短編
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スティーブン・A・スターフェイズは息をするように嘘をつく。
好きだよ、愛しているよ、君だけだよ。
あの顔で囁かれれば誰だってその気になるだろう。
私も「そういう男だ」と理解した上ではまってしまったわけで、それをスティーブンは理解した上で私を利用している。
最悪の活用法方だ、死んでほしい。
あの男にとって、私の愛は不変で失われることがないもの。
んなわけあるか、クソ野郎が。
目の前で女と車に乗った上、私に笑顔で手を振る神経が信じられない。
地獄に落ちろ。
家に帰ってすぐ、あのクソ野郎の私物を全部「ご自由にどうぞ」と書いた箱にまとめ、公園に置いてきた。
鍵もその日のうちに高い金を払って代えてもらった。
あばよ、クソ野郎。
あとは引っ越しだけだな、と賃貸を検索していると、メッセージに「スティーブン・A・スターフェイズ」と表示された。
自分からメッセージなんてほぼしない男がなんの用だ、と怒りを覚えながら開くと「会いたくなったから、いまから行っていいか?」と。
は?正気か、こいつ?
こんな露骨なご機嫌とりに私が応じるとでも?
あまりにも不快すぎて、勢いでブロック削除をし、メッセージも消してしまった。
いけないな、6秒待ってから冷静に行動すべきだったかも。
……家に誘い込んでから殺すべきだったかも知れない。
まあ、消してしまってはもう連絡など取りようもない。
あいつはいつか、私以外の人間に殺される。
残念ではあるが、そうなっただけ。
よし、忘れて寝よう!と切り替えて寝ていたら、インターホンに叩き起こされた。
時間は深夜2時。
こんな時間にアポ無しでくるなんて、ろくな来訪者じゃない。
そう判断して無視をしていたら「ティティ、いるんだろー?」と不吉な声がした。
インターホンとクソ野郎の最悪なマリアージュに吐き気がしそうだ。
しばらく無視をしていると、諦めたのか音がやんだ。
ちょっと怖かった……。
安心したからか、すぐに眠りにはつけたが朝は目覚めが最悪だった。
ああ、化粧のりも最悪だ。
怠い体を引きずりドアを開けると、手すりに寄りかかって立ったまま寝ているスティーブンがいた。
「っ!」
思わず悲鳴をあげそうになったが、なんとか堪えて音を立てないように鍵をかけすり抜ける。
なんてホラー展開だ、と震える私の背中に「ちょっと酷いんじゃないか?」と声がかかる。
振り向くと、拗ねたときに見せる表情をしていた。
「恋人を一晩、外に放置してたのにハグのひとつもないのか?」
「凍死してなくて残念ね。そもそも、私はあなたの恋人じゃないから、そんなことをする必要ないでしょ」
そう返すと、驚いたような顔をしてからにやけながら「もしかして、嫉妬してる?」と聞いてきた。
神よ、このゴミクズに天罰を与えたまえ。
相手にするのも馬鹿馬鹿しく、無視して歩きだすと簡単に横に並ぶ。
「ティティ、怒らないでくれよ。いつも言ってるだろ?愛しているのは君だけだって」
「何人の女に言ってるのかしらね」
「俺が本当に愛しているは、君にだけ」
本当によく回る口だ。
呆れてしまう。
「その本当に愛している女なら、なにをしても許してくれると思ったら、大間違いよ。スティーブン・A・スターフェイズ。私、もうあなたには愛想が尽きてるの」
だからサヨナラよ。
そう、顔も見ずに言ったのが悪かったのかも知れない。
私は、スティーブンが本当に怒ったときにしかしない顔を見逃した。
「それは、もう“僕”には会わないってことかい?」
「それ以外になにがあるのかしら」
「それを僕が、わかった、と受け入れると思っているのか?」
「次の女でも見つければいいでしょ」
少し歩調を速めて距離をとろうとした瞬間、強い力で路地裏に引きずりこまれ抱きしめられた。
「離してちょうだい」
「君が僕を信じてくれたら離すよ」
「そう、じゃあ一生このままね、私たち」
「それは困るけど、悪くないかもしれないね」
どっちだよ、と呆れながら無駄とわかりつつ胸板を押すがびくともしない。
「ティティ、愛してるよ」
「そう」
「君はもう愛してくれてないのか?」
「愛想が尽きたって言ったでしょ。もっとわかりやすく言った方がいいかしら?愛してない、失せろクソ野郎」
ハッキリと言い捨てれば、力なくスティーブンの両腕はほどけた。
「最後に、キスだけさせてくれないか?」
物悲しそうだが、穏やかな表情。
いや、お前全然キレてるじゃねーか。
お前が穏やかな顔のときは、私をどう泣かせてやろうかと思案してるときの顔だって知ってるんだからな?!
