旅する心
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結局、アサガオさんと連絡先交換できずに別れてしまった。
今頃なにしてっかなぁ、またきらきらした顔でカレー作ったりしてるんだろうなぁ、せめてこのドラゴンユニフォーム着てくれないかなぁ、などと開会式の控え室で考えていたら、「暗い顔をしているね」とカブさんが話しかけてくれた。
「いつも明るいキミがどうしたんだい?」
「あー、えっと、すみません。実は好きというか、以前から気になっていた人と会えたんですけど、連絡先交換できなくて……」
「おや、カントー地方のチャンピオンが来てるのかい?」
「ワタルさんじゃないっすね」
あの人は気になると言うより、尊敬する人だからなぁ。
アサガオさんは、尊敬はしてるけどまた違うベクトルなんだよな。
「悩みがあるなら聞くよ。あぁ、そうだ。さっき、受付のところでジョウト地方から旅をして来たという女の子と話したんだ。その子から、キミ宛のメモを預かっていたんだよ」
他の地方にもファンがいるなんて凄いね、と言われメモをわたされたが、ジョウト地方から旅をして来た女の子の時点で、悩みの種である女性がチラチラと脳内で手を振っている。
いやいや、まさか、と震える手でメモを開けば流れるような字で『キバナさんへ スマホロトム買ったので連絡先交換してもらえますか?開会式後にワイルドエリア入口付近で待っています。 アサガオ』と書かれていて、脈拍が上がった。
いや、しかし、まだ人違いの可能性も捨てきれず、カブさんに特徴を聞いたが完全にアサガオさんと一致した。
「どうやら、問題は解決したみたいだね」
「はい、お騒がせしました」
「キミが元気になってくれてなによりだが、未成年に手を出すのは……」
カブさんが困ったように笑いながら言うので、慌てて「彼女、歳上ですから!」と訂正すると、カブさんも焦ったように「それは失礼したね」と言った。
「格好もずいぶん若かったし、愛らしい顔立ちだったからつい勘違いしてしまったよ」
「大丈夫です、俺もそう思います」
いまだに、歳上であるという実感がわかない若々しさだ。
カブさんも同じ意見らしく、「どんなに見繕ってもキバナくん位に見えるね」と言うので、深く頷く。
カブさんもあまり、人のことを言えない気もするが。
「それじゃあ、いつものかっこいいキミを見せに行こうか」
「はい」
カブさんに背中を叩かれ、開会式のスタジアムへといつものかっこいい俺様で入場を果たせた。
その後、ダンデとオープニングバトルの話をあとでする約束をして、足早にワイルドエリアへと向かえば小さめなシルエットを見つけた。
「アサガオさん」
「こんにちは、キバナさん。すみません、お呼び立てしてしまって」
「大丈夫ですよ。けど、昨日今日でスマホロトム手に入れるって行動はやいですね」
「面白そうな物は欲しくなる質でして」
そんな感じする。
あの、きらきらした顔で選んでいたのかと思うと、立ち会えなかったことが悔やまれる。
俺がアサガオさんに似合う最高のスマホロトムを見繕いたかった。
「あ、そうだ。これ、約束してたユニフォームです」
忘れる前にと手渡したドラゴンユニフォームをすぐさま確認し、「素敵」と笑んでくれたあなたが素敵です。
「好き」
「ドラゴンタイプ、私も好きですよ。それで、えっと、連絡先交換の仕方がちょっとわからなくて」
「ロトムに頼めばやってくれますよ。ロトム、アサガオさんと連絡先交換」
「ロトロト~!」
フワフワと俺のスマホロトムがアサガオさんのスマホロトムに近付き、アサガオさんも「ロトム、キバナさんと連絡先交換してくれ」と言えばロトムたちはお互いに連絡先を交換してくれた。
連絡先にアサガオという名前が追加されたことに、にやけ顔が抑えられない。
「やっと一人目登録できました」
「えっ!お、俺が一人目なんですか?!」
「はい。最初は、お世話になったキバナさんにしようと思っていたので」
やり方がわからなかったからではなく、最初から俺にすると決めていてくれたことに嬉しさで表情筋の緩みが止まらず心臓も痛い。
「まぁ、不必要に登録すると再戦の電話が鳴り止まないので……」
「俺は必要ってことですか?」
ドキドキと期待を持って尋ねれば、いつもの可愛い笑みとは違う綺麗な笑みで、「困ったら駆けつけてくれるんですよね?」と聞き返されたらyesしか言えないじゃないですか。
もとから選択肢はyesだけですけど。
「いつでも呼んでください」
「時と場合は考えますよ」
謹み深い。
「そうだ、アサガオさん。口調、素に戻していいですよ」
「え?」
「だってそれ、他所行きの口調でしょ?できれば、そういうの気にしないでほしいなって思って」
