旅する心
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あれから数日。
待てど暮らせどアサガオさんから連絡がこず、社交辞令だったのでは、去り際の台詞がよくなかったのでは、そもそもあの人が困る瞬間があるのか?など考え、こちらから連絡しようかどうかジムの控え室で悩んでいたら野生のダンデが現れた。
「元気にしてるか、キバナ!」
「表面上はな」
元気溌剌なライバルの問いかけに、端的に答えればバシバシと背中を叩かれ「どうしたんだ!」と無遠慮に聞かれるが、それに止めろと言う気力すらわかない。
「なんだ、本当に元気がないな。なにかあったか?」
隣に腰掛け、至極心配そうにするダンデに相談しようか悩むが、こいつに恋愛相談してもたんぱん小僧並みの返答しか期待できねえんだよな……。
「……ダンデよ。もしお前が、まだそこまで親しくはない好きな人と連絡したい時はどうする」
「迷わず連絡する!」
だよなー、お前はそういうやつだ。
「迷惑だとか、嫌がられるかもとかは思わないのかよ」
「その時はその時だぞ!」
俺はなんでこんな行き当たりばったりなやつに連敗しているのかと悲しくなるが、「キバナ!動かずして立ち止まるなんて、お前らしくないな!」とキラキラした目で熱く語るダンデの言葉に、言われりゃそうだと思った。
「……俺様は天候すら味方につけるキバナ様だ。嫌われたとしても、逆転勝利すりゃいいだけだ!」
「その意気だ、キバナ!ほら、アサガオさんに電話だ!」
「勝手に触んな!つか、なんでわかった!」
「ライバルだからな!」
まぁ、本当はキバナからずっとアサガオさんの話を聞いてたからだけどな!と快活な笑みで言われ、羞恥でぶん殴りたくなる。
わーぎゃーとダンデとじゃれていたら、不意にスマホロトムが「アサガオさんに電話したロト!」と知らせた。
ダンデを見れば「すまん、通話ボタンに触ったみたいだ」と一切悪びれていない謝罪をされ、なにも準備していなかった心臓がヒバニーのように跳び上がる。
「まままま待て、ロトム!まだ心の準備が!」
『もしもし』
「ひっ……!こ、こんにちは!アサガオさん」
前準備なしでの通話に慌てて挨拶をしたが、画面一杯にアサガオさんの顔が映っていてビデオ通話に慣れていないのかと思い「アサガオさん近いです!」と言えば、「あぁ!これ、もう通話になっているんだね!」と言って、ようやく適正距離になった。
「俺の姿、映ってますか?」
『映ってないんだ。電話も初めて使うから、勝手がわからなくて。なにか設定しないとダメなのかい?』
「いま教えますけど、ちょっと待ってください」
アサガオさんの初通話相手が自分であることに喜びを噛みしめ、画面の向こうの彼女がドラゴンユニフォームを着てくれている多幸感に満ち溢れ、慣れない機能に狼狽する可愛さで倒れそうなので、正気を取り戻すまで待ってください。
「ダンデ!気合いを入れてくれ!」
「任せろ!」
ダンデの迷いのない鉄拳が炸裂し、どういう気合いかを言わずして人のことを迷いなくぶん殴ってくれるライバルが側にいてくれてよかったと心底思った。
ダンデに殴られ正気を取り戻してから、「カメラの権限をオンにするよう、ロトムに言ってください」と伝えれば、言われた通りに伝え不安そうだった顔がいつものキラキラした顔になり「キバナくんだ」と無邪気に俺の名を呼んだ。
「マジカルシャイン……」
「急所弱点攻撃だな。息をしてるか、キバナ?」
「気合いでHP1残した」
『だ、大丈夫か?なんだか苦しそうだし、殴られた跡がないか?』
「問題ないです。その、アサガオさんの方こそ大丈夫でしたか?急に電話しちゃいましたけど」
俺の質問にアサガオさんは「あぁ、問題ないよ」と笑んでから、「私から連絡するつもりだったんだが、カレー作りに夢中になってしまってね」と眉尻を下げた。
「ふふっ、アサガオさんらしいですね。上手くできましたか?」
『リザードン級を叩き出してやったさ』
「どや顔するアサガオさん可愛い」
『感情がだだ漏れだぞ、キバナくん。それで、私になにか用だったのかな?』
「あー、いや。その、ちょっと間違って電話しちゃいまして」
すみません、と謝ろうとしたが、その前に「なんだ。待ちきれなかったのかと思ったのに、残念だな」と言われ反射的に「そうです」と肯定していた。
アサガオさんは虚を突かれた顔をしたが、すぐに「キミは正直で可愛いな」と、コロコロと笑った。
可愛いと言われたのは気になるが、アサガオさんが笑ってくれたのでプラマイ、大幅なプラスです。
『連絡してくれて、ありがとう。よければ、いまから会えないかい?』
「あー、いまからジム戦が入ってて……」
『そうなのか、残念だ』
「でも、夜なら空いてるんでよければ食事に行きませんか!」
チャンスを逃すかと、少し強引に食事に誘えばなんの迷いもなく「あぁ、是非とも」と返ってきた。
『独占勝者インタビューできるのを楽しみにしてるよ』
「はい!楽しみにしていてください!」
『ふふっ。じゃあ、終わったら連絡してくれるかい?』
「喜んで!」
二、三やりとりをしたあと、名残惜しく思いながら通話を切り画面に映らない位置にいたダンデと視線をあわせ、無言でハイタッチをした。
正直、うっかり通話ボタンに触った時は絶対にあとで一発ぶん殴るとは思ったが、いまはファインプレーだったと許せる。
