旅する心
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バトル後の余韻に浸り、頭の隅で店をどうしようかと考えていた。
いきなりかっちりした店は引かれるから、最初はカジュアルな場所にするか。
でもなぁ、初めてのデートだから洒落た場所がいい。
それによくよく考えれば、下手にカジュアルな場所に行くと目立つんじゃないか?
写真も撮られる可能性もある。
アサガオさんは目立つのが好きじゃないみたいだし、むしろ人目の少ないプライベート完備の店の方が安心するのでは。
考えに考えて、いつも使ってる店にするかと店の名前と場所をアサガオさんに送ってから、リョウタにあとのことは任せて着替えに家へ戻ったが、服が決まらない。
いつもだったらパパッと決められることに悩んでる姿が、恋に恋してる子供みたいだなと感じてしまい恥ずかしくなる。
決めた服にも本当に大丈夫かと不安にはなるが、これ以上はアサガオさんを待たせてしまうので諦めて約束の場所に向かえば、ユニフォーム姿から綺麗に洒落こんだアサガオさんを発見した。
遠目からチラチラ見られていることに気がつかないのか、ぼんやりと宙を見ている。
なぜ、あの無防備な状態で誰も声をかけないのかと思ったが、もし俺が一般人ならあの人に声をかけるかと聞かれたら絶対に声をかけない。
相当自分に自信があるか、相当のアホでなければ声をかけるのを躊躇する神秘性。
「アサガオさん、すみません。待たせてしまって」
駆け寄れば、薄く笑い「大丈夫だよ、たいして待ってないさ」とたぶん俺が言うべきセリフをさらっと言われた。
「それ、実は結構待った人が言うセリフですよね……」
「いやいや、本当なんだよ。キバナくんが連れていってくれるお店調べたら、すごいお洒落だったから身支度に時間がかかってしまってね。君に恥はかかせられないから。メイクもしたが……どうだろうか?変じゃないか?」
自信なさげに見上げてくるアサガオにドキドキしながら、「とても、お美しいです」と思ったまま口にしたら、吹き出すように笑われた。
「キミは本当に正直だな。好ましく思うよ」
「えっ!」
「あぁ、すまない。人として、好ましく思うということだ。すまない、嫌な気分にさせてしまったかな」
気まずそうに口に手を当てるアサガオさんに、「俺は……男として好ましく思ってほしかったです」と率直に言う。
アサガオさんは、受け流してはいるが俺がアサガオさんのことが好きだと知っている。
年下の戯言と真に受けていないというわけではない。
俺の言葉を冗談だとも思っていない。
拒絶はされていないなら少し性急にことを運んでも嫌がられはしないはず。
さぁ、どう返しますかアサガオさん!
「それは難しいな」
呆気なく終了の幕を下ろされ膝から崩れ落ちそうになったが、ギリギリ持ち直し「どうしてですか?」と聞けば「キミはよく知りもしない相手を意識できるのかい?」と聞かれた。
「私はキバナくんのことを少ししか知らない。面倒見がいいとか、優しく気さくだとか、すぐに感情を口に出してしまう可愛い部分とか、バトルは熱く激しく荒々しいとか、ポケモンたちへしっかり愛情を向けていて素晴らしいとか」
「充分じゃないですか?」
「これは、キミの側面のひとつにすぎない。友人の前では?嫌いな相手の前では?なにに怒ってその時どうなる?それらひとつ、ひとつ精査してやっと愛せる人かどうか判断がくだせる。私は軽い女ではないのだよ、キバナくん」
人差し指を突き付けて宣言するアサガオさんに、「なんかそれ、結婚を前提にした付き合いが絶対な段階ですね」と言うと、あのアサガオさんが「うっ!」となにやら表情を曇らせた。
「す、すまない。そういう環境で育ったからつい……。やはり、重いだろうか……」
「そうじゃないです!俺が好ましいて言われて嫌な気分になるって言ったのは、俺を男として見る気はないって釘刺されたと思ったんでちょっと嬉しくて」
俺が感じた不安に、アサガオさんは「可能性がない相手にははっきり言うさ」と笑い飛ばした。
たしかに、そういう性格っぽい。
「ポケウッドやコンテストに出ていたとき、私はそんなつもりはなかったのだが、なにやら勘違いされて気分を損ねたと言われた時があってね。キバナくんとは友好的にしたかったから、ついな」
「そんな小さい男じゃないですよ。じゃあ、俺のこと知って好きになってください」
「ふふっ、是非ともがんばってくれ」
上品に笑うアサガオさんに腕をさしだし、「エスコートしますよ」と言えば仄かに頬を赤くして「照れるね」と言いながら、ぎこちなく自身の腕を絡めた。
腕に感じる体温は酷く低く思えた。
いきなりかっちりした店は引かれるから、最初はカジュアルな場所にするか。
でもなぁ、初めてのデートだから洒落た場所がいい。
それによくよく考えれば、下手にカジュアルな場所に行くと目立つんじゃないか?