「嫌に決まってんだろうが!」
「ああ、本当に付き合いが長いと察しがいいな!もう1回、君が俺を好きで仕方なくしてやりるからこっちに来い!」
「終わらない地獄を用意するな!もう終わりなんだよ!」
「終わりは始まりって知らないのか?」
「頼むから、地獄は終わらせろ!」
このやり取り、一体1年のうちに何回すればいいのか。
誰か、スティーブン・A・スターフェイズという地獄から私を救ってくれ。
好きだよ、愛しているよ、君だけだよ。
あの顔で囁かれれば誰だってその気になるだろう。
私も「そういう男だ」と理解した上ではまってしまったわけで、それをスティーブンは理解した上で私を利用している。
最悪の活用法方だ、死んでほしい。
あの男にとって、私の愛は不変で失われることがないもの。
んなわけあるか、クソ野郎が。
目の前で女と車に乗った上、私に笑顔で手を振る神経が信じられない。
地獄に落ちろ。
家に帰ってすぐ、あのクソ野郎の私物を全部「ご自由にどうぞ」と書いた箱にまとめ、公園に置いてきた。
鍵もその日のうちに高い金を払って代えてもらった。
あばよ、クソ野郎。
あとは引っ越しだけだな、と賃貸を検索していると、メッセージに「スティーブン・A・スターフェイズ」と表示された。
自分からメッセージなんてほぼしない男がなんの用だ、と怒りを覚えながら開くと「会いたくなったから、いまから行っていいか?」と。
は?正気か、こいつ?
こんな露骨なご機嫌とりに私が応じるとでも?
あまりにも不快すぎて、勢いでブロック削除をし、メッセージも消してしまった。
いけないな、6秒待ってから冷静に行動すべきだったかも。
……家に誘い込んでから殺すべきだったかも知れない。
まあ、消してしまってはもう連絡など取りようもない。
あいつはいつか、私以外の人間に殺される。
残念ではあるが、そうなっただけ。
よし、忘れて寝よう!と切り替えて寝ていたら、インターホンに叩き起こされた。
時間は深夜2時。
こんな時間にアポ無しでくるなんて、ろくな来訪者じゃない。
そう判断して無視をしていたら「ティティ、いるんだろー?」と不吉な声がした。
インターホンとクソ野郎の最悪なマリアージュに吐き気がしそうだ。
しばらく無視をしていると、諦めたのか音がやんだ。
ちょっと怖かった……。
安心したからか、すぐに眠りにはつけたが朝は目覚めが最悪だった。
ああ、化粧のりも最悪だ。
怠い体を引きずりドアを開けると、手すりに寄りかかって立ったまま寝ているスティーブンがいた。
「っ!」
思わず悲鳴をあげそうになったが、なんとか堪えて音を立てないように鍵をかけすり抜ける。
なんてホラー展開だ、と震える私の背中に「ちょっと酷いんじゃないか?」と声がかかる。
振り向くと、拗ねたときに見せる表情をしていた。
「恋人を一晩、外に放置してたのにハグのひとつもないのか?」
「凍死してなくて残念ね。そもそも、私はあなたの恋人じゃないから、そんなことをする必要ないでしょ」
そう返すと、驚いたような顔をしてからにやけながら「もしかして、嫉妬してる?」と聞いてきた。
神よ、このゴミクズに天罰を与えたまえ。
相手にするのも馬鹿馬鹿しく、無視して歩きだすと簡単に横に並ぶ。
「ティティ、怒らないでくれよ。いつも言ってるだろ?愛しているのは君だけだって」
「何人の女に言ってるのかしらね」
「俺が本当に愛しているは、君にだけ」
本当によく回る口だ。
呆れてしまう。
「その本当に愛している女なら、なにをしても許してくれると思ったら、大間違いよ。スティーブン・A・スターフェイズ。私、もうあなたには愛想が尽きてるの」
だからサヨナラよ。
そう、顔も見ずに言ったのが悪かったのかも知れない。
私は、スティーブンが本当に怒ったときにしかしない顔を見逃した。
「それは、もう“僕”には会わないってことかい?」
「それ以外になにがあるのかしら」
「それを僕が、わかった、と受け入れると思っているのか?」
「次の女でも見つければいいでしょ」
少し歩調を速めて距離をとろうとした瞬間、強い力で路地裏に引きずりこまれ抱きしめられた。
「離してちょうだい」
「君が僕を信じてくれたら離すよ」
「そう、じゃあ一生このままね、私たち」
「それは困るけど、悪くないかもしれないね」
どっちだよ、と呆れながら無駄とわかりつつ胸板を押すがびくともしない。
「ティティ、愛してるよ」
「そう」
「君はもう愛してくれてないのか?」
「愛想が尽きたって言ったでしょ。もっとわかりやすく言った方がいいかしら?愛してない、失せろクソ野郎」
ハッキリと言い捨てれば、力なくスティーブンの両腕はほどけた。
「最後に、キスだけさせてくれないか?」
物悲しそうだが、穏やかな表情。
いや、お前全然キレてるじゃねーか。
お前が穏やかな顔のときは、私をどう泣かせてやろうかと思案してるときの顔だって知ってるんだからな?!
「嫌に決まってんだろうが!」
「ああ、本当に付き合いが長いと察しがいいな!もう1回、君が俺を好きで仕方なくしてやりるからこっちに来い!」
「終わらない地獄を用意するな!もう終わりなんだよ!」
「終わりは始まりって知らないのか?」
「頼むから、地獄は終わらせろ!」
このやり取り、一体1年のうちに何回すればいいのか。
誰か、スティーブン・A・スターフェイズという地獄から私を救ってくれ。