々からかい倒し、お茶を一杯飲ませて解放することにした。
「お陰様で、いい気分転換になったよ。ありがとう」
「事情聴取は面目上で、ただ私で遊びたかっただけなんじゃないですか……?」
「あたり。だから、食事でも奢ってあげたいんだが、ご覧の通り仕事が忙しいから今度奢るよ」
「推しが生きてるだけでありがたいので、不要です」
「おかしな謙虚な姿勢をとるな、君は」
殊勝な態度で一礼する姿は、社会人のそれに似ている。
風見に出口まで付き添われ帰ろうとする彼女に「なにを食べたいか、考えておいてくれよ」と声をかけたら、いい笑顔で「ハムサンドが食べたいです」と。
なんだ、しっかり奢ってもらうつもりなんじゃないか。
そういう素直なところは可愛げがあって好感が持てるよ。
じゃあ、仕事が終わったら僕特製のハムサンドを食べさせてあげようかな。
きっと驚くぞ。
疲れた頭でぼんやりと、「最近、彼女と話してないな」と思った。
監視アプリを警戒してか、Twitterではまともな呟きしかしていないのでつまらない。
もっと以前みたいに、荒れ狂った呟きをしてくれないだろうか。
できれば余計なことも口を滑らしほしいところでもある。
別に用もないのに、呼び出すのもな……。けど、このままストレスを溜めるのもよくないしな……。
ケータイを出してはしまってを繰り返していたら、同じく何徹目かの風見が「呼びますか?」と聞いてきた。
「意味もなく呼ぶのもな……」
「意味はあるのでは。彼女、まだ被疑者ではあるのですから」
そういえばそうだった。
だいぶ疲れているな、僕は。
そうと決まれば、普通の呟きとして「スタバの新作~」とか画像つきで呟いている珍獣を呼び出そう。
三回、四回、五回とコール音が鳴り、二桁に到達する間際で「は……はい……」と震える声で応答した。
「出るのが遅くないか?」
『仕方ないじゃないですか……。好きな人から着信あったら、心の準備が必要じゃないですか……』
久しぶりに聞いた情けない声に思わず笑みが溢れそうになるのを堪え、少し彼女が怖がりそうな声をわざとだし「着信はスリーコールで出るのがマナーだと覚えておきなさい」と注意すれば、「ごめんなさい……」と反省した子供みたいな小さな声。
今頃、半泣きなんだろうなと思うと、悪いなと思いつつ可愛くなってしまう。
隣のデスクの風見が、やれやれと言わんばかりにため息を吐いているが、知りやしないさ。
「最近、あまりにも動きがないからね。ちょっと話を聞きたいから、いまから来られますか?」
『えっとぉ……』
「はい、かYesで答えよ」
『はいえす……』
どっちだ、と聞こえないように笑い声を殺し「じゃあ、待っていますよ」と優しく締めの言葉をかければ、「推しの落差しゅきぃ……!」と聞こえ「なんでもないです!」と慌てて訂正をいれ切った。
僕も通話画面を消してから、この短いやり取りを反芻する。
「ははっ、やっぱり面白いな。彼女は」
「あまりからかうと、愛想をつかれますよ」
「そう簡単に愛想をつかすような子じゃないさ」
愛情は突然終わるものだろうけど、彼女はなんだかんだで僕に振り回されるのも含めて好きなのが伝わっているのだ。
慌ててくるんだろうなと想像すれば、また面白くて笑っていたら風見も笑いだし、伝染したのかと思えば、「降谷さんに振り回される彼女が可愛いのはわかります」と言い出す。
疲れているのか、風見も目覚めたのか。
「それじゃあ、恋する少女に幻滅されない為に、顔洗ってくるよ」
「彼女の場合、どんな姿でも称賛しそうですけどね」
二人して同じ姿を想像したのか、一緒になって微笑ましい気持ちの笑いが溢れる。
身だしなみを整え戻る途中、廊下の向こうから「何徹目ですか!」と大きすぎ小さすぎず丁度いい声で怒る彼女の懐かしい声。
「睡眠!入浴!食事!この三つは、修羅場でも守らないと早死にしますよ!私みたいに!」
「修羅場で早死にしたのか、君は」
「ひょぇあぁ、降谷さん……!」
素っ頓狂な声をあげ、僕から距離をとって風見の後ろに隠れる彼女の動きが少し気に入らず、「なんで隠れるんだい」と不機嫌になりながら聞いたら「久しぶりの降谷さんだから緊張しちゃいまして」という理由だったから、まあ、許そう。
「それじゃあ来てもらって早々悪いが、少しここ最近のこと聞くからこっちの会議室においで」
「待ってぇ……ハートが持たない……」
「ほら、早く出てきなさい」
いつまでも風見の後ろから出てこない彼女の手を掴み引きずり出したら、「推しぃ!不用意に触られると心乱れてキティちゃんポップコーンになります!」と叫びだした。
なんで心乱れるとキティちゃんポップコーンになるんだ、意味がわからない。
「ほら、いいから座って」
「推しに手掴まれた、嬉しい、ドキドキする。これが恋……」
「恋だな」
「本人が肯定しないでください!」
顔を赤くして取り乱す彼女にバレないようニヤニヤする。
反応がやはり面白い。
その後、彼女に形式上二週間ほどの動向を聴取し、当たり前だが極々一般的な女子高生の日常だった。
正直、いつもこれだけ取り乱している彼女が学校でこれだけ大人しく普通に生活しているのかと、疑ってはいる。
以前にも疑って聞いてみたことはあるが、「私は、オタクは擬態して身を潜める生き物だと考える古のオタクなので」と真面目に言っていた気がする。
ハナカマキリか、君は。
「そういえば、最近はどんな小説を書いているんだい?」
興味本意で聞いたら「嫌でーす!答えませーん!心閉ざした!バーリア!」と小学生みたいなセリフを言い、両腕をクロスさせ右手で左耳を、左手で右耳を塞ぐ。
また、奇っ怪なポーズをとる。
そう頑なに言いたがらないと聞きたくなるので、「あなたの心にハッキングしたら開いてくれますか?」とバーボンの時に言うようなセリフを言ったら「私の心をアンロック!」と容易く開いた。
「突然のバーボンはよくない」
「よくわかったな」
「まあ、数多と書いてきましたし」
「組織の女とバーボンでしたっけ」
「やめてくださいバカ野郎!」
人を罵倒しながら、またも風見の後ろに隠れようとしたので、「すみません、悪意はないんです」と弁解したが「嘘だ!悪意しかない!」と見抜かれてしまった。
さすが、僕の分析をよくしているだけありますね。
その後、僕がスッキリするまで散々からかい倒し、お茶を一杯飲ませて解放することにした。
「お陰様で、いい気分転換になったよ。ありがとう」
「事情聴取は面目上で、ただ私で遊びたかっただけなんじゃないですか……?」
「あたり。だから、食事でも奢ってあげたいんだが、ご覧の通り仕事が忙しいから今度奢るよ」
「推しが生きてるだけでありがたいので、不要です」
「おかしな謙虚な姿勢をとるな、君は」
殊勝な態度で一礼する姿は、社会人のそれに似ている。
風見に出口まで付き添われ帰ろうとする彼女に「なにを食べたいか、考えておいてくれよ」と声をかけたら、いい笑顔で「ハムサンドが食べたいです」と。
なんだ、しっかり奢ってもらうつもりなんじゃないか。
そういう素直なところは可愛げがあって好感が持てるよ。
じゃあ、仕事が終わったら僕特製のハムサンドを食べさせてあげようかな。
きっと驚くぞ。
3/3ページ