馴れ馴れしいかも知れないが、もっと打ち解けたい気持ちが止まらず申し出れば、アサガオさんは瞬きを数回してから「よくわかりましたね」と感心したように呟いた。
やっぱり、そんな簡単に打ち解けてくれないよなー、と残念がっていたのに、「ふふっ、じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうよ」と時間差で距離が縮まってスッ転びかけた。
「時間差はやめてください心臓に悪いです」
「なにがだい?いやぁ、それにしてもよくわかったね。違和感なく喋れていたと思ったんだが」
眉を尻を下げ困った表情をするアサガオさんに、「そりゃ、アサガオさんの動画は全部見ましたし。気づきますよ」と言えば、「動画?」と不思議そうな顔をされた。
「コンテストとか、ポケスロンのかい?」
「それも好きっすけど、俺はアサガオさんのバトル動画が特に好きです」
そう言うと、アサガオさんは顔を青くさせ「バトル動画……?」と小さく呟いた。
「アサガオさん色んな地方で、野良試合とかバトル施設頻繁に行ってるから、野次馬が撮ったのを上げたんでしょうね。一番古いのが、修験者時代だったかな。いまとは雰囲気が全然違いますよね。ダウナー系方言女子で、可愛かったです」
なんの悪気もなく感想を述べると、アサガオは耳も首も真っ赤にして「わわわ忘れてくれ!」と盛大に狼狽した。
「うー、誰だ、そんな動画あげたやつは」
「アカウント名はマツバでしたね」
「兄さんか!」
ホームビデオ感覚で、あんなものを流出させるな!と憤慨し、深呼吸をして「その時は、まだ若くて少しひねていたんだ」と弁解をしだした。
別にそんなこと、しなくてもいいのに。
「子供の頃ってそんなもんですよね。あ、でも修験者辞めたあとの方が生き生きしてて、俺はいいなって思いま……あっ」
気付いた時には既に遅し。
オクトパスのように顔を真っ赤にさせたアサガオさんが、「勘弁して……」とか細く鳴いた。
「その……すみません……つい……」
「本当に……本当に子供だったんだ……。ちょっとたがが外れていたんだ……。バトルすると、理性と一緒に外れちゃって……」
そのたがが外れた状態の時が好きだから、どんどん外していってほしいとは言えず、「そういう時もありますよね」と当たり障りない返事しかできず申し訳ない気分になった。
まぁ、どんなフォローもいまのアサガオさんには全て羞恥心スイッチになってしまうから致し方ない。
正直、加虐心がくすぐられてしかたがないが、まだ親しくもない段階でそれをしてしまうと距離を置かれるので暫くは我慢だな。
今頃なにしてっかなぁ、またきらきらした顔でカレー作ったりしてるんだろうなぁ、せめてこのドラゴンユニフォーム着てくれないかなぁ、などと開会式の控え室で考えていたら、「暗い顔をしているね」とカブさんが話しかけてくれた。
「いつも明るいキミがどうしたんだい?」
「あー、えっと、すみません。実は好きというか、以前から気になっていた人と会えたんですけど、連絡先交換できなくて……」
「おや、カントー地方のチャンピオンが来てるのかい?」
「ワタルさんじゃないっすね」
あの人は気になると言うより、尊敬する人だからなぁ。
アサガオさんは、尊敬はしてるけどまた違うベクトルなんだよな。
「悩みがあるなら聞くよ。あぁ、そうだ。さっき、受付のところでジョウト地方から旅をして来たという女の子と話したんだ。その子から、キミ宛のメモを預かっていたんだよ」
他の地方にもファンがいるなんて凄いね、と言われメモをわたされたが、ジョウト地方から旅をして来た女の子の時点で、悩みの種である女性がチラチラと脳内で手を振っている。
いやいや、まさか、と震える手でメモを開けば流れるような字で『キバナさんへ スマホロトム買ったので連絡先交換してもらえますか?開会式後にワイルドエリア入口付近で待っています。 アサガオ』と書かれていて、脈拍が上がった。
いや、しかし、まだ人違いの可能性も捨てきれず、カブさんに特徴を聞いたが完全にアサガオさんと一致した。
「どうやら、問題は解決したみたいだね」
「はい、お騒がせしました」
「キミが元気になってくれてなによりだが、未成年に手を出すのは……」
カブさんが困ったように笑いながら言うので、慌てて「彼女、歳上ですから!」と訂正すると、カブさんも焦ったように「それは失礼したね」と言った。
「格好もずいぶん若かったし、愛らしい顔立ちだったからつい勘違いしてしまったよ」
「大丈夫です、俺もそう思います」
いまだに、歳上であるという実感がわかない若々しさだ。
カブさんも同じ意見らしく、「どんなに見繕ってもキバナくん位に見えるね」と言うので、深く頷く。
カブさんもあまり、人のことを言えない気もするが。
「それじゃあ、いつものかっこいいキミを見せに行こうか」
「はい」
カブさんに背中を叩かれ、開会式のスタジアムへといつものかっこいい俺様で入場を果たせた。
