短編
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「おー。今日も目が死んでんな、裏道」
「うっせぇよ、撫子」
喫煙所に行くと、裏道が体操のお兄さんとは思えない死んだ目で睨み付けて来た。
おー、こわっ。とたいして怖がっていない声で隣に立ち、タバコに火をつける。
「ナレーターがタバコなんて吸っていいのかよ」
「ナレーターつっても、知り合いに頼まれただけだし。別にずっと続けるわけじゃないよ。本業は、体操教室の先生ですから」
「また、さらっと流しつつやってんのか。本当に、お前のそういう小器用な所が嫌いだ」
「私は裏道の不器用なとこ大好きなのに、残念だ」
そう、さらりと言うと暗く重いため息を吐きながら「マジでそういうところ……」と言う。
「そういう、謎に高みから見てるところ嫌い」
「高みじゃないよ。ただの傍観者だから、私は」
「……そういうところも嫌いだ」
「いや、マジで裏道、私のこと嫌いだな」
ちょっとショックだわ、と真面目にショックを受けていたら「そういう……」と、遂に頭を抱えだした。
どうした、裏道。頭痛か?
「本気で俺が言ってると思ってる?」
「ちょっと」
「思ってねえよ。いや、嫌いは嫌いだけど」
「また複雑な感情と戦ってんな。割合としては、何割嫌い?」
「……四割」
微妙に多いな。
まあ、裏道のことだからちょっと多めに言ってはいるだろう。
気にしないけど。
「私は五割くらい好きだよ」
「半分かよ。あと半分なんだよ」
「普通」
「普通……」
泣きそうになっている裏道の背中をバシバシ叩きながら「ウソ!ウソ!めっちゃ好きだから!じゃなきゃ、こんな付き合い長くならないって!」と励ますも、疑いの目を向けられる。
信用ねえなぁ。
「なんだよー。ちゅーすんぞ?」
「割りとマジでやめろ」
「ガチで嫌がるじゃん」
「当たり前だろ。やったら絶交するからな」
そこまで嫌なんだ……。
悲しくなってしまうな、ならないけど。
「まあ、いいや。つまみとか酒ばっかりじゃなくて、しっかり食べなよ」
ヘアセットが乱れない程度に裏道の頭を撫でて帰ろうとしたら、「撫子」と声をかけられた。
振り向くと、裏道が恥ずかしそうに「なら、お前が見てろよ」と言ってきた。
「ちゃんと、俺が食事するように」
「つまり?」
意地悪く聞き返すと、むすっとしながらゴニョゴニョする裏道。
なに~?女子をご飯に誘うこともできないの~?体育大時代、モテモテだった裏道くんが~?
ニヤニヤしながら待っていたが、それが気に入らなかったのか「やっぱり、いい」と諦められた。
しゅーん。
「あーそう?んじゃね、裏道ー」
「……」
恨みがましく見てくる裏道に手を振ってMHKのビルから出ると、ひんやりとした風が吹いた。
こう寒いと、温かい物が食べたくなる。
定番のおでんでも作るか、と浮き足立ちながらスーパーに向かおうとしたら、ケータイが震えた。
親子丼
それだけメッセージがきた。
素直じゃないねえ。
「いい鶏肉あるかな~」
「うっせぇよ、撫子」
喫煙所に行くと、裏道が体操のお兄さんとは思えない死んだ目で睨み付けて来た。
おー、こわっ。とたいして怖がっていない声で隣に立ち、タバコに火をつける。
「ナレーターがタバコなんて吸っていいのかよ」
「ナレーターつっても、知り合いに頼まれただけだし。別にずっと続けるわけじゃないよ。本業は、体操教室の先生ですから」
「また、さらっと流しつつやってんのか。本当に、お前のそういう小器用な所が嫌いだ」
「私は裏道の不器用なとこ大好きなのに、残念だ」
そう、さらりと言うと暗く重いため息を吐きながら「マジでそういうところ……」と言う。
「そういう、謎に高みから見てるところ嫌い」
「高みじゃないよ。ただの傍観者だから、私は」
「……そういうところも嫌いだ」
「いや、マジで裏道、私のこと嫌いだな」
ちょっとショックだわ、と真面目にショックを受けていたら「そういう……」と、遂に頭を抱えだした。
どうした、裏道。頭痛か?
「本気で俺が言ってると思ってる?」
「ちょっと」
「思ってねえよ。いや、嫌いは嫌いだけど」
「また複雑な感情と戦ってんな。割合としては、何割嫌い?」
「……四割」
微妙に多いな。
まあ、裏道のことだからちょっと多めに言ってはいるだろう。
気にしないけど。
「私は五割くらい好きだよ」
「半分かよ。あと半分なんだよ」
「普通」
「普通……」
泣きそうになっている裏道の背中をバシバシ叩きながら「ウソ!ウソ!めっちゃ好きだから!じゃなきゃ、こんな付き合い長くならないって!」と励ますも、疑いの目を向けられる。
信用ねえなぁ。
「なんだよー。ちゅーすんぞ?」
「割りとマジでやめろ」
「ガチで嫌がるじゃん」
「当たり前だろ。やったら絶交するからな」
そこまで嫌なんだ……。
悲しくなってしまうな、ならないけど。
「まあ、いいや。つまみとか酒ばっかりじゃなくて、しっかり食べなよ」
ヘアセットが乱れない程度に裏道の頭を撫でて帰ろうとしたら、「撫子」と声をかけられた。
振り向くと、裏道が恥ずかしそうに「なら、お前が見てろよ」と言ってきた。
「ちゃんと、俺が食事するように」
「つまり?」
意地悪く聞き返すと、むすっとしながらゴニョゴニョする裏道。
なに~?女子をご飯に誘うこともできないの~?体育大時代、モテモテだった裏道くんが~?
ニヤニヤしながら待っていたが、それが気に入らなかったのか「やっぱり、いい」と諦められた。
しゅーん。
「あーそう?んじゃね、裏道ー」
「……」
恨みがましく見てくる裏道に手を振ってMHKのビルから出ると、ひんやりとした風が吹いた。
こう寒いと、温かい物が食べたくなる。
定番のおでんでも作るか、と浮き足立ちながらスーパーに向かおうとしたら、ケータイが震えた。
親子丼
それだけメッセージがきた。
素直じゃないねえ。
「いい鶏肉あるかな~」