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うちの国は吾国と煌国の国境付近にあるフイフアンダの国。
国境付近にありながら現在まで吾からも煌からも侵略を受けなかったのは、その身体能力故だろう。
カタルゴという場所にいるファナリスには劣るものの、身体能力は常人の上。
魔力も一般人並みにあるので、気という技もある程度使える。
一個小隊くらいは一人で相手できるだろう。
そんなわけで、今まで安穏と生活してきたのだが最近、力をつけはじめた煌国に組み入ろうかという話が上がっている。
「今日、煌国から正式に傘下に入るよう要請が来た」
「受けるの、父上?」
「あぁ、そのつもりだ。それにあたり一人、姫を一人嫁がせろとの事だ」
「体のいい人質ってやつですね」
まあ、我々の誰かを人質にとったとしても内から食い破られるだけだ。
さて、では誰が嫁ぐかとなると、順番的にも能力的にも私が順当だろう。
「道子ならば、有事の際一人でも逃げられるだろう?」
父上の視線に「お任せあれ」と笑って返す。
嫁ぐ日に、今までやった事のない綺麗な服を着て化粧もされて嫁入り道具も持たされて、大きな城へ来た。
国では見た事のない大きさだ。
皇帝の玉座の前で跪き、朗々と決められた祝辞を述べる。
そういえば、誰の所に嫁ぐんだったか。
確か、名前は白蓮皇子。
片方は凛々しく皇帝陛下によく似た顔立ち、片方は大きい瞳をした皇后陛下によく似ている。
まあ、どちらでもいいか。
割り当てられた部屋に通され、早速豪奢な服を脱ぎ捨てる。
さて、これからどうしたものか。
昼間は言うまでもなく暇であろう。
夜間も恐らく暇だろう。
どうしようかな、と考えたが結局は昼間は魚釣りにでも行って、夜は鍛錬の時間に使おう。
「そういうわけで、釣りに行ってくるね」
「姫様?!」
動きやすい服装に着替え、釣り竿と籠を持って女官達を振り切り、禁城を抜け出し近くの森へと来た。
大きな岩の上に座りのんびりと魚を釣っていると、がさりと茂みを掻きわけて何者かが現れた。
「あれ?今日は先客がいるんだな」
それは、昨日玉座で見た皇子だった。
岩を飛び降り跪くと、皇子は慌てながら「や、やめてくれ!」と仰った。
「俺は一般市民で……!」
「は?」
そういえば、皇子の格好は皇族にしては質素である。
なるほど、お忍びか。
立ち上がって膝についた土を落とす。
「これは失礼した。お顔立ちが皇子に似ていたので、皇族の方かと思って」
「ははっ、よく言われる。それで、お前はなにをしていたんだ?」
「魚を釣っていたんだ。結構釣ったから、食べて行くかい?」
私の提案に皇子は大喜びで「食べる!」と食いつきてきた。
籠に入れた魚を一匹ずつ串にさして起こした火の側に刺していく。
「なあ、お前名前はなんて言うんだ?俺は白蓮」
「道子だ」
「道子……。どこかで聞いたような……」
「気のせい、気のせい」
香ばしい匂いが広がってきて、焼きあがった魚を一匹皇子にわたすと嬉しそうに食いつく白蓮皇子。
「はー!やっぱり美味いな、新鮮な焼き魚は!次に会った時は、俺も一緒に釣りしたいな!」
「そうだね。次があればって感じだけど……」
「へ?」
私が背後に立つ、眉間に深い皺をよせた白雄皇子を見つめる。
刹那、白蓮皇子の頭に拳骨が落ちた。
「いっつ……!」
「白蓮。座学の時間を抜け出して何をしているのかと思ったら……」
「あ、兄上!」
狼狽する白蓮皇子の首根っこを掴んで連れ帰ろうとする白雄皇子がこちらに一瞥をくれ「道子姫も、あまり勝手に歩き回らない様に」と仰った。
「はーい」
「え?!え、姫?!」
私と白雄皇子の顔を交互に見つめてから私の顔を見つめてから「えー?!」と驚愕した。
「白蓮。側室の顔くらい覚えておけ」
べしっともう一度、白雄皇子は白蓮皇子の頭を叩いてそのまま行ってしまった。
