夢女子殺人事件
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別件が入ってしまい、しばらく彼女の監視を風見に頼むことにした。
「まあ、彼女は不満かもしれないけどな。僕に会えなくなるわけだし」
そう言うと、風見が困ったように返事をした。
なんだ、その「なんと言葉を返せばよいのか」みたいな顔は。
彼女は僕が好きで、好きで、大好きなんだぞ。
会えないとわかったら、落胆するだろ。
その落胆した顔が見たいから、呼び出し事情を伝えると「風見さんが側にいてくれるんですか?!やったー!」と手放しで喜ばれた。
はぁ?
「……」
「あ、えっと、氷室くん。降谷さんと会えなくなるのは寂しいだろ?」
僕の不機嫌を察して風見がフォローしようとするが、鈍い彼女は「え?別に?」と返す。
風見が慌てだす。
「だが、好きな人と会えなくなるのは嫌なんじゃないか?」
「いやいや、風見さん。私は本来なら、推しと人生が交わることはないんですよ。なので、降谷さんが側にいなくても寂しくはないです」
益々機嫌が悪くなる僕に顔を青くする風見。能天気にいつものように笑う深湖。
普段は目敏く僕の表情の変化に気がつく癖に、なんでこういうときは気がつかないのか。
僕の睨みに気がつかない彼女を、風見がなおもなんとかしようとしたとき。
「私は、降谷さんが元気にしてるってわかれば、幸せなんです」
「……」
「あ、でも、お仕事なら怪我するかも知れませんね……。気を付けてくださいね……?」
不安そうに見上げてくる。
そんな顔もできるのか……。
「別に怪我をするような仕事じゃないから、心配しなくていいさ。ま、まあ、こまめに連絡くらいはしてやる」
「するな!折角、私という負担から解放されるのに、自分から負担を背負いにいくな!推し、もっと自分を大切にしろ!」
勢いに負けて「わかった」と言いかけたが、わかるわけないだろ。
こいつ、自分を僕の負担だと思っているのか。
「僕はキミを負担だと思ってない」
「推し、そういう自分の苦労に無頓着なところ、よくない!」
ああ言えばこう言い、かたくなに僕の言うことを信じないものだから、僕も腹がたって「じゃあ、連絡しないからな。後悔するなよ」と捨て台詞を吐いて別れてしまった。
まったく、変なところで頑固な子だ。
どうせ、すぐに「安室さんに会えない、寂し~」とか言うんだろ、とTwitterをチェックしていたら目に飛び込んできたのは「知り合いとハリポタコラボドリンク飲んだ」という写真つきの投稿。
ドリンクはいいが、一緒に写っている男。
「どういうことだ、風見」
「……申し訳ありません」
「たかが女子高生に、尾行がバレるとはな。それでよく公安が勤まるな?」
「はい……」
もう少し詰めてやろうかとも思ったが、それは流石に私情が入りすぎる。
彼女のことだから、また意味のわからない方法で風見を見つけ出したのだろうし。
「声を頼りに見つけました」
けろっと、意味のわからない方法を述べる深湖。
思わず首をかしげる。
「私のデビルイヤーは、飛田さんの声を聞き逃しません」
「デビルマンの時代の人間じゃないだろ。そもそも、飛田さんって誰だ」
キミが見つけたのは、風見だろ。
「好きな声は、嫌でも反応してしまいます」
「ふーん、好きねえ……。なら、僕の声でも見つけられるのか?」
「むしろ、見つけられない道理がないですね」
そう、自信満々に肯定されると、ちょっと恥ずかしくなるだろ。
……今度、試してやろう。
「それで?仕事中の風見にワガママ言って、写真撮ったのか?」
「私が業務妨害致しました……」
冗談で言ったつもりだったんだが。
そんな真剣に反省の色を見せられると、こっちも困る。
「風見さんと遭遇することなんて、この先ないかも、と思ったら欲がでました」
「それ以上、風見に迷惑をかけていないなら、あまり言うつもりはないよ」
「写真撮って、ちょっと一緒にお茶しただけです」
「ほーーーーーーう?僕とは写真どころか、出掛けることすら嫌がるのに?」
どういう了見だ、と圧をかける僕を無視し、なにかを考えながら「推している深度が違うんですよ」と話し始める。
推している深度?
