旅する心
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アサガオさんと食事やバトルや買い物をし、俺なりに彼女と仲良くなりつつあるとは思っているが、違和感を感じる。
笑顔だし冗談も言い合うが、どこか一歩引いたところがある。
なにか俺に隠し事をしているようなよそよそしさに、一度「俺になにか隠し事してません?」と聞くも、「どうだろうね」と言われる始末。
隠すなら探し当ててやると、ネットの海を泳いでいると、十数年前に上がった一つの小さな記事を見つけた。
『ポケウッドでアサガオ事故死』
目を疑い、事実として飲み込めなかった。
事故死?そんなまさか。だって、アサガオさんは俺とたしかに生活をしていた。食事もして、着替えて、ポケモンバトルもして。
半信半疑で、彼の兄弟子であるエンジュジムのジムリーダーであるマツバさんにコンタクトを取ると、「彼女に会ったのかい」と言われた。
「会いました」
『アサガオは、まだガラルにいるのかな』
「そのはずです」
『なら、僕が行くまで引き止めておいてくれないかな』
「あの!本当に、アサガオさんは死んでるんですか!?」
俺の質問に、マツバさんは「死んでるよ」と言った。
『けど、旅をしたいという気持ちが強すぎて、未だに成仏できてないんだ。早く成仏させないと、手遅れになる』
「手遅れって、悪霊になるとかですか……?」
『その可能性もある』
だから、僕が行くまで引き止めてほしい。と言い、マツバさんは電話を切った。
引き止めてほしいと言われても、死んでいるとわかった相手といつも通り過ごすことができるのか。
そう悩んでいると、不意に電話が鳴った。
画面には、アサガオさんの文字が浮かんでいる。
脈が緊張で速くなりながらゆっくりと電話に出ると、こちらがなにかを言う前に「知ったね?」と言われ心臓が止まりそうになった。
「なんで……」
『これでも悪霊一歩手前だからね。キミが知るべきでない情報を知ったことを知る方法はあるんだよ』
「本当に死んでるんですね……」
『あぁ。もう少しガラルを楽しみたかったけど、兄さんが来るなら逃げないといけない。残念だけど、キミとは今日でサヨナラだね』
「俺に、なにかしたりしないんですか」
『私は悪霊だが、別に誰かを呪ったりする手合じゃない。なにもしない。この電話だって、お別れを言う為にかけただけだ』
安心し、肩の力が抜ける。
アサガオさんは、「それじゃあね、楽しかったよ」と電話を切ろうとしたが、その前に俺は「待ってください」と言った。
「最後に、聞きたいこと全部聞いていいですか」
『いいよ』
「幽霊なのに、どうして食事やバトルができたんですか」
『なんてことはないさ。どうも、私は存在がゴーストタイプのポケモン寄りになっているみたいでね。ポケモンなら、食事をしても不自然じゃないだろ』
「バトルは……」
『あれは、私が指示してるように見せかけてるだけで、ポケモンたちが勝手に戦っていただけだ。彼らとは付き合いが長いからね。お互いに、次の一手はわかっている』
そもそも、彼らが逃げる手伝いをしてくれたから、死んだときにトレーナーカードを盗んだりもできたわけだし。そう愉快そうに言い、「質問は以上かな?」と話を切り上げようとする。
最後に、どうしても聞きたかったことを聞く。
「もし、アサガオさんが死んでなかったら、俺と付き合ってくれてましたか?」
俺の問いかけに、アサガオさんはハッキリとした口調で、「もちろん」と肯定してくれた。
それだけ聞ければ、俺は満足だ。
「アサガオさんともっと早くに会いたかったです。でも、俺は幽霊でもポケモンでも、貴女のことが好きです」
『なら、ポケモンになったときは会いに来るよ』
「約束ですよ」
『ああ、必ずだ』
そう約束し、俺とアサガオさんの最後の通話は終わった。
非現実的な失恋だったからか、不思議と悲しいという気持ちはなかった。
それからマツバさんにがガラルに来たが、アサガオさんを引き止められなかったと謝った。
正確には、引き止める気なんてさらさらなく、できれば早く遠くに逃げてほしいと願っていた。
スマホの写真フォルダには、たしかにアサガオさんとの写真があり、このとき既にこの人は死んでいるとはいまだに思えなかった。
「ん?」
最初の頃、不意打ちの連写で撮った写真。
唯一消さなかった写真は、あのときは紫色のモヤだった物が、見返すとたしかにムウマージの姿が写っており、アサガオさんがポケモンになったんだな、となんとなく思った。