写真も撮られる可能性もある。
アサガオさんは目立つのが好きじゃないみたいだし、むしろ人目の少ないプライベート完備の店の方が安心するのでは。
考えに考えて、いつも使ってる店にするかと店の名前と場所をアサガオさんに送ってから、リョウタにあとのことは任せて着替えに家へ戻ったが、服が決まらない。
いつもだったらパパッと決められることに悩んでる姿が、恋に恋してる子供みたいだなと感じてしまい恥ずかしくなる。
決めた服にも本当に大丈夫かと不安にはなるが、これ以上はアサガオさんを待たせてしまうので諦めて約束の場所に向かえば、ユニフォーム姿から綺麗に洒落こんだアサガオさんを発見した。
遠目からチラチラ見られていることに気がつかないのか、ぼんやりと宙を見ている。
なぜ、あの無防備な状態で誰も声をかけないのかと思ったが、もし俺が一般人ならあの人に声をかけるかと聞かれたら絶対に声をかけない。
相当自分に自信があるか、相当のアホでなければ声をかけるのを躊躇する神秘性。
「アサガオさん、すみません。待たせてしまって」
駆け寄れば、薄く笑い「大丈夫だよ、たいして待ってないさ」とたぶん俺が言うべきセリフをさらっと言われた。
「それ、実は結構待った人が言うセリフですよね……」
「いやいや、本当なんだよ。キバナくんが連れていってくれるお店調べたら、すごいお洒落だったから身支度に時間がかかってしまってね。君に恥はかかせられないから。メイクもしたが……どうだろうか?変じゃないか?」
自信なさげに見上げてくるアサガオにドキドキしながら、「とても、お美しいです」と思ったまま口にしたら、吹き出すように笑われた。
「キミは本当に正直だな。好ましく思うよ」
「えっ!」
「あぁ、すまない。人として、好ましく思うということだ。すまない、嫌な気分にさせてしまったかな」
気まずそうに口に手を当てるアサガオさんに、「俺は……男として好ましく思ってほしかったです」と率直に言う。
アサガオさんは、受け流してはいるが俺がアサガオさんのことが好きだと知っている。
年下の戯言と真に受けていないというわけではない。
俺の言葉を冗談だとも思っていない。
拒絶はされていないなら少し性急にことを運んでも嫌がられはしないはず。
さぁ、どう返しますかアサガオさん!
「それは難しいな」
呆気なく終了の幕を下ろされ膝から崩れ落ちそうになったが、ギリギリ持ち直し「どうしてですか?」と聞けば「キミはよく知りもしない相手を意識できるのかい?」と聞かれた。
「私はキバナくんのことを少ししか知らない。面倒見がいいとか、優しく気さくだとか、すぐに感情を口に出してしまう可愛い部分とか、バトルは熱く激しく荒々しいとか、ポケモンたちへしっかり愛情を向けていて素晴らしいとか」
「充分じゃないですか?」
「これは、キミの側面のひとつにすぎない。友人の前では?嫌いな相手の前では?なにに怒ってその時どうなる?それらひとつ、ひとつ精査してやっと愛せる人かどうか判断がくだせる。私は軽い女ではないのだよ、キバナくん」
人差し指を突き付けて宣言するアサガオさんに、「なんかそれ、結婚を前提にした付き合いが絶対な段階ですね」と言うと、あのアサガオさんが「うっ!」となにやら表情を曇らせた。
「す、すまない。そういう環境で育ったからつい……。やはり、重いだろうか……」
「そうじゃないです!俺が好ましいて言われて嫌な気分になるって言ったのは、俺を男として見る気はないって釘刺されたと思ったんでちょっと嬉しくて」
俺が感じた不安に、アサガオさんは「可能性がない相手にははっきり言うさ」と笑い飛ばした。
たしかに、そういう性格っぽい。
「ポケウッドやコンテストに出ていたとき、私はそんなつもりはなかったのだが、なにやら勘違いされて気分を損ねたと言われた時があってね。キバナくんとは友好的にしたかったから、ついな」
「そんな小さい男じゃないですよ。じゃあ、俺のこと知って好きになってください」
「ふふっ、是非ともがんばってくれ」
上品に笑うアサガオさんに腕をさしだし、「エスコートしますよ」と言えば仄かに頬を赤くして「照れるね」と言いながら、ぎこちなく自身の腕を絡めた。
腕に感じる体温は酷く低く思えた。