婆娑羅横丁
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学校の帰り道、ふと立ち止まった。
何故か。
見覚えのない商店街があったからだ。
(こんな所に、商店街なんてあったっけ)
不思議に思い、一歩中に入る。
扇屋、バー、反物屋、何かの道場、喫茶店、古美術屋。
ちょっと古めかしい店から最近の店まで取り揃えたような、そんなちぐはぐな感じの商店街だ。
うろうろと歩いてると「お帰り」と声をかけられた。
振り向くと、夕日に溶けてしまいそうな髪色の男性が立っていた。
「待ってたよ。再出店の受付、済ませよ?」
そう、指された先には家のような構えの店があった。
看板には、婆娑羅横丁受付と書かれている。
「婆娑羅横丁?」
「そそっ。さ、早く受付済ませちゃお、一花」
「え、何で名前を……」
「知ってるよ。一花がずっと小さい時から。まあ、話は受付済ませてからしよう」
男性は私の背中を押し横丁受付の扉を開ける。
中には、黄色のパーカー越しにも分かるがっしりした体躯の男性が椅子に座っていた。
「あぁ、懐かしい顔だな。お帰り、一花」
どうして、この夕日色の男性もこの人も私の名前を知っているのか。
お帰りとはどういう意味なのか。
警戒する私に、パーカーの男性が夕日色の男性を見た。
「俺様達の事、覚えてないみたい」
肩を竦めて見せる夕日色の男性の言葉に、パーカーの男性が残念そうに「そうか」と言い、引き出しを漁り一枚の写真をだした。
そこには今と寸分変わらない二人と、放浪癖の母と幼い私が写っていた。
「親父さんが早くに亡くなったから、横丁全員で一花の面倒をみていたんだ。懐かしいな」
目を細めて笑うパーカーの男性。
私がこの幼さで、既にこの様相という事は思っているよりもっと歳上なのだろう。
「一花のお母さんの店はまだ残っているが、そのまま使うか?」
「いえ、その、私はお店をやりたくてここに来たわけでは……」
「でも、横丁が一花を呼んじゃったからね。やらないと、出られないよ」
「えぇ!?」
どういう原理なのかは分からないが、そんな筈はない。
慌てて外に出て横丁のゲートを探すも、何処にもない!
そんな長い距離を歩いてはいないのに!
「一花ー。諦めなってー」
夕日色の男性が間延びした声で戻ってこいと言う。
とぼとぼと受付まで戻り「ここは何なんですか……?」と聞くと、二人揃って「婆娑羅横丁」と言うが、そういう意味じゃなくて……!
「ここは人成らざるモノの集まる場所」
「人成らざる……?」
「そう。例えば……えい!」
そう言うと、夕日色の男性がパーカーの男性に猫だましをすると、パーカーの男性からにょきっと動物の耳と尻尾がでた。
「いきなりは止めてくれ、佐助」
「ごめん、ごめん。まぁ、この通り、この人は狸の妖怪だ」
唖然とする私を他所に、パーカーの男性は押し込むように耳と尻尾をしまい、佐助と呼ばれた男性を指し「で、佐助は魔法使いだ」と言う。
今のご時世、そんなファンシーな職業があってたまるかと疑惑の目で佐助さんを見ると、得意そうな顔で指先を空中で振ると、一瞬にして床に雪だるまを作り上げる。
「佐助……。そんな所に雪だるまを作らないでくれ……」
「ごめーん」
軽い謝罪に、パーカーの男性は溜め息を吐き書類を取りだし「ここに名前を書いてくれ」と言った。
訳のわからないファンタジーな世界に足を踏み入れてしまったと思いながら、渋々署名をする。
名前を書くと、佐助さんが「お帰り、そしてようこそ、婆娑羅横丁へ」と言ってくれた。
何故か。
見覚えのない商店街があったからだ。
(こんな所に、商店街なんてあったっけ)
不思議に思い、一歩中に入る。
扇屋、バー、反物屋、何かの道場、喫茶店、古美術屋。
ちょっと古めかしい店から最近の店まで取り揃えたような、そんなちぐはぐな感じの商店街だ。
うろうろと歩いてると「お帰り」と声をかけられた。
振り向くと、夕日に溶けてしまいそうな髪色の男性が立っていた。
「待ってたよ。再出店の受付、済ませよ?」
そう、指された先には家のような構えの店があった。
看板には、婆娑羅横丁受付と書かれている。
「婆娑羅横丁?」
「そそっ。さ、早く受付済ませちゃお、一花」
「え、何で名前を……」
「知ってるよ。一花がずっと小さい時から。まあ、話は受付済ませてからしよう」
男性は私の背中を押し横丁受付の扉を開ける。
中には、黄色のパーカー越しにも分かるがっしりした体躯の男性が椅子に座っていた。
「あぁ、懐かしい顔だな。お帰り、一花」
どうして、この夕日色の男性もこの人も私の名前を知っているのか。
お帰りとはどういう意味なのか。
警戒する私に、パーカーの男性が夕日色の男性を見た。
「俺様達の事、覚えてないみたい」
肩を竦めて見せる夕日色の男性の言葉に、パーカーの男性が残念そうに「そうか」と言い、引き出しを漁り一枚の写真をだした。
そこには今と寸分変わらない二人と、放浪癖の母と幼い私が写っていた。
「親父さんが早くに亡くなったから、横丁全員で一花の面倒をみていたんだ。懐かしいな」
目を細めて笑うパーカーの男性。
私がこの幼さで、既にこの様相という事は思っているよりもっと歳上なのだろう。
「一花のお母さんの店はまだ残っているが、そのまま使うか?」
「いえ、その、私はお店をやりたくてここに来たわけでは……」
「でも、横丁が一花を呼んじゃったからね。やらないと、出られないよ」
「えぇ!?」
どういう原理なのかは分からないが、そんな筈はない。
慌てて外に出て横丁のゲートを探すも、何処にもない!
そんな長い距離を歩いてはいないのに!
「一花ー。諦めなってー」
夕日色の男性が間延びした声で戻ってこいと言う。
とぼとぼと受付まで戻り「ここは何なんですか……?」と聞くと、二人揃って「婆娑羅横丁」と言うが、そういう意味じゃなくて……!
「ここは人成らざるモノの集まる場所」
「人成らざる……?」
「そう。例えば……えい!」
そう言うと、夕日色の男性がパーカーの男性に猫だましをすると、パーカーの男性からにょきっと動物の耳と尻尾がでた。
「いきなりは止めてくれ、佐助」
「ごめん、ごめん。まぁ、この通り、この人は狸の妖怪だ」
唖然とする私を他所に、パーカーの男性は押し込むように耳と尻尾をしまい、佐助と呼ばれた男性を指し「で、佐助は魔法使いだ」と言う。
今のご時世、そんなファンシーな職業があってたまるかと疑惑の目で佐助さんを見ると、得意そうな顔で指先を空中で振ると、一瞬にして床に雪だるまを作り上げる。
「佐助……。そんな所に雪だるまを作らないでくれ……」
「ごめーん」
軽い謝罪に、パーカーの男性は溜め息を吐き書類を取りだし「ここに名前を書いてくれ」と言った。
訳のわからないファンタジーな世界に足を踏み入れてしまったと思いながら、渋々署名をする。
名前を書くと、佐助さんが「お帰り、そしてようこそ、婆娑羅横丁へ」と言ってくれた。
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