「風見さんは、まだ人間がダイビングできる深さの推し度なんですよ。ですが、降谷さんの推し度は完全にマリアナ海溝。側にいたら呼吸できないどころか、好きという感情で潰れてしまうんです」
「もう少しわかりやすく」
「テーマパークのマスコットは気軽に接っせるけど、ガチ推ししているアイドルには気軽にいけませんよね?」
「つまり……風見はマスコット……」
「そう、風見さんはマスコット」
真剣に肯定するものだから、僕も真剣にマスコットの風見を想像してしまった。
あの堅物の風見がマスコット……。
「すごく面白いな」
「面白さを伝えたかったわけではないのですが」
それはわかっているが、面白いものは面白い。
「とりあえず、キミが僕を好きすぎて遠慮しているのはわかった」
「相変わらず、自己肯定感が高い」
「キミの愛を信じているだけだよ」
「やめろ!軽率に甘い言葉をささやくな!」
いつもの発作を起こす深湖を見ながら、「やっぱり面白いな、この子」と思ってしまう。
深湖の小説であったな、こういう展開。
「僕としては、キミと食事したりお茶したり、写真も撮りたいんだけど。ダメか?手始めに、ピクニックとか」
「事件が起こりそうなので、嫌です」
「じゃあ、今度行こう」
「あれ?推し、もしかして私の言葉が違う言葉に聞こえてます?」
「ああ、楽しみにしてるよ」
「推し!!!!」
“ちょっと”強引に約束を取り付けて、「No」と言われる前に無理矢理帰した。
余談ではあるが、試しに雑踏に紛れて名前を呼んだら、本当に僕を探し当てたのには驚いた。
凄いな、デビルイヤー。
これは風見も手に負えないな。
今度、謝ろう。
「まあ、彼女は不満かもしれないけどな。僕に会えなくなるわけだし」
そう言うと、風見が困ったように返事をした。
なんだ、その「なんと言葉を返せばよいのか」みたいな顔は。
彼女は僕が好きで、好きで、大好きなんだぞ。
会えないとわかったら、落胆するだろ。
その落胆した顔が見たいから、呼び出し事情を伝えると「風見さんが側にいてくれるんですか?!やったー!」と手放しで喜ばれた。
はぁ?
「……」
「あ、えっと、氷室くん。降谷さんと会えなくなるのは寂しいだろ?」
僕の不機嫌を察して風見がフォローしようとするが、鈍い彼女は「え?別に?」と返す。
風見が慌てだす。
「だが、好きな人と会えなくなるのは嫌なんじゃないか?」
「いやいや、風見さん。私は本来なら、推しと人生が交わることはないんですよ。なので、降谷さんが側にいなくても寂しくはないです」
益々機嫌が悪くなる僕に顔を青くする風見。能天気にいつものように笑う深湖。
普段は目敏く僕の表情の変化に気がつく癖に、なんでこういうときは気がつかないのか。
僕の睨みに気がつかない彼女を、風見がなおもなんとかしようとしたとき。
「私は、降谷さんが元気にしてるってわかれば、幸せなんです」
「……」
「あ、でも、お仕事なら怪我するかも知れませんね……。気を付けてくださいね……?」
不安そうに見上げてくる。
そんな顔もできるのか……。
「別に怪我をするような仕事じゃないから、心配しなくていいさ。ま、まあ、こまめに連絡くらいはしてやる」
「するな!折角、私という負担から解放されるのに、自分から負担を背負いにいくな!推し、もっと自分を大切にしろ!」
勢いに負けて「わかった」と言いかけたが、わかるわけないだろ。
こいつ、自分を僕の負担だと思っているのか。
「僕はキミを負担だと思ってない」
「推し、そういう自分の苦労に無頓着なところ、よくない!」
ああ言えばこう言い、かたくなに僕の言うことを信じないものだから、僕も腹がたって「じゃあ、連絡しないからな。後悔するなよ」と捨て台詞を吐いて別れてしまった。
