短編
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組長が「久しぶりにアルバムが見てえなぁ」と呟くものだから、廻からアルバム引っ張り出してこいと命令され押し入れからアルバムを引きずりだしていたら、うっかり思い出に耽ってしまった。
オヤジと廻と私とアホ面の女。
「補佐、いまお時間少々よろしいでしょうか?」
「……」
このアホ面でも社会に出れば、一端の大人の顔ができるようになる。
カマキリの卵をタンスにしまって廻にイスで殴り倒されるような子供時代があったとは思えない、すました顔である。
「なにを見ていたんです、おぁ……」
「情けない猫みたいな声だな」
「いや、あの、は、針、いや補佐……なんでそんなの見て……」
顔を真っ赤にしながら狼狽する姿が面白く、一枚ずつ思い出を語ってやる。
「これは屋根に登ってオヤジに尻を叩かれているとき、これはウチの名を騙った不良グループを血祭りにあげたとき、これは私の髪を勝手に切って私にモヒカンにされたとき」
「覚えてなくていいことを……」
「覚えてるに決まっているだろ」
「なんで?」
「……お前を脅すときに使えるかも知れないだろ?」
「もっと有効な手があるでしょうが」
バカじゃないのか?という顔をされたが、まあ、嘘だからな。
この馬鹿馬鹿しい日常は、意外と私にとって大切な日々だった。
廻とよく、コイツだけはなんとか普通の日々とやらに返してやれないかと話したものだ。
個性が強いわけでもない、社会にたいして怒りがあるわけでもない。
まあ、最終的に「コイツを野放しにすると変な死に方をしそう」という帰結を向かえるので私たちの側に置いているわけだが。
音本からネチネチ言われているが、元が強メンタルだからかまったく意に介さない。
たまに虫の居所が悪いと鼻柱にグーパンを入れてはいるが、基本的に気にしていないようだ。
「撫子」
「ん?」
「一生、私たちについて来なさい」
「なにを突然」
「いや、別に。ほら、一緒にアルバム見よう」
嫌がる撫子を引っ張り、膝の上に乗せる。
すっぽりと私の影に収まるサイズ感に、自分も成長したなと感慨深くなる。
昔は撫子に「やーい!針のチビー!」とバカにされていたな。
小さい撫子を抱きしめ「やーい、チービ」とバカにすると怒りだすが、私の腕を振りほどく力もなく、抵抗できる個性もない。
弱い生き物。
私が守ってやるからな。
オヤジと廻と私とアホ面の女。
「補佐、いまお時間少々よろしいでしょうか?」
「……」
このアホ面でも社会に出れば、一端の大人の顔ができるようになる。
カマキリの卵をタンスにしまって廻にイスで殴り倒されるような子供時代があったとは思えない、すました顔である。
「なにを見ていたんです、おぁ……」
「情けない猫みたいな声だな」
「いや、あの、は、針、いや補佐……なんでそんなの見て……」
顔を真っ赤にしながら狼狽する姿が面白く、一枚ずつ思い出を語ってやる。
「これは屋根に登ってオヤジに尻を叩かれているとき、これはウチの名を騙った不良グループを血祭りにあげたとき、これは私の髪を勝手に切って私にモヒカンにされたとき」
「覚えてなくていいことを……」
「覚えてるに決まっているだろ」
「なんで?」
「……お前を脅すときに使えるかも知れないだろ?」
「もっと有効な手があるでしょうが」
バカじゃないのか?という顔をされたが、まあ、嘘だからな。
この馬鹿馬鹿しい日常は、意外と私にとって大切な日々だった。
廻とよく、コイツだけはなんとか普通の日々とやらに返してやれないかと話したものだ。
個性が強いわけでもない、社会にたいして怒りがあるわけでもない。
まあ、最終的に「コイツを野放しにすると変な死に方をしそう」という帰結を向かえるので私たちの側に置いているわけだが。
音本からネチネチ言われているが、元が強メンタルだからかまったく意に介さない。
たまに虫の居所が悪いと鼻柱にグーパンを入れてはいるが、基本的に気にしていないようだ。
「撫子」
「ん?」
「一生、私たちについて来なさい」
「なにを突然」
「いや、別に。ほら、一緒にアルバム見よう」
嫌がる撫子を引っ張り、膝の上に乗せる。
すっぽりと私の影に収まるサイズ感に、自分も成長したなと感慨深くなる。
昔は撫子に「やーい!針のチビー!」とバカにされていたな。
小さい撫子を抱きしめ「やーい、チービ」とバカにすると怒りだすが、私の腕を振りほどく力もなく、抵抗できる個性もない。
弱い生き物。
私が守ってやるからな。