「会いに来てくれるかな……」
そうしたら、また一緒にいられる。
笑顔だし冗談も言い合うが、どこか一歩引いたところがある。
なにか俺に隠し事をしているようなよそよそしさに、一度「俺になにか隠し事してません?」と聞くも、「どうだろうね」と言われる始末。
隠すなら探し当ててやると、ネットの海を泳いでいると、十数年前に上がった一つの小さな記事を見つけた。
『ポケウッドでアサガオ事故死』
目を疑い、事実として飲み込めなかった。
事故死?そんなまさか。だって、アサガオさんは俺とたしかに生活をしていた。食事もして、着替えて、ポケモンバトルもして。
半信半疑で、彼の兄弟子であるエンジュジムのジムリーダーであるマツバさんにコンタクトを取ると、「彼女に会ったのかい」と言われた。
「会いました」
『アサガオは、まだガラルにいるのかな』
「そのはずです」
『なら、僕が行くまで引き止めておいてくれないかな』
「あの!本当に、アサガオさんは死んでるんですか!?」
俺の質問に、マツバさんは「死んでるよ」と言った。
『けど、旅をしたいという気持ちが強すぎて、未だに成仏できてないんだ。早く成仏させないと、手遅れになる』
「手遅れって、悪霊になるとかですか……?」
『その可能性もある』
だから、僕が行くまで引き止めてほしい。と言い、マツバさんは電話を切った。
引き止めてほしいと言われても、死んでいるとわかった相手といつも通り過ごすことができるのか。
そう悩んでいると、不意に電話が鳴った。
画面には、アサガオさんの文字が浮かんでいる。
脈が緊張で速くなりながらゆっくりと電話に出ると、こちらがなにかを言う前に「知ったね?」と言われ心臓が止まりそうになった。
「なんで……」
『これでも悪霊一歩手前だからね。キミが知るべきでない情報を知ったことを知る方法はあるんだよ』
「本当に死んでるんですね……」
『あぁ。もう少しガラルを楽しみたかったけど、兄さんが来るなら逃げないといけない。残念だけど、キミとは今日でサヨナラだね』
「俺に、なにかしたりしないんですか」
『私は悪霊だが、別に誰かを呪ったりする手合じゃない。なにもしない。この電話だって、お別れを言う為にかけただけだ』
安心し、肩の力が抜ける。
アサガオさんは、「それじゃあね、楽しかったよ」と電話を切ろうとしたが、その前に俺は「待ってください」と言った。
「最後に、聞きたいこと全部聞いていいですか」
『いいよ』
「幽霊なのに、どうして食事やバトルができたんですか」
『なんてことはないさ。どうも、私は存在がゴーストタイプのポケモン寄りになっているみたいでね。ポケモンなら、食事をしても不自然じゃないだろ』
「バトルは……」
『あれは、私が指示してるように見せかけてるだけで、ポケモンたちが勝手に戦っていただけだ。彼らとは付き合いが長いからね。お互いに、次の一手はわかっている』
そもそも、彼らが逃げる手伝いをしてくれたから、死んだときにトレーナーカードを盗んだりもできたわけだし。そう愉快そうに言い、「質問は以上かな?」と話を切り上げようとする。
最後に、どうしても聞きたかったことを聞く。
「もし、アサガオさんが死んでなかったら、俺と付き合ってくれてましたか?」
俺の問いかけに、アサガオさんはハッキリとした口調で、「もちろん」と肯定してくれた。
それだけ聞ければ、俺は満足だ。
「アサガオさんともっと早くに会いたかったです。でも、俺は幽霊でもポケモンでも、貴女のことが好きです」
『なら、ポケモンになったときは会いに来るよ』
「約束ですよ」
『ああ、必ずだ』
そう約束し、俺とアサガオさんの最後の通話は終わった。
非現実的な失恋だったからか、不思議と悲しいという気持ちはなかった。
それからマツバさんにがガラルに来たが、アサガオさんを引き止められなかったと謝った。
正確には、引き止める気なんてさらさらなく、できれば早く遠くに逃げてほしいと願っていた。
スマホの写真フォルダには、たしかにアサガオさんとの写真があり、このとき既にこの人は死んでいるとはいまだに思えなかった。
「ん?」
最初の頃、不意打ちの連写で撮った写真。
唯一消さなかった写真は、あのときは紫色のモヤだった物が、見返すとたしかにムウマージの姿が写っており、アサガオさんがポケモンになったんだな、となんとなく思った。
「会いに来てくれるかな……」
そうしたら、また一緒にいられる。
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