その後、ダンデとオープニングバトルの話をあとでする約束をして、足早にワイルドエリアへと向かえば小さめなシルエットを見つけた。
「アサガオさん」
「こんにちは、キバナさん。すみません、お呼び立てしてしまって」
「大丈夫ですよ。けど、昨日今日でスマホロトム手に入れるって行動はやいですね」
「面白そうな物は欲しくなる質でして」
そんな感じする。
あの、きらきらした顔で選んでいたのかと思うと、立ち会えなかったことが悔やまれる。
俺がアサガオさんに似合う最高のスマホロトムを見繕いたかった。
「あ、そうだ。これ、約束してたユニフォームです」
忘れる前にと手渡したドラゴンユニフォームをすぐさま確認し、「素敵」と笑んでくれたあなたが素敵です。
「好き」
「ドラゴンタイプ、私も好きですよ。それで、えっと、連絡先交換の仕方がちょっとわからなくて」
「ロトムに頼めばやってくれますよ。ロトム、アサガオさんと連絡先交換」
「ロトロト~!」
フワフワと俺のスマホロトムがアサガオさんのスマホロトムに近付き、アサガオさんも「ロトム、キバナさんと連絡先交換してくれ」と言えばロトムたちはお互いに連絡先を交換してくれた。
連絡先にアサガオという名前が追加されたことに、にやけ顔が抑えられない。
「やっと一人目登録できました」
「えっ!お、俺が一人目なんですか?!」
「はい。最初は、お世話になったキバナさんにしようと思っていたので」
やり方がわからなかったからではなく、最初から俺にすると決めていてくれたことに嬉しさで表情筋の緩みが止まらず心臓も痛い。
「まぁ、不必要に登録すると再戦の電話が鳴り止まないので……」
「俺は必要ってことですか?」
ドキドキと期待を持って尋ねれば、いつもの可愛い笑みとは違う綺麗な笑みで、「困ったら駆けつけてくれるんですよね?」と聞き返されたらyesしか言えないじゃないですか。
もとから選択肢はyesだけですけど。
「いつでも呼んでください」
「時と場合は考えますよ」
謹み深い。
「そうだ、アサガオさん。口調、素に戻していいですよ」
「え?」
「だってそれ、他所行きの口調でしょ?できれば、そういうの気にしないでほしいなって思って」
馴れ馴れしいかも知れないが、もっと打ち解けたい気持ちが止まらず申し出れば、アサガオさんは瞬きを数回してから「よくわかりましたね」と感心したように呟いた。
やっぱり、そんな簡単に打ち解けてくれないよなー、と残念がっていたのに、「ふふっ、じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうよ」と時間差で距離が縮まってスッ転びかけた。
「時間差はやめてください心臓に悪いです」
「なにがだい?いやぁ、それにしてもよくわかったね。違和感なく喋れていたと思ったんだが」
眉を尻を下げ困った表情をするアサガオさんに、「そりゃ、アサガオさんの動画は全部見ましたし。気づきますよ」と言えば、「動画?」と不思議そうな顔をされた。
「コンテストとか、ポケスロンのかい?」
「それも好きっすけど、俺はアサガオさんのバトル動画が特に好きです」
そう言うと、アサガオさんは顔を青くさせ「バトル動画……?」と小さく呟いた。
「アサガオさん色んな地方で、野良試合とかバトル施設頻繁に行ってるから、野次馬が撮ったのを上げたんでしょうね。一番古いのが、修験者時代だったかな。いまとは雰囲気が全然違いますよね。ダウナー系方言女子で、可愛かったです」
なんの悪気もなく感想を述べると、アサガオは耳も首も真っ赤にして「わわわ忘れてくれ!」と盛大に狼狽した。
「うー、誰だ、そんな動画あげたやつは」
「アカウント名はマツバでしたね」
「兄さんか!」
ホームビデオ感覚で、あんなものを流出させるな!と憤慨し、深呼吸をして「その時は、まだ若くて少しひねていたんだ」と弁解をしだした。
別にそんなこと、しなくてもいいのに。
「子供の頃ってそんなもんですよね。あ、でも修験者辞めたあとの方が生き生きしてて、俺はいいなって思いま……あっ」
気付いた時には既に遅し。
オクトパスのように顔を真っ赤にさせたアサガオさんが、「勘弁して……」とか細く鳴いた。
「その……すみません……つい……」
「本当に……本当に子供だったんだ……。ちょっとたがが外れていたんだ……。バトルすると、理性と一緒に外れちゃって……」
そのたがが外れた状態の時が好きだから、どんどん外していってほしいとは言えず、「そういう時もありますよね」と当たり障りない返事しかできず申し訳ない気分になった。
まぁ、どんなフォローもいまのアサガオさんには全て羞恥心スイッチになってしまうから致し方ない。
正直、加虐心がくすぐられてしかたがないが、まだ親しくもない段階でそれをしてしまうと距離を置かれるので暫くは我慢だな。