「それにしても、まるで童貞みたいな初々しい反応だったな!」
「やっぱり一発殴らせろ」
待てど暮らせどアサガオさんから連絡がこず、社交辞令だったのでは、去り際の台詞がよくなかったのでは、そもそもあの人が困る瞬間があるのか?など考え、こちらから連絡しようかどうかジムの控え室で悩んでいたら野生のダンデが現れた。
「元気にしてるか、キバナ!」
「表面上はな」
元気溌剌なライバルの問いかけに、端的に答えればバシバシと背中を叩かれ「どうしたんだ!」と無遠慮に聞かれるが、それに止めろと言う気力すらわかない。
「なんだ、本当に元気がないな。なにかあったか?」
隣に腰掛け、至極心配そうにするダンデに相談しようか悩むが、こいつに恋愛相談してもたんぱん小僧並みの返答しか期待できねえんだよな……。
「……ダンデよ。もしお前が、まだそこまで親しくはない好きな人と連絡したい時はどうする」
「迷わず連絡する!」
だよなー、お前はそういうやつだ。
「迷惑だとか、嫌がられるかもとかは思わないのかよ」
「その時はその時だぞ!」
俺はなんでこんな行き当たりばったりなやつに連敗しているのかと悲しくなるが、「キバナ!動かずして立ち止まるなんて、お前らしくないな!」とキラキラした目で熱く語るダンデの言葉に、言われりゃそうだと思った。
「……俺様は天候すら味方につけるキバナ様だ。嫌われたとしても、逆転勝利すりゃいいだけだ!」
「その意気だ、キバナ!ほら、アサガオさんに電話だ!」
「勝手に触んな!つか、なんでわかった!」
「ライバルだからな!」
まぁ、本当はキバナからずっとアサガオさんの話を聞いてたからだけどな!と快活な笑みで言われ、羞恥でぶん殴りたくなる。
わーぎゃーとダンデとじゃれていたら、不意にスマホロトムが「アサガオさんに電話したロト!」と知らせた。
ダンデを見れば「すまん、通話ボタンに触ったみたいだ」と一切悪びれていない謝罪をされ、なにも準備していなかった心臓がヒバニーのように跳び上がる。
「まままま待て、ロトム!まだ心の準備が!」
『もしもし』
「ひっ……!こ、こんにちは!アサガオさん」
前準備なしでの通話に慌てて挨拶をしたが、画面一杯にアサガオさんの顔が映っていてビデオ通話に慣れていないのかと思い「アサガオさん近いです!」と言えば、「あぁ!これ、もう通話になっているんだね!」と言って、ようやく適正距離になった。
「俺の姿、映ってますか?」
『映ってないんだ。電話も初めて使うから、勝手がわからなくて。なにか設定しないとダメなのかい?』
「いま教えますけど、ちょっと待ってください」
アサガオさんの初通話相手が自分であることに喜びを噛みしめ、画面の向こうの彼女がドラゴンユニフォームを着てくれている多幸感に満ち溢れ、慣れない機能に狼狽する可愛さで倒れそうなので、正気を取り戻すまで待ってください。
「ダンデ!気合いを入れてくれ!」
「任せろ!」
ダンデの迷いのない鉄拳が炸裂し、どういう気合いかを言わずして人のことを迷いなくぶん殴ってくれるライバルが側にいてくれてよかったと心底思った。
ダンデに殴られ正気を取り戻してから、「カメラの権限をオンにするよう、ロトムに言ってください」と伝えれば、言われた通りに伝え不安そうだった顔がいつものキラキラした顔になり「キバナくんだ」と無邪気に俺の名を呼んだ。
「マジカルシャイン……」
「急所弱点攻撃だな。息をしてるか、キバナ?」
「気合いでHP1残した」
『だ、大丈夫か?なんだか苦しそうだし、殴られた跡がないか?』
「問題ないです。その、アサガオさんの方こそ大丈夫でしたか?急に電話しちゃいましたけど」
俺の質問にアサガオさんは「あぁ、問題ないよ」と笑んでから、「私から連絡するつもりだったんだが、カレー作りに夢中になってしまってね」と眉尻を下げた。
「ふふっ、アサガオさんらしいですね。上手くできましたか?」
『リザードン級を叩き出してやったさ』
「どや顔するアサガオさん可愛い」
『感情がだだ漏れだぞ、キバナくん。それで、私になにか用だったのかな?』
「あー、いや。その、ちょっと間違って電話しちゃいまして」
すみません、と謝ろうとしたが、その前に「なんだ。待ちきれなかったのかと思ったのに、残念だな」と言われ反射的に「そうです」と肯定していた。
アサガオさんは虚を突かれた顔をしたが、すぐに「キミは正直で可愛いな」と、コロコロと笑った。
可愛いと言われたのは気になるが、アサガオさんが笑ってくれたのでプラマイ、大幅なプラスです。
『連絡してくれて、ありがとう。よければ、いまから会えないかい?』
「あー、いまからジム戦が入ってて……」
『そうなのか、残念だ』
「でも、夜なら空いてるんでよければ食事に行きませんか!」
チャンスを逃すかと、少し強引に食事に誘えばなんの迷いもなく「あぁ、是非とも」と返ってきた。
『独占勝者インタビューできるのを楽しみにしてるよ』
「はい!楽しみにしていてください!」
『ふふっ。じゃあ、終わったら連絡してくれるかい?』
「喜んで!」
二、三やりとりをしたあと、名残惜しく思いながら通話を切り画面に映らない位置にいたダンデと視線をあわせ、無言でハイタッチをした。
正直、うっかり通話ボタンに触った時は絶対にあとで一発ぶん殴るとは思ったが、いまはファインプレーだったと許せる。
「それにしても、まるで童貞みたいな初々しい反応だったな!」
「やっぱり一発殴らせろ」