またね、白蓮皇子。
国境付近にありながら現在まで吾からも煌からも侵略を受けなかったのは、その身体能力故だろう。
カタルゴという場所にいるファナリスには劣るものの、身体能力は常人の上。
魔力も一般人並みにあるので、気という技もある程度使える。
一個小隊くらいは一人で相手できるだろう。
そんなわけで、今まで安穏と生活してきたのだが最近、力をつけはじめた煌国に組み入ろうかという話が上がっている。
「今日、煌国から正式に傘下に入るよう要請が来た」
「受けるの、父上?」
「あぁ、そのつもりだ。それにあたり一人、姫を一人嫁がせろとの事だ」
「体のいい人質ってやつですね」
まあ、我々の誰かを人質にとったとしても内から食い破られるだけだ。
さて、では誰が嫁ぐかとなると、順番的にも能力的にも私が順当だろう。
「道子ならば、有事の際一人でも逃げられるだろう?」
父上の視線に「お任せあれ」と笑って返す。
嫁ぐ日に、今までやった事のない綺麗な服を着て化粧もされて嫁入り道具も持たされて、大きな城へ来た。
国では見た事のない大きさだ。
皇帝の玉座の前で跪き、朗々と決められた祝辞を述べる。
そういえば、誰の所に嫁ぐんだったか。
確か、名前は白蓮皇子。
片方は凛々しく皇帝陛下によく似た顔立ち、片方は大きい瞳をした皇后陛下によく似ている。
まあ、どちらでもいいか。
割り当てられた部屋に通され、早速豪奢な服を脱ぎ捨てる。
さて、これからどうしたものか。
昼間は言うまでもなく暇であろう。
夜間も恐らく暇だろう。
どうしようかな、と考えたが結局は昼間は魚釣りにでも行って、夜は鍛錬の時間に使おう。
「そういうわけで、釣りに行ってくるね」
「姫様?!」
動きやすい服装に着替え、釣り竿と籠を持って女官達を振り切り、禁城を抜け出し近くの森へと来た。
大きな岩の上に座りのんびりと魚を釣っていると、がさりと茂みを掻きわけて何者かが現れた。
「あれ?今日は先客がいるんだな」
それは、昨日玉座で見た皇子だった。
岩を飛び降り跪くと、皇子は慌てながら「や、やめてくれ!」と仰った。
「俺は一般市民で……!」
「は?」
そういえば、皇子の格好は皇族にしては質素である。
なるほど、お忍びか。
立ち上がって膝についた土を落とす。
「これは失礼した。お顔立ちが皇子に似ていたので、皇族の方かと思って」
「ははっ、よく言われる。それで、お前はなにをしていたんだ?」
「魚を釣っていたんだ。結構釣ったから、食べて行くかい?」
私の提案に皇子は大喜びで「食べる!」と食いつきてきた。
籠に入れた魚を一匹ずつ串にさして起こした火の側に刺していく。
「なあ、お前名前はなんて言うんだ?俺は白蓮」
「道子だ」
「道子……。どこかで聞いたような……」
「気のせい、気のせい」
香ばしい匂いが広がってきて、焼きあがった魚を一匹皇子にわたすと嬉しそうに食いつく白蓮皇子。
「はー!やっぱり美味いな、新鮮な焼き魚は!次に会った時は、俺も一緒に釣りしたいな!」
「そうだね。次があればって感じだけど……」
「へ?」
私が背後に立つ、眉間に深い皺をよせた白雄皇子を見つめる。
刹那、白蓮皇子の頭に拳骨が落ちた。
「いっつ……!」
「白蓮。座学の時間を抜け出して何をしているのかと思ったら……」
「あ、兄上!」
狼狽する白蓮皇子の首根っこを掴んで連れ帰ろうとする白雄皇子がこちらに一瞥をくれ「道子姫も、あまり勝手に歩き回らない様に」と仰った。
「はーい」
「え?!え、姫?!」
私と白雄皇子の顔を交互に見つめてから私の顔を見つめてから「えー?!」と驚愕した。
「白蓮。側室の顔くらい覚えておけ」
べしっともう一度、白雄皇子は白蓮皇子の頭を叩いてそのまま行ってしまった。
またね、白蓮皇子。
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