まったく、変なところで頑固な子だ。
どうせ、すぐに「安室さんに会えない、寂し~」とか言うんだろ、とTwitterをチェックしていたら目に飛び込んできたのは「知り合いとハリポタコラボドリンク飲んだ」という写真つきの投稿。
ドリンクはいいが、一緒に写っている男。
「どういうことだ、風見」
「……申し訳ありません」
「たかが女子高生に、尾行がバレるとはな。それでよく公安が勤まるな?」
「はい……」
もう少し詰めてやろうかとも思ったが、それは流石に私情が入りすぎる。
彼女のことだから、また意味のわからない方法で風見を見つけ出したのだろうし。
「声を頼りに見つけました」
けろっと、意味のわからない方法を述べる深湖。
思わず首をかしげる。
「私のデビルイヤーは、飛田さんの声を聞き逃しません」
「デビルマンの時代の人間じゃないだろ。そもそも、飛田さんって誰だ」
キミが見つけたのは、風見だろ。
「好きな声は、嫌でも反応してしまいます」
「ふーん、好きねえ……。なら、僕の声でも見つけられるのか?」
「むしろ、見つけられない道理がないですね」
そう、自信満々に肯定されると、ちょっと恥ずかしくなるだろ。
……今度、試してやろう。
「それで?仕事中の風見にワガママ言って、写真撮ったのか?」
「私が業務妨害致しました……」
冗談で言ったつもりだったんだが。
そんな真剣に反省の色を見せられると、こっちも困る。
「風見さんと遭遇することなんて、この先ないかも、と思ったら欲がでました」
「それ以上、風見に迷惑をかけていないなら、あまり言うつもりはないよ」
「写真撮って、ちょっと一緒にお茶しただけです」
「ほーーーーーーう?僕とは写真どころか、出掛けることすら嫌がるのに?」
どういう了見だ、と圧をかける僕を無視し、なにかを考えながら「推している深度が違うんですよ」と話し始める。
推している深度?
「風見さんは、まだ人間がダイビングできる深さの推し度なんですよ。ですが、降谷さんの推し度は完全にマリアナ海溝。側にいたら呼吸できないどころか、好きという感情で潰れてしまうんです」
「もう少しわかりやすく」
「テーマパークのマスコットは気軽に接っせるけど、ガチ推ししているアイドルには気軽にいけませんよね?」
「つまり……風見はマスコット……」
「そう、風見さんはマスコット」
真剣に肯定するものだから、僕も真剣にマスコットの風見を想像してしまった。
あの堅物の風見がマスコット……。
「すごく面白いな」
「面白さを伝えたかったわけではないのですが」
それはわかっているが、面白いものは面白い。
「とりあえず、キミが僕を好きすぎて遠慮しているのはわかった」
「相変わらず、自己肯定感が高い」
「キミの愛を信じているだけだよ」
「やめろ!軽率に甘い言葉をささやくな!」
いつもの発作を起こす深湖を見ながら、「やっぱり面白いな、この子」と思ってしまう。
深湖の小説であったな、こういう展開。
「僕としては、キミと食事したりお茶したり、写真も撮りたいんだけど。ダメか?手始めに、ピクニックとか」
「事件が起こりそうなので、嫌です」
「じゃあ、今度行こう」
「あれ?推し、もしかして私の言葉が違う言葉に聞こえてます?」
「ああ、楽しみにしてるよ」
「推し!!!!」
“ちょっと”強引に約束を取り付けて、「No」と言われる前に無理矢理帰した。
余談ではあるが、試しに雑踏に紛れて名前を呼んだら、本当に僕を探し当てたのには驚いた。
凄いな、デビルイヤー。
これは風見も手に負えないな。
今度、謝ろう。